澪「おい・・・!律・・・!待てよ・・・!」

律「・・・なに?」

澪「私からみんなに言うよ・・・もうやめてくれって」

律「・・・いや、いいよ。大丈夫だから」

澪「でも・・・そんなのでいいのか?このままでいいのか!?やっぱり・・・」

律「もういいって言ってるだろ!」

澪「」

律「・・・同情されるのが一番ムカつくんだよ」スタスタ

澪「あっ・・・」


きっかけは些細なことだった。

「田井中さんってちょっと適当なとこない?」ヒソヒソ

「あーちょっとあるかも。おもしろいけどね」

「おもしろい?私には適当にしか見えないよ」

「言われてみればそうかもー」

根も葉もない噂がすぐに広がり、次第に律は避けられるようになった。

澪「律、なにやってんだ?」

律「・・・えっ?」

澪「ティーカップをぼーっと眺めたりなんかして。冷めてるんじゃないか?」
律「あ、あぁ・・・そうだな!」ガチャガチャ、ゴクッ

澪「よし、練習始めよっか!」

梓「そうですね!」

ジャジャーン♫

澪「律、ドラム走ってないけど・・・何かあったのか?」

律「」ボーッ

澪「・・・律?」

律「・・・!」ビクッ

律「なんだぁ!?澪」

澪「いや・・・ドラム走ってないからどうかしたのかと」

律「いや、なんか熱っぽくてさー」

澪「はぁーっ、また熱だしたのか?」

律「いやー、今日はちょっと帰るわ」ドタバタ

律はスティックを椅子に置いたまま、帰ってしまった。
この時私は律がいじめられ始めていることに気づいていなかった。

梓「どうかしたんでしょうか」

紬「もしかして、今度は本当に彼氏さんかな?」

唯「あーそうかもしれないね!ねぇ澪ちゃん?」

澪「なんで私に振るんだ」

唯&紬「いやーwwww」

澪「・・・」

梓「練習どうします?澪先輩」

澪「そうだな・・・一人一人ソロでやってみて意見を出し合うってのは?」

梓「いいですね!それ!」


翌朝

澪「そうなんだ」

A子「でさー」

律「おはよう」スタスタ

澪「あ!律、体調は大丈夫なのか?」

A子「・・・」スタスタ

澪「?どうしたんだろ?」

律「さぁなー」

澪「それで、体調は?」

律「んーイマイチかな」

この日、私は初めて違和感を覚えた。クラスのみんなの律に対する行動が明らかに不信だった。


放課後

結局、律は部活を休んだ。

澪「なぁ・・・最近、律の様子がおかしい気がするんだけどクラスで元気にやってる?」

紬「澪ちゃん、私りっちゃんが元気のない理由がわかったかもしれないの」

澪「話してくれないか?」

紬「うん・・・なんか、最近りっちゃんの悪い噂が立ってるみたいなの」

澪「えっ?」

紬「多分、その噂のせいでみんなから・・・その・・・避けられてるように見えたの」

澪「・・・」

その話が本当ならば、今日の違和感は合点がいく

唯「でもみんなに聞くのも気まずいし・・・りっちゃん大丈夫かな?」

澪「今晩にでも律に聞いてみるよ・・・」

梓「みなさんこんにちは!」

澪「おぉ・・・梓」

梓「みなさんまたお茶してるんですか?」

唯「あずにゃんはどのケーキ食べるのー?」

梓「じゃあ、モンブランを・・・って唯先輩!」

唯「あぁーん」

この日は結局、誰も楽器に触れなかった。その日の晩、律にメールで探りを入れたがはぐらかされた。


翌放課後

唯「やっほー」

律「おーっす」

澪「お、やっと来たか」

律「あぁ、二日も休んで悪かったな。みんなごめん」

梓「本当ですよ!昨日なんで楽器にも触らなかったんですから!」

律「ごめんごめん」

澪「・・・で?もう大丈夫なんだな?」

律「あぁ!この通りだぜ!」

澪「よし!やるか!」

紬「その前にお茶にしない?」

梓「もうー!紬先輩!」

紬「りっちゃんも戻って来たことだし・・・ね?」

