空き地

ビュオオオオオオオオオオオオオ

唯「強風の空き地ってのも中々オツだね~」

律「そうか?空き缶やらビニール袋が舞っててあんましいい景色ではないと思うけど」

紬「素敵…な気がするようなしないような…」

唯「…とりあえず澪ちゃんはいないみたいだね」

律「全く、台風の中どこほっつき歩いてんだ澪は!」

紬「私達も大概だけどね」

唯「ほか当たってみる?」

律「だな…。後は…うーん…小学校とか?」

唯「はいりっちゃん。それ採用」

律「じゃ、小学校行くか!」

唯紬「おー!」



小学校

ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

律「着いた。ここだよ」

唯「ほえー!」

紬「まあ…!」

唯「…と驚いてみたものの、ごくごく普通の小学校だね」

紬「唯ちゃん、『普通』ってすごくステキなことだと思うわ」

唯「そうかなー。なんか貧乏っちくない?」

律「お前ら人の母校を前にぬけぬけと…」

唯「えへへ…。でもさ、ここでりっちゃんと澪ちゃんは…」

紬「友情を育んでいったのね…。ふふ…思い出の場所…かぁ」

律「痒くなるからやめてくれよ…。それより正門のほうにまわってみようぜ」

唯紬「おー!」




小学校正門

ビュオオオオオオオオオオオオオ ガタガタガタ

律「…」

紬「…」

唯「…閉まってるね」

律「…まあ、高校が休校だしな。そりゃ小学校も閉まってるわな」

紬「ていうか、どっちにしろ最近の小学校って部外者は中々入れないよね」

唯「物騒な世の中だもんね。不審者とか…」

律「台風の中、小学校の前に立ってる女子高生ってのも不審ちゃあ不審だな…」

唯「じゃあ、誰かに通報される前に行こっか…」

律「だね。澪の姿も見当たらないし…」

紬「ええ…」

紬「次、どこ行く?」

唯「うーん…澪ちゃんは台風から歌詞のインスピレーションを得たんだよね?」

律「たぶんな」

唯「ってことはやっぱり台風に関係ある場所に澪ちゃんは行ったと思うんだ」

律「台風に関係ある場所?」

唯「関係あるっていうか、台風と言えばココ!みたいな場所」

紬「台風と言えば…うーん…」

律「私パス。そーゆー想像力ないし」

唯「えーと…橋とか!!」

律紬「なるほど!」

紬「でも危ないんじゃ…」

律「いや、橋の上からなら…大丈夫なんじゃないか?」


ビュオオオオオオオオオオオオオオオ

唯「多分澪ちゃんは、今頃橋の上から激流を眺めてるんじゃないかな」

律「なるほどな。でも…やっぱ激流ってくらいだし、危ないかもな」

唯「え~?怖がりの澪ちゃんが行ってるくらいだし、大丈夫じゃない?」

紬「まだ澪ちゃんがいるって決まったわけじゃないわよ」

唯「あ、そっか」

律「うーん…他に心当たりもないし、ちょっと怖いけど行ってみるか」

唯紬「おー!」

ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオ




※危険ですので絶対に真似しないでください



橋の上

律「この界隈で橋って行ったらココだけど…」チラ

ドオオオオオオオオオオオオオオオ

律「うへえ…すっげーな。正に濁流だ」

唯「これに飲み込まれたらひとたまりもないな~」

紬「うん…。でも橋の上はまだ安全みたいね」

律「そだね。流石に川原にでも行かない限りは大丈夫だな」

唯「あはは!そんな危ない事する人いるわけないじゃん」

律「まあそうだけどさ」

紬「…あ!そうだ!」

唯「どうしたのムギちゃん?」

紬「うん。澪ちゃん探しとは全然関係ないんだけど、橋の下を流れる川を使ったゲームがあるの」

律「ゲーム?」

紬「川上側の橋の上からみんなで一本ずつ木の枝を落として…」

唯「あ!橋の反対側に先に枝が流れてきた人が勝ち!ってやつ?」

紬「そう、それ!」

律「小学生か…」

唯「わーい!やろうやろう!」

律「んー…まあ澪の居場所の手がかりもないし…たまには私も童心に返ってみよっかな」

紬「うふふ…じゃあふたりとも、木の枝を持って!」

唯「台風だから木の枝いっぱい落ちてるね!」

律「じゃ、私はこのかっこいい枝で」

唯「お!イケメンな枝だね!じゃあ私は…この丸っこくて可愛い枝する!」

