二人きりになった途端、急に静寂が訪れた。
だって、緊張して何を話せばいいかわからないんだもん。
りっちゃんは、なんでしゃべらないんだろう。
とにかく、何か話さないと。

唯「り、りっちゃん」

律「ははっ、何モジモジしてんだ?」

唯「だ、だって……」

律「……ちょっと散歩するか」

唯「……うん」

こうして私とりっちゃんは、外に出た。

 りっちゃんとの散歩に胸をおどらせ、玄関の扉を開け、一歩外に出る。

律「うぅー、さっみぃー!」

腕を手でさすり、ブルッと震えるりっちゃん。

唯「や、やっぱり中に入る?」

慌ててそんなことを聞いたけど、りっちゃんは

「いや、いいよ。なんか散歩したい気分だしさ」

と言ってくれた。

律「それより憂ちゃんに外に出るって言わなくてよかったのか?」

唯「大丈夫だよ! ちゃんと書き置きしといたから」

律「おっ、唯にしては中々しっかりしてるな……」

唯「どういう意味かな?」

律「いや、すまん」

唯「……えへへ」

律「へへ」

特に何を話すでもなく数分歩いたところで、ちょうど座れそうなベンチがあったのでそこに座ることにした。

律「よっと」

りっちゃんが座る場所を見て、私も座った。
少し離れて座ってしまった理由は、私にもわからない。

律「明日も学校だなー」

唯「え? 明日は祝日だよ?」

律「へ? そうなの?」

わざとらしくおどけるりっちゃん

唯「そうだよー。休みを忘れるなんてりっちゃんらしくないよ」

律「わりーわりー」

でも、私はそんな風に笑わせてくれるりっちゃんも好きなんだ。
ドラムを叩いてるりっちゃんも、部長としてのりっちゃんも、お調子者のりっちゃんも、全部好きなんだ。

律「……唯、なんか悩みあるなら、私に言えよ?」

唯「……うん」

律「これでも私、部長なんだからさ」

唯「……うん」

悩みか……。

律「……唯?」

唯「……ごめんね、りっちゃん。私、やっぱり言えないよ」

やっぱり、言えない。
私はまた逃げるんだ。
これも、何度もあったチャンスの一つなんだ。それはわかってる。
でも、私は弱いんだ。
この気持ちを伝える勇気なんかない。
そしてまた、弱虫みたいに一人で泣くんだ。

律「……」

足と足の間に手をおき、夜空を見上げるりっちゃん。
私もそんなりっちゃんにつられて、空を見る。

律「星ってなんであんなにいっつも輝いてるんだろーな」

唯「……え?」

律「ほら、なんつーか……ずっと光ってるし、なんか羨ましいじゃん。
  もっとこう、うおぉぉぉぉ!って悩んで、気持ちが暗くなったりしねーのかなって思ってさ」

唯「り、りっちゃんも悩んだりするの!?」

律「当たり前だろー。唯はあたしを何だと思ってんだー?」

唯「ご、ごめん」

りっちゃんも、悩むんだ。
太陽みたいなりっちゃんも、私とおんなじで星が羨ましくなるんだ。
なんだか、嬉しい。
りっちゃんに悩みがあるのに、嬉しいなんて思うのはいけないけど、それが私の正直な気持ちだった。
……ん?

唯「じゃあ、りっちゃんも今なにか悩んでるの?」

私がそういうと、りっちゃんはビクッと体を震わせた。

律「な、なんで?」

唯「だって、星を羨ましがって……そ、それ、私も全く同じなんだ」

律「そっか……」

そうして、一呼吸おいた後、りっちゃんが私の方を向いた。

律「じゃあ、あたしの悩みと唯の悩みは同じかもな」

唯「え?」

律「悩み方一緒だしさ。
  って、そんなことあるわけないかー」

苦笑いをしながら、私を見るりっちゃん。

唯「……りっちゃんの悩みは、何?」

この胸の鼓動はなんだろう。
なぜだか知らないけど、私はすごくドキドキしていた。
りっちゃんは、どんな気持ちなのかな。

律「……」

律「……」

唯「……」

律「……」

唯「……」

私は、りっちゃんの気持ちを知りたかった。
今、何を考えているのか。
何に悩んでいるのか。

しばらく沈黙が続いた後、りっちゃんが口を開いた。

律「……っだぁー! ちくしょう!」

勢いよく立ち上がるりっちゃん。

唯「え? な、なに!?」

律「なんだよー! こんちくしょー!」

唯「どうしたの!? 何が起こったの!?」

そして、立ち上がったまま数秒黙ると、今度はため息をつきながらベンチに座った。

律「……ふう~」

唯「どうしたの?」

律「唯……言うぞ?」

唯「え? 何を?」

律「あたしの悩みだよ!」

唯「あ、ああ、……うんっ!」

律「……」

唯「……」

律「……」

唯「……」

律「……」

唯「……」

律「……」

唯「……」

律「……唯、す、好きだ」

唯「……え?」

信じられなかった。
今、りっちゃんはなんて言ったの?
自分の中の疑惑に確信を持たせるために
もう一度言って欲しかった。

律「だ、だから……好きだ、唯」

唯「ほんと……?」

律「ああ……でも、ほら……やっぱ無理だよな。
  あたしら、女同士だし……」

唯「ほんとにほんとにほんと!?」

律「え? あ、ああ……」

唯「……ふぇ、りっちゃん……」

律「な、なんで泣いてんだよ!?」

唯「だって……だって、嬉しい、嬉しいんだもん」

律「……ふふ、そっか」

唯「……ゔん」

しばらくして、私は泣き止んだ。

唯「私、りっちゃんの好きな人、澪ちゃんだと思ってたよ」

律「へ?」

唯「だって、澪ちゃんが転んだとき、りっちゃんすごい顔で心配してるんだもん。
  あんな姿見たら、好きなんだって思っちゃうよ」

律「あー、……澪は幼なじみだし、親友だからな。
  そりゃ全力で心配するし、そう見られたことも何度もあったよ」

唯「違うの?」

律「ああ、あたしの好きな人は唯だよ」

唯「……えへへ」

唯「嬉しいよ、りっちゃん」

律「お、おう」ドキッ

そうして二人は付き合うことになり、お伽話学園にも平和が訪れましたとさ。めでたしめでたし。
(CV:新井)

イッツハッピーエンド!!!