――――――――――――――――――――

授業が終わって空はほんのり茜色

クラスメイトはあらかたぶん殴ってどいつもこいつも死にかけたチャバネゴキブリみたいに

ピクピクションボリ戦意喪失ざまあみろって感じ

これに懲りて明日以降はお姉ちゃんに媚び諂い靴を舐め背中に足跡付けてくれと懇願する肉奴隷になりましょう

下駄箱を開けると今度は靴が無い

じゃあ立花とかいう女の靴奪えばいいや と思った瞬間 後ろから声をかけられる

振り向くとそこに立つのは人生詰んでる生き遅れティーチャーさわ子

「ねぇ 朝から薄々思ってたんだけど あなた・・憂ちゃんじゃない?」

あー バレちゃいましたか―えへへへへーけっこー気付かれない物ですね―うふふふふー

てな感じでササッと流しておこうと思ったら 廊下の脇に立っていたクラスメイトがどこかに走って行った

あぁ 

そうか

ちょっとめんどくさくなるなぁ



あぁもう糞教師め



お姉ちゃんに携帯で家の鍵かけて誰も入れないように連絡する

蜘蛛が巣を張るように蠅が飛ぶように

あいつらはお姉ちゃんに手を出さないと気が済まない屑の三乗倍の本能を持ってるんだ

私はウサイン・ボルトの時速44?ダッシュでグラウンドを突っ切って自宅のドア蹴破ってお姉ちゃん抱きしめて

晩御飯作ってあげてアイス一緒に食べて肉体やら精神の傷を一刻も早く治してあげたいのに

運動場には三国無双よろしく大量の雑魚武将が私の行く手を阻んでて流石に少しビビる

女子高生1人に他校の男子学生まで呼ぶかよ普通

いやいやいやいや警察沙汰だろ おい

無神論者ここに極まれりだ



なら

私は超銀河グレンラガン

過去と未来にギッチリ詰まった10^(+68)体の恒星サイズ敵戦艦を たった一機で打ち砕く

姉の想いをこの身に刻み 無限の闇を光に変える

妹の力 見せてやるぜ



全力全開のスタートダッシュはワールド・レコード叩きだせる綺麗な立ち上がりで

金属バットを握ったテンプレ的不良青年の懐に影の如く潜り込んでやる

一瞬ギョッとした顔の青年がおおきくふりかぶ・・る前にアンディ・フグの下段後ろ回し蹴りを鳩尾にブチ込む

ごっ  げはぁッ


あっさり吹っ飛んでダウンする青年を見てお菓子見つけた軍隊蟻みたく我武者羅に群がってくる不良共に私は焦らない

一度に四人対処できれば 理論上何人相手でも勝てる

by地上最強の生物

前後左右に一人ずつ私よりも二周り背が高い悪魔超人サンシャインみたいにごついのが詰め寄ってきて

右のキャラメル野郎が腕を伸ばしてくる 襟元掴んで固定する気だ

アンディ・フグモードの私は素早く腕を躱しゴムでできたような弾力に富む親指を優しくエロティックに掴んで

思い切り逆方向に折ったついでに後ろから拳を振りおろす発情期の猿みたいな男の脳天に必殺の踵落としを

ガッと決めて怯んだ隙に追撃の膝蹴りで鼻を折って退場してくださいレッドカードぴぴぴぴぴー

でもやっぱりオーガみたいに隙無く動けなくて一瞬の内に羽交締めからの鳩尾キックをモロに喰らう

今度は私が ごっ げはぁッ



胸のちょい下辺りが痺れて重くてキックの衝撃がずっと暴れ続けてるのが気持ち悪いけど

こちとら必死なので羽交締め男の股間に垂れ下がる薄汚い巾着袋を強引に踵で蹴り飛ばしてあぁ汚いチクショウ



目の前で信じられないって顔してるサンシャイン四兄弟最後の一人にダイナマイトなハイキックをお見舞いするのは

マジで止められなかったキックの暴君ピーターアーツ

磁石に引き寄せられる砂鉄のようにすぐに私を取り囲む次の不良学生は黒髪金髪赤髪茶髪勢揃いだけど

アメリカのお菓子みたいなグロテスクなカラフルさが私の苛立ちを加速させて思わず金髪にローキックしてハイキック

んでローキックでもう立てなくなる面白いもっと苦しめよパツキン野郎

背後から気配を感じて振り向きざまに右フックを赤髪の長い顎にゴンとヒットさせた瞬間後頭部に鈍い衝撃が走って

私が一瞬がくりと膝をつくと同時に追撃の金属バッドが二連撃ゴチンガチン

立ちあがろうとしたら顔面にホームラン狙う気満々なサミー・ソーサのフルスイングみたいなクリティカルヒットを喰らって

頭がぐわんぐわんするし脚が勝手に震えるし視界が歪むし吐き気がするし口の中が鉄の味で満たされてるし

ほんの刹那 しくじったなぁ とか思うんだけどそんな座礁寸前の脳味噌に浮かぶのはやっぱりお姉ちゃんの顔で

あの神々しく恭しく凛々としたお姉ちゃんの笑顔を奪ったヘドロの塊みたいなゴミ虫にはやっぱり謝らせないといけない

とどめの一撃をかまそうとする黒髪にカウンターのブーメランフックを直撃させる私のスタイルはレイ・セフォー

もう一歩も退くことは無い

血塗れで笑顔なノーガード戦法



もう相手の顔やら髪の色やら服装やら性別は視認できないしわけわかんないし知る気もないけど

冷静に 落ち着いてみれば 相手の攻撃は見える

右右左 下左 テレフォンパンチだらけの電話回線野郎の顎に破滅的なブーメランフック

下下右右 左右 耳元で着信音みたいにフォンフォン鳴る空振りパンチは私に確信を与えてくれる

よし いける

これなら勝てる

負けない

でも 時間がないんだ

お姉ちゃんの元へ急がないと

