― 東京都府中市 航空自衛隊航空総隊 作戦指揮所

RF-4EJ/P『クロノス。こちらテルスター。目標をロスト』

要撃管制官『ラジャー。テルスター、RTB』

要撃管制官「偵察航空隊のRF、目標を見失いました」



― 桜が丘 桜が丘女子高等学校 廊下

憂「え?お姉ちゃんがどこか行ったって」

和「そうなのよ。急に飛び出して…」

律「憂ちゃんなんか知ってる?」

憂「なんか様子がおかしいとは思ってたんですけど…」

澪「…何がどうなってるんだ?」

ワンセグ『未確認ながら木曽山中にも鳥が現れたとの情報が―』



― 木曽 某村

山中には半鐘の音と防災無線のサイレンが響き渡る。

村人「ぎゃああああああああ」

村人「鳥だあああああああああ!」

村民は逃げ惑う中、ギャオスは逃げ遅れた調査隊員や村民を啄んでいく。

ギャオスが悲鳴に呼応するように森から顔を出す。

その嘴には人が何人もぶら下がっている。

一旦嘴を開き、食事を口に流し込むとギャオスは更に逃げ惑う村民へ向かって飛び立つ。

村人「こっちくるぞ!」

駐在警官「早く逃げろ!」

ギャオスがあと一歩で次の獲物にありつこうとしたとき、横からプラズマ火球が襲いかかった。

消防団員「まだおったか!?」

駐在警官「もうだめだ逃げろ!」

突然森の中から現れたガメラに食事を台無しにされたギャオスは超音波メスを放つ。

ガメラは村人が逃げ惑う吊り橋を守るように手を翳し、超音波メスを手に受ける。

ギャオスはメスの直撃を見届けずにそのまま飛び去り、ガメラも緑色の血を滴らせながら

村の安全を見届けて後を追って回転ジェットで飛び去っていった。



駐在警官「えーガメラはギャオスを一体落として飛び去りました!はい!南方向です!」

消防団員「ガメラは味方だったのか…」

村人「おったまげた…」



― 東海道新幹線 こだま

東海道新幹線こだまの車中には財布の全財産を叩いて飛び乗った唯の姿があった。

唯(うーん。行かなきゃならない気はするんだけど…どこにいけばいいんだろ…?)

「痛っ!?」

唯が悩んでいると、突然手に痛みが走る。

手の甲には何かで痣が出来る程度に切られたような傷が出来ていた。

(…あれ?手に傷があるよ…?)

唯が手の傷にハンカチを巻いていると車内放送が入る。

車内放送『―播磨灘に再出現した生物は、東海地方に向かい移動するとの情報が入りました。

安全のため列車は次の三島に緊急停車します。列車は次の三島に緊急停車します―』

乗客「おいおい」

乗客「なんだよーふざけんな!」

唯(そんな!)



― 静岡県 三島駅

「現在、運行再開の見通しは立っていません―」

列車が停まったせいで駅構内は乗客でごった返している。

テレビ『これに伴い安全確認のため、東名中央両自動車道への通行止め、東海道新幹線は上下とも最寄駅で緊急停車などの措置が取られています』


唯「あーもうっ!」

ロビーではテレビが淡々と速報を流し続ける中、唯は人をかき分けて駅の外へ向かう。

『なお、政府の通達に従い、海の生物をガメラ、鳥型の生物をギャオスと、呼称します。繰り返します。

6月10日、福岡ドームを急襲し、瀬戸内海に潜伏していると思われていた巨大生物『ガメラ』は先程播磨灘より浮上し、東海地方へ飛行中です―』



― 静岡県郊外某所 陸上自衛隊 第1高射特科大隊 陣地

偽装網を被り展開する81式短距離誘導弾、通称「短SAM」

索敵を行っていたフェーズドアレイレーダーがガメラを捉えて回転を停止し、発射機にSAMが装填される。


レポーター「日本で初めてのミサイル攻撃が迫っています!

標的はもちろん、平和を脅かす敵であると衆参両院で決議されたガメラです!」


射撃管制装置により上空を飛ぶガメラは完全にロックオンされ、諸元がSAMに送信される。

自衛隊員「発射!」

号令と同時に飛び立った2発の短SAM改は、マッハ2.4でガメラを猛追する。

日本初のミサイル攻撃の任を負った短SAMの直撃を受けたガメラはそのまま浮力を失い墜落していった。



― 三島駅 駅前

男「チヌークだ・・・」

男A「すごい数だな…」

凄まじい数の大型ヘリコプターが羽音を立て上空を通過していく。

ワンセグ『先程陸上自衛隊の81式短距離誘導弾、通称短SAMが発射され、駿河湾上空で飛行中のガメラに命中しました。

ミサイルの直撃を受けたガメラは富士山の裾野へ墜落した模様です。

航空自衛隊並びに陸上自衛隊はこれを追って現在ガメラを包囲し、間もなく一斉攻撃に移ると思われます。

自衛隊ではこの圧倒的な火力をもっての攻撃によりガメラを完全な行動不能の状態にできると考えています。

なおこの攻撃に伴い富士山付近の一般道並びに高速道路は通行止め、富士山上空を飛行する旅客機も規制が行われています―』



画面には資料映像として89式装甲戦闘車が機関砲を一斉射撃する映像が映っている

唯(ああ…ひどいよぉ…)

