【翌日 平沢家】
ぴんぽーん
憂「はーい」
憂「こんな朝早くに誰だろ」
ガチャ
梓「おはよー憂」
憂「あ、梓ちゃん!?…こんな早くにどうしたの?」
梓「唯先輩と朝練するんだ。先輩起きてる?」
憂「お姉ちゃんはまだ寝てるけど…朝練って?」
梓「だから、歌の練習だよ」
憂「ゲエーッ!」
唯「じゃあ、先くね、うい~」
梓「もう、早起きするよう行ったじゃないですか!」
唯「ごめんごめん、つい~」
ガチャン
憂「……」
ピポパ
憂「こちら平沢、全職員に連絡します!奴が、Gが目覚めました!」
唯「とりあえず、簡単な歌から始めようか!」
梓「そうですね」
唯「じゃあ、森のくまさん!」
唯「♪ある日~」
梓「ボエーーーーーーー!!!!!」
唯「♪森の中」
梓「グエーーーーーーーーー!!!!!」
唯「♪くまさんに」
梓「アギャアーーーーーーー!!!!!」
唯「♪出会った」
梓「ドンドゥルマアーーーーーーー!!!!!」
律「くそっ…なんて破壊力だ…」
律「住宅街のガラスが…めちゃめちゃじゃないかっ!」
憂『律さん隊員!ご無事ですか!?』
律「ああ、かろうじて無事だ!ムギ隊員の連絡を待っているところだ!」
その頃……。
ガタンゴトン
『次はーー桜ヶ丘ーー桜が……な、何だこりゃ!?』
紬「!?」
唯「♪花咲く森の道~」
梓「サウザンドマズダアアァァァーーーーーーー!!!!!」
『うわあああああ!』
ききーどーん
♪
憂『り、律さん隊員!何事ですか!?』
律「…ムギからの連絡が…途絶えた…」
【同時刻 桜高前最終防衛線】
純「…来ますね」
澪「…ああ、来る」
純「…澪先輩、こんな時ですが、あなたに伝えておきたいことがあります」
澪「むしろこんな時だからこそ、言いたいことは言っておくべきじゃだよ。言ってごらん」
純「私、澪先輩のこと…ずっと昔から…」
澪「……」
純「…やっぱり迷惑でしたか?」
澪「いや、迷惑じゃないよ」
純「先輩……」
澪「目、閉じて……」
マルゴビッヂノアナァァァァァァァーーーーーーー!!!!!
純「」
澪「」
♪
律「…なんてこった…」
憂「全職員に連絡します。…Gが本土に上陸しました」
…
和「おはよう、唯」
唯「あ~、和ちゃ~ん」
梓「おはようございます」
和「ボーカルの練習?」
唯「そう!今度はあずにゃんも歌うんだよ~」
和「そうなんだ、じゃあ私生徒会行くね」
梓「すうっ」
アンジョオスッタランーーーーーーーーー!!!!!
律「和ー!」
律「和、しっかりしろ、和!」
和「チェケラッチョイ」
憂「和ちゃん、死んじゃ嫌だ、和ちゃん!」
律「和ちゃん?」
憂「あっ…」
律「憂ちゃん、もしかして…」
憂「…昔から、憧れてたんです。…なのに…」
律「ちくしょう…ちくしょう…」
律「最初はムギ、次に和…」
律「…どれだけ私たちから、愛するものを奪えば気がすむんだ…」
律「バカやろおおおぉぉ!」
ついに桜高に上陸してしまった黒き魔獣、Gこと中野梓。
果たして人々の運命は、そして平沢唯の真意とは。
【平沢唯の教室前】
姫子「唯、おはよう」
唯「あ~、姫ちゃん!おはよ~」
梓「どなたですか?」
姫子「唯と同じクラスなの。キミがあずにゃんだね」
梓「な、な、なんでご存知なんですか!」
姫子「唯がよく、キミのこと話してたからね。可愛い後輩だって」
梓「なっ…ナニヲオッシャル…」
姫子「ふふ、照れちゃって。可愛い恋人みたい」
梓「」
ボンッ
姫子「」
唯「ひ、姫ちゃん姫ちゃん!」
梓「…はっ。何がおこったんですか?」
唯「姫ちゃんが倒れちゃったよ!」
律「…憂ちゃん、あれは?」
憂「Gの体内放射です。喉元まで溜めた歌唱エネルギーを全身から放出する、周囲を巻きこむ危険な攻撃です」
律「なるほど、要は梓を照れさせちゃいけないんだな」
憂「校舎の床に穴が開いちゃった…」
唯「でもよかったね、あずにゃん!私たち恋人みたいだって!」
梓「ほ、本気にしないでください!」
唯「あ~ずにゃ~ん」
梓「抱きつかないでくださいー!」
姫子「う……」
律「あ、姫子が動いた!まだ生きてる!」
