澪「……」

紬「……」

律「……」

唯(このメンバー飽きた……)

律「そろそろ講義行くか?」

澪「あー……」

律「何だよ、やる気出せよ」

澪「あの授業、単位埋めるのに履修しただけだし……」

律「……」

澪「まぁ皆が行くなら行くよー」

唯(真面目だった澪ちゃんが自分で決められない子になってしまいました)

律「じゃあ私も良いや、サークル行って来るから、んじゃあ」

唯(りっちゃんは授業よりサークルやバイトに入り浸りです。単位が心配です)

紬「私は講義行こうかな」

唯(ムギちゃんは普通です。お家と大学を往復するだけです)

唯「かく言う私も特に何も無いのです……」

澪「何が?」

唯「独り言ー」

澪「ふーん」

唯(あれほどおしゃべりしていた私達が、今では集まっても黙々とご飯を食べるだけです)

唯「私、大学ってもっと楽しいと思ってた」

澪「律は楽しそうだけどね」

唯「新しい友達いっぱいだもんね」

澪「高校までは黙ってても結構何とかなったのにな」

唯「クラスが無いからね……」

澪「学部で友達出来た?」

唯「まぁ挨拶するくらいの人なら何人か」

澪「私そんな人すらいないよ……」

澪「最初に四人で固まり過ぎたのがいけなかったのかな」

唯「他の人達は皆バラバラだったけど、気付いたらグループ出来てたもんね」

澪「はぁ……もう良いや、帰ろう」

唯「まだお昼だよ?」

澪「いてもしょうがないし……夜の練習には行くから」

唯「うん」

唯(一応、まだ放課後ティータイムは続けています。はっきり言って自然消滅寸前ですが)

唯「さて、どうしようかな……講義行こうかな」



教室

唯(おお、人がいっぱい)

女「あ、平沢さん」

唯「おはよー」

女「おはよ、またね」

唯(会話はこれだけです。ここでは三人以外誰も私を唯とは呼んでくれません)



教授「ぺらぺらぺらりんちょ」

唯(何言ってるか解んない……興味も無い……でも必修だから受けなきゃ)

唯(高校の頃はつまんない授業でも皆がいて楽しかったのにな)

女「そうそう、こないだの飲み会でー」

女2「楽しかったねー」

唯(学部生が集まっての親睦会があったようです。私達の知らないところで)

唯(彼女達に悪意はありません。私達が輪に入っていない、それだけの事です)

女「そう言えば、あの先生のゼミに入れてもらえる事になったんだ」

女2「えー、いいなー」

唯(彼女達には目的や目標があるようです。羨ましい限りです)

唯(ただ漠然と四人一緒に進路を決めただけの私達にはそんなものありません)

唯(何をしに大学に来ているのか自分でも解りません)

教授「ぺららぺらぺら」

唯(講義は地獄のように長いです)



唯「やっと講義終わった、1日が本当に長いよ……」テクテク

唯「あ……」

律「いやいや、マジであそこのラーメンは最高だって!」ゾロゾロ

唯(りっちゃんが大勢の友達と歩いています。おそらくサークルのお友達でしょう)

唯(ちなみに軽音部ではありません、よく解らないサークルです)

唯(澪ちゃんが言うには、サークルの形式をとって援助金を得ているだけの遊び人集団らしいです)

唯(私にはよくわかりません)

唯「……」

律「ん、おー唯、後でなー!!」

唯「うん」

唯(誘ってはくれません。これもりっちゃんが悪いわけではないのです)




唯(ある意味電車待ってる方が大学より良いかも……)

紬「唯ちゃん」

唯「あ、ムギちゃん」

紬「気付かなかったの?手を振ってたのに」

唯「ごめんごめん、考え事してた」

紬「そう……」

唯「うん」

紬「……」

唯「……」

紬「澪ちゃんは?」

唯「先に帰ったよ」

紬「そう」

唯「うん」

ガタンゴトン

唯「……」

紬「……」

唯「……ねぇムギちゃん」

紬「なに?」

唯「大学楽しい?」

紬「……」

唯「ムギちゃんって嘘つけないよねぇ」

紬「まだまだ始まったばかりじゃない」

唯「もう後期だけどね」

紬「唯ちゃんはもっとポジティブな子でしょ?」

唯「うんまぁ……落ち込むとかじゃなくてさ」

唯「ノリが違うと言うか……」

紬「最初から四人で固まってた上に、軽音部のノリを持ち込んじゃったもんね」

唯「うんたんが世間じゃドン引きなんて知らなかったよ……」



紬「また夜にね」

唯「うん」

唯(半分惰性のバンド活動)

