唯「それでね、憂は私がそーめんを食べるときは必ず麺つゆを温めてくれるんだよ」

律「本当に憂ちゃんは気がきくな。ていうかそんな知識があるっていうのがすごいよな」

梓「唯先輩も少しは見習ったほうがいいですよ」

紬「ところで私、そーめんっていうものを食べたことがないから、そーめんがなにがなんだかわからないのだけど」

律「……さすがだな、ムギ」

梓「そーめんっていうのは……」

キャッキャッアハハ

澪「…………」ズズズ

澪(……あれ?私なんか忘れられてないか?)

律「クーラーつけっぱなしにして出かけたら聡に怒られてさあ」

梓「ああ、ありますよね。ついついクーラーを消し忘れてしまうの。唯先輩はしませんか?」

唯「ほら、私の場合クーラー苦手だから。あんまり関係ないんだよね」

紬「そういえば憂ちゃんはこんなに暑いのにクーラー無くて平気なの?」

唯「よくわかんないけど、憂はクーラーのことで文句言ったことないよ」

律「姉思いな妹だよな」

紬「憂ちゃんは本当に優しいわね」

唯「いやあ、えへへ」

梓「……なんで唯先輩が照れるてんですか」

キャッキャッアハハ

澪「…………」モグモグ

澪(……あれ?私には誰も話題をふらないのか?)

梓「私、お父さんが運転する車に乗るのはあまり好きじゃないんですよね」

唯「私もお父さんの運転が苦手でね。やたら揺れて酔うから好きじゃないんだあ」

律「そういや、ムギはさわちゃんの車乗ったけど、どうだった?」

紬「実は私、初めて先生の車に乗ってすごく興奮してたからよく覚えてないの」

唯「さわちゃんは案外、安全運転だったよ!」

梓「てっきり一般道路で八十キロとか出す人かと思ってました」

律「いやいや。さわちゃんも仮にも先生だからな」

キャッキャッアハハ

澪「…………」カチカチ

澪(……そういえば私って部室に来てから一度でもしゃべったか?)

澪(というか本当に本気で私の存在忘れてるんじゃないのか?)

澪(あはは……まさかな)

紬「私、今まで一度も映画館で映画を見たことがないから一度行ってみたいの」

律「それまたすごいな。でも、映画館って結構マナーの悪い客のせいで映画に集中できないこととかもあったりするんだぜ」

紬「そうなの?」

梓「そうですね。最近は赤ん坊を連れて映画館に来る親が増えてきてますからね」

律「あれやめてほしいよな。綾波を返せってシーンで赤ちゃんに泣かれたときはホントにその親にカチーンときたよ」

キャッキャッアハハ

澪「…………」ポリポリ

澪(あ、唯も今の会話には入ってないぞ♪)

梓「唯先輩も映画館でそういう不満を感じたことないですか?」

唯「私、あんまり気にしないんだよね。映画も雰囲気で見るから頭に入らないし」

律「唯らしいな」

紬「ふふふ」

澪(なんで唯にはきっちり話題ふってるんだよ!!)

唯「夏と言えばやっぱり怪談に限るよね!」

澪(これだあ!これなら怖がればみんなが私に注目してくれる!)ピコーン!

梓「夏っていうかもうほとんど秋ですけどね」

律「ほほう、唯くん。なにか怖い話でもあるのかね?」

唯「ふっふっふ。あるんですぜりっちゃん隊員。とっておきのが」

紬「唯ちゃんの怖い話楽しみね。どんな話なのかしら?」ワクワク

梓「けど、唯先輩が怖い話をしても怖くならないんじゃ……」

唯「あずにゃん、ナメてもらっちゃ困るよ!私は怖い話はすごく得意なんだよ!」

澪(そ、そんなに怖いのか……?)

唯「それじゃあ話すよっ。あるところにシュウマイが大好きなおじいさんがいました。
おじいさんは毎日シュウマイを食べ続けました。しかし、ある日おじさんは亡くなってしまいました……」

澪「」パクパク

紬「それでそれで?」

唯「それでね……」

唯「……開いた棺桶のフタのほうにおじさんが張り付いていたんだよ」

梓「……終わりですか?」

唯「うん、終わりだよ。どうどう?怖かった?」

律「びみょー。ていうかその話どっかで聞いたことあるしな」

梓「ていうか全然怖くないです」

唯「えー、けっこうお気に入りの話なのに」

紬「すごく面白かった唯ちゃん!もっと聞かせて!」

唯「やっぱりー!だよねっ。りっちゃんやあずにゃんと違ってムギちゃんはよくわかってるね」

律「ほほー、なら今度は私がとっておきの怖い話を披露するぜ」

キャッキャッアハハ

澪「…………っは!」

澪(怖がるどころか気絶して、あげく誰にも気づかれなかっただと……!)

