唯「というわけで私たちもムギちゃんに拷問されよう!」

律「いきなり何を言ってんだ」

唯「エンタテイナーはトレンドを意識することが重要なんだよ。
拷問が今のトレンドならそれに従うまで!
そうでしょ、澪ちゃん?」

澪「私に振るなよ……
ていうか私は嫌だよ、拷問なんて」

梓「ムギ先輩はやりたがってるんですか?」

唯「さあ、まだ言ってないから分からない」

澪「本人不在で話進めてたのかよ」

唯「まーでも多分だいじょうぶだよー、
ムギちゃんならきっと
『私みんなを市中引き回しにするのが
前から夢だったのームッギュギュー』
とか言うに決まってるよぉー」

律「言わない方に1万円賭けてもいい」

梓「唯先輩の中でのムギ先輩のイメージって……」

ガチャ
紬「遅れてごめんなさーい」

澪「あ、ムギ」

唯「あっ、ムギちゃん!
今から私たちを拷問してくれない?」

紬「えっ、拷問?
どうしてそんないきなり」

唯「それが今のけいおんSSの最新の流行なんだよ!
この流行に乗らない手はないよぉー、
キャラを拷問するだけでスレはたちまち1000まで伸びて
次スレに突入してもなお保守支援レスの嵐なんだよ!
SS書きの本望と言っても過言ではないよー」

紬「はあ……、……?」

梓「いやしいなあ……」

唯「とゆーわけでムギちゃん、
私たちを思う存分に拷問してください!!」

紬「そんなこと言われても、拷問だなんて……
肛門なら開発できるけど」

律「聞かなかったことにしよう」

唯「遠慮しなくていいよ!
むしろ遠慮なんかされちゃ困るんだよ、
いかにグロテスクな拷問をするかが
スレの盛り上がりに関わってくるんだからね!」

澪「遠慮とかそういう問題じゃないと思うけど」

紬「あの、とりあえずお茶にしない?
今日はチーズケーキを持ってきたのっ」

唯「あ、そのチーズケーキに神経毒が入っていて
食べると徐々に呼吸器が冒されていくという拷問かな!?」

澪「拷問から離れろ」

梓「さっきから拷問拷問って……
ムギ先輩も困ってるじゃないですか。
ねえムギ先輩?」

紬「そうねえ、みんなにヒドイことするのはちょっと」

唯「ぬるい、ぬるいよムギちゃん!
そんなんじゃ激動のけいおんSS界で生き残れないよ!
山も落ちもないほのぼの話とか、しょーもない百合SSとか、
小説家気取りで地の文使った感動話とか、
そんなの誰も読みやしないんだよ!
拷問くらいの刺激がなきゃ人目を引けないの!」

紬「でも……」

唯「私たちが率先して拷問SSを生み出さないでどうするの?
拷問がなければさっき挙げたようなSSばかりになっちゃう!
そういうのは真正のけいおんファンしか読まないからね!
ただの内輪向けのコンテンツなんだよ!
そしてそういうのはやがて廃れていき、
いつかけいおんSSそのものが消滅してしまうんだよっ」

紬「消滅だなんて……それは困るわ」

唯「でしょ?
だからムギちゃん、ここは一肌脱いで」

紬「わ、分かったわ唯ちゃん……
私頑張ってみんなを拷問してみる!!」

律「えええええっ!」

澪「じょじょじょじょ冗談だよな、ムギ……」

梓「ファラリス……万力……ユダのゆりかご……」ガクガク

紬「でも唯ちゃん、
私拷問の知識なんて全然ないわよ」

唯「モーマンタイだよ、
とにかくみんなに酷いことすればいいんだから!」

紬「酷いこと、ねえ……」

澪「とととととにかくお茶にしないか? なあ」

律「そっそそそうだな、チーズケーキ持ってきたんだろ、ムギ」

梓「わあわっわあー、私チーズケーキ大好きなんですよぉー」

紬「ええそうね、考えても思いつかないし……
ひとまずお茶にしましょうか。
はいりっちゃん、どうぞ」

律「わ、わーい」

紬「澪ちゃんも」

澪「あああ、ありがとう……」

紬「梓ちゃ……」

梓「?」

紬「梓ちゃんは、チーズケーキなしね」

梓「えっ!?」

紬「これが梓ちゃんへの拷問! どうかしら」

澪「ど、どうかしら、って……」

律「拷問か? これ」

紬「えっ、でも酷くない?
ひとりだけケーキ食べられないのよ、残虐じゃない」

梓「残虐かどうかは置いといて酷いっちゃ酷いですが……」

律「でもこんな拷問じゃ
唯のアホが納得しないんじゃないのか……?」

紬「だめかしら、唯ちゃん」

唯「……」

紬「……」

唯「ナイスだよ、ムギちゃん!」

澪「ええええっ」

唯「みんながケーキを食べてる中
ひとりだけ食べられない……いいねっ、
こういう精神的な拷問はゾクゾクしちゃうよ!
某書き手がツイッターで発狂するに違いないよぉー」

