ぺちぺち、こねこね

ぺちぺち、こねこね


憂「ふぅ…あとは焼くだけ」

ジュージュー

ジュージュー


憂「できた!おいしそ~!」

憂「あっ、もう学校の時間だから行かないと!」

憂「お姉ちゃん、学校行くよー!」

唯「あ、待って~!」

憂「はい、これお弁当」

唯「えへへ、いつもありがとう」

憂「そんな…お姉ちゃんのためなら」


私はお姉ちゃんが大好きです。
今日も大好きなお姉ちゃんのために丹精込めてお弁当を作りました。

お姉ちゃん、喜んでくれるかな。

憂「お姉ちゃん、今日も勉強がんばってね」

唯「うぅ~…つらいよ~」

憂「ファイト!お姉ちゃん!」

二人仲良く学校へ向かっています。
お姉ちゃんはもう高校三年生、受験生です。
いろいろ大変な時期なので、私が支えないといけません。

その中で体調管理は最も重要です。
受験当日に風邪をひいたりでもしたら大変。

お姉ちゃんの栄養士は私です。
私が健康的な料理を作ってお姉ちゃんに元気でいてもらわないといけません。


唯「じゃあ憂、またあとでね」

憂「うん、バイバイ」


学校に着くと私たちはそれぞれのクラスへと行きました。

梓「おはよう、憂」

純「おはよっ」

憂「おはよー」


教室に入ると梓ちゃんと純ちゃんが私に笑顔で挨拶してきました。
二人は私の大切な友達です。


梓「最近寒いね」

憂「ほんとだねー」

純「私、寒いのキライだよ」


なんてことのない会話。
特に大きな事件も起きません。
それが私たちの日常。

でも、退屈ではありません。
毎日平和なことは幸せなことです。
お姉ちゃんがいて、友達がいて…私は楽しい日々を過ごしています。



午前中の授業も終わり、お昼休みになりました。
私たちいつも三人は机を囲い、お昼ご飯を食べています。


純「憂、今日はなに作ったの?」

憂「お姉ちゃんのうんこで作ったうんこハンバーグだよ」

純「うわー、美味しそう。一口ちょうだい」

憂「はい、どうぞ」

純「憂の料理は相変わらず美味しそうな~」

憂「えへへ」


純ちゃんは私が作ったうんこハンバーグを美味しそうに食べています。
自分が作った料理をこんな風に食べてもらうことはとても嬉しいです。
ましてやうんこハンバーグはお姉ちゃんとの合作です。
嬉しさも二倍になります。


梓「……」

純「あれ?どうしたの梓?」

憂「梓ちゃん?」


梓ちゃんはお姉ちゃんのうんこで作ったうんこハンバーグをジーっと見つめています。
なにか変なものでも入っているのでしょうか?


純「もしかして、梓もハンバーグ食べたいの?」

梓「ううん…違うの」


梓ちゃんは少し暗い表情をしています。
どこか悲しそうな…


梓「唯先輩のうんこで作ったうんこハンバーグを見てると…なんだか急に切なくなってきて」

梓「唯先輩…もうすぐ卒業しちゃうんだよね…」

憂「あ…」


そうです。
お姉ちゃんはもうすぐこの学校を卒業してしまいます。
妹の私もとても寂しいです。


憂「……」

純「…寂しくなっちゃうね」

梓「……」

純「でもさ、だったら今一緒にいる時間を大切にしなよ」

純「梓も憂も」

憂「純ちゃん…」


純ちゃんの励ましにより、私と梓ちゃんは少しだけ元気が出ました。
でも、まだ心のどこかがすっぽり空いてるような…


憂「……」

憂(今日のうんこハンバーグは…ちょっと苦いなぁ…)



学校が終わると、私はクラスの係の仕事で遅くまで残ることになりました。
早くお姉ちゃんのお世話をしたいのですが…仕方ありません。

急いで仕事を終わらせた私は、テキパキと帰り支度を済ませ学校を出ようとしました。

~♪

憂「あっ…お姉ちゃんからだ」

私が玄関で靴を履き替えようとしたその時、お姉ちゃんからメールが届きました。


唯『うい~、教室にお弁当箱忘れちゃったから持ってきて~』

憂「もう…しょうがないなぁ、お姉ちゃんは」


メールを読んだあと、すぐにお姉ちゃんの教室に行きました。
三年生の教室は私たち二年生にとっては新鮮な光景です。


憂「ここ…お姉ちゃんの席だ」

お姉ちゃんの香りがする席。
一発で分かりました。


憂「すー……はぁー」


深く深呼吸をして、お姉ちゃんの匂いを堪能しました。


憂「いけない、お弁当箱持ち帰らないと」

憂「お姉ちゃん…私の作った料理全部食べてくれたかな~」


私はお姉ちゃんの机の中からお弁当箱を取り出すと、興味本意で中身を確認することにしました。


憂「え……」

中は衝撃的なことになっていました。


憂「な、なんで…」

憂「なんでうんこハンバーグだけ残して…」


そこにはご飯やハンバーグ以外のおかずはありません。
うんこハンバーグだけきれいに残っていました。


憂「……」


私はお弁当箱のふたを閉じると、走って家へと帰りました。




憂「お姉ちゃん!!」

唯「あっ、ういー。お帰りー」


家ではお姉ちゃんがリビングでゴロゴロしていました。
普段なら「お姉ちゃんかわいいーっ」と思いますが、今はそれどころではありません。

私はお姉ちゃんにお弁当の中身を見せました。


憂「これ…どういうことなの?」

唯「……」

憂「せっかく作ったのに、なんで残しちゃうの!?」

唯「……」

憂「ひどいよお姉ちゃん…私はお姉ちゃんのためを思って作ったのに…」

唯「……」

無言を続けていたお姉ちゃんの重い口が、ようやく開きました。

唯「だって…うんこだよ?食べれるわけないじゃん」

憂「……」


私にはお姉ちゃんの言ってることが理解できませんでした。

なんでうんこはダメなの?
うんこ美味しいじゃん。
うんこ最高じゃん。

うんこはすごいよなんでもあうよ。



憂「……」

唯「……」


その日は一日中、お姉ちゃんとしゃべることはありませんでした。


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