紬「そう。正解」

澪「……」

澪は目の前が真っ暗になっていくかのような錯覚に襲われた。
ムギによって梓もこれからプレイを受けるのか。
あるいは、既に……。

澪「どうして梓まで……」

澪は幽霊のように力の抜けた喋り方で尋ねた。

紬「梓ちゃんはあれでスゴイ寂しがり屋だから、ね。仲間に入れてあげなきゃ」

紬が踵を返した。

紬「梓ちゃんが来るまでにまだ時間がかかるから、少し休憩しているといいわ。
  私も少し休憩したいし」

紬は最後にそれだけ言うと部屋を出て行った。

部屋には紬の部下の男たちと澪と律だけが残った。



紬は扉を閉めると、ポケットから携帯電話を取り出す。執事に電話をかけると自らの用件を伝える。

紬「もしもし。私よ」

斎藤『なんでしょうか、紬お嬢さま?』

紬「明日までに用意してほしいものがあるの」

斎藤『なんでしょうか?』

紬「まず新しいパンティと消臭剤。それからウォッカ……アルコール度数は、60ぐらいでいいわ」

斎藤『お酒は二十歳になってからです』

紬「そうね、お酒はやめるわ。……ああ、あと壺もお願い」

斎藤『かしこまりました』

紬「そして最後に牛二頭」

斎藤『フェラチオの雄牛のことでしょうか?』

紬「いいえ。本物のお牛さんよ」

斎藤『わかりました』

紬「じゃあよろしくね」

紬は自分の用件だけを伝えるとさっさと電話を切った。
紬の足取りは実に軽やかだった。



澪「…………」

澪は呆然と寝盗られた幼なじみを眺めていた。

当たり前の話だが彼女は別に澪と付き合っているわけではない。

だけど紬が寝盗ったのだ。

澪「律……」

律「……なんだ」

マットに俯せの状態で転がる律の肌は汗ばんでおり、いつもの元気な律の面影などまるでなかった。

澪「律……」

律「……なんだ」

返事はある。しかし、澪はもう一度「律」と呼びかける。

律「……だからなんだ」

それでも律は反応してくれるので、澪が近づこうとすると不意にけたたましく電話が鳴った。

紬の部下の電話だった。男は数十秒会話を交わすとすぐに電話を切る。

そうかと思えば男はいきなり律に歩み寄ると、彼女を担いだ。

澪「り、律をどこへ連れていく気……?」

男は澪を一瞥こそしたがすぐさま扉の向こう側へ消えていった。

澪「…………!」

澪が驚愕に顔を強張らせる。

紬「どうしたの澪ちゃん。そんなに驚くようなことでもあった?」

澪「……」

梓の顔はパッと見ただけで何されているのかわからなかった。

が、


澪「目が、目が……」

澪は湧き上がる衝動のあまり座り込む。足に力が入らない。

紬「ああ、梓ちゃんの目?」

澪とは対照的に紬がつまらなそうに答える。



澪「ゴルゴ13のアイマスクが……!」



澪の言ったとおりだった。

梓の目はゴルゴ13のアイマスクで覆われていた。

つまり物を見ることができないのだ。



その力強い眼力は、いくつもの死線を抜けてきた眼だ。

しかしこれゴルゴ13のアイマスクだ、別に梓が死線を抜けてきたわけではない。

つまり、このゴルゴ13のアイマスクを付けるという残虐非道な行為がされてから、それなりの時間が経過しているということだ。

澪は自分が総毛立っているのを感じた。