私は一気に距離を詰めて視認限界速度の右ストレートを不良の顔面に叩きこんで彼方に吹っ飛ぶそいつを脇目に

ブレーキ壊れた暴走ブルドーザよろしくどんどん前へ突き進む

頼むぜマイク・タイソン

全ラウンドワンパンチKOで行こう

命の叫びが銀河に響く

待っててお姉ちゃん



――――――――――――――――――

今この瞬間世界で一番疲れてる栄養価0のアルティメットモヤシっ子は掛け値無し絶対確実100%で平沢憂

でも私の後ろで肥えた兎の糞みたく転がってる不良共もまた私のお姉ちゃんへの愛の証であり少し嬉しい えへん

そんな雀の涙を3回蒸留したような僅かで僅かで僅かで愚かな安心は

窓ガラスの割られた我が家を見てまたもや成層圏の彼方へ弾け飛んだ

ジャパニーズニンジャのスピードマッハでマイホームへ侵入してお姉ちゃんの部屋に飛びこむ

あぁもうお姉ちゃんごめんねごめんね遅れてごめんね

侵入者の内臓を千切って刻んでモツ鍋作ってやろうと気合を入れたけど

そこにいたお姉ちゃんは無傷で平常で何の問題も無くてへっちゃらでベッドに座っていて

そのお姉ちゃんの前で

生徒会長であり幼馴染である真鍋和が土下座をしていた

何?こいつ黒幕?



とりあえず本気で頭を蹴り飛ばす

ぼごぉッ どがらがらがっしゃん

ナイッシュー



お姉ちゃんが悲鳴をあげて申し訳ないしホントはこんなトコ見せたくないけどそれでもやっぱり怒りが先行してしまう

腐ったトマトみたいな血反吐吐きながら妖怪縁無赤眼鏡は言う

「ごめんね・・ごめんね・・・私・・唯に酷い事を・・・・ぶふぉお!?」

もう一発サッカーボールキック

何?お前が焚きつけたの?お前が苛めたの?お前がお姉ちゃん泣かせたの?お前がギー太壊したの?

お前がお姉ちゃん壊したの?ねぇ?そうなの?なんで?ねぇ?

「・・だって唯、軽音部入って私と居る時間・・減って・・・あんまり構ってくれなくなって・・おぶぅ!?」

アンディの踵落としを後頭部にかまして眼鏡が吹っ飛ぶ

え てか何  

一緒にいられないなら死にましょう みたいな  病的なアレ? 

ヤンデレ・・ってやつ?キモ・・

引くわ・・・

「でも、やっぱりやりすぎちゃったかなって・・ ぎぃ!?」

水被ったファミコンカセットの如くバグりまくって支離滅裂意味不明な妖怪赤眼鏡の股間を全力で蹴り上げる

流石に酷いぞコイツ  こいつはきっと私が風邪で休むの待ってたんだろう

餓死寸前のアフリカ坊やをじっと見つめるハゲタカみたいにお姉ちゃんを見てたんだろう

私はキッチンから包丁を持ってくる

「待って・・もうやめさせるから・・二度としないから・・・!」

何者だよお前

じゃあお姉ちゃんの傷治せよ じゃあお姉ちゃんの心癒せよ じゃあお姉ちゃんの思い出返せよ

お姉ちゃんが純粋にお前と遊んでた頃の気持ち全部返済しろよ

真鍋和の人差し指と中指を切断しながら私は怒る

「ぎゃああああああああああ!!!!!!!!」

閉店30分前で半額シール貼られたみたいに安っぽい悲鳴は心にちっとも響かない

謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!
謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!謝れ!
謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ!!!!

「ごめんな・・さいぃぃ!!!ごめなさいいいいぃ!!!!」



――――――――――――――――――

真鍋和の持つ魔女みたいに醜くて細長い指を9本切り取ったところでやってきたのは沢庵の社長令嬢

いじめを見かねてお姉ちゃんを助けようとしたら 粗方事が済んでしまっていたとか何とかほざく

私はこの沢庵が嫌いで嫌いで嫌い過ぎて反吐が出て沸騰してその蒸気吸って死んでくださいって感じだけど

目玉が飛び出るような医療費を負担してお姉ちゃんの怪我を治してくれるらしい

やるじゃん沢庵

ついでに心の傷にも絆創膏張ってくれるらしいけどそれは私の仕事であって他の誰にも任せられない

生まれた時からの使命であり宿命であり 私がお姉ちゃんにしてあげられる数少ない奉仕なんだ

いつもお姉ちゃんに色んな物を与えて貰ってるから そのお返しだ

最後はちょっとおねえちゃんを傷つけちゃったし

結構責任があるかもしれない



床で呻く眼鏡にはガラス代を弁償させよう



クリスマスプレゼントに激レアターボマン人形を貰えた子供よりも生き分かれた兄弟と再開できた少年よりも


小さな頃から思い続けていた夢が叶った青年よりも世界一好きな人と結ばれた若人よりも


ずっとずっとずっとずっと私を幸せにしてくれたのは勿論お姉ちゃんで


私はお姉ちゃんに抱きつかずにはいられなくて


私は喜ばずにはいられなくて


私は涙を流さずにはいられなかった



「憂 ありがとう」


一緒に朝起きて


一緒にご飯食べて


一緒に服着替えて


そのお姉ちゃんとの当たり前こそが私の幸せであり


お姉ちゃんの幸せだ


一緒のベッドに寝転んで


一緒に一言おやすみなさい


好き好き大好き超愛してる


Love Love Love You I Lov You


明日も一緒 ずっと一緒



おしまい