娘「大好きなあなたにカラメルソース・・・お母さん何このイタいポエム」

澪(45)「そ、それはあれよ、む、昔その、り、律おばちゃんが書いた詩だよ!」

娘「でもコレお母さんの字だよね」

澪(45)「り、律が私の字を真似して書いたのよ!」

娘「あのりっちゃんがそんな器用なことできるかな」

澪(45)「できた!できたの!その時はたまたまできたんだって!」

娘「ふーん・・・本当?りっちゃん?」

田井中律(45)「へぇ~?私がそんなもの書いたんだ~。知らなかったぜ~」

澪(45)「り、律!?何でいるんだよ!?」

律(45)「遊びに来たんだよ。変なノートが見つかったから楽しもうと思って」

澪(45)「なああああっ!?」

娘「にしてもこれは無いわ…」

律(45)「だろ~?会場もまあドン引きドン引き」

娘「会場?…これ人前で発表したの!?うわぁ…」

澪(45)「帰れ!お前もう帰れ!」

律(45)「えー?いいじゃんよ別に~。うち今日ダンナもガキどももいないんだよ。暇なの」

娘「じゃあ今日はりっちゃんにいっぱいお話してもらえるね!やったー!」

律(45)「そうだぜ~?お母さんのあんなことやらこんなことやらもう赤裸々っ!裸々っ!」

澪(45)「勘弁して…ホント勘弁して…」

律(45)「そういやあんたいくつだっけ?」

娘「17だよ。忘れないでよ、りっちゃんちと同級なんだから」

律(45)「あー、そかそか。じゃあ丁度同じ年の時だな、澪がこの詩読んだの」

娘「お母さんが高3のとき?高3で?高3でこれ?…うーわー…」

澪(45)「そうだ律、ケーキがあるんだ!高いの!食べたくないか?」

律(45)「食べる食べるー!話しながら食べるー!」

娘「お茶請けがいっぱいだね、りっちゃん!」

澪(45)「お前らなあ・・・!」

律(45)「そのときのお母さんが…これだな」

澪(45)「何でアルバムまで持ってきてるんだよ!?」

娘「…私にそっくりだね。何かうれしいかも」

娘「これは唯さんだね。こっちは…?」

律(45)「梓だな。中野梓」

娘「ええっ!?嘘!?これ、中野さん!?めちゃめちゃ可愛いじゃん!!…マジ?」

娘「うわぁ…年取るの怖いなあ…」

律(45)「あんたそれ本人の前で言うなよ」

娘「わかってる。言えるわけないって色んな意味で」

澪(45)「この話やめなかったら後で私が梓に言うぞ」

律(45)「いいよ。別に言っても」

澪(45)「えっ!?」

娘「本当に、お母さんが中野さんに言えるならね」

澪(45)「くそう…」

律(45)「というわけでお母さんケーキまだ?」

娘「まだー?」

娘「この人は?」

律(45)「むぎだな。琴吹紬」

娘「ことぶきさん…私まだ会ったことないな~」

律(45)「あれ?そうなの?」

娘「うん。話は聞いてるけどね」

律(45)「今度久しぶりに会うからさ、何なら一緒に来るか?」

娘「え・・・いいの?」

律(45)「もちろんいいぜー?なあお母さーん?」

澪(45)「お前がお母さんって言うな!」

娘「ねえ、お母さん、私も行っていい?」

澪(45)「うーん…ま、まあいいけど…」

娘「やった!これでお母さんのこぼれ話さらに聞きまくり!」

律(45)「話しまくり!」

澪(45)「しくじった!!」



娘「へえ…この時にお母さんはときめきシュガー(笑)を歌ったの?」

澪(45)「笑うな!」

律(45)「んにゃ、この時は歌ったのは確か…ぴゅあぴゅあかな?」

澪(45)「うん、この時がぴゅあぴゅあの初お目見えだったと思うよ」

娘「ぴゅあぴゅあ(笑)」

澪(45)「あんたお今月の小遣い抜きね」

娘「そんな~!」

律(45)「にゃはははは!母は強し、ってか?」

澪(45)「律には当分DVDは貸さない」

律(45)「そんな~!」

律(45)「この時はそもそもライブじゃなかったんだよ」

娘「ライブじゃないの?」

律(45)「うん。これはお茶会」

娘「お茶会?何でお茶会で朗読?出しゃばったの?」

澪(45)「おいおい」

律(45)「まあ出しゃばったようなもんだな」

澪(45)「おいって!」

律(45)「何だようるさいなも~。出しゃばったんだろ?プログラムになかったのに詩を読みまひゅ~とか急に言い出して」

