部室

唯「ただいまー」

澪「……おかえり。長かったな」

梓「あっ、スミマセン!澪先輩一人にしちゃって……」

澪「いや、いいんだ……。それより、ほら」スッ

律「ん?なんだこれ」

紬「猫耳カチューシャに……携帯電話がくっついてるわね」

澪「さっき梓の頭にカメラつけるとか言ってたからトイレ行ってる間に作っておいたんだ。携帯くっつけてテレビ電話にすれば梓から見た映像が見えるだろ」

律「おお!ナイス澪!」

紬「ありがとう澪ちゃん!」

澪「え?あ、いや、ははは……べ、別にこれくらいなんてことないよ……えへへ」ジーン

唯「ええ?もういいよカメラは。だってあずにゃんはガチじゃな……」

律(おい唯。かくかくしかじか)ヒソヒソ

唯(あ、そ、そっか)

唯「さぁあずにゃん!そのカメラつきカチューシャをつけてみなさい!」

梓「え……イヤですよ。なんでそんなのつけなきゃいけないんですか」

律「え、えーと……それはだなぁ……」

紬「新入部員勧誘ビデオに使うの。軽音部に入ったらこういう世界が見えますよ、っていう感じで」

梓「そうでしたか。でもそれなら私より先輩方がつけたほうが」

紬「来年の主役は梓ちゃんだから」

唯律(ナイスムギ!)(ムギちゃん!)

梓「そういう事でしたら……わかりました。つけてみます」

唯律紬「ドキドキ」



梓「よいしょ」スチャ

梓「これで大丈夫ですか」

唯「バッチリだよ!私のケータイにしっかりあずにゃんの視点が映ってるよ!」

澪「やっぱり梓は猫耳似合うな」

梓「そ、そんな事ないですっ」

唯(さて、これで普段あずにゃんが私達の身体をいやらしい目で舐めまわすように見ているかどうかわかるわけだね)ヒソヒソ

律(ああ!全く梓は恐ろしい奴だ!)ヒソヒソ

紬(いいえ、それじゃダメよ。梓ちゃんに私達の未発達な思春期の身体を見るのを許すことになっちゃうわ)ヒソヒソ

唯律「し ま っ た!!」

紬「というわけで梓ちゃん、ちょっとそのまま校舎の中を歩いてきてもらえないかしら」

梓「え!?」

唯(なるほど!)

律(これなら私達の身体ではなく、他の生徒の身体を梓が見る事でガチかどうかの確認ができる!)

唯(考えたねムギちゃん!)

