『ある蒸し暑い日の放課後』


         一、

中野梓は放課後の音楽室でうちわをあおいでいた。

「ふぅ、今日も暑いなぁ」

その日は特に気温が高かった。

季節は梅雨であるが、今年は全く涼しくならない。

暑くて湿った空気が気分を害する。
正直、ここにいるだけでも不快感がした。

「暑いと練習する気にもならないよ……」
梓がつぶやいた。

太陽はすでに沈もうとしている。
窓の外を見ると、空の色が夕日に変わろうとしていた。
それでも部屋の中は蒸し暑かった。



「澪先輩もそう思いますよね?」

梓が澪に話しかけた。

子供のようにつぶらな瞳で澪を見つめていた。
まるでクリスマスにサンタを待つ子供のような
顔だった。

現在、部室には梓と澪しかいない。

梓が窓の外から校庭を見下ろすと、下校中の
生徒達の姿があった。

同じように、けいおん部の他のメンバー達は
帰ってしまったようだ。

ではなぜ、梓は音楽室に残っているのか。

理由はただ一つ。
秋山澪と遊ぶことにしたからだ。

今は澪と二人っきりで音楽室にいる。
それだけで梓は高揚し、飛び上がりたいような気分だった。

「……」

一方の澪は黙り込んでいた。
目を閉じて唇を固く結んでいる。

澪は梓と目を合わせないようにしていた。

どういうわけか、表情に嫌悪感が混じっていた。

彼女は梓の問いに答える気はないようだ。

それがわかっても尚、梓は澪が答えてくれ
ることを期待して待ち続けた。

それでも澪は返事をしなかった。


「聞いてるんですか?」

再び梓が言った。

なぜ目の前の先輩が沈黙を続けているのか。

梓にはそれが理解できなかった。

澪は顔に眉を寄せ始めた。

どうやら彼女は苛立っているようだ。

梓は大好きな先輩を怒らせないためにはどうすれば
いいかを考え、こう言った。

「もしかして……私のこと、嫌い…ですか?」

せつなそうな声だった。
さみしさからか、梓の表情に影がかかっていた。

澪ならきっと答えてくれると信じていたのに、
なぜ答えてくれないのか?

