桜ヶ丘高等学校理事長室

理事長「海原先生、この度は先生御自らお出でいただき、
    まこと感謝の念に耐えません。」

雄山「いやいや。若年者が美や文化を省みる機会に
   参与できるというのは…」

雄山「私としてもこの上なく名誉なことです。」

雄山「昨今はテレビをはじめとしたメディアが
   文化の主たる采配者となり…」

雄山「ために、若者達の美観や文化に対する考え方は、画一的で浅薄、
   市場中心的なものと益々なっていますからな。」

理事長「はい、私ども教育に携わる者としましても、
    その点につきまして、如何様に生徒達を導いてゆけばよいかと
    日々行きつ戻りつを繰り返す有様でして…」

雄山「理事長、ご謙遜めされますな!
   桜ヶ丘高校の教育指針、そして生徒達の活気ある精研励む態度については
   私も常々耳にしておりますぞ!」

理事長「先生にそういっていただけますと、この上もなく嬉しく…」

コンコン…

「失礼します。」

教頭「理事長、そろそろ…」

理事長「わかりました。
    では、海原先生、早速参りましょうか。」

雄山「はい。」



桜ヶ丘高校講堂

雄山「桜ヶ丘高等学校の皆さん、はじめまして。
   海原雄山でございます。」

雄山「今日というよき日に、皆さんに対し拙話をする機会を賜りまして、
   私も、この上なく、喜ばしい次第でございます。」

雄山「さて、皆さんは、ここ京都の…」



-20分後-

雄山「京都は、懐石や友禅といった、広く膾炙している…」

くぅぉ~…ぐぐ…ぐぅぉぉぉお~…

雄山「!」

理事長(教頭先生これは!?)

教頭(は…い、居眠り…のようで…二年生のほうから…)

校長(…)

雄山「グォッホン!!」

雄山「…膾炙したものだけに囚われますのは、
   まるで上澄みだけを掬う如く…」

ぐぅぉおお……ういぃぃ…もう…たべれ…な…

憂「!!」

梓「!」

澪「!」

紬「ハッ…ゆいちゃん!」

律「zz…」

さわ子(まさか…)

雄山「ブチッ」

雄山「誰だっ!!居眠りをしているのはぁぁぁ!!!!」

紬「唯ちゃん!唯ちゃんっ!!」

唯「…ふぇ?おふぃる…ごはん?」



雄山「貴様かっ!?」

唯「ひっ…」

雄山「名はなんというっ!?」

唯「に、にねん二組軽音部所属メインギター担当
  平沢唯と申すものでございますですっ!!」

雄山「けいおんぶ…?」

雄山「なんだそれは!?」

唯「え?」

中川(先生…いわゆる…ロックなどの演奏を行う
   ための部活動でございます…)