唯(あずにゃんを置いてったら悪いからと大学の軽音サークルには入っていません)

唯(しかし憂が言うには、そのあずにゃんは後輩の指導で忙しいらしいです)

唯「ただいまー……って、誰もいないんだよね」

唯「ふぃー」ドサッ

唯「……」

唯「…………」

唯「………………やることない……」

唯「とりあえずご飯を炊こう、そうしよう」



唯「……」ジャー

唯「……」ザブザブ

唯「……」カチャカチャ

唯「……」ピッ

炊飯器「サンジュウフンデデキアガリマス」

唯「わーい」

唯(半年近くも一人暮らししてれば誰でも出来ます)

唯(というか私、意外と普通に普通の事をこなせます)

唯(淡々とこなすだけです)

唯「……」

唯(口数が減りました。返ってこない返事を期待するほどバカじゃありません)

唯(自分だけの部屋とはいえ、周りには他の人が住んでいます。ギターなんておいそれとは弾けません)

唯(ギターも弾けないとなると、己の無趣味さに気が滅入ります。私は時間を使うのが致命的に下手なようです)



唯「……コンビニ行こう」

唯(店員さんは確実に私の顔を覚え、立ち読み代金代わりに駄菓子数個しか買っていかない私を疎ましく思っているでしょう)

店員「しゃせーい」

唯「ジャンプ……」

唯(いつもなら読まない漫画まで読んでしまいます、他にやることも無いので)

唯「……」

店員「パねぇ」

店員2「な、パねぇよな?」

唯(パねぇパねぇ)

店員「マジパねぇな……しゃせーい」

唯「っ!」

女「……」テクテク

唯(思わず顔を隠します。なぜそうしたかは自分でも解りません。そしてそっと店を後にするのです)

唯(合わない会話が辛いなんて、この年で初めて知りました。しかし相手も同じでしょう)

唯(狭く浅い付き合い……悲しいことです)



唯「ただいま」

唯(一人暮らしは自由過ぎて、暇過ぎます)

唯(インターネットもさすがに飽きがきます)

唯(ゲームも一人じゃつまりません)

唯(読書や映画鑑賞は……やっぱり飽きます)

松本『ペヤングは一回やったやん、だから今回は浜田さんの大好きなアメちゃんを巨大化します』

浜田『金使いすぎやろ!!』

唯「あはは」

唯(垂れ流しているテレビから音と映像を受け取ります。頭に入っているかは知りません)

ピリリリ

唯「うわっ!?」



唯(携帯が鳴ることに驚きます。悲しいです)

唯「どうせ憂だよね……あれ、和ちゃん?和ちゃんだ!!」

唯「も、もしもし和ちゃん!?」

和『唯?久しぶりね』

唯「ほんとだよ~、全然連絡してくれないから寂しかった~」

和『それはあんたも同じでしょう、その様子なら元気にやってるみたいね』

唯「えへへ~何とか生きとります」

和『そう、結構心配してたんだけど』

唯「ん~、まぁ友達はあんまり……」

和『何言ってんの、私なんか最初完全に一人だったんだから』

唯「あ、うん」

和『でも意外とスムーズに友達出来るものよね、色んな地方から来てるから面白いわ』

唯「うん」

和『知ってる?大阪の子って本当になんでやねんって言うのよ、思わずテレビと一緒だなんて言っちゃったわ』

唯「うん」

和『夏休みとか皆で旅行に行ったりするでしょ?』

唯「あ、うん」

和『今まで標準語だった子が急に方言使ったりして面白くて』

唯「うん」

和『先輩にご飯奢ってもらったり……そしたら終電が無くなっちゃって』

唯「うん」

和『皆で線路を歩いたり、徹夜で頑張って帰ったりね。楽しかったわ』

唯「良かったね」

和『学内で花火やって警備員さんに怒られるなんて、高校じゃ考えられないわね』

唯「だねー……」

和『そうそう、それからね』

唯「あ……そろそろ練習行かないとだから切るね」

和『あ、ごめんね、私ったら夢中で……今度またゆっくり話しましょう。唯の部屋にも遊びにいくわ』

唯「うん、待ってる。じゃあね」ピッ

唯「………………」

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