現在様々な賞を総なめにしている人気作家の真鍋和さん、
そして日本中でHTT旋風を巻き起こす放課後ティータイムの皆さんは
同じ高校の出身。
デビュー作の映画化も決定している彼女と、念願の武道館進出を果たした
放課後ティータイムのメンバーとの関係に迫ってみた。

◆唯たちの青春が音楽なら私の青春は生徒会

――真鍋さんは高校時代、HTTの皆さんと同じ学校だったと聞きました。

真鍋(以下M):
はい、もともとメンバーの唯と幼馴染だったんですが、
その関係で彼女達と話すようになって。


――仲は良かったんですか?

M:
私はそう思ってますけど(笑)
今もたまに連絡取り合っていますし。
彼女達が入っていた軽音部の活動にもよく参加させてもらっていました。

――軽音部の活動とは、たとえばなんでしょう?

M:
高校生らしく勉強会とか、かな……?

――あまり反応が宜しくないようですね(笑)

M:
本当のことを言ったら彼女たちの人気に関わりますので(笑)


――ちなみに真鍋さん自身、軽音部に入ろうと思ったことは?

M:
誘われたこともありましたが、入部はしませんでした。
ある意味裏切り行為な気もして。

――裏切り行為ですか。それはなぜでしょう?

M:
頑張っていた唯の邪魔をしたくなかったんです。
それまではあまり頼りなかったのに、軽音部に入部して私から離れていくと
すごくしっかりするようになって。まあまだドジなとことかもあったんですけど(笑)
ある意味で、軽音部は唯のテリトリーという感じだったので、
それを私が侵したくなかったんです。
それに私は私で自分のテリトリーがあったので。


――真鍋さんのテリトリーとはなんだったんでしょう?

M:
生徒会です。
私の青春っていうのは生徒会で始まり生徒会で終わったという感じなんです。
唯たちの青春が音楽だったのなら、私の青春は生徒会、でしょうか。

――生徒会ではなんの役をやられていたんですか?

M:
頼りなかったかも知れませんが、生徒会長です。

――凄くお似合いです(笑)

M:
ありがとうございます(笑)

◆私に会えて良かったと思われるような存在になりたい

――さて、それでは放課後ティータイムのメンバー一人ひとりとの関係について
教えてください。まずはギターの中野梓さんから。

M:
梓ちゃんについては、今でこそ唯たちも交えてお茶をしますが、高校時代は
“唯たちの後輩”だったんです。
だから高校時代のことを聞かれると苦しいですね。
高校二年の二学期くらいからかな、そのくらいからはよく相談を受けるように
なったんですけど。

――相談の内容とは?

M:
唯先輩や律先輩が全然練習しないんですって。
これも人気に関わっちゃうかもですけど(笑)


――では第一印象などを。

M:
凄く真面目そうな子だなって。
実際凄く真面目で良い子なんですけど(笑)

――ライブではよく猫耳姿を披露してらっしゃいますが。

M:
あれは当時顧問だった先生が梓ちゃんにつけたのが最初だそうです。
以来、その姿を見てキュン死した唯が半ば無理矢理つけさせるそうです。
……キュン死って死語ですか?(笑)

――(笑)

M:
ちなみにファンの叫ぶ“あずにゃん”というあだ名をつけたのも唯です。


――ではキーボードを担当している琴吹紬さんとは?

M:
ムギとは、三年生で同じクラスになるまではあまり話してなかったんです。
澪や律とはよく話していたんですけど。
凄くふんわりした可愛い子なんですよね。

――琴吹さんはある有名なお金持ちのお嬢様だという話もありますが。

M:
その話は高校時代からありましたが、よく知りません。
私たちは皆、ムギがお嬢様だからといった理由で友達になったわけじゃ
ないので。
今でも特にたずねようという気はしないです。

――琴吹さんについて印象的だったことはありますか?

M:
何度もムギの淹れるお茶を飲んでいるんですけど、本当に美味しいんですよ。
他のお茶なんか飲めなくなっちゃうくらい。
だから今でもたまに家に来てもらって淹れてもらってます。
って、本人についてのことじゃないですね(笑)

――真鍋さんの著書に出てくる“白い天使”は琴吹さんをモデルにしているんですよね。

M:
私にとってムギは、隣にいてほっとできる存在なんですよ。
“白い天使”が主人公を助けるシーンは自分とムギのことを重ねていたんです。

――それは実際、真鍋さんが辛い境遇に立たれた時琴吹さんが真鍋さんを助けた
ということですか?

