澪「梓、ちょっと」
梓「はい、なんですか?」
澪「私とファ、ファ、ファ……」
梓「ファ?」
澪「ファ、ファ……ファッ」
梓「?」
澪「ファッ……ファルゲンって何のアニメに出てくる奴だっけ」
梓「装甲戦記ドラグナーですよ」
澪「あ、ああ、そうだったな……」
澪(クソ……ファックしたいって口に出すの、
意外と恥ずかしいな……)
澪(勇気を出して言うんだ……
同意の上でのファックでなければそれはレイプと同義)
澪「梓……」
梓「なんですか」
澪「ファ……」
梓「はい?」
澪「ファー……ファッ……」
梓「言いたいことがあるなら言ってください」
澪「ファッ……ックスってそのまま紙が送られてたと思ってた」
梓「なんですかそれ、いまどき小学生でも間違えませんよー」
澪「そ、そうだよな、あはは……」
澪(やっぱりいえない……)
梓「あのー、そういえば今日は他の先輩たちはこないんですか?」
澪「ああ、来ないよ」
梓「そうなんですか」
澪「どうする? 今日は部活やめとくか?」
梓「いえ、練習したいです。
今日はティータイムがない分いっぱい練習できますよねー」
澪「そうだな」
梓「実は澪先輩と二人で練習したいって、前から思ってたんです。えへへ」
澪(あーかわいいなーちくしょー)
梓「早速やりましょう、澪先輩!」
澪「ああ」
梓「何の曲からやりますか?
兄弟仁義にします? それとも函館の女にしますか」
澪「梓の好きな曲からでいいよ」
梓「そうですか、じゃあ夫婦一生で」
澪「うん」
澪(そうだ……今日は他のみんな居ないんだ。
唯はトラックに轢かれて入院、
律は修学旅行先で迷子になって帰ってないし、
ムギは親戚の法事でフィンランド……
梓とファックするのは今しかチャンスがないんだ)
梓「澪先輩はサブちゃんの唄で何が好きですか?」
澪(そうだ、今しかないんだ……
勇気を振り絞れ、私!
梓にファックさせてくれと頼むんだ!)
梓「澪先輩? どうしたんですか、ぼーっとして」
澪「え!? ああ、な、なんでもないよ」
梓「そうですか……?
具合でも悪いんじゃないですか」
澪「いや大丈夫、大丈夫」
梓「そうですか……?
なんか顔赤いですよ」
澪(お前が可愛いからだよっ!)
梓「熱あるんじゃないですか?」
おでこぴとっ
澪「!?」
梓「あー、なんかちょっと熱いですねー」
澪(あ、あ、あ、梓の顔がメノマエニー!)
梓「今日はもう練習やめときますか?」
澪「やっ、大丈夫! 大丈夫だから、熱とか無いから!
私の平熱38度くらいだから!
むしろ今ちょっと体温低いくらいだから!」
梓「そうなんですか?
じゃあ大丈夫ですかね」
澪「そう、大丈夫大丈夫」
澪(ふー、危ない危ない……
このチャンスを逃したら梓とファックできないってのに)
梓「初めて出会ってー♪ 結ばれてー♪」
澪(しかしやっぱりかわいいなあ梓は……
ニャンコみたいな顔つきとか)
梓「気がつきゃ苦労のつづらざか~♪」
澪(ぴょこぴょこはねるツインテールとか激萌え)
梓「時には妻にー時には母にー♪」
澪(つつましやかなボディとかマジたまらん)
梓「おまえいりゃこそー今日があるー♪」
澪(ああ……ファックしたい……濃厚なのをしたい)
梓「夫婦一生~よろしく頼むよこれからも~♪」
澪(よし……勇気を出して言おう!
私から言わなきゃ何も始まらないんだ!!)
澪「梓ぁぁぁぁぁ!!!」
梓「はい!?」
澪「ファックしよう!!!」
梓「えっ」
澪「ファックしよう!! ファックしよう!! ファックしよう!!」
梓「……」
澪「ファックしよう!! ファックしよう!! ファックしよぉぉぉう!!」
梓「……」
澪「ファックしよおおおおぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅぅうううう!!!!」
梓「……」
澪「はあ、はあ……」
梓「……澪先輩」
澪「なんだ」
梓「やっぱり風邪ひいてるんじゃないですか!