澪「な、なんでこんなひどいことができるの?」

紬「ひどい? どうしてひどいの?」

紬が首を傾げる。とてもあのようなプレイを梓に施した人間の仕種には見えない。

紬「だって梓ちゃんが言ったのよ。恥ずかしいから目を開けたくないって」

澪「どういう意味だ?」

紬「そのままの意味よ。私が――」

紬は自分を指さす。

紬「――梓ちゃんの上瞼と下瞼を押さえさせたの。目を閉じれないようにするために」

紬がつまらなさそうに言う。

紬「すごく地味なプレイ――ていうかプレイですらないわ――なのに泣き叫び出したから、今度は目を開けても見れないようにしてあげたの」



澪は寝台で眠っている梓を見た。
少なくとも今は安らかに寝ているように見える。
だが、梓は目を覚ましたらいったいどうなるのだろうか。

泣き叫ぶのだろうか。なんの反応も返さないかもしれない。

紬「せっかくだから澪ちゃん。梓ちゃんのかぶってるシーツをはがして」

澪「……」

紬「早くしてくれないかな? 早くしてくれないと……」

紬の両目が猫のように細くなる。

澪は慌ててシーツをはがした。

澪「……っ!」

澪は顔を引き攣らせる。

梓は裸だった。健康的な白さを持っている肌は今すぐにでも舐めたくなるほど肌理細やかな状態である。

まず澪の目に入ったのは、梓の胸だった。

梓の無い胸には赤ピンクのかわいい乳首がポツンと自己主張していた。

紬「ああ、梓ちゃんの乳首? なんとなく梓ちゃんの胸を見てたら舐めたくなったから」

紬は人差し指で虚空を舐めた。

紬「百回ぐらい、それぞれの乳首舐めちゃったの」

紬はそこで、ぽん、と手を打った。

紬「そうだ! 昨日、梓ちゃんとプレイしたときの映像があるの」

紬は邪気を全く感じさせない笑顔で澪に尋ねた。

紬「最初からだけど……見たい?」


見たい

そんなことを言えるほど澪は勇敢ではなかった。
まして相手はとんでもない、人間の皮を被った変態。


澪「ちょっと見たい」

紬は嬉しそうな声を出した。今にも踊りだしそうだった。

紬「うふふ、じゃあさっそく見ましょ。途中ぐらいから見ましょ」

紬は壁に備えられたテレビの電源をつける。

テレビの画面の中には普通のアイマスクをされて寝台に革ベルトで身体ごと拘束された梓がいた。

澪は小さく息を呑んだ。が、すぐに澪の表情が怪訝そうなものに変わる。

梓は特になにもされていなかった。

唯一されているのことは、耳を舐めているということだけだった。

梓の耳を、紬がひたすら舐めている。

それだけ。

いったいこの行為のどこがプレイなのだろうか。
澪が恍惚とした表情を浮かべる紬に視線を移しかけた瞬間だった。

 『あ、あ、い、いやっ……』

そんな聞き慣れた声が聞こえた気がして、澪は寝台で眠っている梓を振り返った。

梓は未だに眠っている。

ではあの声はどこから聞こえたのか。

 『ぁ、ぁぅ、舐めないで……舐めないで……舐めないでぇ……』

それが映像の中の梓の嗚咽と気づいたときには、梓の声は嬌声に変わっていた。

梓『ぁんんんっ、ひゃう…はぅ…あ、ああ、ああっ』

澪にはなにが起きているのか理解できた。梓は耳が弱点だ。


紬「ふ、ふ、ふ、ふふふ……」

