唯「っ!!と…とつぜんどうしたの…澪ちゃん」

澪「いやあ、なんというか愛国心が沸々とね!」

このとき私は知らなかった、街宣右翼の大半が在日であるという事実を…

澪「だってさあ、今日はあの日だもんな!」

唯「あの日…?ああ!クリスマスイブイブのこと?!」

澪「西洋かぶれが!!死ね!」

唯「ひいっ!」


澪「あっ、ごめんごめん、ほらそれ以上に今日はなんで休みなんだよ?ほら大切なこと忘れてないか?」

唯「え…ええと…う~ん、ごめん…わからないよ…」

澪「天!皇!陛!下!の!お!誕!生!日!」


唯「あ、ああ!たしかそんなのもあったような」

澪「しっかり覚えておかないと。不敬罪だぞ、唯。」

唯「ごめんごめんエヘヘ」

澪「おいおい音楽の勉強以前に日本人としての勉強は大丈夫か?陛下はなあベラベラベラベラベラベラ…」

律「お~す練習やってっかあ?ん」

唯「りっちゃあああん~」

澪「おいまだ話は終わってないぞ」

律「なんだなんだ唯、どした?」

唯「ん~なんか澪ちゃんが天皇がどうとかいうんだけど難しくって…」

律「天皇?そういや最近ニュースでなんかやってたな中国がどうとか」

澪「小沢殺す!!!」


律唯「っ!」ビクゥッ

唯「こ…ころすとかよくないよ…澪ちゃん」

律「そ…そうだぞちょっと落ち着け、な!」

澪「これが落ち着いていられるか!あの豚はな、陛下を政治の道具にしたんだよ!シナチクなんぞとよろしくするために上から目線で陛下をコマのように扱って!これで何も感じないの?律、唯?それでも日本人かよ?」

律「い、いや…その…」

唯「???」


澪「いいか?小沢はな、外国人参政権を認めようとしているんだぞ!日本にいる三国人どもに国をあけわたすつもりなんだ!あんな劣等民族どもに国をのっとられたら嫌だろう!?」

