律「あっ、という間に出て行っちゃったな」

唯「どど、どうしよう! 雪はないけど外はすっごく寒いよ~!」

澪「追いかけるしかないだろ! こうしてる間にも見失ってしまうぞ」

律「防寒着、防寒着!」

紬「みんな落ち着いて!」

唯「ふぇえ?」

澪「ム、ムギ?」

紬「こんなこともあろうかと、さっきの食事にGPS発信機を含ませておいたの! これでバッチリ!」

律「なんか色々引っかかるけど、さっすがムギ!」

紬「ロボアズサちゃんが受信するから、私達はゆっくり後を付いていけばいいの」

唯「でもでも、ゆっくり探してたらあずにゃんが大変な事になるかもしれないよ~」

紬「それもそうね……ならロボアズサちゃんに先行してもらいましょう」

澪「なるほど。離れていてもロボアズサの位置がわかるようになってるんだな?」

紬「これがその受信機でっす!」

律「準備万端だなぁ。ま、これで何とかなるか」

唯「お願いロボにゃん! あずにゃんを見つけてきて!」

アズサ「ふんス!」タッタッタッタッ……

唯「おお~!」

律「こっちもあっという間に行ったな」

紬「私達も準備して追いかけましょう」

澪「無事でいてくれよ、梓……」


……

梓「――はぁ……」

梓「かっとなった勢いで飛び出してきたまではいいけど」

梓「今、季節は冬真っ盛りだった……寒いなぁ」

梓「戻りたいけど、ここであっさり戻るのも癪だし」

梓「そもそも、あのロボットが居るからこんな目にあったんだ!」

梓「唯先輩とムギ先輩はともかく、まさか律先輩と澪先輩まで」

梓「あんなロボット量産でもされた暁には、日本が沈没しちゃうよ」

梓「考えてたら段々腹立ってきた」

梓「よし、戻ろう。戻ってロボットを停めて、ムギ先輩にデータを返してもらおう!」

梓「そうと決まれば早速……って、あれ? ここ、どこだろう?」

梓「考え事しながら歩いてたら、いつの間にか知らないとこまできちゃってた……」

梓「おまけに携帯もお財布も持ってきてない……やばい」

梓「と、とりあえず元来たと思う道を戻ろう!」

梓「――はあっ、はあっ、はあっ……つ、疲れたぁ」

梓「海岸だったのに、何か岩肌が目立つ所に来ちゃってる……」

梓「これは本格的に遭難……? ううぅ、寒くなってきた……」

梓「日が落ちて道も見えなくなってきたし」

梓「足元悪いから気をつけないと……うわわっ!」

梓「あいたたた……岩が出っ張ってたのか。ふう、良かった、少し擦りむいただけかな……」

梓「こんなとこで挫けてらんないよ。さぁ、また歩こう……痛っ!」

梓「た、立てない……!? 足を挫いちゃったんだ!」

梓「ど、どうしよう! こんな人気の居ない所で一人ぼっちで」

梓「ゆ、唯先輩! 律先輩、澪先輩、ムギ先輩!!」

梓「誰か……誰か助けてよぉ……」

梓「ロ、ロボアズサ……」

アズサ「ふんス!」

梓「うわっ! びっくりした……ロボアズサ!? どうしてここに」

アズサ「こレこレ」サッ

梓「え? 何か光ってる……GPSみたいなもの?」

アズサ「そウそウ」

梓「いつの間にそんなの仕掛けてたのか釈然としないけど……とりあえず見つけてくれて、あ、ありがとう」

アズサ「もうスグ皆さンが到着しまス」

梓「そうなんだ。でも、足を挫いちゃってて動けないんだ」

アズサ「こんなンじゃダメでスーッ!」

梓「な、何!?」

アズサ「ふんス!」ビリビリ

梓「あ、制服のスカート破って……巻いて固定してくれるの?」

梓「うん、ゆっくりなら歩けそう。ありがとう」

アズサ「どうもデス」

梓「……何か私と一緒な顔で、突拍子も無い行動ばっかりするから頭ごなしに否定してきたけど」

梓「お前は悪くないよね。ただプログラミングされた事を実行してるだけなんだし」

梓「でも、破いたスカートのお陰で下着丸見えでも全く気にしないのは……」

梓「助けてもらってなんだけど、やっぱりムギ先輩に話してもうちょっとマトモなロボットにしてもらおう」

梓「それにしても寒いなぁ……」

アズサ「暖かいモノ、出せまスヨ?」

梓「気持ちは嬉しいけど、変なとこから出すんでしょ? コップとかもないし」

アズサ「やッテやるでス」ババッ

梓「えぇ!? いや、だから受け止める物がないんだって……そ、そのあまり顔に近付けない……で」

アズサ「ンっ……んんんッ! んほオォッ!!」プッシャアアアァァァァ

梓「んぶうううぅぅぅぅ!?」