更に轟音を響かせ上空を戦闘機が数機飛び去っていく。

(行かなきゃ…行かなきゃ…でもどうやって行こう…)

左右を見回すとタクシー乗り場があった。

唯「あっ!」

唯は手近なタクシーに乗り込んだ。

唯「富士山は遠いですか!?」

運転手「遠いっちゃ遠いけどあそこは今ホラ、行けないから」

運転手は振り返るなり露骨に嫌な表情をする。

唯「行けるところまででも構いません!」

運転手「ダメダメ。怪獣見物はお断りだよ」

唯「どうしても行かなきゃダメなんです!お願いします!」



運転手「…」

唯が必死に頼み込むと、運転手は渋い表情でドアを閉め、タクシーは走りだす。



― 夜 富士山麓

SAMにより撃ち落されたガメラは富士の森の中に立ち尽くしていた。

それを掃討作戦の主軸となった陸上自衛隊駒門駐屯地の第1戦車大隊の74式戦車を先頭に戦車部隊が包囲する。

戦車隊が配置に付くと、数発の照明弾が発射され、辺りを白く照らし出す。

それに合わせてガメラも咆哮する。

大隊長「第一次攻撃開始!」

通信士「各部隊、射撃開始」

号令と同時に51口径105mmライフル砲が一斉に火を吹いた。



― 富士山麓 富士山スカイライン 静岡県警察 検問所

警察では富士へ通じる有料道路の料金所にバリケードを設置し、検問所を設置していた。

警察官A「検問190から富士宮―」

警察官B「はい止まってー!この先は行けないから」

警察官は物見遊山にやって来る野次馬を片っ端から検問所でUターンさせる。

警察官C「はい通行止め。Uターンして」



その料金所手前で減速するタクシー。

車中には唯の姿があった。

唯「…もう行けないや」

パトカーが赤色灯を点灯させて横付けされ、開いたレーンには厳しいバリケードが置いてある。

唯「あの…降り…」

唯が言う前に運転手は無言でギアを落として急加速し、みるみるバリケードと棒立ちしていた機動隊員が迫って来る。

唯「えっ、ちょっと!」



警察官C「止まれ止まれ!」

機動隊員「うっわあああああ!?」

唯が止める間もなくタクシーはそのままトライアングルバリケードとカラーコーンを蹴散らし検問所を突破した。

機動隊員「待てこらー!」

警察官A「ちくしょう!」

警察官B「至急至急!検問108より富士宮!突破車あり!伊豆かもめ交通のタクシー!―」

運転手「ハハハハハハハッ!いっぺんこういう事やってみたかったんだよ!」

唯「…」



― 富士山麓 富士スカイライン 橋梁

タクシーが急停車すると、飛び出す唯。

唯「…ガメラ」

激しい戦車砲の発射音と着弾の爆炎の中にガメラがいる。

発射光と照明弾が時々白く辺りを照らす。


それに続いて航空支援攻撃を担うF-2が轟音を立て飛来する。

6機で三角形に編隊を組んだF-2はそのまま立て続けに爆弾を投下する。

森は激しく吹き飛び、次々と投下される爆弾に遂にガメラは転倒した。



自衛隊員「ギャオス、上空接近」

弱ったガメラを狙ったようにギャオスが現れる。

大隊長「撃ち方待てェ!」

通信手「各部隊、撃ち方待て!」

自衛隊はギャオスへの被弾を避け攻撃を中止する。


唯「逃げて!」

自衛隊という邪魔が入らないギャオスは、そのままガメラめがけて急降下する。


勾玉を唯が強く握りしめると、勾玉はぼんやりと光り始める。

ガメラが飛び立とうとジェット噴射を始める。

しかし倒れたまま依然起き上がれないガメラにギャオスは超音波メスで攻撃を始める。


ガメラの腕を超音波メスが掠る。

唯「痛っ!」

唯の手の甲からは血が滴っていた。

運転手「おい!?」

飛び去るギャオスを追いかけるようにガメラもそのまま転げつつ飛び立った。



偵察隊員「ガメラ逃げます!」

大隊長「第二次攻撃開始ィ!」

通信手「各部隊射撃開始!」

しかしそのガメラに追い打ちをかけるように戦車砲が殺到する。

激しい爆発の中ガメラはふらふらと飛び去って行った。

唯「…」

勾玉の光が消えると同時に唯の意識もそのまま遠のいて行き、唯は倒れこむ。

運転手「おいっ!大丈夫か!おい!?どうした!?」


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