唯「やっほー!あずにゃん!」

梓「こんにちは、他の先輩方はどうされたんですか?」

唯「みんな掃除当番で遅くなるみたいだから、私が先に来たんだぁ。
  あれ、あずにゃんそれ何読んでるの?」

梓「ノルウェイの森です。今度映画化されるので読み返そうと思って」

唯「ノルウェイの森?うーん、聞いたことないなぁ」

梓「あれ、知らないんですか?」

唯「読書通の私が知らないってことは相当マイナーな本と見受けたね!」キリッ

唯達がそんな事を話していると、掃除当番を終えた澪達がやってきた。

澪「ごめん、掃除が思いのほか長引いちゃって……
  ん?梓が読んでるそれってノルウェイの森か?」

梓「そうですよ」

唯「あれ?澪ちゃん知ってるの?」

律「やっぱりノルウェイの森かぁ。まぁ、そんな特徴的な表紙他にないもんな」

唯「りっちゃんまで!」

紬「懐かしいわぁ。たしか中学二年生の時に読んだわね」

律「私は澪に貸してもらって読んだなぁ。あれいつだっけ」

唯「…」

梓「そういえば唯先輩ったら、ノルウェイの森をマイナーな小説って言うんですよ」

唯「あ、あずにゃん…それは…」

澪「マイナー…?別の村上春樹作品じゃなくてノルウェイの森が?」

紬「ノルウェイの森って日本で二番目に売れた単行本小説だったと思うけど…」

律「マイナーかメジャーかで言ったら、超ド級のメジャーだよな」

唯「……」

唯「あはは…じょ、冗談だよぉ。私も読んだことあるよ、そのスウェーデンの森って奴」

律「ノルウェイの森な」

梓「じゃあどんな話か言ってみてください」

唯「えっと…えっと……大分前に読んだから内容忘れちゃった…かな」

澪「唯、その言い訳はちょっと苦しいぞ…」

唯「と、というわけで、私も読み返したいからそのノルウェイの萌えって言う奴貸してくれないかな?」

梓「萌えじゃなくて森ですよ…。今、下巻読んでるんで上巻ならいいですよ」


唯の家

唯「………」

憂「あれ?お姉ちゃん何読んでるの?」

唯「ノルウェイの森っていう小説だよ。今日あずにゃんに貸してもらったんだ」

憂「ノルウェイの森なら私も持ってたのに」

唯「う、憂も読んだことあるの?」

憂「うん」

唯「あはは…」


※ここから先ノルウェイの森の濃厚なネタバレがあります。


~翌日の放課後~

澪「私、ちょっとトイレ行ってくるな」

律「おう。いってら~」

唯「あずにゃん!ノルウェイの森、下巻まで読んできたよ」

梓「どうでした?」

唯「なんかよくわからなかったなぁ…」

紬「難しい小説よねぇ」

唯「それでね、聞きたいことがあるんだけど」

梓「………聞きたいことと言いますと?」

唯「なんで最後に主人公はレイコさんとエッチしたのかな」

律「…」

梓「…」

紬「…」

唯「あずにゃん分かる?」

梓「えっ…わ、私より律先輩のが詳しいんじゃないですか?」

律「ちょっ…それどういう意味だよ!」

唯「ねぇりっちゃん何でなの?」

律「わ、私も大分前に読んだから内容忘れちゃったなぁアハハ」

唯「うーん…じゃあムギちゃんは分かる?」

紬「私も昔読んだから忘れちゃったわぁ…」

律「梓は確かこの前読み返したばっかりだったよなぁ」

梓「りりりり律先輩!?」

唯「あずにゃん、何でだと思う?」

梓「えっと…それは…その…なんというか…
  あっ!そうだ澪先輩に聞けば…」

律「澪ならトイレ行ったぞぉ」ニヤニヤ

梓「ううっ……」

唯「ねぇ~あずにゃん何でエッチしたの?」

梓「主語を省かないでください!」

唯「ピース」

梓「………」

梓「主人公やレイコさんは直子が死んだことで、『死』が心に重くのしかかってきたんですよ」

唯「うんうん」

梓「だからその…主人公たちは直子の『死』から逃れ、『生きる』って事を実感するために…えっち…したんだと…思います」

唯「エッチしたら生きるって実感が持てるの?」

梓「そ…それは…その…」

律「なぁどうなんだ梓」

紬「どうなの?梓ちゃん」

梓「ほ、ほら、誰かと抱き合って肌の温もりを感じてると生きてるって感じしませんか?」

唯「確かにあずにゃんに抱きついてる時はいい気分になれるね」

梓「そうです!だから、多分……えっちも……同じことなんじゃないかと…」

唯「なるほど…あずにゃんはエッチしてる時は生きてるって感じになるのかぁ」

梓「なんでそうなるんですか!?」

律「真面目な梓から『えっち』の考察が聞けるとはなぁ」クスクス

紬「あんな可愛いお口からねぇ…ふふっ」

梓「……///」カァッ

唯「あっ、まだ聞きたいことがあってねぇ」

梓「………私もトイレに」

律「おっと逃がさないぜ」

梓「は、離してください!」

唯「何で直子はキズキって人とエッチする時は濡れなかったの?」

梓「もうやだぁ…」

唯「一番最初に主人公とエッチした時は濡れたよね。なんで恋人のキズキとエッチする時はダメだったの?
  普通逆だよね?」

梓「それはその……」

梓「直子とキズキの関係はその普通の恋人とは違う特殊なもので…だから…」

唯「だから?」

梓「………ううっ」

澪「ただいま~」

律「おっ澪が帰ってきたぞ」

梓(助かった!!)

