「はぁっ…んっ…ふぅっ…あッ…はぁっ…ハッ…んっ…」

悩ましい、「女」の声。
長い黒髪が、俺の鼻先に触れてくすぐったい。
ぽたぽたと降ってくる汗の粒が、時折口の端に垂れてくる。
頬を上気させて愛おしげに俺の顔を覗き込んでいる瞳を見つめながら、舌でそろりとそれを舐める。
しょっぱい――
女の子にしては少し大きな白い手が、俺の胸の上を這う。
上下するたび派手に揺れる、これまた年齢の割に良く育った乳房が何とも俺を興奮させる。
繋がった部分から聞こえる音が、やけに部屋に響く。

「ふぁっ…あんっ…はぁっ…んぅっ…」

潤んだ瞳が俺を見て、僅かに微笑む。
ああ、こいつのこんな顔が見れるのも、こんな声が聞けるのも、こんなことができるのも――
俺だけだ。その優越感に、思わず笑みが漏れる。

律「きもちいーのか、澪?」

男は、女に問いかける――

澪「んっ…馬鹿律っ…変なこと聞くな…っ」

女は、男にそう答えた――

大して丈夫でもないベッドは、二人分の体重が揺れるたびに軋む。
男の手が、女の腿をするりするりと撫でながら登る。

律「えー?別に変なことじゃないじゃん。俺はきもちいーぜ、すっごい…」

程良く火照った女の身体に汗が浮き、その肌の質感をいつも以上に艶めかしくしている。
腿から腰へ、腰から柔い腹へ――そして。

澪「あッ、ンッ――こ、ら――」

両手で無造作に、それでいて優しく、女の乳房を包み込む。
びくん、と身体を少し逸らす反応が可愛くて、男の笑みは深まる。

律「俺だけきもちいーのはさ、澪に悪いじゃん。」

澪「…律のスケベ…」

涙ぐみながら腰の動きを止めて、男の手の感触にぴくんぴくんと肩を震わせる女――


手の中でふにょふにょと形を変える柔らかな二つの感触を楽しみながら、男は少し腰を動かす。
ぬちゃっ、と生々しい音を立てながら、結びつきが更に深くなる。

律「よいしょ…っと」

澪「はァうっ…ン…きゅ、急に動くな――」

奥を叩かれた反動で、前屈みになりながら鳴く女。
汗で顔に張り付いた黒髪が――何と言うか、エロイ。
そんなことを口に出すと、また「馬鹿律」って言われそうだな――そんなことを、考える。
女の胸を弄んでいた両手を背に回し、ぎゅ、と抱き寄せて――

律「あー、柔らかけー…昔っから思ってたけど、澪の抱き心地って最高だわ。」

澪「う、わッ…あんっ…」

むぎゅう、と乳房に半分顔を埋めながら、両脚を踏ん張る男。
そのまま腰を持ち上げると、激しくピストン運動を開始する。
肉が打ち合わされる音と、淫猥な水音が部屋に響く――

澪「あッ、やめッ、だっ、律ッ!はやッ、すぎぃ、るっ…!」

律「言えよ澪っ!きもちいーって言ってくれよっ!」

ベッドの軋みが、増してゆく――


いつからこうなったのか――

幼馴染、という関係を脱したのは高校に入ってから。
もっと言うなら、軽音部に入部してからだ。
正確には俺が澪を無理矢理入部させたわけだけど。
そんでもってそこにムギや唯が入ってきて――まぁぶっちゃけ女の中に男が一人!ってのは…
ちょっとばっかし変な気分だったな。

それでも俺と澪の関係は昔のままだった。俺もそれでいいと思ってたし、澪だって――

でも、そうじゃなかった。

互いの家に遊びに行くのは日常茶飯事。
部屋に二人きりになったって、別におかしなこと考えたりはしなかった――


夏休みの、何でも無い日。
その日も俺は澪の部屋で一緒に宿題を片付けていた。
澪が「律はほっとくと絶対最終日に写させてってうるさい」って剣幕に迫力負けしただけかな。
まぁとにかくそんな感じ。

二人で向かい合って机に座って――カリカリとペンを走らせる音が聞こえて――
何気なく、視線を落とした。
黒のタンクトップにホットパンツ、なんて、今から思えばあまりに無防備な部屋着だよな?
ともかく、澪の顔と身体がすぐ近くにあって――それは、俺の知ってる澪じゃなくて。

澪「…何だよ、律?」

律「…えっ…」

気付くと、眼と眼が合ってた。
よっぽど獣じみた眼、してたんだろな、あん時の俺。
澪が反射的に引いた腕を掴んで――強引に、お互いのファーストキス。
最初は物凄く抵抗してた澪も、案外すぐに大人しくなって。
涙の浮かんだ眼がどーにもたまんなくなっちゃって――あとは、そのまま。