唯「サンゴク?レットー??ああなんだかフラフラと…」

律「まあまあ、落ち着けって唯は倒れそうだし、今日は紬も梓もこれないみたいだから解散解散!な?」



~帰り道~

唯「今日の澪ちゃん…変だったね…」

律「ギクッ…。ん~まあな、あいつ友だち少ないから2chばっか見てるじゃん?ちょっと影響されちゃっただけじゃないかな」

唯「へ?2chが何なの?」

律「ん、なんかさネトウヨっていう頭悪い奴らが韓国とか天皇とかそういう話になるとわいてきて、ああいうことわめき散らすんだよ」

唯「えぇ…こわいな…」

律「まあ、スルーすればいいんだけどな、そういうバカは。」

唯「スルーかあ、真に受けないってことだね」

律「そうそう、ああいうバカのいってることは聞いちゃだめだぞ~」

唯「てかりっちゃん?」

律「ん~?」

唯「2chてなに?」

律「…、ま、まあとにかくさ、澪のこと嫌いにならないでくれよ。あいつ素直だからさ、影響されやすくって…」

唯「もちろんだよ!あんなことで澪ちゃんをきらいになったりしないよ~」

律「本当にありがと…、じゃまたな!(あのことは…出自のことは…まだ唯にはいえないよな…)」

さわ子「…ふむふむ、これで唯ちゃんもりっちゃんも右翼嫌いね…」



~学校~

さわ子「うんうん、天皇問題ばかりか、外国人参政権批判やネット右翼にまで悪印象を植え付けられたわね、えらいわ秋山さん、はいこれ日教組からのお小遣い」

澪「いつもありがとうございます先生!」

さわ子「家計は大丈夫?くるしくない?」

澪「はい!このバイトでなんとか」

さわ「そう、じゃあこれからもよろしくね」

澪「はい!失礼します」


澪「やったあ、これで久しぶりに焼肉がたべらる…」

澪「いいよね…しょうがないよ…生きるためなんだもん。え、えっちなこととかするよりずっとましだよ!うん!」

『あんな劣等民族どもに国をのっとられたら嫌だろう!』

演技とはいえ……ごめんなさい…オモニ、アボジ、オザワ…ぅぅ…



~家~

澪「さ、2chでもうひと稼ぎしよっと、ええとニュー速ニュー速」

チョンきめえええええ
さすがはパクり国家www
ま た 韓 国 か
売国政権に天誅を!!
澪「……私がこんなこと書けるなんてな…」

澪「私の中に出自を恥じる気持ちがあるのかな…」

かつて私は朝鮮人であることに誇りを抱いていました…


幼律「すっごーい!澪ちゃんハングル読めるの?」

幼澪「う…うん。いいでしょ///」

幼律「ねえ、みんな澪ちゃんハングルよめるんだってぇ!」

幼澪「そんな…大声で自慢しないで…///」

同級生ら「ハ ン グ ル だ と ?」


幼律「あ…あれ?視線が冷たいぞぉ、どうしたみんな?」

幼澪「…?」

思えばあの時からでした、朝鮮人が差別される存在だと気がついたのは…



~翌日~

黒板【秋 山 澪 は 朝 鮮 人】

同級生ら「ザワザワクスクスwwww」

幼澪「え?え?なに…これ?り、りつぅ~」

幼律「ちょっと!なんだよコレ!」

「うわ~朝鮮人がきたぞぉキムチくせえ!」

「田井中さんもほら、一緒に登校なんかしちゃ臭いうつるわよw」

「wwwwwwww」



~帰り~

幼律「…ごめん、澪ちゃん…まさかこんなことになるなんて…」

幼澪「いいよ…私が…私がわるいんだよ…私が朝鮮人だから…日本に居場所なんかないんだよ…」

幼律「そんなことない!」

幼澪「…律」

幼律「私、ずっとそばにいるから。」

幼澪「…!」

幼律「わたしが澪の居場所になるから!」

幼澪「りっちゃん…んっ」
幼律 「っぱぁ…澪ちゃんのくちびるあまい…」

幼澪「だ…だめだよ…りっちゃん…私なんかとしたらりっちゃんまでキムチくさくなっちゃう…」

幼律「澪はキムチくさくなんかない」ギュッ
幼澪「り…ちゃん///」

幼律「ずっと一緒だぞ」


それから律は私がどんなに孤立してもずっとそばにいてくれました。

自分もハブられても構わず、ずっと。きっと私の出自を喋ったことに罪悪感をいだいてくれていたんだ…。

だから高校になったとき、私はもう律のことを解放してあげようと思ったんだ…


澪「律、私さやっぱり文芸部にはいるよ」

律「え~!一緒にバンドやろうって約束したじゃああん」

澪「もういいんだよ…私が一緒にいたら律迷惑でしょ?私、目立たないように生きてくからさ、もう私のこと気にしなくてもいいよ…。」

律「…バカだな、澪。私は澪とやりたくてやるんだぞ~、さあほらさっさと音楽室いこうぜ!」グィ

澪「っちょっと!まってょぉ!」

こうしてできた私の居場所。
律以外にできた初めての友人、後輩。
でもそれはみな、出自を隠して得たものだった…
律の優しさはうれしかったけど楽しい毎日にふと疑問がよぎる…
この国で生きていくには朝鮮人であることを捨てなければならないの?
日本社会の均質性の圧力に正直私は嫌気がさしていました。


そして起こったリーマン不況。アボジは彼より成績の悪い同期をさしおいて真っ先にクビにされた。

やっぱり…声高に差別されなくても、日本に私たちの居場所なんて…

出自をかくし、仮面をかぶり、やり過ごす偽りの灰色のティータイム。

そんな地獄に救いの手をさしのべてくれたのは顧問になったさわ子先生でした。

さわ子「秋山さん。民主党を応援しない?」

民主党、とくにその中枢である小沢氏は今の日本の閉塞感は社会の均質化にあると考えているらしかった。
横並びの関係を重視して育たない自立心、
馴れ合いに堕して増え続ける汚職。
そして隠されなかったことにされている多くの差別。
これらを是正し真に平等な国際国家に変えようとしている、とのことだった。

さわ子「秋山さんも選挙にいけるようになるかもしれないのよ」

なんと小沢氏は永住外国人参政権を考慮してくれているというのです!

