翌日!

律「澪のために新しい曲を作ったぜ!」

唯「えっ、りっちゃんが作ったの?」

律「いや、ムギが前に作った曲に歌詞を付けただけ」

紬「嬉しいわ、歌詞の無いまま放置されてる曲が結構あるから」

澪「それでどんな曲なんだ?」

律「曲名は『Heart Goes Boom!!』だ」

澪「たひゃ!?///」ピクッ

『喜怒哀楽 ジャズベのボディに 全部私が詰まってる
 春夏秋冬 二十四時間 うなるハートは無休
 Bo Boom Boom Boom Boom!!』

澪「いやっ、ひゃはぅんんんん!!///」ピ-ンッ

律「どうだ、喜んでくれたか?」ニヤニヤ



澪「……奇遇だな、私も新曲の歌詞を書いてきたんだ」ハァハァ

唯「澪ちゃんも?」

澪「ほら、この前ムギが作曲して、唯が途中まで歌詞を作ったやつ」

紬「あの曲が完成したのね、嬉しい!」

律「えーと、タイトルは何だっけ?」

澪「『Cagayake! GIRLS』だよ。Cメロから先が未完成だったからな」

『永遠にループする
 サイズ down↑ up↓ down↑ up↓
 でも気分いつでも
 up↑ up↑↑ up↑↑↑ & up↑↑↑』

律「おぉ、なかなかいい感じ……」

『Shining Shiner Shinyest
 Girls be ambitious & shine』

律「って、きゃははははぁぁぁぁっっっっ!?」ジタバタ

紬「最後のところ、リピート6回も……」

唯「何か凄まじいものを感じるよ、明るい曲と歌詞なのに……」

澪「どうかな、これ?」ニッコリ

律「ぜぇー、ぜぇー、ひゅー、ひゅー」ハァハァ

紬「りっちゃん、呼吸できる?」

律「な、何とか……」ハァハァ

梓「律先輩も澪先輩も、自分は無傷で相手だけ呪いが発動するような歌詞を……」

澪「いやー、そんなつもりは無かったんだけどなー」

律「あぁ、私も、ただ、澪のために、と思って……」ハァハァ

唯「2人とも、にらみ合ってて怖いよぅ」



梓(片方だけしか発動しないのは、正直まどろっこしい)

紬「りっちゃん、澪ちゃん、動機は何であれありがとう!」

唯「きっかけが何であれ、出来上がったものは本当にいいものだよ!」

梓(2つの言霊を考えると、最も効率的に呪いを発動させるには……)

律「何だよもう、人聞きの悪い言い方しやがって」

澪「まるで私が、のたうちまわる律を見たくて歌詞を作ったみたいじゃないかー」

梓「ブーンブンシャカブブンブーン♪」ボソッ

澪「にゃひぃぃっっ!!///」ピクピクッ

律「あっ、らめ、らぁぁっっ!!」ピクピクッ

紬「梓ちゃん!?」

唯「あずにゃん!?」

梓「あっ、すみません。つい口に出して歌っちゃいました……」



夜!

律「ただいま~」

聡「姉ちゃん、お帰り」

律「……何してんだ?」

聡「部屋の大掃除したら、色々懐かしいものが出てきた」

律「それ、いつまでも掃除が終わらないパターンだな」

聡「まぁまぁ。昔よく遊んでた、くだらないオモチャなんか眺めるのも楽しいよ」

律「気持ちはわかるけどな。んで、その手に持ってるのは?」

聡「スイッチを入れると、猿がシンバルを鳴らすやつ」

律「……待てっ、そのスイッチを入れるなぁっ!!」

聡「えっ?」カチッ

シャンシャンシャンシャン

律「ひゃははははははっっ!!」ジタバタ

シャンシャンシャンシャン

律「きひぃ、きひぃひひっっ!!」ジタバタ

聡「姉ちゃん、そんなに面白いのかよ……」

律「いや、ちが、そうじゃなくてぇぇっっ!!」ジタバタ

聡「気に入ったみたいだし、そのオモチャは姉ちゃんにあげるよ」

律「いら、いらな、ひぃぃっっ!!」ジタバタ

聡「じゃあ俺、部屋の掃除に戻るから」

シャンシャンシャンシャン

律「やっ、せめて、スイッチ切ってぇぇっっ!!」ジタバタ



律「……」ハァハァ

律「……笑い死ぬかと思った」

律「聡のやつ、たったひとりの姉を殺す気かよ」

律「……ふぅ」

律「認めたくないけど、ちょっと気持ちよくなってきた///」

律「……」カァッ

律「くすぐられ過ぎて、イカれ始めてるな」

律「……とりあえず」

律「この猿のオモチャは貰っておこう」

律「いや、観賞用、ただ机の上に置いておくだけだから!」

律「……誰に向かって言い訳をしてるんだ、私は」



翌日!