梓「それはちょっと……さすがに恥ずかしいんですけど」

紬「自分で言うのもなんだけど、軽音部って校内じゃ人気者だし、そういう生の声を拾ってもらいたいの」

梓「う~ん」

唯「あずにゃんお願い!」

律「軽音部の未来のために!」

紬「ね、梓ちゃん。澪ちゃん達もこう言ってることだし」

澪「私は何も言ってな」

梓「わかりました。そこまで言うなら私も腹くくります!」

唯律紬(よしっ!!)グッ

梓「じゃあちょっと校舎ウロウロしてきますね」

唯「あずにゃん頑張って!」

律「しっかり見てくるんだぞ!」

梓「見てくる……?ま、まぁいいものが撮れなくても怒らないで下さいね」

紬「いいえ、信じてるわ梓ちゃん」

澪「ていうか勧誘ビデオはもうこないだ作っ…モガガ」

唯「あずにゃんいってらっしゃーい!」グググ

澪「モガ!モガガー!」



唯「さて、私達はここであずにゃんのガチビジョンを見てるとしますか」

律「恐ろしい。梓は恐ろしい奴だぜ!」

紬「きっと蛇が這うような目で見た映像が映し出されるわ!」

澪「よ、よくわかんないけど私にも見せてよ……」



廊下

梓「先輩たちに言われるままに出てきちゃったけど……」てくてく

梓「どうしよう、とりあえずどこに行けばいいんだろう」てくてく

純「お、梓。何やってんの?頭に変なモノつけて」



部室

唯「純ちゃんきました!」

律「最初の犠牲者は鈴木さんか」

紬「ドキドキ」



廊下

梓「変なモノって、純には言われたくないよ」

純「ひどっ!……で、何やってるのさ」

梓「実は、かくかくしかじか」

純「ぷっ!やっぱり軽音部って面白いねぇ」

梓「それ絶対誉めてないでしょ」



部室

唯「ちょっと!あずにゃん、頭のポンポンばっかり見てるよ!」

律「違うだろ梓!もっとこう、腰とか足とかさぁ!」

紬「これじゃ何のために派遣したかわからないわ」

澪「この映像は勧誘ビデオには使えそうもないな」



廊下

純「あ、悪いけど私部活あるからもういくね。梓もこんなとこでサボってないで部活いきなよ」

梓「いやだからこれが部活なんだってば」

純「そうだったそうだった。ぶふっ!梓それ似合ってるよ!んじゃ」

梓「むう……」



梓「どこ行こうかな」

梓「あ、確か今日憂が日直だったから、教室にまだいるかも」てくてく



部室

唯「う、憂!あぶないっ!」

律「梓め!教室に一人居残って日直の仕事をしている憂ちゃんに一体何をする気だ!?」

紬「ドキドキドキ」

澪「いや普通に会話するだけじゃないのか?」



教室

ガチャ

憂「あれ?梓ちゃん、部活は?」

梓「あ、うん。今まさに部活しているところなんだけど」

憂「??」

憂「ところでその頭につけてるの何?」

梓「話すと長いし絶対笑われるからナイショ」

憂「え~?」

梓「憂は?日誌書いてたの?」

憂「うん。もうすぐ書き終わるよ~」



部室

唯「ち、近い!近いよあずにゃん!」

律「あああああ!大変だ!憂ちゃんが!憂ちゃんが梓の魔の手に!!」ハァハァ

紬「逃げて憂ちゃん!あ、いや、やっぱり逃げないで!!」

澪「憂ちゃんの字、綺麗だな」



教室

憂「今日って何か特別なことあったかな?」

梓「純がハードルで転んでたくらいかなぁ」

憂「それ日誌に書いたら純ちゃん怒るかな」

梓「純は日誌なんて読まないでしょ。ほら、純が日直の日のやつ見てみなよ。すっごい適当に書いてる」

憂「あはは、ホントだね。じゃあ書いちゃおっと」



部室

唯「ああんもう!なんで日誌のほうばっかり見てるのあずにゃん!」

律「胸見ろよ胸!お尻とかさぁ!」

紬「梓ちゃん、しっかりして!」

澪「前の日直の人の日誌読み返すのってけっこう楽しいよな」




教室

憂「書き終わったよー」

梓「じゃあもう行こっか」

憂「あれ?梓ちゃん教室に用事あったんじゃないの?」

梓「んー……あったと言えばあったけど、もういいよ」

憂「そう?じゃあ私職員室に日誌届けてくるね」ニッコリ

梓「うん。私はちょっと校舎内歩いてくる」



部室

唯「おお!憂の笑顔ドアップ!」

律「こうして見るとけっこう可愛いよな、憂ちゃん」

紬「ずっと眺めていたいわぁ」

澪「あ、ほっぺたにニキビ」



廊下

梓「次はどこ行こうかな」

梓「私あんまり知り合いいないし、もう部室に戻ろうかな」

和「あら?梓ちゃん?」

梓「あ、こんにちは、和先輩」



部室

唯「の、和ちゃん!!今度こそやる気だよあずにゃんは!!」フンスフンス

律「中野ォ……。生徒会長に手を出すとは神をも恐れぬ奴!!」

紬「和ちゃんごめんなさい……。私たちにはどうすることもできないの!」ギラギラ

澪「ていうかやっぱりこれ勧誘ビデオにならなくない?」



廊下

和「その頭……また唯に変なことやらされてるのね」

梓「まぁ……はい、そうです」

和「ごめんね。唯も悪気があるわけじゃないと思うんだけど……」

梓「大丈夫です、わかってます。一応軽音部のためにやってることですし」

和「軽音部のため?」

梓「詳しくは話したくないですケド……。あ、それよりなんか一杯手に抱えてますけど、運ぶの手伝いましょうか?」

和「そう?じゃあお願いしようかしら。明日の部長会議で使う資料なの。とりあえず生徒会室まで運んでもらえるかしら」



部室

唯「み、密室の生徒会室……」ゴクリ

律「何をする気だ!?おい何をする気だ中野ォォ!!」

紬「資料バサバサーッ!服ビリビリーッ!!」

澪「おい律。明日ちゃんと会議出るんだぞ」



生徒会室

和「ありがとう。助かったわ」

梓「いえ、いつもお世話になってますし」

和「そうだ、また今度澪のファンクラブのお茶会頼めないかしら」

梓「うーん、私は下っ端ですし、先輩方に聞いてみないことには……」



部室

唯「うわ!あずにゃんキョロキョロしすぎだよ!」

律「くっそ!見てるこっちが目回るっつーの!」

紬「これはきっと和ちゃんに逃げ道を残さないように部屋の中をチェックしてるのよ!」

澪「和と梓、普段会話しないから気まずそうだな。あとお茶会はちょっと勘弁してほしいな」



生徒会室

梓「じゃあ私はこれで」

和「うん。唯達によろしくね。……ってその電話で聞こえてるんでしょうけど」

梓「……本当に悪気ないんですよね、唯先輩」

和「たぶん……」



部室

唯「あずにゃんには言われたくないよ!」プンスカ

律「どんだけキョロキョロしてるんだよ梓は」

紬「私達の目を回して、クラクラしたところで心おきなく犯行に及ぶつもりなんだわ」

澪「お、梓もう帰ってくるみたいだな」



梓「ただいま戻りました」

澪「ごめんな梓。変なことやらせて」

梓「いえ、私は大丈夫ですけど……」

唯「もう!何やってるのあずにゃん!」

律「あーあー!期待して損した!」

紬「私達の事は気にしなくていいのよ?」

梓「……あの、澪先輩」

澪「ん?」

梓「電話から聞こえてくる先輩たちの声聞いてて思ったんですけど……」

梓「先輩たちもやっぱりガチなんですか?」

澪「は?」

唯律紬「」ギクーッッ



おしまい ;