憂「律さん、ダメです!」
律「助けないと!」
唯「ん~、あずにゃん分補給~」
梓「み、耳元で歌いますよ!」
唯「ドントコイです!」
梓「すぅ…」
姫子「ゆ…い…」
梓「ソニーノゲームハズッキーニィィィィィィィィーーーーーーwwwwwwwww」
姫子「」
律「姫子おおぉ!」
憂「…ば、バーンスパイラル熱唱…」
エリ「何今の?」
信代「何事?」
唯「あ、みんな~。あずにゃんのボーカル聴きたい?」
梓「え、ちょっと唯先輩!?」
風子「これが梓ちゃんか、可愛いね」
いちご「…聴いてあげてもいい」
梓「ゆ、唯先輩!さすがにこんな大勢の前で歌うのは…」
唯「あずにゃん頑張ろ?いずれ学祭で歌うんでしょ?」
梓「う…」
唯「私たちが卒業しても、軽音部続けるんだよね?」
梓「…」
唯「今から慣れておかないと、後でつらくなるよ?」
梓「…」
モブ「あーずーさ!あーずーさ!」
梓「…わかりました!」
唯「みんなー!今日はあずにゃんのスペシャルライブに来てくれてありがとー!」
モブ「わーわー」
唯「あずにゃん、観客のみんなに一言!」
梓「やってやるです!皆さん覚悟してください!」
モブ「あずにゃーん!」
律「…予想される被害は?」
憂「まず、ガラスは一枚も残らないでしょうね。私たちの鼓膜も…」
律「最後だな…」
憂「神に感謝」
律「アーメン」
「ちょっと待った!」
律「む、ムギ!?生きてたのか!」
紬「梓ちゃん、のど飴よ!」
ぽいっ
梓「ムギ先輩!ありがとうございます!」
ぱくっコロコロ
律「バカ、のど飴如きであの破壊力が…」
梓「♪不思議なあずにゃん星から、ラブラブちゅっちゅっちゅっ!」
律「え?」
梓「♪揺れないお胸はまな板みたいにつーるつる」
モブ「キャーキャー」
律「ムギ、どういうことだ!?」
憂「あの悪魔のだみ声を…一瞬で!」
紬「あれこそが、琴吹グループが開発した新兵器、抗Gバクテリアよ。活性化した梓ちゃん細胞を弱める力を持った優れものなの!」
梓「皆さん、今日はありがとー!」
モブ「ヒューヒュー!ゆーいあず!ゆーいあず!」
梓「え?」
唯「あずにゃん、次は私もいっしょに歌うよ!」
梓「…はいっ!」
律「いいぞいいぞー!」
紬「梓ちゃん、ファイトー!」
憂「お姉ちゃん、頑張って!」
こうして、多大な犠牲を出しながらも、梓のスペシャルライブは大成功のうちに幕を閉じたのだった…。
【後日】
律「なあ唯、お前に聴きたいことがあるんだ」
唯「ほえ?」
律「抗Gバクテ…もといのど飴を舐める前の梓と後の梓、どっちが歌がうまかった?」
唯「そりゃ断然後だよ~。舐める前はあんまりうまくなかったよね」
律「えぇー!?じゃあお前、どうしてあんなに」
唯「絶賛したか?うん、確かに聴けたものじゃなかったよ、でもね…」
律「?」
唯「すっごく楽しそうだったんだ、あずにゃんの顔」
律「…」
唯「とても真剣に、そして嬉しそうに歌ってたんだ、あずにゃん。ボーカルに憧れてたんだろうね」
紬「唯ちゃん…」
唯「だからね、下手くそなんて言えなかった。気がついたら全力で応援しちゃってた!てへへ」
律「へへ、いい先輩だな!」
そう、音楽は天才だけのものではないのだ。
全力で楽しむ者に真心いっぱいの愛を与える。それが音楽の存在意義(レーゾン・デートゥル)なのだ。
それを、中野梓と平沢唯は我々に教えてくれたのだ。
ガチャッ
梓「こんにちは」
唯「おーあずにゃん、いらっしゃーい」
梓「そういえば、明後日は唯先輩の誕生日ですよね?」
律「おー、そうだったな」
梓「一足早く、唯先輩にプレゼントです」
唯「え~?私に?」
梓「イヤですか?」
唯「ううん、嬉しい!」
梓「…ありがとうございます」
律「おーおー、お顔が真っ赤」
唯「で、プレゼントはなーに?」
梓「私が作った歌です!」
律「え」
梓「真心いっぱいの愛を、私の歌声に乗せてお届けします!」
律「…ムギ、バクテリアは?」
紬「…もうないわ」
梓「1、2、3、4!」
ボエーーーーーーーー!!!!!
終わり
最終更新:2011年05月06日 02:46