唯「これは・・・・」

澪「超数子砲(ヘディング・ロウ)。律と一緒に作り上げた私の能力」

唯「・・・・・すごいねぇ澪ちゃんは」

澪「ははっ・・・唯にそう言われても皮肉にしか聞こえないんだ・・・・よッ!!!」

バシュッ!! バシュッバシュッ!!

唯「ッ!!」

澪ちゃんが左手を少し動かしたかと思うと次の瞬間には超高速の数の子が飛んでくる

私はそれを紙一重で避ける

数の子廊下や壁を抉り取っていく

澪「それに当たったらいくら唯でも起き上がれないよ」

唯「・・・・そうだろうね」

バシュバシュッ!! バシュッ!

ズココッ!! ズノコココッ!!!

跳ねる しゃがむ 回る 伏せる 

私はあらゆる動きを駆使して光線の様な魚卵をかわしていく

バシュバシュバシュッ!!!

唯「ふっ!ほぉっ!・・・はっ・・・はっ・・・」

バシュバシュッ バシュッ!!!

唯「んっ!ほぁっ!」

澪「ほらほら、息が上がってきたんじゃないのか?当たっちゃうぞ?」

避ける、見る、避ける、観る、避ける、視る、避ける

観察する、計算する、分析する、解析する、見極める、攻撃方法を、法則性を――

唯「見えた・・・ッ!!」

澪ちゃんはカバンの中から左手で数の子を3本ずつ抜き取り

それを上に放り投げて、額で弾き飛ばしている――――

そのどれもが最小限の動き!遠目には何をしたのかが分からないほどの!

やっぱりすごいね澪ちゃんは・・・!こんなに技を使いこなしてるなんて!

でも・・・パターンさえ掴めば・・・割り込む隙はある!!

そう、数の子は3本ずつ左手で取る・・・さっきから飛んできている数の子も、タイミングを少しずつずらしてはいるけど

3本ずつのパターンの組み合わせに過ぎない!3本目が飛んだ後の間さえ狙えば――!!

バシュッ!!

一本目・・・

バシュッ!!

二本目・・・

          • バシュッッ!!

三本目!!今だッ!!

澪「おーおー、やっぱ気付いちゃうんだねぇ、唯は」

唯「!?」

澪「誰も三本しか左手に持てないなんて言ってないよな?」

そうか・・・指の間に一本ずつ挟んで持っていたのなら・・・・・

四本まで持つことが出来る・・・!!読み違えた・・・・・!!!

バシュッ!!

唯「―――――」

澪「ははっ!!吹き飛べよ唯イイイィイィ!!!!」

ズノコココォォォオォォンッ!!!!



澪「・・・・悪いな唯。私は・・・律に生きていてもらわないと・・・駄目なんだ・・・。だから・・ここは譲れない」

噴煙と共に黄金の粒がキラキラと宙を舞った

あぁ、初めて律にこの技を使ったときみたいだ・・・

すごく幻想的で・・・・綺麗だな・・・・

この光景を歌詞にしたら・・・・良い詞が書けそうだ

秋山澪はそう思った

そして、薄れていく噴煙の中に、その姿を認めたとき

秋山澪はこうも思った

あぁ・・・やっぱり私の歌詞はこいつに歌ってもらうのがとても、しっくりくる・・・



唯「・・・・これは、賭けだったよ・・・・」

澪「・・・・・・・・」

唯「 明 太 殺 し (メンタイブレイカー) 」

唯「右手に触れた明太子、及びそれに順ずるものを瞬時に弾けさせる能力だよ」

唯「これが・・・数の子に通用しなかったら、今私はやられてたね・・・」

澪「・・・・・・・ははっ、いいねぇいいねぇ・・・。最高だよ・・・・唯!!」



澪「うぅうううあああぁぁあああ!!!」

バシュバシュバシュッ!!!

唯「1,2,3!!」

バシュッ!!!

唯「4!!打ち止め!!いくよ澪ちゃん!!!」

澪「――ッ!!」

ムギちゃんの明太子を冷凍して保存しておいて良かったよ・・・

それにこの明太殺し、最初はなんでこんな迷惑な能力を・・・って思ったけど

ここで澪ちゃんと戦うのが運命だったとして・・・この能力はきっと

あずにゃんがくれた、運命に立ち向かうための能力・・・・!!