そんな大きなクシャミをなんどもして!」
澪「えっ!? クシャミ!?」
梓「ファックション、ファックションって連発してたじゃないですか」
澪「えっ、いやそれはクシャミじゃ」
梓「まったく、体調悪いなら最初から言ってくれればいいのに」
澪「いやあの、練習……」
梓「もう練習は終わりですっ。
ほら、早く帰りましょう」
澪「え、え、え」
梓「家まで送ってってあげますよ」
澪「い、いや大丈夫だよ。一人で帰れるし」
梓「ダメです。心配ですから送っていきます。
おうちには誰かいらっしゃいますか?」
澪「いや、両親とも仕事だけど……」
梓「そうですか」
澪(あれ? これは逆にチャンスなんじゃないか?
看病してくれって頼んで、私の家で二人きり……)
梓「じゃあ仕方ないですね、看病してあげます」
澪「おう!!」
梓「な、なんでそんなハイテンションなんですか……」
秋山家。
梓「へー、澪先輩の部屋って意外とシンプルなんですね」
澪「そうか? ていうか意外とって何だ」
梓「いやー、もっとファンシーで乙女ちっくなのかなって」
澪「はは……唯たちにも言われたな、それ」
梓「みんな思いますよ。
さ、風邪引きさんは早くベッドで寝てください」
澪「はいはい」
梓「なんか買ってきましょうか。
食べたいものとかあります」
澪「お前を食べたい」
梓「え、なんですか?」
澪「いや……なんでもない」
梓「?」
澪「別に気遣ってくれなくていいよ。
ほんとになんともないし」
梓「そうですか……? でも心配です」
澪「熱もないから大丈夫だよ」
梓「はあ」
澪(……さて、今の状況を把握しよう……
私の部屋に梓と二人きり……
私はすでにベッドイン、梓は椅子に腰掛けている……
両親は夜まで帰って来ない、推測するにあと4時間……
ここからどうやって梓とのファックに持っていくか)
梓「……」
澪(1、いきなり押し倒す。
2、ファックしたいと申し出る。
3、色目を遣って誘惑する)
梓「……あ、あの」
澪(3は恥ずかしいな……
女どうしで色気が通用するかも分からないし……
押し倒すのは相手に恐怖を与えかねない諸刃の剣か)
梓「あの、澪先輩」
澪「あ? ん? な、なんだ?」
梓「あの……こんなときになんですけど」
澪「うん」
梓「前から気になってたんですけど……
えっと、その……澪先輩って、好きな人とかいるんですか?」
澪「はっ?」
梓「あ、いや、その……
恋愛の歌詞とかいっぱい書いてるから……
実体験に基づいてるのかな、って思って」
澪「いや、好きな人は……いないけど」
(ファックしたい人はいます)
梓「あ、そうなんですか。
じゃああの歌詞は全部空想の産物なんですね」
澪「空想って……本読んだり映画見たり、
そこから得たものを……」
梓「空想の産物以外の何物でもないですね」
澪「ぐぬぬ」
梓「でも好きな人いないんですかー……そうですか」
澪「いないよっ。わるかったなっ」
梓「あ、あの」
澪「ん?」
梓「……」
澪「なんだよ」
梓「……」
澪「……」
梓「……」
澪「梓?」
梓「私……その……澪先輩のこと……」
澪「?」
梓「私、澪先輩のこと……ずっと……好きでしたっ」
澪「えっ」
梓「好き……です……澪先輩のこと……」
澪「えっ…………えっ?」
梓「……」
澪「……」
梓「……」
澪「……」
梓「すみません……気持ち悪いですよね……女どうしでこんなの」
澪「いや……ソレに関しては全然まったくこれっぽっちも問題ないけど」
梓「えっ、そうなんですか?」
澪「ああ……」
梓「じゃ、じゃあ私と……つ、付き合ってくれませんか……?」
澪「……」
梓「お願いします、澪先輩……」
澪「……」
梓「ずっと……好きだったんです……」
澪(なんだこれは)
最終更新:2011年05月06日 17:45