どうせ投票できないから、政治に関心がなかった私は、その崇高な理念に惹かれ魅せられました。



こうして私は地元の民主党員の選挙活動を手伝ったり、ネットに自民党批判の書き込みをしたりしました。

工作が功を奏するたびに誉めてくださる先生。
それは仮面をかぶらない素の自分でいられる時間

初めて本当の自分が認められている、必要とされていると思ったひと時でした。


そしておとずれた衆院選当日…

ニュース「民主党の歴史的圧勝です!!」

澪「やった!やりましたね!先生!」

さわ子「そうね…よかったわ」

澪「ん…、どうかされましたか?」

さわ子「あのね、これからの政治活動なんだけど…秋山さんには右翼のふりをするようにって上からの命令がきたの…」

澪「右翼って!なんで私があんな時代遅れの敗残者のふりを!」

さわ子「落ち着いてきいて!いい?澪ちゃん。日本はね、平和な国なの。これといった衝突もなく、なんとなく皆現状に甘んじてしまうような社会なの」

澪「そうです!差別はなかったことにされ、ふみつけられている者の声はとどかない。そんな社会をかえようと頑張ってきたんじゃないんですか!!?」

さわ子「火病らないで落ち着いて。ね。そんな日和見主義の社会では革命は起こりにくい。だから対立構造を作り出す必要があるのよ。」


澪「なんなんですか!対立構造って!ごまかしですか?まやかしですか?」

さわ子「落ち着いて秋山さん。ようは批判すべき敵がいないと私たちの主張はぼやけたものになってしまうということなの。極端な右翼の存在が未だ日本社会が引きずっている問題点を洗い出してくれているのよ。」

澪「極右の主張こそ日本社会が隠そうとしている問題の結晶体だというのは分かります。でもなんで私がその問題の主張をしなければならないんですか!なんでこんなにも喜ばしい日にそれを告げられなければならないんですか!」

さわ子「秋山さん落ち着いて。これからは民主党が与党になって逆に姿勢を検証される立場になる。批判すべきかつての主流派の問題点は見えにくくなってしまうのよ。」

澪「でも私は朝鮮人ですよ!なぜ私が!」

さわ子「在日の方々には代々そうした工作をしてもらっているの。あなたたちは日本社会の問題点に敏感なのよ、思想で日本を客観視できるようになった私たちが遠く及ばないくらいにね…」


