唯「君を見てると~いつもハートドキドキ~」

楽しい楽しい放課後!
私はいつも通り部室に向かってました!

唯「揺れる想いはマシュマロみたいに~」

ガチャガチャ

唯「あれ? 開いてない……。なんで?」

唯「授業でここ使ったのかな? う~ん……」

律「どうした~唯~」

唯「あっ、りっちゃん! 実は部室に鍵がかかってて~」

律「鍵? さわちゃんが閉めたのかな珍しく」

澪「ん? みんなどうしたんだ?」

唯「あ、澪ちゃん」

律「なんか鍵がかかっててさー。悪いけど澪取って来てくれないか?」

澪「うん、いいよ」

律「悪いな」

唯「私も行こうか?」

澪「じゃあみんなで行こうか」

律「だめだめ。ムギが来たとき誰もいないと二度手間になるだろ? 誰か残ってないと」

唯「じゃあ私と澪ちゃんで取ってくるよ!」

澪「唯……」

律「唯は私より澪の方が好きなんだな~」

唯「そ、そんなことないよぉ? 二人とも大好きだよっ」

澪「私も唯のこと……///」

律「恥ずかしいって言葉がないのかお前はっ! もういいから行ってこいよ」

唯「は~い」

澪「じゃあお留守番よろしくな」

律「はいよ~」






律「一番好きなのはどうせ梓だろ、唯」



唯「い~つもがんば~る~」

澪「いつも頑張る……」

唯「君の横顔~」じ~

澪「君の……私の顔に何かついてる?」

唯「う~うん。い~つも頑張る澪ちゃんの横顔をずっと見てても気づかないかな~って」

澪「ば、ばかっ」

唯「ふふっ」

澪「唯はふわふわの歌詞……好き?」

唯「大好きだよ! こう胸がキューンとするよね!」

澪「ま、まさか唯!」

唯「?」

澪「好きな人とかいるのか……?」

唯「いるよ?」

澪「誰!?」

唯「澪ちゃん」

澪「私っ?! あわわゎ」

唯「それにりっちゃんムギちゃんあずにゃん憂に和ちゃんさわちゃん純ちゃん……」

澪「なんだ……そういう好きか」

唯「言わずともわかるよ澪ちゃん! 男の子は…今のところないかな///」もじもじ

澪「(もじもじする唯可愛い。でも一番好きなのは誰なのかな……やっぱり憂ちゃん? それとも梓かな? 私ってことはないと思うけど…)」

唯「澪ちゃんはしたことあるの?」

澪「ん? なにが?」

唯「お付き合いだよぅ」

澪「あっ、あ、あるわけないだろっ!!」

唯「そうなんだ…」

澪「女子校だしな。出会う機会とかないない」

唯「ですよね~」



唯「失礼しま~す」

澪「失礼します」

さわ子「あら? 二人ともどうしたの?」

唯「あっ、さわちゃん! 何食べてるの~?」

さわ子「他の先生のお土産よ。後で部室に持って行こうと思ってたの」

唯「さすがさわちゃん!」

さわ子「はいはい。で、何か用事かしら?」

澪「実は部室に鍵がかかってて。その鍵を借りに来たんです」

さわ子「部室に鍵? おかしいわね、かけた覚えはないけど」

澪「えっ、でも…」

唯「??」

さわ子「まあいいわ。はい、鍵。一つしかないから無くさないでね」

唯「は~い」

澪「(どういうことなんだろ…)」



律「おかえり~。どうだった?」

紬「お帰りなさ~い」

唯「鍵借りてきたよ~! ムギちゃん掃除当番終わったんだ!」

紬「ええ。ちょっと早く終わって」

澪「そう言えばさわ子先生は鍵かけてないって」

律「なんだそりゃ? じゃあ誰が閉めたのかな。まあいいや! 早く開けてお茶にしようぜ!」

紬「寒くなって来たし温まる飲み物にするわね」

澪「練習…」

唯「あずにゃんはまだなのかな~」

律「……」

澪「……」

紬「……」

ガチャリ……

梓「……」

唯「あっ、あずにゃんが倒れてるよ!!!」律澪紬「!??」

唯「あずにゃんっ! しっかりして!」

梓「……」

律「(部室の中…何かいつもと違う…そんなことより)梓っ! しっかりしろ!」

澪「(いつも髪を止めてる梓がしてない…? って今はそんな場合じゃ)梓っ!」

紬「(ティーカップをしまってる場所が開いてる…そんなことより)保健室に連れて行きましょう!」

唯「う、うん! あずにゃんしっかりして!」

梓「……」

─────



唯「先生っ! あずにゃんは……あずにゃんはっ!」

保健の先生「大丈夫よ。気を失ってるだけだから」

澪「気を……」

律「失ってる……?」

保健の先生「頭に何か強い衝撃を受けたみたいね。可哀想にたんこぶになってるわ」

紬「梓ちゃん…」

保健の先生「でもしばらくしたら目を覚ますと思うから。そんな心配しなくても大丈夫よ。目が覚めたら部室に呼びに行くから。練習してらっしゃい」