梓の顔はそう言っていた。

澪は整った顔をゆがめながら、ようやく
話し出した。

「あんたなんか、けいおん部に入部させなければよかった」

普段の澪からは想像もつかないような言葉だった。

澪は苛立ち、今すぐ梓を引っぱたいててやりたい
のを我慢していた。

否、できないでいた。

「どうしてそんなに怒るんですか?
 私、澪先輩のこと大好きなのに……」

梓が哀しそうな声で言った。
手を目元に当て、今にも泣きそうなジェスチャー
を加えた。

そのつまらない演技は、ますます澪を苛立たせた。


「あんたなんて大嫌い……!」

澪が目を細めて梓を睨んでいた。
釣り目がちなその目は、凶悪にゆがんでいた。

一方、梓は澪の態度など少しも気にしていない。

にこにこと笑いながら、
椅子に座っている澪の膝の上に座った。

梓が澪の膝の上に乗ることで、両者は正面から
向きあう形になる。

澪の目の前に梓の顔があった。

梓はバランスを取るため、澪の首の
後ろに両手を回してこう言った。

「そんなこと言わないでくださいよ。
 私といいことしましょ?」

「どけ」

「嫌ですぅ。澪先輩と一緒に遊ぶんだもん」

「……おまえの顔を見てると吐き気がする。消えろ」

「……へぇ? もっと拘束をきつくしましょうか?」

急に梓の声色が変わった。

澪は驚きながら梓の顔を見ると、そこには
作り物の笑顔はなかった。

例えるなら獲物を駆る狩人の顔。

梓が本性を表したのだ。

「……!!」

澪は全身に鳥肌が立った。

梓を押しのけて逃げたいと思った。

しかし、澪は両手を後ろ手に縛られ、
椅子の背もたれに回されていた。

最初から抵抗は封じられていたのだ。


「殺されたくなかったら、
 あまり私を怒らせないでくださいね?」

梓がそう言いいながら、澪の首筋に左手を当てた。

梓の荒くなった吐息が澪の鼻腔を刺激した。

「ひぃ…!」

澪は首を絞められるのではないかと警戒する。

暑苦しい部屋の気温が下がったような気がした。


「髪、とっても綺麗ですね」

梓は澪の髪に触れていた。

絹のようにきめ細かい髪をもてあそんでいた。
一本一本の髪質を確かめるように手で
とかしていた。

澪は生きた心地がしなかった。
微かに震える体を何とか押さえていた。

「うふふふ。おびえているんですか?」

梓のさぐるような声。

澪の動揺は見透かされていた。

それが悔しくて、澪は悪態をついた。

「そんなわけないだろ。
 おまえをどうやって殺そうか考えていたんだ」

「……へぇ」

梓の『へぇ』は不機嫌な時に発するものだ。

澪にはそれがわかっていた。

同時に、梓の平手打ちが飛んでくることも。

梓の右手が弧を描いて澪に怒りをぶつけた。

澪に避けるすべはない。

「それ以上生意気なことを言うなら、もっと叩きますよ?」

梓が冷静に言った。
澪は叩かれたポーズのまま、顔を横に向けていた。
ぶたれた反動で少し耳鳴りがした。

「先輩は自分の立場がわかっているんですか?
 本当はもっと痛めつけてもいいんですよ?」

梓の目は無邪気さと残酷さの混じった色をしていた。
澪は怒りと恐怖で狂ってしまいそうだった。

「でも澪先輩は特別です。私はやさしいですから、
 ごめんなさいと一言いえたら許してあげますよ?」

梓が続けた。
それは命令のように拘束力をもった言葉だった。

澪はここで逆らうのは得策でないと判断した。

同時に、梓からの一方的な暴力に屈しようとしている
自分が情けなかった。


「……ごめん……なさい…」

澪がうつむきながら言った。
やっと搾り出したような弱い声だったが、
梓は満足した。

澪の頭を撫でながら言った。

「そうそう。ちゃんと言うことを聞いてれば、
 悪いことはしませんからね」

それは猫なで声だった。
しつけのなっていないペットを正したような感じだ。

澪の先輩としての威厳は全くなかった。
ここでは上下関係がまるで通用しないのだ。

澪は梓に見えないように歯ぎしりしていた。


「お礼にキスしてあげますね」

梓が突然そう言った。

「!? やめ……!」

澪は瞬間的に避けようとしたが無駄だった。
至近距離でお互いは向き合っている体勢なのだ。

椅子の上で絡みあうしかなかった。

「……これが……澪先輩のお口……」

梓は唇を強引につけながら、澪の唇を
舐め取っていた。

「ぐ……んぐ……! やめ……てぇ!」

澪は必死で顔を離そうとしたが、梓の
唇から逃れれない。

縄で縛られている両手を暴れさせようとしたが、
わずかに椅子を揺らしただけだった。

「もう! そんなに暴れないでください」

梓は非難するような顔をした。

両手で澪の顔を押さえて正面を向かせた。

もう一度澪の唇に吸い付くと、今度は
舌を挿入した。

澪の口腔で梓の舌が自由に動き回った。

「いや……く……くるしい……!」

澪は目を閉じて耐えていた。

梓に舌を絡めさせられ、唾液を吸い取られていくの
がわかった。

今度はお返しとばかりに梓の唾液が流れ込んでくるが、
今すぐ吐き出してしまいたかった。

「おいしい……澪さんの味がします」

梓が彷彿とした表情で言った。

澪は真っ赤にした顔で嫌がっているが、
おかまいなしだ。