澪(45)「そんな言い方はしてないだろ!それに、私はあの時はサービスのつもりで…」

娘「話がまるで読めないよ」

律(45)「あぁ、このお茶会はな、澪がメインだったんだよ」

娘「お母さんがメインのお茶会?…というかお茶会のメインって何?初めて聞くんだけどそんな概念」

律(45)「つまりだな、実は、お母さんにはファンクラブがあったのだ!!」

澪(45)「あー恥ずかしい」

娘「ふーん」

律(45)「反応薄いな」

娘「ファンクラブなら私にもあるしね。うざいんだよね、あああいうのって」

澪(45)「ええっ!?お前ファンクラブなんかあるの!?」

娘「そだよ。えーと…去年の暮れごろに家の周りで不審者騒ぎあったでしょ?」

澪(45)「…あぁ、あったあった」

娘「あれ当時のファンクラブの会長」

澪(45)「ええっ!?」

娘「もう学校辞めたけどね」



娘「まあそんなことはどうでもいいよ。…つまりこのお茶会ってのは要するに、お母さんを囲む会、みたいなものだったってことだね」

律(45)「そうそう。いわゆるファンイベントだな。澪を囲んで楽しい時間をすごしましょう、っていう」

娘「はぁー。…そこで、このときめきシュガーを朗読した、と」

律(45)「そういうこと」

娘「わざわざイベントに参加して、この詩を聞かされたと」

律(45)「そういうこと」

娘「…最悪だな」

律(45)「…最悪だろ」

娘「ファンクラブの人が不憫だね」

律(45)「何人か泣いてたからな」

澪(45)「しんみりと嘘を混ぜるな」

律(45)「ま、でもこの時の話で面白いのはここくらいかな。私らが司会したからお茶会自体はスムーズに進んだし」

娘「ふーん」

澪(45)「よ、よし!じゃあもうこの話は終わり!律はもう帰宅!標はご飯まで勉強!はい、解散!」

律(45)「文化祭の初ライブの時だけどさあ…」

標「うんうん」

澪(45)「当たり前のように話題を変えるなあ!し、しかもその話は駄目!絶対駄目だって!駄目!」

律(45)「ケチケチするない。言ったろ?私は暇なのですよ」

標「私も一昨日定期テスト終わったばっかだからね、すこしは勉強から離れてもいいと思うよ」

澪(45)「駄目!絶対駄目!駄目ぇ!」

律(45)「しょうがないなもう…標、ちょっとこれ再生して」

標「…何これ?」

律(45)「フレディVS貞子のビデオ」

澪(45)「ぎゃあああああああ!!」

標「……再生するまでもなく逃げたね」

律(45)「にゃはは!伊達に40年近く付き合ってないっての!」

標「…でもこれ映画のパッケージじゃないね」

律(45)「実はそれは初ライブのビデオなのです」

標「おぉー!すごい!お母さんを退けつつ話を先に進めるとは!」

律(45)「褒めろ褒めろー!桜が丘のペテン師の異名は伊達じゃないぜー!」

標「やんややんや」

律(45)「ま。おふざけはこの辺にして…早く見ようぜ!急がないと母ちゃん戻ってきちゃうぞ」

標「あ、うん、そうだね…はい、セット完了!」

律(45)「なんたって15・6歳のころの映像だからな」

標「30年前か…なんか、すごいな…」

律(45)「おっ!来た来た!」



標「わー!!可愛いー衣装!!」

律(45)「さわちゃん特製のライブ衣装だからな…うわ若っ!」

標「さわちゃん?バンドのメンバー?」

律(45)「顧問の先生だよ。生きてれば今ごろ60歳ぐらいかな…」

標「あれ…お母さん震えてるね」

律(45)「当ったり前だろー!緊張しいの澪の初舞台だぜ?緊張しないわけがない」

標「…ボカールやんなきゃいいのに」

律(45)「…横のドジっ子が下手打たなきゃよかったんだけどなあ」

標「あぁー、なるほど。…わかんないけどわかった」

標「おっ!りっちゃんかっこいー!」

律(45)「へへん、まあ部長だからな~」

標「あれお母さん手拍子…おぉグリス!」

標「……あんまり上手くないねえ」

律(45)「あー…うん、まあ、やっぱ初めてはこんなもんだろ」

標「まあ、それはそうだね…。あ、でもお母さん割とちゃんと歌えてる」

律(45)「意外と本番には強いほうだからな」

律(45)「…やばい澪かわいい」

標「…くそうお母さんのくせにかわいい」


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