唯「おおぉぉおおおッ!!!アイズ・オン・ミー!!ほいほいっ!!」

シュンッ シュンシュンッ

メタッ メタタタッ!!

澪「ォギャッ!! 目ッ!!目がッ!!」



いける・・・・いけるっ!!

これでトドメ!!

唯「平沢流奥義!!ダイブ・トゥ・ブルー!!!」

シュンッ!!

澪ちゃんが次の数の子を装てんする前に放つ!!これで・・・もらった!!

唯「はーっばーたくーのーっ・・・・っ!?」

バチィッ!!!!

い、今のは・・・・?明太子が・・・数の子に弾き落とされた・・・?

澪「ギリギリだったけど・・・・威力を気にしなければ、速射は可能だ」

唯「・・・・っ」

澪「左腕で投げているから、あまり威力が出ないんだろ?」

澪「それくらいなら、弾き落とすのは簡単だ」

唯「・・・・目は、どうしたの」

澪「ははっ、考えてみてくれよ。私は数の子を毎回ヘディングしてるんだぞ?」

澪「多少の汁が目に入っても大丈夫なように、特殊なコンタクトレンズをしてるんだよ」

唯「・・・・あの怖がりの澪ちゃんがコンタクトレンズ?」

澪「頑張ったさ。これも愛の成せる業かな」

唯「ふふっ・・・やっぱり、澪ちゃんは凄いよ。すごく頑張りやさん。だから強い」

澪「唯もな・・・・正直、私は今少し楽しんでいるかもしれない」

唯「不謹慎だねぇ澪ちゃん・・・・でも私もちょっと楽しいかな」

澪「ははっ・・・・じゃあ、名残惜しいけど、終わりにするか」

唯「終わりにできるかな?どうかな?」

澪「さぁてねっ!!行くぞッ!!」

唯「おぉぉっ!!ほいほいっ!!」

バシュバシュッ!! シュンッ!! シュンシュンッ!! バチィッ!!! バシュッ!!!

メタッ メタタタッ!!! ズコッ ズノココオッ!! バシュッ シュンッ!!

――――飛び交う魚卵

――――真紅と黄金の攻防

――――弾け、混じり、降り注ぐ粒

二人の戦いは、戦いと呼ぶにはあまりにも美しすぎた



澪「はっ・・はっ・・・!!どうしたどうした唯!!押されてるんじゃないかァッ!?」

唯「ふぅっ・・・ふぅっ・・!!澪ちゃんが威力より速度重視にしてきたから・・・避けるのが、つらいんだよッ!!」

澪「ははっ!ざまーみやがれってんだァ!!」

唯「ふふっ!その言い方!りっちゃんみたいだね!!」

澪「あぁっそりゃ嬉しいね!!私はずっとあいつみたいになりたかった!!明るくて、社交的で、強くて!!」

澪「人見知りで!うじうじして!弱虫な私をいつも引っ張って行ってくれたんだ!!私は!!あいつみたいに!!」

澪「ずっと、・・・なりたかったんだぁーーーッ!!!!!!」

ズノココッ!!!