M:
本当にあの話のように両親が亡くなったりして死のうとしたわけじゃないし、
辛い境遇なんて大層なことじゃないんですけど。
受験のことで悩んでいた時期があったんです。
私もそれなりに女子高生でしたから(笑)
私は唯たちとは違う大学に進んだのですが、やっぱり迷ってたんです。
特に唯とは幼稚園からずっと一緒だったので、やっぱり志望校を変えようかなって。
そんなとき、ムギに相談したら怒られちゃったんですよ。
ちょうど主人公が飛び降りようとして“白い天使”に叱咤されるように。
『和ちゃんはそれでいいの?』って。
和ちゃんは和ちゃんの本当に行きたい大学に行くべきよって、そう言って
くれたんです。

――自分のことを怒ってくれたりする友達というのはなかなかいませんよね。

M:
そうなんです。
それでムギの言葉に背中を押されて唯たちとは違う大学に進みました。
たぶん、ムギの一言がなかったら今の私はなかったんじゃないかな。

――放課後ティータイムのリーダーでドラマーの田井中律さんについては?

M:
律は軽音部の部長でもあったんですが、全然しっかりしてなくって。
何か提出書類があってもすぐ忘れて、私が催促することもしょっちゅうありましたね。
今でもしっかりしてるように見えるけど変わってないですよ(笑)
この前のアリーナライブのときもスティック忘れたって言ってテンパって私に
電話してきました(笑)

――他のメンバーには言えないですもんね(笑)

M:
高校時代も学園祭のとき、講堂使用届けというものを忘れて危機一髪っていうことが
あって。部活申請用紙を出さなくて危うく廃部になりかけたことだってありました。
って、こんなことばっかり言っていたら律に怒られちゃいますね(笑)

――田井中さんと何か思い出は?

M:
思い出……ですか。
今思えば、私が律と二人っきりになったりすることはなかったんですよね。
だから腹を割って話すなんていうこともなかったですし。
律は常に誰かと一緒に居たという印象でしょうか。
それはもちろん軽音部の誰かだったり、クラスメートだったり。
律の幼馴染の澪とのツーショットが一番多かったと思うんですけど。
人を惹きつける力があったんでしょうね、律は。

――わかる気がします。

M:
けど、そのくせ人一倍寂しがり屋なんじゃないかなと。
だからずっと誰かの傍にいるのかなって。
一時期、律と澪がケンカしてたことがあったんですよ。
二年生のときなんですが、澪が一人だけ軽音部の皆とクラスが離れて、私と一緒の
クラスになったんです。
私も澪も最初、仲の良い子がいなくて、自然と話すようになったんです。
それが原因で律が怒っちゃって。
その後すぐに仲直りして、私もそれ以降律とちゃんと話すようになったんですけど、
律との思い出を挙げるとすればこれでしょうか。

――田井中さんは来月ご結婚なさいますが。

M:
とにかくおめでとうと言ってあげたいです。
いえ、報せを受けてすぐにメールしました(笑)
律はやっぱりなんだかんだ言ってもリーダーで、辛いことも沢山あったと思うんです。
それに陰で頑張ってたことも知っているので、人一倍寂しがり屋なんだから、
人一倍幸せになって欲しいなと思いますね。

――ちなみに真鍋さんにご結婚の予定は?

M:
残念ながらまだ(笑)
結婚や恋愛はまだまだ先でいいかなと思ってますから。
律の結婚で少しだけその気持ちが揺らいでますけど(笑)
ただ今は、やっぱり心の底から友人を祝ってあげたいです。
きっと一番動揺して、一番喜んでるのは澪なんですけど。

――そのボーカルとベースを担当している秋山澪さんについては。

M:
澪は律の幼馴染で、同じ手のかかる(笑)存在がいることで凄く意気投合していましたね。
さっきも言いましたが、二年生で一緒のクラスになってからは特に。
最初の方は、澪は律としか一緒にいなかったんですよ。
恥ずかしがりなんです、彼女は。だから、徐々に軽音部の皆や、それに私にも可愛い笑顔を
見せてくれたりするようになって嬉しかったのを覚えています。

――すごくわかります。

M:
ただ、澪って――律もそうなんですけど、お互い――依存しあっていたというか。
本当に澪と律は仲がよくって、二人で一人というか……そんな感じだったんです。
たぶん、唯やムギ、梓ちゃんにも入れないような絆があったんですよ。
それはいいんだけど、どれだけ仲がよくっても何れは別れるわけじゃないですか。
だから心配だったんです。

――今ではそんな様子はありませんが……。

M:
はい、段々学年が上がるにつれて、恥ずかしがりを克服したりとか、澪なりに
頑張ってて。いつだったか忘れちゃったんですけど、つい最近かな、『このまま
律は余暇のみんなに頼ってちゃいけないって思ったんだ』と言って笑ってました。
それで今じゃ自分からステージに立って歌えてる。
澪にとってはきっと、凄く大変なことだったんです。それでも律に頼らず一人で
立てるようになった。それって律から独り立ちできるようになったことでもあって。

――本当にかっこいいです!

