澪「(和・・・頼む・・・)」ガチャリ

澪「・・・和!」

唯「和ちゃん!」

しかし、部屋には入ってこない。

澪「和・・・?」

和「澪・・・ちょっと来てくれないかしら」チョイチョイ

澪「わかった・・・」タッ

澪「ど、どうだった?」

和「・・・ごめん、ダメだった」

澪「・・・」

和「いじめてることは認めたけど、律が先生にいじめを認めないことを見越して、報告したら、唯と紬をいじめるって・・・」

澪「そんな・・・」

和「ごめんなさい・・・力になれなくて・・・」

澪「いや、いいよ・・・ありがとな、和」

私は和に二度礼をして別れた。

切り札とも言える、和が屈してしまった。もう、解決できないのだろうか?

紬「和ちゃん・・・なんて?」

澪「ダメだったって・・・」

紬「そう・・・」

澪「(・・・二人が人質なんて、言えるわけがない)」

その日は、私も家に帰った。

その後、一週間、なんの打開策も見つからないまま無為に過ごした。その一週間の中で、私は初めて犯行現場を見た。

A子「田井中さーん」

B子「」ガシガシ

C子「」ニヤニヤ

律はカチューシャをいじくりまわれていた。律は黙って下を向いている。唯と紬は遠くから見ている。A子が律のカチューシャに手を伸ばした。

A子「ほら~」ガッ

律「・・・!」

A子「これよく曲がるねー。どこまで曲がるかなー?」グイッ

遠くからでもわかる。カチューシャが軋んで音を立てている。

A子が更に深く曲げたその時。

バキッ

カチューシャが真っ二つに割れた。

律「・・・ッ!!」ガタン

律は立ち上がって、A子の胸倉をつかんだが、B子とC子に取り押さえられた。

A子「ごめんねー、田井中さん」クス

その時、私は律と目が合った。律は目を見開いている。ABC子は気づいていない。私は走ってその場を逃げ出した。

澪「ハァハァ・・・」

無人のトイレに入って一息ついた。
私はなぜ逃げ出したのだろうか。
律がいじめられているのを見ていられないから?それとも、加害者になると思ったから?それとも自分がいじめられるかもしれないから?わからない。


事件後、自己嫌悪で部活にも身が入らなかった。唯と紬と梓は心配してくれている。私は無理に笑いながら、大丈夫と言い続けた。

そして、決心した。

澪「私、三人に話してくるよ」

紬「えっ?でも・・・」

澪「いや、紬。なにもせずにはいられないよ。行動しなくちゃやっぱり駄目だ」

唯「私もいくよ!澪ちゃん!」

澪「いや・・・駄目だ。駄目じゃないけど、一人で行きたいんだ」

唯「澪ちゃん・・・」

澪「明日いくよ」

私は決心した。三人に会って、説き伏せる。


次の日

澪「A子B子C子ちょっといい?」

ABC子「いいよーどうしたの?」

澪「ちょっと向こうで話そうか・・・」

ABC子「・・・うん」

スタスタ

梓「・・・?(あれは澪先輩・・・あんな所でなにを?)」

梓「・・・ついていってみよう!」タッ

A子「で、改めて用件は?秋山さん」

澪「その・・・律のことで・・・」

A子「・・・」ニヤニヤ

梓「(来てみたのはいいけど、修羅場っぽいなぁ。階段の側で行きにくいし)」

A子「田井中さん?田井中さんがどうしたの?」

澪「律は・・・あなたたち三人にいじめられてるって聞いて」

A子「証拠は?」

澪「私がみた・・・」

A子「見ただけじゃ、決定的証拠にはならないわ」

BC子「」クスクス

澪「証拠は・・・ないけど・・・これ以上・・・もう律をいじめるのはやめろ!!」

澪「やめろ!これ以上はやめてくれ!」

澪「それになんでいじめるんだ?」

A子「なんでって、田井中さん、なんか大雑把で適当に生きてるって感じでイライラするの」

澪「・・・それだけで?そんな個人のストレスで?そんなことで律をいじめたのか?」

A子「秋山さん、さっきからイライラするんだけどヒーローのつもり?」イライラ

梓「(あの人たちが・・・。嫌な予感がする)」

A子「・・・教室に帰りましょう」スッ

澪「待って!」ガッ

澪「まだ話は・・・終わっていない!」

BC子「手を・・・放しなさい!」

澪「頼む・・・!」

A子「もう、秋山さんもいじめてあげる」ピキッ

A子「秋山さん?あなた確か、ベースを弾いているんだっけ?」

A子「まずはその腕を痛めつけて!」

梓「(澪先輩が・・・!どうしよう。私がいくしか)」オロオロ

A子「」バシッ、バシッ

澪「くっ・・・」

梓「澪先輩!」

ABC子「!!」

澪「梓・・・?」

梓「それ以上は・・・それ以上は許しません!」

A子「フッ・・・」バシッ、バシッ

澪「梓・・・逃げていい!逃げてくれ!」

梓「」ダッ、ガッ!