紬「私はこの隆隆とした逞しい枝にするね」

唯「へへへー!負けないぞ~」

律「じゃ、やるか!」

唯紬「おー!!」

唯律紬「…せーの!」

ポチャン

唯「さ、反対側で流れてくるのを待とう」

律「頑張れ~私の枝~」

紬「ふふふ…負けません…!」


唯「がんばれー!エーダ!」

律「なんだそのジェダイみたいな名前」

紬「うふふ…」

唯「えへへ…」

律「へっへっへ」

紬「うふふ」

唯「…」

律「…」

紬「…」

唯「…あれー?流れてこないね?」

紬「うん…。どうしたんだろう…橋の下でひっかかったのかな?」

唯「そんなあ!」

律「なあ…もしかして、この激流だし、私達が見るより先に流れてったんじゃないか?」

唯紬「!!」

唯「そっか。それは盲点だったね」

紬「次は枝を落としたらすぐに反対側に回りましょう」

律「よし、んじゃもっかい枝選びからだな」

唯「私はこのエーダ2世で!」

紬「私はこの、えだ豆号ね」

律「じゃ、私はこのズンドコ枝丸にしようかな」

律「ふふふ、絶対私がかーつ!」

唯「いーや!私が勝つよ!」

紬「負けませんわ~」

唯「よーし!じゃあいっくよー!」

唯律紬「せーの!」

ポチャン

唯「それー!反対側に急げ~!」

バッ

ザアアアアアアアアアアアアアアアア

律「おっ!誰かの枝が流れてきたぞ!」


唯「ホントだ!誰の誰の!?」

ザアアアアアアアアアア

ズンドコ枝丸「ザザザザ」

えだ豆号「ザザザザ」

澪「ザザザザ」

エーダ2世「ザザザザ」


律「よっしゃ!私の勝ち~!!」

紬「残念…2位ね…」

唯「えー?私がビリかぁ…」

律「ほっほっほ!私に勝とうだなんて100年早いですわん♪」

唯「むぅ…」

紬「りっちゃん、優勝おめでとう♪」


律「はっはっは!」

唯「…ねえ、ところで、枝に混ざってなんか黒いの流れて来なかった?」

紬「そう言えば流れてたわね」

律「んー…ワカメじゃないの?」

唯「川なのにワカメ?」

律「あ、そっか…。まあ多分ゴミかなんかだよきっと」

紬「まあ…ひどい…」

唯「川にゴミ捨てるなんて最低だね…」

律「ああ、自然は大切にしないとな」

紬「私達みたいに枝を捨てるぶんには何の問題もないのにね」

律「全くだ!」


唯「そう言えばさっきの公園にもワンコが捨てられてたよね」

紬「うん…可哀想に、どこかに飛ばされたんだわ…」

律「命を何だと思ってるんだ!」

唯「許せないよね!……あれ?」

律「どうした唯?」

唯「いつの間にか晴れてるよ。台風もおさまってきたかな?」

紬「あ、本当!」

唯「ちぇー。台風止んだならウチ帰ってゴロゴロしたいなあ」

律「じゃ、今日はもう解散か?」

紬「そうね。私もはしゃぎすぎて疲れちゃった」

唯「あっ!見て!虹だよ虹!!」


律「ほんとだ…キレイだな~」

紬「うん…とってもステキ…」

唯「最後にいいもの見れたし、今日はここでバイバイだね」

律「おう!また明日学校でな」

紬「じゃあね唯ちゃん」

唯「うん!バイバーイ…」

唯「…あれ?何か忘れてるような…」

律「憂ちゃんにちゃんと出かけるって言ったか?」

唯「あ!忘れてた!いけない!憂、今頃心配してるかも!」

紬「気をつけて帰ってね。憂ちゃんにもよろしく!」

唯「うん!じゃあね~」

律紬「バイバーイ」




中野家

ガラッ

梓「ただいま!」

梓母「おかえりなさい。…って梓、なにソレ!?」

猫「ニャー」

梓「さっき公園で捨てられてたの!ねえお母さん、飼ってもいいでしょ!?」

梓母「ダメって言ってるでしょ…。戻してきなさい!」

梓「うう…ヤダー!飼いたい!猫ちゃん飼いたいー!飼いたいにゃーーー!!」バタバタ

猫「ニャー」

梓「猫ちゃん飼いたい!あずにゃん18号飼いたい飼いたい飼いたいーーーー!!わああああああん!!」ドタバタ

梓母「はあ…。言い出したら聞かないんだから…」

梓母「わかったわ。お父さんが帰ってきたら相談してみるから」

梓「…!」パアァ

梓「わーい!良かったねあずにゃん3号!」

猫「ニャー」

梓母「おやおや…さっきまで大騒ぎしてたくせに。台風みたいな子だね全く」




※台風の日に川原へ赴くのは大変危険です。絶対にやめましょう。