梓の舌が澪の歯の裏側を這い、たぷっりと
澪の口の中を味わった後、ようやく解放した。

「はぁ…はぁ…」

澪は口を大きく開けて呼吸していた。
一方的ににキスをされたため、息が苦しかったのだ。

澪の口のまわりで梓の唾液がテカテカと光っていた。
あごの辺りまで唾液がたれていた。

「お口のまわりが汚れてますよ? きれいな顔が台無しです」

「ひぁ…!」

梓が猫のように舌を出してペロペロと舐め取った。

澪はそれがくすぐったくて声を上げそうになってしまう。
その様子もまた可愛かった。

「先輩って本当にきれい……」

梓が澪の前髪を掻き分けながら感想をもたらした。

色白で流れるような黒髪を持つ澪は、
日本人形ののように美しかった。

梓とて美人の自覚はあるが、
それでも澪には適わないと感じていた。

高校生にもなれば、自信の美しさには
普通は気が付くものだ。

世間や周りの評価を気にしていれば自然と
わかること。

梓はまじかで見る澪の端正な顔を、思う存分
堪能することにした。



        二、


ところで、けいおん部主催のお茶会をしたのは
記憶に新しいが、澪のファンクラブのメンバーは
結構な数だった。

それは梓にとっては忌まわしい記憶だった。

ファンクラブなどというくだらない催しは成功したが、
本当はあの女子生徒たちを影で撲殺してやりたかった。

澪は梓の玩具だからだ。

あのバカ生徒たちが、いつの日か梓の所有物に手を
出すのではないかと思うと、不安で夜も眠れない。

だから今日、澪を手にいれることにしたのだ。

方法は簡単。

澪を放課後の音楽室に呼び出し、背後から襲撃したのだ。
可愛い後輩に襲われるとは夢にも思っていなかった澪は、
簡単に捕らわれてしまった。

梓の本性を知った澪は嫌悪感をむき出しにしたが、
そんなことは梓の予想の範疇だ。

これから、梓の気持ちを知ってもらえばいいのだ。
体を使ってゆっくりと。


「この大きい胸。うらやましいです。
 私はこんなに大きくないから、憧れちゃうなぁ」

「ぁ……」

梓は澪の後ろにいた。
器用に澪のYシャツのボタンを外して、ブラジャーも脱がしてある。
制服を着ながら、乳房が露出している形となった。
梓は澪のわきの間に両手を差し込み、澪の双璧をつかんでいた。

「やわらかい。澪さんの胸、ましゅまろみたい」

「んん……!」

梓の手が力いっぱい乳房を握っていた。
千切れるんじゃないかと思うほど
力を入れると、梓の小さな手から乳がこぼれるのだった。

「大きい胸ですね。私の手からこんなにはみ出して……」

梓が澪の胸を押しつぶすように手前に引っ張る。

やがて胸をこすりつけるように上下に
揺らすと、澪は耐え切れず喘いでしまった。

「…………ぁ!」

「もっと声を出していいんですよ?」

梓が乳首を摘んでコリコリと指でもてあそぶ。
ボッキした乳首の感触が梓の手に伝わった。

「いやぁ……やだぁ……!
 変な気持ちになっちゃう……」

「感じてるんですね先輩。
 こんなに汗をかいてますよ」

梓は澪のうなじの匂いを嗅いでいた。
髪の毛のシャンプーの匂いとむせた
首筋の汗の匂いがミックスされていた。

澪は嫌がって首を振るが、汗で湿った髪の毛から
するシャンプーの匂いがして、酔ってしまいそうだった。

澪の汗は首から胸の谷間まで流れていた。

「ふぅ、汗だくの先輩も色っぽいですよ
 私がペロペロしてあげますね?」

梓は澪の正面に回り、胸を押し上げるようにして
谷間を強調させ、そこに舌を這わせた。

汗を舐めながら谷間のゆるやかな曲線を味わう。

「……ひゃん!」

「うふふ。かわいいです」

梓が上目遣いで澪を見た。

「いや……舐めないでよ、くすぐったい…!」

澪は顔を震わせながら声を出していた。
梓のいやらしい舌が胸を舐めるたびに、
まるで体に電流が走ったような気がした。


「可愛い声が出せるじゃないですか。
 もっと舐めてあげましょうか?」

「いや、もうやめて!」

「駄目です。乳首もこんなに元気になってますよ?」

「ひゃああん!」

梓が乳首に吸い付いた。唇で挟みがら、
舌を出して舐めた。

「ひぃぃ…!」

「…おいしいです。ふふ。まるで私、赤ちゃんみたいですね」

梓がちらっと澪を見上げると、澪は恥ずかしそうに
顔を横に向けて耐えたいた。


「もうやめてよ…! 女同士で…こんなこと…するなんて変だよ…!」

「なんで? 別に性別なんて気にすることないじゃないですか。
 ここは女子高ですし。私みたいな変態もいますよ」

梓は乳首責めに満足すると、今度は澪のスカートの中に手を入れた。

澪がすぐに反応して騒ぎ出した。

「ひ! 何をするの!?」

「パンツを脱いでもらうんです」

澪は気が動転した。

「お願い……もうやめてよ……! もう許してよ…! 謝るから!」

「謝ったってやめませんよ。大人しくしてください」

梓が澪のパンツを掴んで、足から脱がした。


「先輩のパンツ、シマパンなんですね?」

梓がパンツを見せびらかすように澪の前に掲げた。
澪はこんな屈辱を受けたのは一年の時の学際ライブ以来だった。


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