梓「仕方ないですね」

その後、二回合わせたが、二日間やっていなかったにも関わらず律は調子が良かった。しかし、ドラムは走ってなかった。


下足場

澪「今日もドラム走ってなかったな。熱引いて良かったんじゃないか?」

律「失礼なっ!」

唯「りっちゃんも成長したんだよー」ガチャ

律「そうだぞー唯」ガチャ

澪「じゃあ、帰ろうか」

律「あ、みんな。悪いけど先に帰ってて」

唯「どうかしたの?」

律「いや、保護者アンケート出し忘れてて」

澪「じゃあ、私も行くよ」

律「いいっていいって!悪いからさ」グイッ

澪「わわっ!押すなって!」

律「じゃーなー」スタスタ

澪「・・・ったく」


帰り道

澪「唯、紬・・・最近、律に変化ない・・・?」

紬「うん・・・私の見る限り・・・」

澪「そうか・・・」

梓「(もしかして律先輩・・・そのせいで・・・)」

澪「ごめんな梓・・・なんか変な感じになっちゃって」

梓「いえっ!そんな・・・」

唯「ううん!私たちこそ悪いよ澪ちゃん・・・」

紬「私たちも同じクラスなのに何もできなくて・・・」

澪「いや・・・わかるよ。私ももっと頑張ってみるよ」

信号の交差点で唯、梓と紬と別れた。みんなが見えなくなると私は学校へ向かった。


下足場

澪「(まだいるかな・・・)」

澪「・・・!」

電気も消えた下足場で律が歩き回っている。どうやら何かを探している様子だった。

律「」ガサゴソ

澪「(もしかして・・・)」

律は靴を隠されていた。どうやら、部活をしている間の犯行らしい。私は敢えてその場は見守っていた。

その後、十数分もの間、律は辺りを探していたがどうやら見つからなかったようだった。

律「・・・」スタスタ

澪「・・・律!」

律「・・・澪!?」ビクッ

澪「・・・」

律「・・・・・・見てたのか?」

澪「・・・うん」

律「寒くなるし、帰ろっか・・・」

澪「・・・うん」

律「・・・」テクテク

澪「・・・」テクテク

いつもは、大きな声で話しかけて来るのに今日はまったく喋らない。私も喋らない。しかし、ここで切り出さなければ

澪「あのさぁ・・・律・・・」

律「・・・なんだよ」

澪「・・・靴、隠されていたのか?」

律「・・・」

澪「そうなのか?」カタカタ

律「いやーちょっとな、昨日さースリッパで帰っててたんだよなー」

澪「・・・」

律「もう寒くて、寒くてー」スリスリ

澪「・・・止めてよ」

律「え?」

澪「意地張るのはもう止めてよ!・・・」

律「・・・」

昔の口調に戻って律に訴えかけた。

律「なにもないよ・・・」

澪「止めてy・・・」

律「何もないって言ってるだろ!」

澪「」ビクゥッ

律「・・・行くぞ」スタスタ

澪「・・・」トボトボ

昔から喧嘩になるといつも私は言い負けていた。どんなに律が悪くても私が圧倒されてしまう。この日に、私は決意した。一人だけでは律を助けられない。和に相談しよう



昼休み

澪「ってなわけで、和。なんとかならないか?」

和「んー、確かにそれはもういじめね」

澪「そうだろ?だから、なんとかしてあげたいんだけど・・・」

和「そうね・・・唯は?唯と紬はどうしているの?」

澪「二人は何もされていないみたいなんだ」

和「そう・・・二人に呼びかけてもらう・・・ってのはどうかしら?」

澪「できればそうしたいけど・・・その・・・唯と紬まで・・・い、いじめられたら・・・」

和「そうね、わかったわ・・・私が呼びかけてみるわ」

和「だから、澪。誰が主に律に手を上げているか聞いて来てくれない?」

澪「ええっ!?和が行くの?悪いよ・・・」

和「ううん・・・いいの。生徒会として。友達として律を見捨てて置けないわ」

澪「・・・和」

澪「うん!わかった。二人に今日聞いてみる」

休み時間