唯「はい…。あずにゃんのことよろしくお願いしますっ」

澪「(ん……?)」

律「(待てよ……)」

紬「(何か妙ね……)」



部室に戻って来た私達は、とりあえずムギちゃんの入れてくれたお茶を飲みながらあずにゃんのことを話し合っていた。

澪「梓……大丈夫かな」

唯「うん……心配だよ」

紬「先生は大丈夫って言ってから…」

律「……」

律「なあ、ちょっといいか?」

唯「? どうしたの? りっちゃん」

律「さっきから言おうと思ってたけど……ちょっと変じゃないか? これって」

唯「変?」

澪「私も思ってた…」

紬「うん…」

唯「どういうこと…?」

律「だってこの部屋には鍵がかかってたんだぜ? その中に梓が倒れてた…」

澪「つまり…?」

紬「密室…」

唯「みっしゅつ?」

紬「誰も出入り出来ない状態のことよ、唯ちゃん」

律「鍵はさわちゃんが持っていた、つまり梓以外ここには出入り出来なかったんだ。その梓が何者かに頭を強打され倒れて……」

澪「って何で殴られたことになってるんだよ! 梓が足を滑らせて頭を打った、じゃないのか?」

紬「普通に考えればそれが本筋よね」

律「だよな~……でもじゃあ何で鍵がかかってたのかってなるよな」

澪「それは……」

紬「……」

唯「ねぇ、みんな」

律「ん?」
澪「どうした? 唯」
紬「?」

唯「ここで何があったのか……調べてみようよ。やっぱりおかしいよ! 普通に転んだぐらいであんなにたんこぶが出来るわけがないよ!」

律「面白そ……」

澪「り~つ~?」

律「梓が目覚めるまでに解き明かさないとな!」

紬「……」

唯「じゃあまず状況から」

律「一番最初に部室に来たのは唯だよな? その時鍵は?」

唯「当然かかってたよ。そしたらすぐりっちゃんが来て……」

律「ああ。確かにかかってた」

澪「その後私が来て唯と二人で職員室に鍵を取りに行ったんだ」

紬「その時澪ちゃんは鍵がかかってるのを確認したの?」

澪「いや……してないけど」

紬「ならりっちゃんと唯ちゃんが共犯で、鍵がかかってない振りをして中にいた梓ちゃんを殺害することは出来るわ……」

澪「殺害って……」

唯「あずにゃんは生きてるよムギちゃん!」

紬「私こういう密室殺人を推理するのが夢だったの~」

律「確かに殺人じゃないけど……梓が生きてるってことを除けば小説みたいな密室殺人事件に似てるよな…」

澪「怖いこと言うなよぉりつぅぅ」ブルブル

唯「なるほどなるほど。つまりムギちゃんは私とりっちゃん共犯説を掲げるわけだね?」

紬「まずそこから疑っていかないと話が進まないわ」

律「乗ってやるよムギ! つまり鍵がかかってたってのが前提だよな?」

紬「そうなるわね」

律「でも鍵を開けたのは」

澪「私だけど…」

律「その時鍵はかかってた?」

澪「うん。もし鍵が開いてたら鍵が回らないからすぐにわかるよ」

律「だってさ」

紬「鍵はかかっていた。それが大前提ってことね」

律「三人共犯説はないのか?」

紬「それなら私はもう死んでいるもの」

律「そこまで小説に沿わなくても」

唯「何かわくわくするね…!」

澪「不謹慎だけどな」

律「じゃあ次。中に入ってからだけど…、ちょっと妙じゃないか? 部室」

澪「妙?」

律「なんと言うか…う~ん、わからないけど」

澪「妙と言ったら梓の髪型だよな。いつもは二つくくりなのに今日は下ろしてた」

唯「可愛かったよね!」

紬「ええ!」

澪「何でだと思う?」

律「何でって……そりゃ梓の気まぐれじゃないのか? イメチェンみたいな」

澪「偶然だと思う? こんな事件が起きたその日に丁度髪型を変えてる……なんてさ。出来すぎてると思わないか?」

律「それは考えすぎじゃ……」

澪「じゃあ律は何でもない日にいきなり学校にカチューシャなしで行こ~って思うか?」

律「おかしい! 絶対なにかあるよな!」

唯「髪を結び直そうと思ってたところを後ろから……!」

澪「う~ん、でもそれなら手にゴムを持ってる筈だけどさっき見た時は何も持ってなかったぞ?」

律「犯人が回収したとか!」

紬「なんで回収する必要があったか……謎は深まるわね。そう言えばさっきお茶を入れようとしたんだけど梓ちゃんのカップがなくて」

唯「あずにゃんの?」

澪「まさか……」

律「ごくり……」

恐る恐るゴミ箱を覗き込むりっちゃん…。

律「いよいよ事件臭くなって来たな……」

そこには割れたあずにゃんのカップがありました……


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