梓「という結果になりました……」

純「……ッ……ククッ……!!」

梓「私もう部活行けないよ……」

純「それは……プッ……たしかに無理だよね……」

梓「笑い過ぎ! もとはと言えば純が!!」

純「告白しろって言ったら友達がスカトロ宣言したんですけど」

梓「うっ」

純「それは予想できないよね、誰にも、もちろん私にも」

梓「うぅ……死にたい……」



梓「しかも昨日、憂からこんなメールが届きました」

純「どれどれ『さすがの私もあれはお姉ちゃんに言えません(笑)』」

梓「それに、これスクロールするとね」

純「なになに『でも気持ちは分かります』……おぉ」



梓「私、勝ったのかな? 負けたのかな?」

純「なんか不必要な部分で勝って、他は完全敗北って感じかな……」



梓「でもね、良いこともあったんだ」

純「良いことって?」

梓「ムギ先輩が『どうしたの?』って聞いてきてくれて、相談にのってくれたの」

純「やったじゃん!」

梓「それで何でもしてくれるって言うからね」

純「うん」

梓「とりあえず唯先輩の家にカメラを仕掛けてもらってね」

純「」

梓「これで家にいても唯先輩と一緒だよ……憂と互角!」

純「ちょっと、え、カメラって、ええっ!?」

梓「今日からさっそく楽しめるようにしてくれたんだよ」

純「梓、あんたちょっと、それは流石に」

梓「純も見たい?」

純「そりゃ興味がなくはな……じゃなくて、犯罪じゃん! そんなの!!」

梓「唯先輩と一緒にいるのは罪なの!? ……たしかに可愛すぎるもんね」

純「じゃなくて盗撮!」

梓「あー……ほら、愛があればラブイズオーケーって言うじゃん」

純「それはマチャアキの専売特許だし……」

梓「大丈夫だよ、リビングにしかしかけてないし」

純「そういう問題じゃない」ビシッ

梓「あいたっ」



梓「私はね、友達が自分のことを警察に売るような真似はしないって信じてるの」

純「友達とか、信じるとかって、便利な言葉だよね」

梓「とにかく! 今日は純は私の家に泊まってね!」

純「なんでそうなる!?」

梓「だって……私一人で見てたら、興奮しすぎてモニター叩き割っちゃいそう……」

純「どういうことなの……」

梓「部活終わったら連絡するからーよろしくねー」



純「よろしくって……ああもう行っちゃったし……」


梓「ぽちっとな」

純「あ、映った。けど暗いね」

梓「憂も唯先輩もいないのかな?」

純「お父さんお母さん、純は友達に誘われていけない道に踏み込んでいます、ごめんなさい……」

梓「うるさいな……あ、帰ってきた!」

純「盗聴器もしこんでるんだ。嫌な所で万全だね」



唯『ふー、ただいまー』

憂『ごめんねー荷物持ってもらっちゃって』

唯『いえいえー、いつもお世話になってますからこれぐらいはしますぜぇ』

憂『ふふっ、お買いもの帰りお姉ちゃんに会えるなんて、偶然だけど嬉しいなっ』


純「憂は唯先輩の前だといつもの三割増しでニコニコだね」

梓「普段から輝かしい笑顔なのに、もう眩しいくらいの勢いだよね」



唯『つかれたー、どっこいしょー!』

憂『…………』

唯『ういー? どうかしたのー?』

憂『え? ああ、ううん、なんでもないよ、すぐにご飯作るね』

唯『今日のメニューはなんですかい?』

憂『今日はねー、サンマが美味しそうだから買ってきちゃった』

唯『サンマ! 美味しそう!』



梓「画面の中で天使が飛んでる」

純「唯先輩がぴょんぴょん跳ねてる」



唯『んー♪ んっんー♪』

梓「天使の歌声」

純「鼻歌」



唯『どっかーん!だだだだだ!!』

梓「情念のこもった朗読」

純「マンガの擬音を口に出すタイプ」



唯『ういーご飯まだー?』

梓「可愛い」

純「わがまま」



梓「純うるさいっ!!」

純(ええーっ……)



