唯「斎藤さんや他の若い衆の人たちの傷は打撲痕が中心だけど、
  ムギちゃんのお父さんは創症しかなかった。」

唯「つまり、犯人の目的はムギちゃんのお父さんだけだったんだよ!」

律「唯…お前…」

梓(唯先輩のキャラ違いません?)

澪(まあ唯にはアスペルガー疑惑があるからな。
  ビル・ゲイツやアインシュタインもアスペらしいし…)

斎藤「確かに…。平沢お嬢さんの言うとおり。
   夜叉サワの奴は、おやっさんのセダンを止めたあと、真っ先におやっさんに向かっていきやした。」

唯「でもね、普通に考えたら大将の首を取るのが常道だけど、ちょっと不思議なことがあるんだ。」

斎藤「というと?」

唯「斎藤さんの話やみんなの傷から考えると、その夜叉サワって人はそうとうの使い手だよ。」

唯「けれど、ムギちゃんのお父さんは致命傷を負ってない。
  さっき看護婦さんに確かめたけど、お父さんが意識不明なのは、
  怪我のせいというよりもそれによるショックが原因なんだって。」

唯「犯人は、ムギちゃんのお父さんを殺すつもりはなかったってことになるよね。
  その意図はまだわかんないけど…」

律(誰だよコイツ…)

梓(やばい唯先輩かっこいい…少し濡れてきちゃった…)ジュン…

紬「唯ちゃん…」

紬「斎藤、その『夜叉サワ』っていうのは何者なの?」

斎藤「山中会の会長の一人娘…らしいんですが…」

律「むすめぇ!?女の人が一人でこんな…」

斎藤「拳銃は使わずに長ドス一つで、抗争を渡り切る。
   腕前は平沢お嬢さんがおっしゃった通りです。」

斎藤「関西の名だたる極道の何人かをその手にかけた…
   名うてのヒットマンならぬキラーウーマンです。」

唯「まさに人切り…だね…」

斎藤「とは言っても、確かに夜叉サワが人を殺したことはありやせん。
   極道として再起不能になった奴はいくらでもいやすが…」

唯「とにかく、ムギちゃんのお父さんがこれ以上何かされることはないはずだね。」

律「ああ…でも…」

澪「ムギ、しばらく私の家に来ないか?色々気疲れもあるだろうし…」

紬「澪ちゃんありがとう。」

紬「けど、ごめんね。こんな時こそ、私がお母さんや組のみんなの側にいないと。」

紬「おっとりぽわぽわな私でも…みんなのために…」

斎藤「お嬢さん…」

澪「ムギ…」

唯(りっちゃん…)

律(なんだ?)



~山中会本部事務所~

山中会若頭「お嬢さん、○○先生がお見えになりました。」

「束渡して帰って頂きな!」

若頭「お嬢さん、左腕の傷を診てもらわねえと…」

「んなもんウィスキーぶっかけときゃ直る!」

若頭「…」

「無駄口叩く暇あったら、ウィスキーのおかわり持ってきな!」

若頭「へい…」



ゴクッ…ゴクッ…

「…」

「つっ…」

「足りないわ…」

ゴクッ…ゴクッ…

「…」


「ムギ…ちゃん…」




「ごめん…ね…」



~次の日、部室にて~

律「ムギ、いいのか?学校休まなくて?」

紬「私もそのつもりだったんだけど、お母さんが行きなさいって。」

律「そっか…」

唯「律ちゃんムギちゃん!今日は私がお菓子持ってきたよ~!」

律「おいおい…大丈夫だろうな?」

唯「だいじょぶだいじょぶ!」

澪「…お、駄菓子か。たまにはいいかもな。」

ガラッ…

さわ子「…」

唯「さわちゃん?」

律「遅いぞー…て、左腕怪我したのか?」

さわ子「ちょっとね…」

さわ子「聞いたわ…ムギちゃん…」

紬「!」

さわ子「お父さん…のこと…」

紬「はい…昨晩遅くに意識を回復して…もう少ししたら病院に行くところです。」

さわ子「そう…」

全員「…」

律「でもさ、ムギは強いよな。お父さんや家が大変でも、こう基本どっしりしてるというか…
  ヤクザものの漫画とか読むとさ、ムギのポジションの奴はたいてい悩んで悩んで…てのばっかりじゃん。」