教師「……そして1912年、中華民国の樹立とともに清は滅亡しました」

澪(世界史は受験で使うから、ちゃんと勉強しないとな)

教師「この時に起こった革命を何と呼ぶか、真鍋さん」

和「はい、辛亥革命です」

教師「正解。では辛亥革命の中心人物で、中華民国を建国したのは……」

澪(孫文か、基礎知識だな。……って、それを発音されると困る!)

教師「後ろの席の、平沢さん」

唯「はい、えーと、そn」

チョンチョン

唯(んっ、どうしたの姫ちゃん?)

姫子(『ぶん』って言ったら、澪ちゃんが困っちゃうよ!)

唯(あっ、そうか!)

教師「……平沢さん?」

唯「そ、それじゃなくて、毛沢東かなぁ?」

姫子(ナイス回避だよ、唯ちゃん!)

澪(よくやった、ありがとう唯!)

教師「違います、孫文です」

澪「ん~~~!!!///」ピクンッ

澪(一瞬安心したところに、不意打ちだなんて!)

教師「どうかしましたか、秋山さん?」

澪「いえ、何でもありません……」ハァハァ

唯(結局、回避できなかったよ……)

姫子(仕方ないよ、唯ちゃんは頑張ったって……)

教師「毛沢東は、別の革命の中心人物ですね。何だかわかりますか?」

澪(わかるよ、わかるけど、それは言えない!)

教師「騒がしかった秋山さんに答えてもらいましょうか」

澪(ひぇっ、そんな!)

教師「基礎的な知識だから、わかる筈です」

澪「はい、えーと……」ドキドキ

澪(これを言っちゃったら、私、授業中に、みんなの前で!)

澪「ぶ……」ドキドキ

澪(えぇい、仕方ない、もうヤケクソ!)

澪「ぶんか、大かくめぇぇぇっっっ!!!///」ピクンピクンピクン

澪(あぁ、私、文化大革命でイっちゃったよぉ……)



キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン

紬「澪ちゃんは頑張った、頑張ったよ!」

澪「うぅ……」

唯「別に誰もおかしく思ってなんかないよ!」

澪「そんな訳ないだろ……」

律「とにかく落ち込むなって、元気を出せよ!」

澪「元気、出せないよ……」

澪(事情を知ってるみんなが優しくしてくれる)

澪(それが余計に惨めな気持ちになるよ)

澪「うぅ、今日はもう帰りたい……」



昼休み!

純「やっほー!」

梓「あぁ、純か」

純「突然ですが質問です! 梓はS? それともM?」

梓「んー、どっちかと言えばSだね」

純「なぁんちゃって、私は服のサイズを聞いただけでした~」

梓「……」イラッ

純「勘違いして答えてくれちゃったみたいだけどひべぇ!?」ギリッ

梓「うん、わかってたよ。服のサイズでしょ?」ニコッ

純「ほっぺた、ちゅねらにゃいでぇぇっっ!!」ギリギリッ

梓「サドって意味じゃなくてね、身体が小さいからSサイズかな、と思って」ニコニコ

純(サドだよ……。梓、あんたはサドだよ……!!)

梓「まったくもう。あんまりふざけた事ばっかりしてると、調教するよ?」

純「……えっ、調教?」

梓「それで、用件は特に無いの? 私、行くところがあるんだけど」

純「あれ、今の発言、サラッと流されちゃうの?」

梓「五秒以内に納得のいく返答が無かったから、もう行くわね」

純「ちょ、ちょっと待って、梓!」

梓「……何よ?」

純「この前の話、憂と相談してみたんだ」

梓「あぁ、そうなんだ。ありがと」

純「それで、結論としては……」



放課後!