澪「――ロボアズサが立ち止まってる辺りまでは来たけど……」

唯「奥の方は真っ暗で見えないよ~」

紬「ごめんなさい、この受信機は大体の範囲でしかわからないの」

澪「懐中電灯も遠くまでは見渡せないしな」

律「ん? おい、あっちで声がしないか?」

唯「本当だ! お~い、あずにゃ~~ん!」

梓「ひゅ、ひゅいひぇんぴゃい!」ゴクゴク

澪「あー……」

律「直飲み……か」

紬「感動したわ!」

唯「感動したよ!」

澪「うわびっくりした!」

律「急にどうしたんだよ、お前ら」

紬「あれだけロボアズサちゃんを毛嫌いしていた梓ちゃんが……直飲みするまでになってたなんて!」

唯「友情だよ! 愛情だよ!! 熱情だよ!!!」

律「いやー、それはどうかなぁ」

澪「段々冷静になってきたけど、やっぱあのロボちょっとおかしいよ」

紬「人間と機械の垣根を越えた瞬間! 今日の出来事は日記にしたためておこう!」

唯「デリシャス! オーガニック!! ファンタスティック!!!」

律「こいつらの方が心配になってきたわ」

澪「あ、あれ? 梓の様子がおかしくないか?」

梓「ぶくぶくぶくぶくぶく……」ゴクゴクゴクゴク

紬「そして二人の愛は留まらず、禁断の階段を上り続けるの! 最終的に世界中から祝福されるのよ!」

唯「一大スペクタクル! 全米が震撼!! 私、CM出て『感動しました! ○○サイコ~~!』って言うよ!!!」

律「なんでちょっといい話になってんの?」

澪「ロ、ロボアズサの放尿が止まらない! 梓が溺死しちゃうよ!」

アズサ「すみマせんでス」ドバドバ

梓「」

澪「梓~~~~!!」

……

梓「――――いやぁ……あの時は大変だったよ。お花畑が垣間見えたし」

憂「そんな事があったんだぁ。それで、そのロボは?」

梓「モニター期間が終わって、ムギ先輩のところの会社が引き取っていったよ」

憂「そうなんだ、残念。私も梓ちゃんそっくりのロボ見たかったな」

梓「当事者としたら気持ち悪くて仕方が無かったよ。もっと普通だったらまだしも、アレだし」

憂「結局データは破棄したの?」

梓「当然。作るなら私以外の人で作り直して下さい、って言ったよ」

憂「ふーん、そうなんだ。それで……」

梓「どうかした?」

憂「ううん、何でもないよ」

梓「それにしても、突然部室に行きたいって……まさか入部してくれるの!?」

憂「そうじゃないんだけど、ちょっと用事があって」

梓「はぁ……あ、着いたよ」ガチャ

梓「こんにちは。今日はロボもいないし、張り切って練習しましょう!」

憂「お邪魔しまーす」

ウイ「アッ……ああっ……おねえちゃーーーーン!!」プッシャアアアァ

唯「うまいうまい」ゴクゴク

梓「」


憂「わ~、凄い凄い! 完成したんですね」

律「おー、梓に憂ちゃん」

紬「急ピッチで仕上げさせたの~。ロボアズサちゃんのベースがあったからすぐに出来たみたい」

澪「どうしたんだ、梓。そんなところに突っ立って」

梓「な、な、な……」

澪「な?」

梓「な、何なんですかコレはー!?」

律「何って、見たまんまのロボウイちゃんだよ?」

梓「そんなの見ればわかります! どうしてロボがまたいるのかって事ですよ!」

紬「えっとね、梓ちゃんがデータを破棄してくれって言うから、憂ちゃんにダメ元で頼んでみたの」

憂「それで私が協力してロボが完成したんだよ」

紬「だから、またロボのモニターをするっていう訳なの」

梓「う、憂はあんなの許せるの!? 紅茶を飲んで股間から排出するんだよ!?」

唯「可愛いからいいじゃ~ん」

梓「唯先輩は黙ってて下さい!!」

唯「ふえぇ、あずにゃん怖いよ……」

憂「確かにちょっとやり過ぎかもしれないけど……」

律「ちょっとなんだ」

澪「あの姉にしてこの妹ありか」

憂「よく出来てるし、私も紬さんにお願いして一体借りてモニターする予定だから」

梓「ちょ、ちょっとそれ初耳だよ!? モニターするって?」

紬「憂ちゃんたっての希望でロボユイちゃんを作成してみました~」

ユイ「でデれこでン!」

梓「」

憂「きゃ~、凄~い! お姉ちゃんそっくり!」ギュー

梓「」


律「もう収拾つかない感じになったな」

澪「おい、梓? どうした」

梓「」

澪「立ったまま気絶してる……! あ、梓~~~~!!」

梓(ででれこでん……ででれこでん……あはははは……こんな日本は沈没だ…………)




おしまい!