紬が本当におかしそうに唇の端をつりあげる。

紬「澪ちゃん、不思議に思ってるでしょ? どうして梓ちゃんがあの程度のことで感じているのか」

紬が背中に壁を預けた体制で言う。

澪「耳が性感帯なんだろ」

紬「あぁそうね。目隠しされてあれをやられると興奮するの
  好きな人はあんなふうになるみたい。耳が性感帯の人は初めてだからこんな反応になるなんて知らなかった」

紬『梓ちゃんイキそう?』

映像の中の紬が言った。映像の中の紬の右手にはミニローターがあった。

澪はすでにわかっていた。というより、わかりきっていた。これからまた始まることが。

極めて変態な行為が。

紬『梓ちゃん』

梓『いやぁああんん帰りたいもうこんなのやだああむぎせんぱいいいぃっ』

紬『……はあ、まったく。ゴルゴ13のアイマスクにしたのに……』

紬は泣き叫んで大きく開いた梓の口を自らの唇で強引に塞ぐ。

梓『んぐっ……』

紬『……んっ、黙って。そうじゃないと梓ちゃんに私の聖水を飲ませるわよ?』

梓『ぁんっ……う゛っ……』

紬『それともこのまま梓ちゃんの口の中を舌で犯しちゃおうかしら?』

梓『んんんっ……ん゛う゛う゛……!』

紬『舌を入れられたら気持ちいいでしょうね。
  そして舌でイッたらさぞかし恥ずかしいでしょうね?』

梓『ん゛ん゛んんんんっ』

紬『そんなミジメなイキ方したくないでしょ?』

梓『んん! んん!』

梓が必死に頷く。
もっとも顔を押さえられているため、ほとんど首は動かせていないのだが。

紬『わかってくれたみたいね』

さっきまでの形相が嘘のように晴れやかな顔で紬は微笑む。

紬『私ね。どうしても梓ちゃんに聞いてほしい話があるの……って、ごめんなさい』

舌を抜いてなかったわ。そう言って紬は自身の舌を梓の口から引き抜く。
ねっとりとした涎にまみれた唇を紬は自分の舌でペロリと舐めとる。

梓『ぷはっ……はあはあ……』

荒い息をつく梓の額を紬は愛おしむように撫でる。

紬『梓ちゃんはオーラルセックスって知ってる?』

梓『はあはあ……言、葉だけ、なら……』

途切れ途切れに梓が紬の質問に答える。

紬『梓ちゃんには見えないでしょうけど私が今手にもっているミニローターは、キャラぶるリラックス ガチャ○ン&ムッ○っていうミニローターなんだけど』

紬は言って、ミニローターのキャップを外してスイッチを押す。

紬『オーラルセックスっていうのは口腔や舌を使って行う性行為なの』

梓『…………』

紬『そんなオーラルセックスには女性が互いに性器を舐め合うシックスナインっていうのがあるの。
  他にもアニリングスとかマニアックなものがあるんだけど……』

紬はおもむろに梓の慎ましい乳首にローターを押し付ける。

梓『きゃあっ……』

梓が小さく悲鳴をあげる。突然の感覚に梓の声をあげる。

紬『そんなに気持ちいい? 梓ちゃんってどこも性感帯なのね』

梓『はあはあ……だめぇ……やめてよぉ……』

紬『いや』

紬は次の瞬間、もう一方の乳首を口に含んだ。

舐め速度は20/秒。
本来は20分近くかけてしなければいけない乳首愛撫。とにかく梓の乳房を舐めまくる。
しかも相手の同意を貰わなければいけない行為なのに、半ば強制的に舐めている。