A子「・・!?放しなさい!」

梓「放しません!やめるまでは・・・いじめをやめるまでは絶対にはなさない!」キギッ

A子「くっ・・・」

BC子「A子!危ない!」

梓「・・・あっ!」

ドタンバタン、ガッ、ゴロゴロ

澪「梓ァ!!」

私が叫ぶと同時に、BC子の手が離れた。二人は階段から、抱き合いながら転倒した。私は梓に、BC子はA子にそれぞれが駆け寄る。

澪「梓!大丈夫か!?ちょっと、待ってて、先生読んでくるからな!」

梓「・・・イテテ」スッ

廊下

澪「・・・うわ!さわこ先生!先生・・・梓が・・・梓が階段から転んだ!」

さわ子「・・・!!場所は?」

澪「美術倉庫室横の階段です」

佐和子「澪ちゃんは救急車の手配を」

澪「はい!」

迂闊だった。梓まで巻き込んでしまうとは

ピーポーパーポー

医師「二人とも大丈夫ですよ。かるい打撲と捻挫です。但し、安静のため五日間入院を」

さわ子「ありがとうございます!」

澪「ありがとうございます!」

澪「はぁー・・・良かった~本当に良かった~」

さわ子「本当よ、まったく・・・」

さわ子「で?あんなところで何をしてたの?偶然にしては大きすぎない?」

澪「はい・・・」

私は一から十まで全てを話した。やはり、先生に話すのが一番得策だったのかもしれない。人質に踊らされていた自分がとても滑稽に思えた。まぁ、あの状況なら、あぁするしかなかったのだが。

さわ子「そう・・・よく頑張ったわね、澪ちゃん」

澪「・・・」

さわ子「でも、まだ終わっていないわよ」

澪「・・・」

さわ子「りっちゃんの口から『自分はいじめられた』と聞かなくちゃ、A子ちゃんが認めても罪には咎められないわ」

澪「・・・」

さわ子「さぁ・・・りっちゃんを呼んで」

PRRRRR ブッ

澪「律・・・」

律「・・・・・・なに?」

澪「今から・・・桜ヶ丘病院に来てくれないか?」

律「・・・・・・」

澪「頼む・・・来てくれ」

律「・・・・・・」

澪「梓がお前のために階段から落ちたんだぞ!」

律「・・!私のため・・・?」

澪「あぁ、私や律を・・・守るためにな・・・」

澪「だから・・・来てくれ。梓のためにも・・・」

律「今から行くよ」

さわ子「どうだった?」

澪「今から来ます。唯と紬と和も呼びました。憂ちゃんと純ちゃんも見舞いに来るようです」

さわ子「そう、良かった」

リムジン車にて

唯「あずにゃん大丈夫かな?」ウルッ

憂「きっと・・・大丈夫だよ!お姉ちゃん!」

和「はぁ・・・私がもっとしつまかりしてれば・・・」

紬「和ちゃんはよくやったよ。私は何もできなかった」

純「(梓・・・大丈夫かなぁ?)」ブルブル


病院手前の道

律「ハァハァ・・・梓・・・!」タッタッ

律「澪!」

澪「律!!」

律「梓は・・・大丈夫なのか?」

澪「あぁ・・・打撲と捻挫で済んだ」

律「そうか・・・」

澪「みんなが来たら、梓の所へ行こう」

さわ子「それから、A子ちゃんのとこね」

律「・・・」

唯「!澪ちゃん」タッタッ

澪「みんな!」

さわ子「じゃあ、行くわよ」ニコッ


梓のいる部屋

唯「あずにゃーん!!」ボロボロ、ガシッ

澪「落ち着け、唯。梓は安静にしないといけないんだ」

唯「心配したんだよ~」グスッ

梓「唯先輩・・・ご迷惑かけてすいません」

純「ほんとだよー、心配したんだからね」

梓「ごめんごめん(笑)」

律「梓・・・大丈夫なのか?」

梓「はい、おかげさまで」

律「梓・・・ごめんな。澪も唯も紬もみんなも」

澪「律・・・」

梓「律先輩、行ってください。決着をつけに」

律「・・・」

澪「律・・・行こう」

律「うん」

唯「純ちゃんと憂はここにいてて」

憂「うん」

A子のいる部屋

BC子「・・・!」

A子「・・・」

澪「失礼します」

澪「律・・・あなたは、この三人にいじめを受けましたか?」

律「・・・」

紬「りっちゃん・・・」

唯「りっちゃん、ここでりっちゃんが頷かなければ、あずにゃんはただ転んで怪我をしただけになっちゃうよ」

澪「唯・・・」

唯「みんなのためにも、りっちゃん」

律「・・・いじめられました。私はこの三人にいじめられました!」


律がいじめを認めたことにより、退院後三人は先生に問い詰められ、いじめを認めた。三人は留年となった。




その後、

ガチャ

律「おっす・・・」

澪「おぉ」

梓「こんにちは、律先輩!」

唯「やっほー、あずにゃ~ん」スリスリ

紬「お茶にしよっか~」

澪「そうだな・・・」

梓「そうですね」

カチャカチャ、

誰も何も話さない。待っている。

律「・・・みんな、こんな私のわがままについてきてくれてありがとう。私がもっとしっかりしてれば・・・こんなことn・・・」グスッ

梓「律先輩らしくないですよ・・・」

唯「そうだよーりっちゃん。りっちゃんはやっぱり、笑ってなくちゃ」

律「そうか?そうだよな」ゴシゴシ

律「みんな、ありがとう!これからもよろしくな!」

澪「あぁ!よろしくな!」

唯「よろしくね~、りっちゃん隊長!」

紬「これからもよろしくね、りっちゃん」

梓「よろしくお願いします!律先輩!」

律「おぉ!じゃあ、早速いくか!」

梓「いきなりですね・・・」

律「じゃあ、行くぞーッ!1、2、3!」

ジャーン♪

~完~