エリ「ねぇねぇ、コーラ飲まない?」

律「おっ、サンキュ。でも珍しいな~」

エリ「えっ、何が?」

律「エリってコーラ大好きだから、手元にあったら全部飲んじゃうイメージ」

エリ「んー、これがペプシだったら自分で全部飲んじゃうな」

律「コカコーラは駄目なのか?」

エリ「駄目って訳じゃないけど、ペプシにこの身を捧げると誓ったからね!」

律「……じゃあなんでコカコーラ買ったんだよ」

エリ「アカネに頼んだら、赤いの買って来ちゃったんだもん」

律「そういう事ね。まぁいいや、ありがたく頂きます」ゴクゴク

澪「律、そろそろ部室に行くぞ」

律「ほいほ~い。エリ、ご馳走様!」

唯「ねぇ、ムギちゃん」

紬「ん?」

唯「今、この部室には私とムギちゃんしかいないよ」

紬「そうね」

唯「……やりますか!」

紬「はいっ!」

唯「ブーン☆ブン☆シャカ!!」

紬「ブブン★ブーン!!」

唯「ブーリ☆ブリ☆チャカ!!」

紬「ビガッ★ビガッ!!」

唯「……ふぅ、スッキリした~」

紬「久しぶりに部室でブンシャカしたわね~」

唯「澪ちゃんとりっちゃんがいると、こんな事できないからね~」

紬「私たちしかいない時、限定だもんね~」

ガチャ

澪「一体何を隠してるんだ?」

律「最後の方の会話しか聞こえなかったけど、仲間はずれは寂しいぞっ!」

紬「澪ちゃん、りっちゃん!」

唯「違うよ、2人がいない間にブンシャカしてただけだよ」

律「にゃははぁぅん!!」ピクンッ

澪「あふぁぁっっ!!///」ピクンッ

唯「あっ、またやっちゃった」

紬「こうならないように気を付けてたのに……」



澪「それにしても暇だな」

律「私たち、楽器も弾けない身体だからな」

唯「かと言ってブ……、『ミツバチ』も歌えないし」

紬「紅茶とお菓子でのんびりするくらいしか、やる事がないわね」

律「そうだ、私たちはのんびり紅茶を飲む事しかできない」ズズッ

澪「それって普段とあまり変わらないんじゃないか?」

律「いや、普段ならそろそろ、澪と梓が練習しようって言い出す頃だ」

唯「そう言えば、あずにゃんは?」

紬「まだ来てないみたい……」

ガチャ

梓「遅くなりました、今日はビッグニュースがありますよ!」

唯「あずにゃん、ビッグニュースって?」

梓「ふふふっ。この軽音部、私以外の皆さんは来年卒業してしまいますよね」

紬「そうね、寂しいけど……」

梓「そしたら部員が私一人になって、廃部になっちゃいますよね」

律「せっかく私たちが廃部寸前から建て直したのにな……」

梓「だから、新しい部員に入ってもらわないといけないですよね」

澪「梓、もしかして……」

梓「そう、軽音部に新しいメンバーの入部が決まったんですっ!」

唯紬律澪「おぉーーっっ!!」

梓「……まぁ、皆さんの予想通りのメンバーかもしれませんが」

律「確かに何となく予想はつくけど、紹介してくれよ!」

梓「まずベース担当、鈴木純です!」

純「どーも、失礼します……」テレッ

紬「ジャズ研でベースを弾いてる子よね、本格派じゃない!」

梓「続いてドラム担当、平沢憂です!」

憂「えへへ……」テレテレッ

唯「憂!?」

憂「ごめんね、お姉ちゃん。今日まで秘密にしておこうって約束したから」

唯「そうなんだ。えへへ、嬉しいなぁ、憂が軽音部に入ってくれて」

梓「そしてギター担当、中野梓。ひとまず3人いればバンドは組めます」

純「あとは何とかもう1人、部員を勧誘すれば……」

憂「軽音部は潰れないから、安心してください!」

唯紬律澪「わぁーーっっ!!」パチパチパチパチ



梓「じゃあ2人とも、準備して」

純「わかった。私のベースをアンプに繋いで、っと」

憂「律さん、ドラムセットお借りしますね」

唯「あれっ、何をするの?」

梓「入部の挨拶を兼ねて、この場で3人の演奏を披露したいと思います!」

澪「えっ?」

律「えっ?」

憂「お姉ちゃんに見つからないように、こっそりドラムの練習を頑張ったんだよ!」

純「入部するって梓に伝えたのが今日の昼休みだから、まだ3人で合わせてないんだけどね」

梓「まだバラバラかもしれないけど、今の私たちの演奏を聴いてほしいんです」

澪「えっ?」

律「えっ?」


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