澪「……失礼しまーす」

オカ研1「……どうぞ」

オカ研2「あなたを待っていた。田井中律の毛髪は持って来た?」

澪「はい、これ! 頭を撫でるふりをして採取したんだ」

オカ研2「それは、自然な動作の中で採取できたという意味?」

澪「そうそう。誰が見てもバッチリ自然な、私と律の普段のやり取りだった」

オカ研1「……そういう事にしておく」

オカ研2「では早速、田井中律に呪いをかける」

澪「うん、お願いします。えーと、呪いの種類は確か……」

オカ研1「……エンゼルフェザーと呼ばれる呪い」

オカ研2「言霊によって、田井中律は天使の愛撫に身体を包まれる」

澪「ありがとう。それで、その言霊は……」



その頃!

律「やっぱり部室は落ち着くなぁ」ダラダラ

唯「卒業してもずっとここに住みたいねぇ」ダラダラ

紬「あっ、それ素敵! 毎日が学園祭の夜みたいになって!」

梓「本当に住み着かないでくださいね……。ところで澪先輩は?」

唯「何か用事があるみたい。遅れて来るって言ってたよ」

梓「へぇ、そうなんですか……」

唯「だから澪ちゃんが来るまでブンシャカやり放題なんだよ!」

紬「ブーンブンシャカブブンブーン♪」

律「ひゃっ!!」ビクッ

唯「りっちゃん、どうしたの?」

律「唯、変なところ触るなよ~」

唯「えっ、私は何もしてないよ?」

律「……あれ、マジで?」

紬「澪ちゃんが来るの遅くなるなら、先にティータイムを始めちゃおうか」

唯「うん、そうだね。紅茶とお菓子をお願いします、ムギちゃん!」

紬「わかりました~。しゃらんら、しゃらんら♪」

律「きゃははははっっっっ!!!!」ジタバタ

唯「ど、どうしたの、りっちゃん!?」

紬「なんだか楽しそうね~。しゃらんら、しゃらんら♪」

律「ひぃっ、ひぃっ、やめてぇぇっっ!!」ジタバタ

唯「……りっちゃんが笑い転げている」

梓「まるで狂っちゃったみたいな笑い方ですね」

唯「……あずにゃん?」

梓「いや、映画に時々出てくるじゃないですか。ダークナイトみたいな」

唯「おーい、りっちゃん。狂ったの?」

律「ち、違うっての、バカ……」ハァハァ

梓「顔も真っ赤だし、涙とよだれが溢れてますよ」

律「う、う、うるさい!」フキフキ

紬「紅茶の用意が出来たわよ~。しゃらんら、しゃらんら♪」

律「ム、ム、ムギ! それ、やめて、きゃはははっっっ!!!」ジタバタ

紬「えっ、私?」

律「そう、ムギが歌うと、全身がこそばゆくて仕方ないんだ……」ハァハァ

紬「歌……って、しゃらんら♪の事かな?」

律「そ、それそれぇぇっっ!!」ジタバタ

紬「あっ、ご、ごめん」

律「それを聞くと、まるで、身体中を誰かにくすぐられているような感覚が……」ハァハァ



唯「落ち着いてきたら、紅茶でも飲みなよ」

律「あぁ、ありがとう……」ズズッ

唯「ムギちゃん、今日のお菓子は何?」

紬「ラング・ド・シャーよ!」

律「きゃひひひひ、きた、来ちゃったぁぁっっ!!」バチャン

唯「うわっ、いきなり!?」

律「や、や、やめてぇぇっっ、助けてぇぇっっ!!」ジタバタ

梓「紅茶がスカートに溢れて、律先輩がお漏らししたみたいですね」

律「うる、ひゃい……」ハァハァ

紬「私、タオルを持って来るわ!」

律「おっ、お願い、ひまひゅ……」ハァハァ

唯「ねぇ、あずにゃん?」

梓「はい」

唯「この症状、やっぱりアレかな?」

梓「……呪いでしょうね。澪先輩の呪いとは、種類が違うみたいですが」

ガチャ

澪「やぁ、遅くなったな」ニッコリ

紬「澪ちゃん、りっちゃんが大変なの!」

澪「という事は、成功したみたいだな」

律「澪、お前、まさか……」ハァハァ

澪「悪いな、律。昼休みの仕返しをさせてもらったぞ」

律「だから私は無実だってばー!」

梓(面白くなってきた……)ニヤリ



唯「澪ちゃん、これってやっぱり呪いなの?」

澪「その通りだ。私の呪いと同じように、一番軽くてすぐ解けるやつ」

律「すぐって言っても10日くらいだろ、長いって……」

澪「それは私だって一緒だ!」

梓「でも澪先輩の呪いと、効果がちょっと違う?」

澪「あぁ。エンゼルフェザーと言って、全身を天使の羽根で撫でられる感覚だとか」

律「私がくすぐり苦手だって知ってるから、それを選んだだろ!」

澪「あれー、そうだったっけ。忘れてたよ、ハッハッハ」

律「くっそー、澪めっ!」

澪「ちなみに鍵となる言霊は……」

梓「言霊は……」ゴクリ

澪『Sha』

律「また、また、やはははっ、やびゃいぃぃっっ!!」ジタバタ

紬「りっちゃん、大丈夫? はい、このタオルを使って」

律「ありがと、ムギは私の天使だよ……」ハァハァ

紬「えへへ、どう致しまして」

律「まぁ今の私にとって、天使の羽根は凶器でしかないんだけど」

紬「えーと、喜んでいいの、私?」

律「このまま、やられっ放しのりっちゃんだと思うなよ?」

梓(律先輩の目に、復讐の炎がメラメラと……)

律「なぁ、唯!」

唯「ほえ?」

律「一番好きなコンビニは?」

唯「んーと、セブンイレブンいい気分♪」

澪「ひゃはぁぁっっ!?///」ピクンッ

律「よし、ヒット!」グッ

澪「は、反撃、だと……」ハァハァ

唯「あわわ、やっちゃった。澪ちゃんごめん!」

律「……次は、そうだな、みんなで練習しようぜ!」

澪「なっ!?」

律「もうティータイム終わりだからな、早く準備しろ~」ニヤニヤ

梓(律先輩、普段からそんな姿勢だったらいいのに)

律「さぁ澪、ベースを持て! ドラムは準備万端だぞ!」

ドコドコチンシャ-ン

律「って、きゃはああぁぁっっ!?」ビクンッ

紬「どうしたの、りっちゃん!?」

律「……えっ、何だよ、これ」ハァハァ

澪「まさかとは思ったが、本当にそうみたいだな」

唯「えーと、どういう事なの?」

澪「楽器の音でも言霊として認識されるのは、知っての通りだからな」

唯「つまり……」

澪「おそらくシンバルの音が『Sha』の言霊として機能して、律の身体は……」

律「くすぐったひぃぃっっ!!」ジタバタ

澪「私に攻撃するつもりだったんだろ、自業自得だ」

梓「結局、自分だけ苦しい思いをするなんて。間抜けですね」

律「うぅっ、言いたい放題言いやがって……」ハァハァ

梓「それで律先輩、練習を始めるんでしたっけ?」

律「する訳ないだろっ、もう帰るっ!」グスン

梓(あっ、とうとう泣いちゃった)


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