憂『あっ、大根がないや』

唯『えー……サンマには大根おろしだよぉ』

憂『そうだよね。私ちょっと買いに行ってくるね』

唯『えっ、なら私が買いに行ってこようか?』

憂『大丈夫、他にも買いたいものあるから、待っててねお姉ちゃん』

唯『う、うん』



純「他に買いたいものなんてないんだろうね」

梓「唯先輩に気遣いさせないような心づかいも忘れないとは、さすが憂」



憂『ただいま』

唯『おかえりー』



梓「はやっ!」

純「憂の家の近くのスーパーって、確か歩いて五分はかかったような」

梓「それを五分で買って帰ってくるなんて……」

純「どれだけ全力で走ったというの……」



憂『出来たよーお姉ちゃん!』

唯『うわっ、美味しい!』

憂『美味しそう、じゃなくて?』

唯『食べる前から美味しいって分かっているのでそう言ってみました!』

憂『もーお姉ちゃんってばー……早くたべよ?』

唯『うん、いただきます!』

憂『いただきます』



純「私もお腹空いたんだけどなー……」

梓「はい、カロリーメイト」

純「……カロリーメイトって」

梓「チョコとプレーン、どっちがいい?」

純「…………」

梓「一時も目を離す訳にはいかないからねー」



唯『美味しすぎてほっぺが落ちました!』ビニョーン

憂『あはは! お姉ちゃん変な顔~』

唯『憂も変な顔ー』グニーン

憂『ひはいよ、おねえはん~』



梓「くっ、羨ましい!」

純「やったげよか?」

梓「殴るよ」

純「…………」

梓「グーで」



唯『大根おろしがあると美味しさ倍増だよね~』

憂『そうだねー、あっ!』

唯『ん?』

憂『もうっ、お姉ちゃんほっぺたご飯粒』ヒョイ パク

唯『でへへ、面目ねぇ』



梓「定番っ! だからこそっ! 私にもチャンスが巡ってきそうなのに!!」

純「カロリーメイトアタッーク」ベシッ

梓「…………!!」

純「ご、ごめっ! 退屈、だったから! 無言でぶたないで!!」



唯『ふー、ごちそうさまー』

憂『お粗末さまでした。お姉ちゃん、お風呂入っちゃいなよ』

唯『そうするー! ……憂も一緒に入ろうよー』

憂『んー……まだ一杯やることあるから今日はいいかな』

唯『そう? じゃあ入ってくるね~』

憂『うんっ!』



梓「お風呂に! 一緒にはいろって! 唯先輩が! 言ってるのに!」

純「わ、わわ、モニターに頭突きしちゃダメだって!!」



憂『……さて、と』



純「あれ?」

梓「なに?」

純「これって隠しカメラなんだよね?」

梓「当然じゃない」

純「憂、こっち見てない?」

梓「そんな馬鹿な」

純「しかも、右手にトンカチらしき物体もってない?」

梓「そ、そんな馬鹿な……!!」



憂『梓ちゃん、だよね?』

梓「き、気付かれてる!?」

純「こ、こっちに来る!」



憂『私、こういう方法はあんまり好きじゃないなー……』

梓「ど、どの時点で気付いたっていうの!?」

純「怖い! 笑顔が崩れないのがむしろ怖い!!」



憂『この部屋にしか仕掛けてないからまだいいけど、お姉ちゃんの部屋に仕掛けてたりしたら……したら……ね?』

梓「センサー……憂センサー!? 調べる必要すらないっていうの!?」

純「ウイがぁ!近付いて!ウイがぁ!画面端ぃ!トンカチ振り上げてぇ!まだ近付くぅ!」



憂『お姉ちゃんによくない方法で近付こうとする人はね……』

純「あ、あああ……」



憂『こうやってね、こういう風にね……』

梓「あ、あああ……」



憂『バラバラにぃ……粉々にぃいいいいイイイイ!!』ブオンッ



純「きゃああああああああああ!!」

梓「きゃああああああああああ!!」」



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