梓「澪先輩って確か最初は文芸部志望だったんですよね!」

澪「うん。律に阻止されたけどな」

唯「本当!?じゃあノルウェイの森の事聞いてもいい?」

澪「いいぞ」

梓「澪先輩ならばっちり答えてくれますよ!」

律「こいつ…」

唯「どうしてキズキは自殺しちゃったの?」

澪「ああ。直子が言ってただろ?キズキはいつも自分を変えようとしていて、苦しんでいたって。そして、
  それがどうにもならなかったから、自殺してしまった。直子との関係が完璧すぎてどうしても大人にな
  りたくなかったんだと私は思う」

唯「なるほどなるほど」

梓「…」

唯「あと、直子は何で、最後に主人公の手紙を焼いてしまったの?」

澪「うーん……。主人公は直子にとって『外の世界』の象徴だっただろ。だから、直子は外の世界と決別し、
  内なる世界へと行くけじめとして、主人公の手紙を全て焼いてしまったんだと……思う」

唯「なるほど」

梓「……」

唯「ハツミさんは何故自殺してしまったの?あと、主人公が永沢さんの手紙を破り捨てたのもよく分からなかったなぁ」

澪「ハツミさんは永沢さんしか愛せない純粋な人だったんだ。だから、永沢さんとの恋が実らなかった苦しみで自ら命を絶ってしまったん
  じゃないかな…?きっと永沢さんだけがハツミさんを救うことが出来たんだけど、永沢さんは救わなかった。だから主人公は永沢さんの
  『ハツミの死はとてもたまらなく辛くて悲しいことだ』っていう手紙を見て怒ったんだと……思う」

唯「なるほど…主人公は直子を救おうとかなりの努力したのに結局救えなかったもんね。そう考えたら怒る気持ちもわかる気がする」

澪「そうそう。主人公は直子を救おうと頑張ってたよな」

唯「そうだよねぇ」

梓「………」

キミヲミテルトイツモハートドキドキ~♪

澪「ん?電話だ。ちょっと外で話してくるよ」

唯「澪ちゃんいってら~」

唯「ねぇあずにゃん。なんで主人公は不特定多数の女の人とエッチしたの?」

梓「ちょっ…ちょっと待ってください!!」

唯「どうしたの?」

梓「なんで私にだけそういう質問するんですか?」

唯「そういう質問って?」

梓「だから…その…えっちな…質問です…」

律「おい。えっちな質問なんて言うのは流石に失礼だろ」

紬「そうよ。唯ちゃんはただ純粋に文学的好奇心から質問してるだけなのよ」

梓「ううっ…」

唯「ねぇ…あずにゃん何でなの?」

梓「もう知りません!」

律「梓、ちゃんと質問に答えてやれよ」

紬「唯ちゃんがかわいそうよ」

梓「だって…」

唯「あずにゃんのいけずぅ」

その時、電話を終えた澪が部室へと戻ってきた。

梓(来た!)

唯「あっ澪ちゃん!聞きたいことがあるんだけど」

澪「何?どうした?」

唯「なんでノルウェイの森は主人公の回想という形で始まるのかな?」

梓「ちょっとおおおおお!!!!」

唯「ど、どうしたのあずにゃん、急に大声出して」

梓「どうしてさっきの質問を澪先輩にしないんですか!?」

唯「さっきの質問ってなんだったっけ?」

梓「だから…そのぉ…」

澪「回想という形を取ることによって、主人公は直子の死を長年の時を経ってようやく理解できたという事と、
  直子の死が主人公を未だに苦しめているにも関わらず、主人公は他の登場人物のように死を選ばず
  生きることが出来ていることを表したかったんじゃない……かなぁ…?」

唯「そうかぁ…」

梓(流されてしまった…)

唯「このノルウェイの森って面白いね!私すごいはまっちゃった!」

澪「うん。ノルウェイの森は傑作だと思うよ。読んでて分からないところいっぱいあるけどな」

唯「この村上春樹って人の小説もっと読みたいな。あずにゃんなんかオススメある?」

梓「えっ私?うーん…村上春樹は世界の終りとハードボイルドワンダーランドが一番好きですが…」

唯「わかった!じゃあ今度それ読んでみるね。分からないところがあったらあずにゃんに聞くよ!」

梓「すみません!今のやっぱりなし!」

唯「なし?」

梓(セックスシーンの無い村上春樹作品を挙げないと…)

梓(………)

梓(全く思いつかないよ!!)


澪「世界の終りとハードボイルドワンダーランドは私も好きだな」

唯「そう?じゃあそれ読んでみるよ!
  あずにゃん!分からないところがあったらよろしくね!」

梓「なんでですか!」



終わり