律「ところでずっと気になってたんだけどさ。ほら、お茶漬けなんだけどさ」

澪「…………」

澪(こうなったら、律がどこかでかますであろうボケに全力でツッコミを入れるしかないっ!)

梓「お茶漬けがどうかしたんですか?」

唯「私はお茶漬け大好きだよ」

律「みんなはお茶漬けにかけるお茶はなんにしてるのかなあって思ったんだよ」

唯「うーん、なんだろ?緑茶なのかな?」

梓「先輩、夏に緑茶飲むんですか?」

唯「飲むよ。憂が緑茶好きなんだ」

律「ぶっちゃけると私は湯をかける派なんだけどね」

キャッキャッアハハ

澪「……!」ピコーン!

澪(こ、これはツッコミどころじゃないか?ボケとしては大したことはないが、やるなら今だ!)

澪(よしっ!思いっきりツッコムぞ!)

澪「すーはー」

澪(拳を握って準備万端!くらえっ!澪パーン……)


梓「……じゃあなんで聞いたんですか?」

澪「……!?」

澪(梓!?……ツッコミというよりも律に質問をして私の出番をつぶしただと!?)

律「いやー、ずっと気になってたから」

唯「それって湯漬けじゃん」

律「まさか唯にツッコミをくらうとは。成長したな」

キャッキャッアハハ

澪「…………」パキッ

澪(チクショー!!)


澪(いや、待てよ。この話題に関してはムギも一切触れていないし、触れられてもいない)

澪(そうか、ムギの家ははお金持ちだからお茶漬けなんて食べないもんな)

澪(わかる。わかるよムギ。本当は会話に入りたいけど入れない……)

澪(悲しいよな。なあムギ……)

唯「ムギちゃんはお茶漬けにはなに茶かけるの?」

澪(なに!?ムギにお茶漬けについて質問しただと!?)

紬「麦茶かな?」

唯「ムギちゃんなだけに?」

澪(しかもダジャレかよ!)

律「唯くん、座布団二枚追加だ」

唯「はいよー」

梓「なんの寸劇ですかそれ」

キャッキャッアハハ

澪「…………」

澪(私の足、透けたりしてないよな?)

澪「…………」ズズ……ズ……

澪(あ、紅茶全部飲んじゃった)

澪(やることがないから、ずっと紅茶ちびちび飲んでたら……)

澪(いや、これはチャンスだ)

澪(ムギにおかわりを頼めば、自然に会話に入ることが可能のはずだ)

澪(よーし!)

唯「あ、ムギちゃん、紅茶のおかわりー」

梓「私もお願いします」

律「私もたのむー」

紬「ちょうどタイミングがいいからみんなの分いれちゃうわね」

澪(なっ……よりによってムギと席が近いせいで、私がなにか言う前にムギが紅茶をいれてしまった!)

キャッキャッアハハ

澪「…………」ズズズ

澪(……沈黙ティータイム……ふふ)

唯「気づいたらもう一時間くらい経ってるね」

紬「おしゃべりしていると時間を忘れちゃうわよね」

律「はは、ついついな」

澪「…………!」ピコーン!

澪(こ、これだ!これこそが私の出番じゃないか!)

澪(練習しなきゃダメだろって言えば……)

澪(律がもうちょっとあとにしようとか言ってごねるはず)

澪(そして私が必殺のグーでツッコミを決めれば……ふふふ、完璧!)

澪(これなら私の存在を存分にアピールできるぞ!)

澪(よし、今度こそ……)


梓「最近ミーティングばかりで練習していないからそろそろしっかり練習しましょう!」


澪(なかのおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっあずさああああああああああああああああっっっっ!!!!)


澪(いや、まだだ!まだ終わっていない!)

澪(ここで、そうだなと私が梓に同調すればいいんだ!)

澪(よし、やってやる!やってやるんだ!あきやまああああ!)

澪「す~は~」

唯「あずにゃん~もう少し、もう少し、お待ちくだせえ~」

梓「ゆ、唯先輩抱き着かないでください!暑いです!」

澪(……って、またかよおおおおお!)

唯「またまた照れちゃって~あずにゃんの照れ屋さん~」

梓「て、照れてません!」

紬「ふふふ、本当に二人は仲いいわね」

律「なんかこのやりとりもお約束だよなー」

キャッキャッアハハ

澪「…………」ポリポリ

澪(なんでそのお約束に私のセリフがないんだ?誰か理由を教えて……)


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