唯「ウグッ!?」

唯は澪の気迫で押しまくる一撃を腹部に受けてしまう

威力は落ちているとはいえ、強烈な一撃

唯は昇降口の下駄箱を巻き込んで吹き飛んで行く

唯「ウ・・・グゥ・・・・」

埃や砂煙が巻き起こり、唯の姿は一時的に倒れた下駄箱に紛れて隠れる形になった

澪「はっ・・・はっ・・・どこだよぉー唯・・・。さっさとトドメを刺させろよぉ・・・・」



唯「・・・・ふぅ・・・ふっ・・・・、駄目・・・・駄目なんだよ・・・澪ちゃん・・・・」

澪「・・はっ・・・はっ・・・・あぁ?」

唯「もう、澪ちゃんは、りっちゃんについていくだけの人じゃないよ・・・」

唯「ん、ぐ・・・りっちゃんのために・・・ここまで頑張って・・・・強くなったんじゃない・・・」

澪「・・・はっ・・ はっ・・・・・だから・・・何だよ」

唯「もう、澪ちゃんは!・・・りっちゃんに依存してちゃ駄目なの!りっちゃんが自分の道を自分で選んだように!!」

唯「澪ちゃんも!!りっちゃんに頼らずに!自分で決めて進まないと駄目なんだよ!!澪ちゃんにはもうそれができるはずだよ!!」

澪「・・・・・!!!」

唯「だから、りっちゃんに、依存しているんじゃなく!!りっちゃんのことが本当に好きなら!!信じてあげなきゃ駄目なんだよッ!!」

澪「・・・・・・ふっ・・・ははっ・・・・。私が・・・・律に依存してるだけ・・・・?」

澪「・・・・違う、・・・違う違うチガウちがうぅう!!」

澪「わ、私は律を愛しているんだぁあああぁぁああッ!!!!」

唯「だったら」サッ

唯「それを証明してみせてよ」サッ

唯「私に勝って」ササッ

澪「!?後ろ・・・いや、右!?」

唯「ほらほら、どうしたの澪ちゃん」ササッ

唯「こっちだよ」サッ

澪「そんな・・・・こんなに速く動けるはずが・・・!!」

唯「ホラ、こっち」ササッ

澪「くっ・・・・くそぉっ!!!そこだぁっ!!」

バシュッバシュバシュバシュッ!!!

唯「ハズレだね。こっちだよ」サッ

澪「ううおぉぉおおおお!!!!」

バシュバシュッ!!!

唯「平沢流奥義――――」

澪「!!そこか!!!」

唯「ダイブ」

澪「そんな技ッ!!何度やったって弾き飛ばしてやる・・・!!」

唯「トゥ」

澪「もらったぁああああ!!!!」

唯「「ブルー」」

澪「!?」

澪「・・・・は?み、右腕???」

シュンシュンッ!!!

唯「「はーばーたくっのーさっすーぐにーっ♪」」

メタタタタタタタタタァッ!!!!!!!!!

澪「ウゲブラッ!!!!???」

澪「は・・・・・ハァッ?前後から・・・同時に・・・・?ていうか・・・・右腕・・・・」

唯「澪ちゃん、よく見なよ」

澪「え!?う、後ろにも唯が・・・・・い、いや・・・・」

澪「前の唯は・・・・リボンの色が・・・・・」

唯「そういうこと」

澪「憂ちゃん・・・・・か・・・・・」

憂「こんにちは、澪さん」

唯「う~い~!!よく来てくれたねぇ~!!!」スリスリスリ

憂「も、もーお姉ちゃん!急に変装して来てくれなんて電話、びっくりしたよ・・・・」

唯「いやー、憂が来てくれなかったらあぶなかったよ~」

澪「せ・・・せこいなぁ・・・・唯」

唯「一人で立ち向かえない敵は仲間と一緒に叩く!これ基本アルネ!!」

憂「まぁたしかにちょっと卑怯ですけどね」

唯「う~い~!!どっちの味方なのさぁ~!!」

澪「はは・・・じゃあ私は、仲間がいないから負けた・・・ってことか」

唯「それは違いますよ澪ちゃん隊員!!」

澪「は?はぁ・・・」

唯「そもそも!私たちは放課後ティータイムという仲間なのです!!その仲間に戦いを仕掛けた澪ちゃんはその時点で間違っているのです!」

澪「・・・・・・」

唯「私たちは、一緒にりっちゃんとあずにゃんの帰りを信じて待つ、仲間なのですっ」

唯「わかりましたかな!」

澪「・・・・・・・・・はい・・・」



パチパチパチパチ

唯「?」

澪「!」

「すごいわぁ~唯ちゃん!本当に澪ちゃんを倒しちゃうなんて!」

唯「・・・」

憂「あなたは・・・・」

「私、この結果を見るのが夢だったの~!」

澪「何を、言ってるんだよ・・・・」

唯「・・・・」

「私!いますごく感激してるのよー!!」

澪「何が・・・」

「唯ちゃんがここで澪ちゃんを止めてくれるまでに、1688回もこの展開を繰り返したんだもの!」

唯「ど、どういうこと?・・・・・・・・・・ムギちゃん」

紬「・・・・・今から説明するわ」

~ 第三部 完 ~



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