編集「そうなんだよ。
   けいおん!が終わってからのきららの売り上げのガタ落ちとかひどいからね」

かきふらい「だから、また私にけいおん!を連載させるんですか?」

編集「そういうことだね」

かきふらい「いや、でも……一応あれでキレイに終わりましたよね? けいおん!は」

編集「うん、たしかになかなかいい感じで終わったね。
   アニメも原作も、両方とも素晴らしい終わりかただったね」

かきふらい「だったらわざわざ続ける必要ないんじゃ……」

編集「だーかーら、何度も言わせないでよ。
   きららの売り上げがけいおん!連載終了後、ガクッと落ちたんだからさ。
   上がけいおん!の連載を再開しろって言ってるんだよ」

かきふらい「えー……」

編集「なんか不満でもあるの? いいじゃない、せっかくまた漫画書けるんだし」

編集「だいたい山なし落ちなし意味なし、ついでに中身もこれと言ってない漫画がここまでヒットしたんだよ?
   続けない手はないよ。
   なに、今までのと同じようにテキトーにキャラクターがしゃべってればファンも満足するよ」

かきふらい「いや、でも……ほら、『らき☆すた』の例もありますし……」

編集「そこらへんはおいおい話し合って、うまくダレないようにするよ」

かきふらい「あー、いや、でも……」

編集「まあ予定外のハッピーに対してナーバスになるのはわかるけどさ」

かきふらい「……」

編集「でもけいおん!の連載を続けることで君が得るものもきっとあるはずだよ」

かきふらい「たとえば、なんですか?」

編集「一言で言うなら、金かな?」

かきふらい「…………他にもなにかないんですかね」

編集「批判とか?」

かきふらい「いいものが一個もありませんね」

編集「いや、金はいいだろ」

編集「ああ、そうそう。続編書くにあたって上から要望があるんだけど」

かきふらい「もう書くことは決定なんですかそうなんですか」

編集「新キャラを登場させてほしいんだって。
   ほら、もしかしたらまたアニメ化するかもしれないし、そうなったらまたファングッズを売れるでしょ?」

かきふらい「いや、急にそんなこと言われても……」

編集「いいじゃん、テキトーにあずにゃんの後輩とか唯たちの大学の友達とか」

かきふらい「でもキャラが増えると、書ききれなくなるかもしれないし……」

編集「あー、文句ばかりうるさいな。君は仮にもプロの漫画家なんだぞ」

かきふらい「まあ、一応」

編集「だったらそれくらいやれよ。
   週間連載でもなけし、4コマ形式なんだから余裕だろ」

かきふらい「いや、しかしですね。4コマって大変なんですよ。起承転結をいちいち考えなきゃならないし」

編集「君の、ぶっちゃけ4コマずつ書いてるだけでべつに4コマである必要がないよね」

かきふらい「……………まあ、そうですけど。でもでも、4コマずつ確実に書くから
      ブリーチとかみたいにコマをでかくして手抜きとかできないんですよ」

編集「じゃあもう4コマ形式やめろよ」

かきふらい「いや、でも……ううっ……」

編集「まあ、今のうちに君の不安を聞いてあげるから言ってみなさいな。
   あとであーだこーだ言われても困るしね」

かきふらい「今、言ってる最中ですけどね」

編集「まあね」

かきふらい「とりあえず、キャラ増やすのだけでも勘弁してくれませんかね?」

編集「はあ? なに言ってんの? キャラ増やさなくてどうすんの?
   大学に入ってて舞台設定が変わるのももいいけど、やっぱり新キャラは必須だよ」

編集「ていうか新キャラを作りたくない理由はなに?」

かきふらい「いや、だってあんまりキャラが増えると物語が展開しづらいんですよ」

編集「そうか?」

かきふらい「そうですよ! こっちはただでさえ、ムギの出番が少なかったりとかで悩まされたのに……」

編集「いや、べつに不人気キャラの出番が少なくても問題ないだろ。
   むしろニーズに答えてるじゃないか」

かきふらい「ぼ、僕の愛してやまないキャラクターになんてこと言うんですか!?」

編集「君が一番気に入ってるのは澪だろ。
   だいたい出番が偏ってるのは、君がやらかしたことなんだから文句言われる筋合いはないな。
   僕、なにか間違ったこと言ってる?」

