理解出来なかった…助かるのに死を望む?確かに不自由になるに決まってる…好奇な目で見られるだろう

和「澪…そんなこと言わないでよ。大丈夫、澪が嫌がるような奴らは私が追い払ってあげるから。唯もきっと協力してくれるわ」

澪「そうだな、そうしてくれると嬉しいな」

和「だから死にたいなんて言わないで一緒に帰りましょ?」

澪「和…私はね、律を一人ぼっちにしたくないんだ」

和「………」

澪「あの世がもしもあるならムギはきっと律とは一緒のところには行けないだろうな…律を一人にしたら天国は滅茶苦茶になっちゃうからなッ…あいつがバカした時の為に私も一緒に行かなくちゃな」

馬鹿げている…死語の世界なんて不確かな物の為に…でも馬鹿になんて出来ない、もし澪と同じ境遇で律を唯に置き換えたら……澪の首に手をかける。覚悟を決めたのか澪が目を瞑る

澪「痛いのとか苦しいのは嫌だからな……一思いにやってくれよ」

力を込める…澪の目が開き口元が歪む…顔が赤くなり…目に涙が貯まっていく



紬「うふふ……じゃあみんなで死んじゃおうかしら」



思わず澪から手を放す…澪は大きく咳き込み口の端から涎が垂れる

澪「ムギ……生きてたのか。和もぅいい、行ってくれ」

ムギは倒れたままの姿でスカートのポケットから小さい小箱を取り出した…箱には小さなボタン…嫌な予感しかしない。

澪「和、さっきの願いはなしだ…私を置いて逃げてくれ…頼む」

ムギがボタンを押す…すぐにどうこうなる訳でもないらしく部屋の出口へ向かう。ムギの脇を通り抜ける瞬間、寝返りをうつようにムギが足を掴む…盛大に倒れる、掴まれてない方の脚でムギの顔面を踏みつける…そんな中でもムギは恍惚の表情を浮かべ続けている

ムギ「アハッ…いいわ和ちゃん、キュンキュンくるわ~」

変態め、埒があかない…辺りを見回し手を伸ばせば届く距離に禍々しい武器が光る…迷わない、武器を握り上体を起こしムギの腕に振り下ろす。鈍い感触が伝わり拘束が解ける…迷わず部屋から飛び出し地上へ向かう



紬「最後のは凄く良かったわ~気持ち良すぎて意識が飛んじゃったみたいなの」

左腕から血を垂れ流し血の泡を噴きながらムギが近づいてくる。あんなに血をみるのが怖かった私だったがホラー映画に出てきそうなムギを見ても何故か怖くはなかった。部屋の壁にヒビが入り今にも崩れそうだ

ムギ「生き埋めとか焼け死ぬのは辛そうね」

澪「そうだな、ムギ頼めるか?」

ムギの手に凶器がある…目を瞑る…



刃が首に食い込み胴体と切り離されるまでの瞬間に夢を見た。いつもの放課後いつもの部室

律「遅いぞ澪~」

澪「悪い悪い……みんなは?あれ、憂ちゃん?」

憂「こんにちは澪さん」

律「さわちゃんもすぐに来るけどなんか反省文書かされてるみたいだぜ?生前の行いが悪いせいだよなッ」

憂ちゃんはクスクス笑っている。律も私も釣られて笑う…いつか唯もここに来るだろう。ずっと先の未来、ムギの罪も洗い流されここに来れたならまた四人でバンドが組めたらいいな…楽しみだな



建物から出た後の記憶はあまりない、崩れ落ち燃えさかる建物から少しでも離れるようによろめきながら進む……サイレンが聞こえる、土の上に突っ伏して目前に誰かいるような気がした…そして意識をなくす

次に目が覚めたらそこには白い天井があった。起き上がろうとすると激痛が走る、可能な限り辺りの様子を探るとそこは病室らしかった。

意識を取り戻したのがわかるのか医師と看護師が現れた…そういえば地下にいたあの医者はどうしたんだろう、問診の内容よりそんなことばかりが気になった

あの後、病院に運ばれた私は三日ほど眠り続けたらしい。病院から連絡を受けたのか刑事を名乗る中年たちが訪れた

あの建物から発見された遺体は四名分、一階の担架にあった憂ちゃん、そして地下の部屋にあった遺体は焼け焦げて損傷が酷かったが検死の結果で澪、律、ムギと判断されたらしい。ムギの遺体は燃え盛る火から二人を庇うように両手で抱き締め覆い被さっていたという

世界的な財団のスキャンダルにテレビはこぞって特番を組んだが不自然な程に騒ぎは鎮火していった

なんとか松葉杖で動けるようになった私は唯の病室に向かう…処置が早かったせいかまったくの元通りとはいかないが時間をかければ日常生活には支障が出ない程度には回復するらしい

個室とはいえ一般病室の私と違い唯はまだ集中治療室にいた。窓をノックする、気づいた唯がこっちを向き笑顔で手を振る

悲しくないはずがないのに無理に元気を装う唯を見るのは痛々しい…手を振り返し病室を後にする。

大丈夫、時間をかけていけば二人でまた心の底から笑い合える日々が遅れるはずだから



おしまい






夜中にふと目が覚める…看護師の見回りだろうか?廊下に足音が響く。電灯で部屋の中が照らされる

眩しさを不快に布団を頭まで被り瞳を閉じる

電灯が消え足音が近づく…別に珍しいことではない、最近まで面会謝絶するほどの怪我を負っていたのだから…まぁすぐに出ていくだろう

続けて滑車が付いた担架が入ってきた…異変に気付き布団をめくる。腕を押さえつけられすぐさま注射を射たれる。意識はあるのに身体の自由が効かなくなる。担架に移され廊下を運ばれる

暗闇の中で目を凝らす…わざわざナースの格好をしたムギと白衣をまとった斉藤さん

ムギ「和ちゃん、怖がらなくていいわ~」

和「ムギ…なんで生きてるんだ?じゃああの死体は?」

ムギ「うふふ、後で教えてあげるわ~」

和「唯、唯も拐うのか?絶対にさせないからッ」

ムギ「唯ちゃん?うふふ…もうペットはいらないわ~今度は親友が欲しいの…斉藤から唯ちゃんと和ちゃんの絆を聞いたの。そういうのすっごく憧れるわ。和ちゃん…私達きっと親友になれると思うのよ。これからはずっと一緒…楽しみだわ~ね、和ちゃんもそう思うでしょ?」

狂っている…叫びたいのに…怖くて声をあげられない…夢なら早く覚めて…そう願った

本当のおしまい



おわりです。
ほんとうにぐだぐだとすみませんでした。御支援、御批判、御叱りは次回の糧にさせて頂きます。保守の方にも重ね重ね感謝致します

あと本当にvipは変態ばっかりだな