澪「(ふぅー和に相談して本当に良かった)」スタスタ

澪「(トイレ、トイレっと。次は体育だから急がなくてh)」ガツ

澪「あ・・・倒しちゃった」

澪「(はぁーまさか、ゴミ箱を蹴るとは)」

澪「・・・!これは・・・」

そこには、律の汚れた靴があった。

澪「くっ・・・」ヒョイ

つまんで、中を覗くと田井中律とあまり上手くない字で書かれていた。

澪「(これで確定か・・・)」

スタスタ

澪「」ビクゥッ

??「あら?」

B子「秋山さん?どうしたの?」

澪「あっ・・・いや、倒しちゃって」

無意識の内に律の靴をゴミ箱に入れた。

??「気を抜いた時にあるよね」

澪「はは・・・(あるあr・・・いや、実際あんまりねーよ)」

??「あっ次理科だから急がなくちゃ」

B子「そうだね、いそごっか。じゃね、秋山さん。行こっ!C子」

B子は一年生の時に同じクラスだったから知っていたけど、C子は知らなかった。


放課後

また、律は休んだ。誰にも何も言わずに

澪「唯、紬・・・答えにくいかもしれないけど。答えてほしい。・・・誰が主犯に見える・・・?」

紬「・・・私に軽音部内でのりっちゃんの様子を聞きに来たのはA子ちゃんで・・・」

澪「・・・」

唯「あっ、A子ちゃんとB子ちゃんはいつも一緒にいるよね。C子ちゃんも・・・」

紬「恐らくだけど・・・その三人だと私は思うわ・・・」

そういえば、廊下でA子と話していて律が来たら、急に帰った。合点がいく。

澪「わかった、ありがとう。今日の昼休みに和に相談したんだ」

唯「和ちゃんなんて!?」ガタッ

澪「うん・・・特定しだいに話しつけてみるって」

紬「そう・・・和ちゃんなら、大丈夫ね」

梓「律先輩、大丈夫なんでしょうか?」

澪「・・・」


次の日の放課後

唯「あ、A子ちゃんとB子ちゃんとC子ちゃん!1組の和ちy・・・真鍋さんが生徒会室に来てって」

ABC子「えっ?」

唯「真鍋さんが生徒会室に来てほしいって」

ABC「わかったわ。ありがとう唯ちゃん」

唯「うん」

ABC子「・・・なにかしらね」スタスタ

トントン

和「あ、一組の副生徒会長の真鍋です」

A子「今日は何の御用で?」

和「単刀直入に言うわ。二組の田井中律さんについてよ」

BC子「・・・」タジッ

和「あなたたち、田井中さんをいじめているって本当なの?」

A子「・・・誰から聞いたの?」

和「あなたのクラスの生徒よ」

A子「証拠は?」

和「ないけれど、そういうことを聞いたからには聞かなくちゃね」

A子「もし、認めたら?」

和「先生に報告して会議してもらうわ」

A子「そう・・・そう・・・」

A子「いじめてるわよ」

和「・・・」

和「わかったわ・・・。このことは先生に報告するわ。でも、もしあなたたちが反省しているなら。律に謝るなら情状酌量にしてあげても・・・」

A子「いいよ、先生に言っても」

和「・・・?」

A子「でも、その代わりにー。唯ちゃんと紬ちゃんをいじめるよ?」

和「・・・!?・・・どういうこと」

A子「さっき真鍋さん、二組の人から聞いたって言ったよね?それって、十中八九軽音部の二人じゃん。もし言ったら、代わりに二人をいじめるよ」

和「なっ!・・・」

A子「言われても、多分田井中さんは意地でもいじめられてないって言うだろうしねー。証拠不十分で誰も罰せられないよ。でも、チクられるのはムカつくから二人をいじめるよ」

A子「」ニヤニヤ

和「くっ・・・あなたたち・・・今日はもう帰っていいです」ギリッ

BC子「」ニヤニヤ

ABC「失礼しましたー」スタスタ

ガチャン....

和は屈してしまった。二人まで人質に取られてしまった。最悪の結末だ。


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