かきふらい「ぐぬぬ……」

編集「まあ、とにかく一回書きなよ。
   安心しろって。ファンはけいおん!ってだけで飛びついてくるから」

かきふらい「……はい」



帰宅後


かきふらい「くそっ……またけいおん!を書くことになるなんて……」

かきふらい「いやではないんだ」

かきふらい「むしろ、また漫画を書かせてもらえるのは嬉しい……」

かきふらい「でも、もしこれがあの『らき☆すた』漫画みたいに滑ったら……」

かきふらい「ていうか、らき☆すたとやたら設定が被りすぎだろ……」

かきふらい「けいおん!を書きたくないのは、プレッシャーがいやだからなんだよおおおおおお!」

かきふらい「また同人誌書きたいよおおおおおお」

かきふらい「ああ……改名して、新人としてまた一から出直したい……」

かきふらい「だいたい、大学生になって高校と同じノリで行くのもどうなんだろ……」

かきふらい「かと言って、急に合コンとか、男を出したり、存在を匂わせたら……」

かきふらい「けいおん!ってめんどくせえ……」

かきふらい「百合好きって理由で舞台を女子高にしたけど、今思うと安易すぎるくらい安易だよなあ……真面目にどうしよ?」


プルルルルル

かきふらい「はい、もしもし」

編集「吉報だ。再来月のきららでけいおん!続編の発表をすることになった」

かきふらい「え? ちょっと早過ぎじゃないですか?」

編集「そんなに焦らなくていい。詳細については春からしか情報出さないから。まだ多少ゆとりはある」

かきふらい「いやいや、全然ないでしょ!」

編集「いいからつべこべ言わず書きなさい。
   僕もできるかぎり協力する」

かきふらい「ちょ、ちょっと待ってください。そもそも大学生編には色々と問題があるんですよ」

編集「問題?」

かきふらい「はい、大変、危険な問題です」

かきふらい「そもそも最近になってからなんですよ。キャラクターの出番を万遍なく与えられるようになったのは」

編集「それがどうした」

かきふらい「しかし、大学生編になったら違う大学に行った和とか、高校にいるさわ子とかの出番をどうするんですか!?」

編集「いや、僕に聞いてどうするんだよ」

かきふらい「さわ子にしろ、和にしろアニメのほうではキャラソンを出すまでに株を上げたんですよ!?」

編集「そうだね。僕も和ちゃんのキャラソンだけは買ったからね。嬉しかったよ」

かきふらい「なのに、続編では出番がほとんどないかもしれないんですよ!? どうするんですか!?」

編集「作れよ」

かきふらい「こんなことなら和も唯たちと同じ大学に入れればよかった……」

かきふらい「あれ? ていうか橋本さんですよね? 和はべつの大学に行かせたほうがいいって言ったの」

編集「そうだね」

かきふらい「どうせ前から続編を僕に書かせるつもりなら、なんで和のことぐらい考慮してくれなかったんですか!?」

編集「…………」

かきふらい「まったく……連載当初はもっと優しくて気が聞いて、なにより僕のこと考えてくれたのに……」

編集「ちょっと待った。たしかに僕が和はべつの大学に通わせたほうがいいって言ったけどさ」

かきふらい「なんですか?」

編集「そもそも君が、軽音部全員を同じ大学に行かせるのってどうなんだろうって相談してきたから、
  僕はああいう提案をしたんだよ。
   安易に軽音部員全員を同じ大学に行かせようとしたた君が、僕に泣きついてきたんだったよね?」