澪「……ふん。所詮異物ですからね…。やっと、本当の自分を認めてもらえる場所ができたと思ったのに、また嘘…私、もう…」


日教組とは縁を切ろう。
拒絶の言葉を口にしようとしたその時、先生はにっこり笑ってこうおっしゃいました。

「秋山さん、家計大変でしょ?」

そう所詮、世の中はお金なのでした…



~そしてクリスマスイブ~

律「澪!澪!」

澪「しつこいぞ、いかないっていってるだろ!」

律「澪!おかしいよ、そんなの、クリスマス会くらいこいよ!」

澪「い…いやだ!私は、私は大和撫子なんだぞ!耶蘇なんか、耶蘇なんか!」

律「澪…なんでそんなになっちゃったんだよ…お前、本当は…」

澪「またあの時の過ちを繰り返すつもりか?律」

律「ぅ…」

澪「私は今のあり方に満足してるんだ。余計な指図はしないで」

律「……澪」

律「…じゃあさ、天皇誕生日の次の日のお祝いってことにしないか…?」

澪「…」

律「…なあ?」

澪「どうして…」

律「…」

澪「どうしてそこまで私にかまうんだよ…」
律「…澪」

澪「その優しさが…つらいんだよ!もうほうっておいてくれよ!!」


タッタッタッタ

唯「ハアハア…りっちゃん!」

梓「先輩!」

紬「澪ちゃんは?」

律「それが…」

澪「ちっ…そろいもそろってなんだよ!このバタ臭い売国奴め!」

紬「売国奴っ…そんな」

澪「天皇誕生日に遊びあるいてたくせに!」
唯「澪ちゃん…」

唯「最近の澪ちゃん、なんか変だよ…」

澪「な…なにがだよ!変なのは唯たちの方だろ!愛国心を忘れて!」

唯「なんか…すごく、無理してる感じがするよ…」

梓「…澪先輩はそんな狭量な人じゃなかったはずです!」

紬「澪ちゃん…なにか思うところがあって、そういうことしてるだけなんじゃない?」

唯「…なにか悩みがあるんだったら、私、きくよ、なんでもいってよ…」

律「唯!それは!」


澪「ああいいよ!そこまでいうならいってやるよ!!」


澪「そうだよ全部ウソwウソなんだよwwごめんねw私、日本人じゃないんだあテヘwキムチ臭い朝鮮人でしたあwwww」

唯紬梓「っ!」

律「澪!やめろ!」


澪「うるさい!もうさ、うんざりなんだよ!なにもかも!!」

律「そんな…どうしてだよ…澪、一緒にたのしくやれてたじゃないか…」

澪「律には分からないよ…。私、日本がキライ。大嫌いなんだよ!天皇なんてもっと嫌い!それなのになんで日本人のふりをしなきゃいけないの?律。ねえ!?」

律「……ごめん」


澪「ううん、ごっめんw律のせいじゃないよね~私が朝鮮人なのが悪いんだもんwどうせ日本じゃ朝鮮人なんて人として扱われないんだよ!ほらどう?みんなひいたでしょ?軽蔑したでしょ?仲間なんて…仲間なんて所詮っ!」

唯「…澪ちゃんが日本のこときらいでも」

澪「…え?」

梓「先輩が朝鮮人でも関係ない…!」

紬「そんなこと私たちには関係ないじゃない…」

唯「みんな澪ちゃんのことが大好きだよ!」

律「唯…お前…」

唯「私さ、バカだから、難しいことはよくわかんないけど…澪ちゃんがどんな考えもってても、澪ちゃんのこと見捨てたりなんかしない!」

紬「某国と違って日本には思想の自由があるのよ」

梓「誇りをもてるルーツがあるなんて、かっこいいじゃないですか!」

澪「み…みんな…」

律「ごめんな、澪。それからみんなもごめん。私、澪のこと知ってたんだ。気を回して隠してたつもりだったんだけど、それが澪をこんなに追いつめちゃってたんだよな…」

澪「律…」

律「お前のこと何も分かってやれなくて幼なじみ失格だよな」

澪「ヒクッ…ヒク…ううん……」


律「ほら!もう泣くなって!澪。朝鮮名なんだっけ…?」

澪「え………サンジュ…チェ…サンジュ」

律「ではチェ・サンジュさんの入部をここに認めます!新生軽音部の誕生だ、みんな拍手!」

唯「お~」パチパチ

梓「サンジュ先輩か~」パチパチ

紬「名前…かわいい///」パチパチ

律「さあじゃあ今日は新歓ってことで焼き肉でも食べにいきますか!」

サンジュ「え…ええクリスマスなんだし…鳥とかの方が…」

律「おいおいさっきまでイヤがってたくせにい!」

澪「だって…いまさらやらないわけにはいかないだろ…もうもらっちゃったんだもん…」

律「え…?」

澪「律から…最高のプレゼント…///」

律「…///」




おわり