M:
そうですね(笑)
本当に澪はかっこいい。憧れちゃいます。
高校時代から一番変わったのは澪だと思います。もちろん、いい風に。
放課後ティータイムがプロデビューするときに迷ってるメンバーの背中を押したのも
澪だったそうです。

――素敵なお話ですね。

M:
えぇ(笑)
いつか澪をモデルに小説を書いてみたいと思ってるんですよ。
さすがにそれは恥ずかしいって言って断られちゃってるんですけどね。
ただ、本当に書くとしたら、大袈裟かもしれないけど、澪は私の世界を広げてくれた子。
それまで唯を通してだったんですが、澪と仲良くなったことでちゃんと他のメンバーとも
仲良くなれた。
だから、別世界への案内人って感じかな。私の次回作はファンタジーです(笑)

――期待しています(笑)では、最後にボーカル&ギターの平沢唯さんについて。

M:
唯は今でも手のかかる幼馴染で、大切な友達だと思っています。
唯がいなければ澪たちとも会えなかったし、今私がこうして唯たちのことを話して
いることもなかったかも知れない。
名前の通り、唯一無二の存在です。

――平沢さんは現在、ソロ活動をするかしないかで事務所と揉めているという話が
ありますが……。

M:
この雑誌、音楽雑誌ですよね?
たまに週刊誌のような質問が飛び出すのはなぜでしょう(笑)

――すいません(笑)

M:
それについては私も何もいえません。
唯本人から直接詳しいことが語られるまでは。
ただ、こんなこと言っていいのかわかりませんが、私的には唯にはこれからも
放課後ティータイムとして頑張って欲しいです。
ソロ活動を始めると同時に、放課後ティータイムのボーカルは澪一本となって
事実上唯がバンドを抜けることになると聞きましたので。
唯は誰より放課後ティータイムを大切に思っているんです。
だから、もし事務所側がお金のために無理矢理唯のソロプロジェクトを進めるのなら、
全力で反対したいと思っています。

――力強いお言葉ですね。

M:
まったく他人事の話じゃないというか、私にとっては凄く重要なことなので。
最初の方でも言いましたが、軽音部は放課後ティータイムへと引き継がれ、
そしてやっぱり放課後ティータイムは唯のテリトリーなんですよ。
唯だけじゃなくって、もちろん他のメンバーにとっても。
だから私は、彼女達の一人の友人として、放課後ティータイムというテリトリーを
守りたいんです。
こんな私に何ができるかなんてわからないんですけどね。

――きっとその気持ちだけで充分ですよ。

M:
私は本当に、唯たちに会えて良かったと思っています。
だから、彼女達にも私に会えて良かったと思って貰えるような、そんな存在に
なれたらいいなと。


◆唯たちにとって、デビューが始まりじゃないんです。

――放課後ティータイムは昨年大晦日、初の武道館ライブを行われましたが。

M:
もちろん、見に行きました。
武道館に立つことは彼女達が軽音部だった頃からの夢でしたから。

――なぜもっと大きな会場にも立たれていたのに、武道館ライブを先延ばしに
されていたのでしょう?

M:
それは私ではなく彼女達に聞くべきじゃないですか?(笑)
ライブが始まる前、唯からメールが来ました。
『今日が本当のスタートだよ。だから私たちのスタートちゃんと見ててね』って。
唯たちにとって、デビューが始まりじゃないんです。
武道館に立ったときが本当の意味でスタートなんだと言っていました。

――武道館に立つまで二年の月日がありましたが。

M:
それまでは準備期間だったんじゃないでしょうか。
放課後ティータイムというバンドをちゃんと知ってもらえるように。
全てを受け入れてもらえたら、それって、作り手として凄く嬉しいじゃないですか。
たぶん、音楽もそうなんです。
まだ彼女たちには違うパワーがあるのかも知れないけど、聴いてくれる人が沢山、
彼女達の歌を好きだと言ってくれる。聴き手と歌で一つになれたとき、初めてちゃんと
放課後ティータイムとして一歩踏み出せるんだと、そういうことなんだと思います。
まるで自分がメンバーみたいな言い種ですけど(苦笑)


――さすが真鍋さんです。思わず聞き入ってしまいました(笑)

M:
あくまで私の推測なので。
本当のところは彼女達に聞いて下さい(笑)

――それでは、最後にご自身の今後の予定とファンの方に向けて一言お願いします。

M:
音楽にまったく関わりの無い私が、初め音楽雑誌の取材を受けていいものかと
迷いましたが、この記事を見て少しでも私や、そして放課後ティータイムという
素敵なバンドを知ってもらえたのならそれ以上の幸せはありません。
それから、今度の春に発売されます私の新刊も、興味がある方はぜひご一読
下さい。



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|                 ( ̄ ̄⌒\|  「   |    ヽr'´    __彡   /

(高校時代、生徒会室で)

―――――――

インタビュー・文:鈴木純
Stylist・Beautician:UI HIRASAWA

取材協力:放文社・桜が丘女子高等学校・軽音部
写真提供:山中さわ子・トンちゃん二世・同級生の方々

(終わり)