以来、俺たちゃ俗に言う「覚えたてのサル」状態だった――


律「はぁっ!くッ!ハッ!ふぅッ…!ヤッベ…!澪、めちゃくちゃきもちいー…!」

澪「あっ、ふぁッ!んくっ!ひっ!い、やぁッ…んんッ!り、つぅ…~…」

澪を抱きしめたまま両脚を踏ん張り、何度も何度も腰を打ち付ける。
その度甘く鳴く澪の声が耳の奥から脳髄まで響き渡る。
俺が叩くドラムよりもずっと規則的なその声は、余計に俺を走らせる。

律「澪っ!」

澪「えっ…きゃ、あッ!?」

ごろり、と体勢を上下入れ替え。
ベッドの上に仰向けになった澪に覆い被さって、無我夢中で唇同士を重ねる。

律「んちゅ…ん、じゅるっ…」

澪「んむっ!ん、ちゅ…ぅ…」

ねっとりした舌同士が絡まりあって、唾液が交換される。
お構いなしに、腰を振りまくる――これじゃホントに獣だな――

澪「ぷはっ…はぁっ!あ、ふぁッ…あンッ…りつ…り、つぅ…!」

律「ハッ!はぁ…っく…ッ!な、んだ…澪ッ!」

蕩けた表情でこっちを見上げながら、それでも名前を呼んでくる澪が可愛い。
カチューシャは外してしまっているので前髪が少し邪魔だ――
澪が「そっちの方がかっこいい」って言ってくれてから、二人の時はこの状態だ。
しっとりとした感触を掌に返してくる両腿を少し押し拡げ、更に深く、繋がる――

澪「あッ、ふかッ、いっ…!すごォ…んぁ、い、よォッ…あっ…!」

律「ヤッベェ…ッ!めっちゃかわいーぞ澪ッ!」

澪「ば、かァ…律ぅ…」

律「澪ッ!澪ッ!好きだッ!超好きっ、だッ…う…!」

とにかく、激しく乱暴に――もう、相手のことを考える余裕が無い。
眼の前の女がただ愛しくて、恋しくて、そして――

澪「きもち、いッ、いぃ…~!」

律「…!!」

ベッドのシーツを両手で握り締めながら、澪が絞り出すような声で言う。
眼は虚ろに俺の顔を捉え、紅潮した頬に僅かに流れる涎が――

澪がきもちいい、って言った…あんな、あんな顔して――
そうだ、俺なんだ。
澪にあんな顔させたのは俺。
あんなこと言わせたのも俺。

律「あ、ァ…!はぁっ!はっ!う、ォ…くはッ…!」

程良くくびれた腰に手を伸ばし、しっかりと澪を味わう。
ばち、ばち、と頭の奥で火花が弾ける。
下腹部に感じるマグマの様な熱――限界が近い。

澪「りつッ!すご、いッ…奥まで、んっ!と、どいて…るッ…!」

律「みお…みおぉ…!や、ヤベー…もう、俺…ッ!」

澪「いーよっ…りつ…好き…ッ!大好きっ!!わた…しッ、もッ!」

きゅう、と締まる澪の膣内。
熱くて柔らかなそれが、俺を締め上げる。

律「……うぅッ…あッ――」

そして、一瞬思考が――

澪「あッ、あッ、あッ――ふっ、うッ、あァ…」

びくびく、と澪の腹筋が捩れる。
のたうつ蛇の様なその動きが、堪らなく興奮を誘う。
だから俺は、遠慮なく、奥の奥で熱い白濁を撒き散らす。
ビューッ!ビューッ!と激しく噴き出す感覚。

澪「すご…熱いィ…律のが、おっきくなったりちっちゃくなったりしてるの、分かる…」

律「ヤベー、止まらンねー…超きもちいーよ…ォ、う、くうッ…」

たっぷり10秒以上は射精し続けただろうか。
お互いが全身の力を抜いてしまう前に、向き合う様にベッドに倒れ込む。
性器同士の結合は解かぬままだ。
荒い呼吸をするのも束の間、再び少し、唇を重ねる――

澪「んちゅ…う…ふ、ぅ…」

律「ふぁ~…ヤッベ、マジヤッベ…」

澪「何だよ…ヤバイしか言ってないな、おまえ。」

律「あれ?そうだっけ?」

汗だくのまま、間抜けな会話が続く。


けだるげな空気、じりじり差し込む昼の日差し――
ふと時計を見ると、もう三時間近く繋がったままだということが分かった。
射精を終えた後も、俺のは澪の中で萎えるってことを知らない。

澪「律…そろそろ。」

律「何だよ?」

澪「宿題。」

律「え~…めんどい。」

澪「まだ全然進んでないじゃないか…」

律「いいじゃん、もっと他のこと、進めようぜっ!」

澪「え、あ、馬鹿律――」

こうして、真昼間の情事は続く――
互いが互いを貪り合う、獣の交尾の如き交わりが――



以上