梓『あ、あっあ、あっぁあ…………』

強い感覚が胸を襲う。
刺激も去る事ながら、胸という部位を高速で舐められているという未知の行為は少女を快楽に陥れる。

紬『あ、ごめんなさい。よく見たらこっちの乳首も舐めてなかったわ』

紬はもう一方の梓の乳首をペロペロと舐める。
乳首を交互にやられるというのは形容しがたいものがある。

梓『あ、ああ……んふっ……!』

紬『安心して梓ちゃん。いくらでも舐めてあげるから』

紬はすでに立った梓の乳首を再び丁寧に高速に舐め立てる。

梓『ひぁん゛っ……きもちいよぉ……きもちいいっ』

梓の小さな両胸には数十箇所の愛撫の跡が残っていた。
それらは、紬の愛撫によるものである。

梓の胸には赤い点が無数にできていた。

何回目かの愛撫が梓の胸を濡らす。舌が這いずり回る。

紬『胸の愛撫って楽しいわね……』

紬が性感帯を探すかのように舌をあちらこちらに動かす。

梓『うぐっ……ぁあ!』

紬『もういいわね。シックスナイン始めましょ』

紬の手にもっているガチャ○ンミニローターとは別のミニローターを手に取る。しかもこっちはムッ○だ。

用途は様々なミニローターを、紬は容赦なく梓の両胸の頂きに貼りつけた。

梓『にぁあぁああああああああぁあ!』

乳首に強い刺激があがり梓が声を反らす。

その上紬はその口に秘部を押し付けグリグリと激しく動かす。

今までの自らの手でしていた愛撫とは比較にならない快感が梓を襲った。

紬『私、天使とシックスナインするのが夢だったの~』

ひたすら天使とシックスナインは続いた。

紬が梓の口から腰を上げる度に嬌声がスピーカーから響く。

澪は見ていて興奮を覚えた。
同時にあまりに淫ら行為に身震いする。

紬『梓ちゃん、すごいわ~。いっぱいおまたからお汁が出てる~』

梓の両の乳房にはガチャ○ン&ムッ○のミニローターが暴れていた。

紬『ちょっと舌入れちゃお』

くちゅり。

小陰唇が紬の手によって開かれ、舌が“穴”を舐めつける。

梓『ぁぁそこはだめぇ……』

紬『あ……』

しかし、紬は梓の声など聞こえていないかのように無視する。
というよりそのことに気がついて紬はわざとらしくあんぐりと口を開けた。

梓『知って……ますよぉ……』

紬『あら? 好きなの?アナルプレイ?……耳も胸もお尻のお穴も好きなの?
  どうやら梓ちゃんはかなりの変態さんみたいね』

おそらく梓は、紬が言った残酷な事実を受け入れることを拒絶しようとしている。

紬が追い撃ちをかける。

紬『ってことはスカトロプレイも好きそうね』

今でこそスカトロプレイが確立されているが、当時はそれらはあまりにもマニアックな行為だったため
何なのか知らない人は多かった。

人の排泄物を扱うスカトロプレイは、結果として人を新たな領域へと導いた。

そして、梓もまたかつてのスカトロプレイヤーたちと同じ目にあおうとしていた。

梓『あ、あ、あ、……いやだあああそれはしたくないいう○ちなんてやだやだやだいやだあああああああああああ』

梓が紬の言葉を意味を理解し、絶叫する。



紬『うるさい……うるさいなあ』

紬が苛立ちに眉をひそめる。
どうやって黙らそうか、頭を回転させる。できるなら最高に甘美な方法がいい。

紬『そうね……』

梓の悲鳴が響き渡る中、紬は顎に手を当て思案する。

梓の乳房に赤く腫れ上がった乳頭を眺めていると不意にアイデアが降ってきた。
そして、ひとつのアイデアが出てくると更にアイデアが出てくる。途端に紬の機嫌はよくなった。

紬『ねえ、確かここってアレ作ってるわよね?』

これは部下の男に向けて言った言葉だった。

ひとりの男が頷く。紬は言った。

紬『大至急それをもってきて。早く』

紬は梓を見下ろす。未だ叫び続ける後輩を。

紬『梓ちゃん、黙るなら今のうちだよ』

どうも梓の泣き声は紬の好みの声ではなかった。

基本、女子の泣き声ならどんな娘のものでも積極的に聞きたいと思うのに、梓のそれを聞いていると苛立ちが募ってくるのだ。
一瞬、一ヶ月履いたパンティで塞いでやろうかと思ったがそんなことをすれば臭みのあまり気絶するだろう。

梓『いやだぁぁぁ…』

紬『……うるさい』

堕天使紬のキスを梓の頬にするが変化はない。

辟易としてため息をつきかけたときだった。

男たちがようやく紬の頼んだものをもってきてくれた。

紬『待ったわよ。』

部下のひとりが謝罪するが紬にとってそんなことはどうでもいい。

紬は、メイドに命じた。


紬『それを使って梓ちゃんの口を塞いで。多少焦らしプレイをしてもいいから』


うるさい口は食べ物で釣ってしまえばいい。

私たちの部活動の際によく用いられた“おやつ”というものがある。
私が紅茶を入れ、デザートと一緒に頂くというものだ。

それなりに時間がかかるが、その一時は楽しいから仕方がない。

紬『……それを梓ちゃんの口に突っ込みましょ』

梓『なに? なんなのぉ…? やめてよぉ』

梓が涙を流している。

紬『あーんは私恥ずかしくてできないからあなたがやってね。それ――』

紬は綺麗な箱に入ったそれを指指す。



それは可愛らしいイチゴショートケーキだった。



紬『それを梓ちゃんの口の中に入れてね、お願い』



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