雄山「ロック…だとっ!!!」

雄山「やかましい陶酔のみを売りにする誤魔化し音楽に
   興じているというのか貴様はっ!?」

唯「え…えっ…(汗)」

雄山「そのようなくだらない物を視聴するだけでもバカ者のすることたるに…
   のみならず演奏に興じているとは大バカものだっ!!」

雄山「このたわけめっ!!」

唯「ブチ」

唯「だってオジさんの話がつまらないんだもん!!」

雄山「お…おじ……つまらないだと!!??」

唯「入学式や卒業式の偉い人の話とおんなじだよ!!
  エラそうにしてるだけで、ぜーんぜん!!タメになんかなんないもん!!」

雄山「!!!!!!!!!!!!!!!!」



雄山「理事長!すまんが帰らせていただきますぞっ!!」

雄山「中川っ!!」

中川「ハッ…」



理事長「ブクブク…」

教頭「理事長!しっかりなさってください!!理事長ーーーー!!」



放課後、音楽室

さわ子「理事長先生はそのまま病院に搬送されたわ…」

梓「(唖然)…」

唯「う…うぅ…めんもくしだいもごぜぇません…」

さわ子「さっきまでの職員会議でも、
    停学とかの処分は下されなことに決まったけれど…」

律「ふぅ…なら軽音部の活動には問題な…」

さわ子「かわりに軽音部を廃部にしろっていう意見が大勢を占めてね…」

唯「!!」

紬「軽音部は関係ないじゃないですか!」

さわ子「日本を代表する文化人にして将来は人間国宝確実な人に向かって
    桜校軽音部を宣伝しちゃあ…そりゃね…」

唯「うぅ…みんな…ごめんね…」

澪「は…はいぶ…」

梓「ど、どうしよう…」

唯「うう…死んでお詫びを…」

律「このバカちんがっ!なに言ってんだよ!?」

紬「私、なんとかできるかもしれない!」

紬「お父さんの知り合いなんだけど、海原さんと
  親しくしてらっしゃる方がいらして…」

さわ子「私にもアテがあるわ。母方の親戚の伯父さんに、
    東西新聞社の文化部で働いている人がいるから、
    何とかお願いしてみましょう。」

唯「う…び…みんな…」



京極邸

紬唯律澪梓「「「「「おじゃまします。」」」」」

紬「京極の小父さま、お久しぶりです。」

京極「紬ちゃん、いらっしゃい!何年ぶりやろな~?
   こない綺麗になって…」

紬「今日はわざわざ時間をとらせて…本当に申し訳ありません…」

京極「ええねんて!紬ちゃんのお父はんには世話になっとるし。
   なにより、困っとる若人をほってはおけん!」

唯「うう…ありがとうございます!ありがとうございます!」

京極「でな、電話で軽く聞いたが、詳しく話してもらえるか?」

紬「実は…」

京極「海原さんとそないなことが…」

唯「ウッ…ウウ…」

京極「海原さんは、筋を通すことをことに大切にされるが、
   度量もまた人一倍なお人や。ただな…」

京極「大勢の前で海原さんを侮辱したあってはの。
   自尊心の塊のような海原さんを…」

京極「しかも、琴吹家のもんが関わってるとあってはな…」

紬「…」

澪「ムギ?海原さんと何かあったのか?」

紬「ウチのお父さんが、昔のことだけれど、
  海原さんのやっている料亭、『美食倶楽部』の会員だったの…」

「「「「!!!!」」」」

紬「お父さんは、海原さんと親しくさせて頂いてたんだけど…」



紬父『海原先生っ!あなたは何もわかっていない!』

紬父『なぜ沢庵の着色料まで拒絶されるんですか!?』

雄山『斯様なこと態々口にするまでもないことっ!
   当倶楽部会員のあなたなら重々ご理解できるでしょう!?』

紬父『日本人は、あの濃い黄色に親しんで現代を生きてきたんです!
   あれには…国民の思いと歴史が秘められているんです!!』

雄山『くどい!!所詮、あなたも俗物だったということか…
   出て行け!!二度とここの敷居を跨ぐなっ!!』



紬「ということがありまして…」

律「なんか…あんまり…すごい…くない話だな…」

梓「…」

京極「お二方両方の気持ちも理解でるんやが…
   今回、事態がこうもなるとな…」

唯「ウウーーー!ここはわたじが…このはらかっさばいて…」

京極「お嬢さん、まあ待ちなさいて。
   まだ、すべて道が途絶えたわけではない。」

唯「え゛?」

京極「わしは海原さんの第一の弱点と仲がよくての。」

澪「第一の弱点…?」

京極「海原さんの…息子さんや。」



数日後 東西新聞社

富井「うんうん…わかったァ!!かわいいさわちゃんのためだ!!」

富井「伯父さんにまかせなさい!!
   うちの新聞社はそういうときのために便利なの飼ってるんだから!」

富井「大船に乗ったつもりでね!!
   うんうん…お父さんとお母さんにもよろしく!」

ガチャン!

富井「山岡ァ!!!山岡はどこだ!?」

荒井「副部長うるさいですよ!!」

富井「ア…アア…スイマセン…」

富井「あ、荒井君、山岡君はどこ…かねぇ…?」

荒井「応接室ですよ!副部長!部下の居所すら把握できてないんですか!?」

荒井「はぁ…」

荒井「それに比べてウチの人なんかですね!…アーダコーダ…ブツブツ…」

富井「ハ…ハイ…」



富井「山岡めぇ…お前のせいでお局様第一号に
   搾られちゃったじゃないのぉ!ブツブツ…」



応接室前

富井「やーまおかァ!!入るぞぉ!!!」

ガチャ!!

京極「!」

大原社主「!」

小泉局長「!」

富井「あ…あれぇ…」

山岡(あーぁ…)


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