律「おいおい」

唯「というわけであずにゃんはケーキ無しね!
いっただきまーす」

澪「いただきます……」

律「い、いただきます」

紬「いただきまーす」

梓「…………」

唯「うーん、おっいしーっ!!
こんな美味しいチーズケーキ初めて食べたよぉー」

澪「あ、ほんとだ……
すごく美味しいなこれ」

紬「フランスにいる知り合いから送ってもらったの。
なんでも200年の伝統を誇るお菓子屋のケーキで、
一日6個しか買えないんですって」

唯「へぇー、すっごーい!
そんなケーキを食べられるなんて、私たち幸せだねーっ」

梓「…………」ぷるぷる

律(あ、泣きそうになってる……)



唯「あー美味しかった。
さあムギちゃん、次の拷問は誰にやる?
次は肉体的苦痛を与えたいねっ」

紬「肉体的苦痛ねえ……うーん」

律(拷問っていうからどんなもんかと思ったけど、
さっきみたいなやつをするなら可愛いもんか……
どっちかっつーと拷問っていうよりバツゲームだけど)

澪「あっ、今日は紅茶も美味しいな。
違うのに変えた?」

紬「ええ、そうなの。
おかわりいる?」

澪「ああ、お願い」

紬「じゃあ今注ぐから……
はっ!!」

梓(あっ、なんか思いついたな……)

澪「? ムギ、早く」

紬「ああ、ごめんなさい。どうぞ」

澪「美味しいなあ、何杯でも行けるよ」ごくごく

紬「じゃあもう一杯どうぞ」

澪「いやあ、もういいよ」

紬「飲むのよ、ほら澪ちゃん!」

澪「いやいいって」

紬「飲みなさい!」

澪「ど、どうしたんだよムギ」

律「まさかそれが次の拷問か……?」

紬「ええ、そうよ。
今日の部活が終わるまで紅茶を飲み続けるっていう拷問!
どうかしら?」

梓「うっわ、それはマジでキツそう……」

澪「や、やだよそんなの!
どう考えても体壊しちゃうよ!」

紬「だって唯ちゃんが肉体的苦痛を与えろって」

澪「絶対イヤだ!」

紬「うーん、だめかしら、この拷問。
唯ちゃん、どう思う?」

唯「……」

紬「……」

唯「パーフェクトだよ、ムギちゃん!」

律「言うと思った……」

唯「おいしい紅茶を延々と飲み続ける!
一見楽しそうだけど、いずれは苦しみへと変わる!
甘美さに誘われて破滅へと落ちて行くなんて
あまりにハイレベルすぎて大興奮だよ!
私たちのSSでアクセス数を稼いでるコピペブログの乞食管理人共が
犬のようにだらしなくヨダレを垂らしながら
このスレをせこせこ編集してるさまが目に浮かぶよぉー!」

律「捨てちまえ、そんな目」

唯「さあ澪ちゃん、この拷問SSをさらなる高みへ昇華させるために!
その胃袋を紅茶で満たし溢れさせるがいいよ!」

澪「やだやだやだ!
そんなの無理に決まってる!
ていうか梓のときと比べてレベルアップしすぎだろーっ!」

梓「……」

紬「さあ澪ちゃん、3杯目の紅茶を!」

澪「い、いやだってば!」

唯「澪ちゃん!
このままじゃこのSSは完結と同時にDAT落ちだよ!?
どこのブログにも載らないまま、
のくすに載っても人気なくて消滅する運命だよ!
そんなの嫌でしょ!」

澪「う、うう……」

唯「そうならないためには澪ちゃんの頑張りが必要なんだよ!
ほら澪ちゃん、この紅茶を飲んで!」

澪「唯の言うことはもっともだけど、で、でも……」

唯「もう、澪ちゃん!」

澪「っ……」

ガンガラガッチャーン

律「な、なんの音だ?」

梓「あーごめんなさーい、紅茶のお茶っ葉、
全部ひっくり返しちゃいましたー」

唯「あ、あずにゃん!」

梓「すみませぇーん」

唯「何やってんの、あずにゃん!
澪ちゃんへの拷問ができなくなっちゃったじゃん!
紅茶がないと意味ないんだよ!」

梓「いやーすみません、ついうっかり。
ムギ先輩もごめんなさい、高級なお紅茶を」

紬「いえ、それはたかだか8万程度だから良いんだけど……
でも澪ちゃんへの拷問が」

澪「あ、もしかして私、助かったのか……?
よかったー……」

律「え?
いや別に紅茶にこだわらなくても、
何かを飲み続けるって言う苦痛を与えたいなら
水道水とかでも構わないんじゃ……」

梓「オラァ!!」ボカッ

律「ぐぇあ!」

梓「何ほざいてんですか、律先輩!
まさか唯先輩の味方してんですか」

律「あ、いやすまん、つい……」


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