かきふらい「……くっ」

編集「それで僕が提案してあげたんだよ。
   君はあの時、僕のことを馬鹿みたいに電話越しに褒めちぎってくれた気がするんだけどなあ」

かきふらい「……すみません。そう言われてみればそうでした」

編集「まあ、君の原作はなんだかんだ評判いいんだから頑張れよて」

かきふらい「いや、でもけいおん!がここまで人気になったのは京アニさんのおかげで僕の実力ではないし……」

編集「なにを今更。そんな当たり前のこと言ってどうすんの」

編集「そうそう、あと一応女子大の取材行く?」

かきふらい「ああ、そうか。舞台が変わるから大学の下見とかもしたほうがいいのか……」

編集「まあべつにけいおん!はそこまでリアルじゃなくてもいいと思うけどね。君がきめなよ
   あ、でも思いのほか時間ないから急いでね」

かきふらい「……べつのところで漫画書きたいなあ」

編集「誰も拾ってくれないから諦めてきららで書け」

かきふらい「はい……」

かきふらい「しかし……いくらきららが売れないからって原作を引き延ばしてもいいことないって。
     いいことないっていうか、やることないですよ」

編集「アニメ二期が決まったときだって似たようなこと言われてただろ」

かきふらい「言われてたんですか!?」

編集「……さあ?」

かきふらい「……」

編集「まあとにかく書け。金稼ぎだと思って」

かきふらい「あの、折衷案ってわけじゃないんですけど原作で描かれなかった部分を書くというのは?」

編集「書くことあんの?」

かきふらい「今は浮かばないけどそのうち浮かぶかもしれません」

編集「悪いけどもう大学編を書けって上に言われてるから」

かきふらい「どうしても?」

編集「どうしても。商品化、アニメ化。なにより映画との関係でね」

かきふらい「映画の話、まだ僕、さわりしか知らないんですけど」

編集「ていうか、そろそろべつの人ととの打ち合わせがあるから切るね」

かきふらい「ええ!? 待ってくださいよ」

編集「 またあとで電話かけるよ。あ、でもたまには僕の身にもなってよ。
   上からはせっつかれるし君からは突きあげられるし、編集マンとしてもう散々な状態なんだから」

かきふらい「はあ……そうですか」

編集「じゃあまたあとで」

かきふらい「……あー、ホントにどうしよ……」

かきふらい「さっきからストーリーは浮かばないのに評判が悪かったときの言い訳だけは浮かんでくる」

かきふらい「……ええ、そうなんですよね。
      とりあえず編集部に言われるまま引き延ばしたものの、私も一体どうしたらよいものか、途方に暮れてます」

かきふらい「……や、やばい。無意識に言い訳をつぶやいてしまった……」

かきふらい「ああ、もうヤダ」

かきふらい「けいおん!豚とか消えてしまえばいいのに……」

かきふらい「いや、自分の漫画のファンをそんな言い方をするのはよくないけど……」

かきふらい「どうせまたキャラ厨どうしで争ったりする馬鹿どもも溢れかえるだろうし……はあ」

かきふらい「樹海にでも行こうかな……」



プルルルルル

かきふらい「また電話かよ……はい、もしもし」

編集「もしもし、僕、橋本」

かきふらい「橋本さん。あなた打ち合わせに行ったんじゃないんですか?」

編集「今、向かってる最中。ひとつだけ言っておきたくてさ」

かきふらい「……なんですか? ストーリー考えるんで手短かにお願いしますね」

編集「続編を書けと言っといてなんだけど。かきふらい先生。
   僕は唯ちゃんたちに彼氏ができるんだったら、続編なんかなくてもいいよ。
   唯ちゃんたちがが大学生になる姿なんて、見れなくていい」

かきふらい「はい?」

編集「編集としての立場を無視してこんなことを言ってしまうくらい、僕はけいおん!に惚れてるんだ」

かきふらい「……」

編集「編集としてではなく、ひとりのけいおん!ファンとして続編を待ってます」

かきふらい「橋本さん……」

編集「じゃあ頑張ってストーリー考えてね」

かきふらい「…………」


かきふらい「……はい!」


かきふらい「ねえ、けいおん!のファンの皆さん」


かきふらい「安心してください」


かきふらい「僕は必ずけいおん!を最高のものにしてみせます」


かきふらい「必ずファンの皆さんを満足させてみせます」


かきふらい「だから今しばらくお待ちください」


かきふらい「そして必ずまた会いましょう。バイバイ」




    お  わ  り