澪「律!」

紬「いいのよ、澪ちゃん。」

紬「中学のころ、少し悩んだ次期もあったけれど…」

紬「でも、私にとってはそれが普通なんだし、組のみんなのことも大好きだし…」

律(極道漫画でよくある展開だけど…けど…)

さわ子「…」

紬「私は自分のできることでみんなの役に立ちたいと思うの。」

さわ子「…」



紬「あ、そろそろ行かないと…」

唯「私たちも行っていい?」

紬「もちろん!」

澪(もう怖いお兄さんには慣れたはず…)

梓「わ、私も行きます!」

さわ子「所用があるから、鍵は閉めないでいいわよ。」

律「そっかー。じゃ、さわちゃん、また明日ー!」

唯「じゃーねー!」

澪「失礼しまーす。」

梓「お疲れ様です。」

紬「失礼します。…それと、わざわざありがとうございました。」

さわ子「ええ。さようなら…気をつけて…ね…」



さわ子「…」

さわ子「う…うぅ…」

ガタッ

さわ子「う゛う゛う゛……」

さわ子「う゛゛……」



さわ子「ただいま。」

若い衆「「「お帰りなさいやし!!」」」

若頭「お嬢さん、お勤めご苦労さんです。」

さわ子「夕飯は食べてきたからいらないわ。」

若頭「お嬢さん、実はもうすぐ来客が…」

さわ子「誰?」

若頭「上から本部長が…」

さわ子「!?」



ここで解説。ヤクザ組織に詳しく無い人もいると思うので。
ヤクザの組織は縦割りで、一次組織、その下に二次組織(子)、三次組織(孫)…というようになっている。
カタギのグループ会社や持株会社以下の組織と同様である。
このssの設定では、山中会は二次組織で、さわ子の父親は一次組織の大幹部ということにしたい。

某日本最強の広域暴力団を参考にすると、

組長

若頭

本部長

舎弟頭

の順になる。
さわ子の父親は、No.4の舎弟頭ということでいきます。



本部長「さわちゃん、久しぶじゃーの!」

さわ子「○○の小父さん、お久しぶりです。」

本部長「山中の、お前さんの親父さんを見舞ってきたが…」

さわ子「もう半年も持たないでしょう…ね…」

本部長「山中の兄弟とは若い頃からずいぶん暴れんまわったもんだったが…」

本部長「獅子も病に倒れてはの…」

さわ子「…」

本部長「ついては、山中の親父の跡目のことじゃが…」

さわ子「うちの若頭の○○じゃいけませんか!?」

若頭「お嬢さん…」

本部長「それは難しいな。こいつは一度本部から破門を食らった身じゃからの。なあ?」

若頭「へぇ…面目次第もねぇこって…」

本部長「てなわけやし、なにより、本部の大幹部どもはさわちゃんの度量に期待しとる。
    もちろん器量にも人一倍な…げっへへ…」

若頭「ギロ…」

本部長「う、うむ、タダな、一つ条件がな…」

さわ子「条件?」

本部長「はっきり言おう。琴吹組の組長と幹部2、3人のタマとってほしいんじゃ。」
さわ子「…」

若頭「つまり殺れ、と。」

本部長「その通り。」



本部長「ふぅ…ガキが…。骨が折れるわな。」

舎弟「おやっさん」

本部長「おう!山中のガキのカチコミん日決まったら速攻でサツにゲロったれや。(注・警察に密告してやれ)」

本部長「わしはなあ、山中のタコもその娘も昔から気にくわなかったんじゃ」

本部長「これでわしは何年か後には、晴れて日本ヤクザのドンじゃ!」

本部長「わしはヤクザ王になったるでぇ!!」







『…はヤクザ王になったるでぇ!!』

憂「どうやら黒幕がはっきりしたようだね。」

和「唯、どうするの?」

唯「とりあえずこっちも守り堅めないと~…あ~ピザおいしい~!」

和(何枚食べても太らないんだから…殺してやりたいわ…)


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