美雪「きっかけって?」

金田一「……さあ、なんだったっけな。もう忘れちまったや」

美雪「えっ?」

金田一「もう事件は終わったんだ……そんな事、どうでもいいじゃないか」

美雪「それは、そうかもしれないけど……」

佐木「あ、また雨……ですね」

金田一「ああ……そうだな」

森に、いくつもの雨音が響いている。

窓の外には、何も見えない暗闇が広がっていて……。

俺たちは、その黒をただ見つめる事しか出来ずにいた。

今夜もまた、この場所には止まない雨が降る。



紬『ねえねえ唯ちゃん』

唯『んっ? どうかした?』

紬『はい、ケーキのプレゼント!』

唯『うわ~、ありがと~! こんなおっきなケーキ初めてだよっ!』

紬『お家のお金、全部唯ちゃんのためのケーキに使ったのよ』

唯『……』

紬『じゃあ、一緒に食べましょ? 今お茶を持ってく……』

唯『ダメだよ、全部なんて』

紬『……え?』



唯『ケーキなんかより……ケーキなんかより……』

紬『ご、ごめんなさい。他のお菓子の方がよかった……かな……』

唯『! ううん、違うよっ!』

紬『えっ……』

唯『私は、ムギちゃんのお家の事が心配なの! お金大丈夫? 全部ケーキになんてしなくてよかったのに……!』

唯『ご飯とか野菜も買わないと栄養偏っちゃうよ! あ、あとお茶のお金だって……』

紬『……くすっ』

唯『ムギ……ちゃん?』



紬(ああ、やっぱり唯ちゃんは唯ちゃんだ)



唯『ねえ、どうしたの。どうして私から離れていっちゃうの?』



紬(夢の中でも、私の事を心配してくれる……あの時とおんなじだ)



唯『ねえ……何か喋ってよ。私、ケーキもお茶もいらないよ? ムギちゃんとお話できれば、それでいいから……』

唯『だから……』



紬(ごめんね、唯ちゃん)



唯『そんな遠くに行っちゃわないでよ……』



紬(私、唯ちゃんと親友でいられて……本当に……)



唯『……』




?日後・都内墓地

午後13時過ぎ

金田一「……」

美雪「……はい、お参り終わり」

金田一「ふぁ~あ、せっかくの日曜日だってのによ」

美雪「もう。お墓の前でそんな事言わないのっ」

金田一「へいへい。……にしてもあいつら遅くね~? 誘われたから、わざわざ遠くまで来たって言うのに」

美雪「きっとすぐに来るわよ」

金田一「へっ、ああいうガサツな女の子ってのは、やっぱり時間にもルーズで……」

律「誰がガサツだ! 誰がっ!」

金田一「うおっ! び、びっくりしたぁ……」

律「ったく……悪口言うならいない時に言えよな」

澪「あははっ、こんちわっ」



律「……」スッ

澪「……」スッ

律「今でもさ、信じらんねーよ」

金田一「ん~」

律「同じ学校の人間が殺されて、犯人も私たちの身近にいた。なんてさ」

澪「律……」

律「こうやってお墓見ても、何にも実感沸かないんだよな」

美雪「律ちゃん……」

律「いつもみたいに部室でダラダラしてるとさ、口うるさそうに『練習しないとダメですよ!』って」

律「……ああ、なんだろうな。うるさい人間がいないと寂しいもんだな」

澪「律……」

律「真面目に……グスッ、練習するからさ。梓……帰って来てくれねえかなぁ……」

澪「っ……言うなよっ!」

澪「わ、私だって……私だって……うっ……」

律「お菓子もお茶もいらないからさ……ムギだって早く帰って来いよバカヤロー……っ」

澪「う、うわあぁぁん……」

律「くそっ、グスッ……くそっ……」

美雪「……」

金田一「……」

金田一(それぞれの胸に、けっして消える事の無い深い傷を残しながら)

金田一(悪夢のようなあの事件は……終わった)

金田一(今日も、どこかの女子高の音楽準備室には……もう二度と持ち主が現れる事のない楽器たちが)

金田一(ただもの寂しそうに、窓辺に飾られているだけだった)









教会

?日目?時?分

憂「……私は罪を犯しました」

『……』

憂「しかし私の手は汚れておりません」

『……』

憂「それでも周りは皆、私を罪人と呼ぶのでしょうか」

『……』

憂「私にはわかりません。私の何がいけないのかが」

『……』

憂「ああ……」

憂「どうか私を、お救い下さい」

『……』

『いいでしょう』

憂「!」

『あなたが救われたいと懇願するのなら』

『私はあなたを救いましょう』

憂「……」

憂「はい、ありがとうございます」

『お礼など、いいのですよ』

『あ、それと……これをどうぞ。あなたに差し上げます』

憂「……なんですか?」

『御近づきの、印ですよ。どうです……美しいでしょう?』

憂「わあ、綺麗……」

『ふふっ、気に入って頂けましたか。この』

憂「はい。この色、これはまるで……」

『そうですとも』クスッ



『血のように赤い薔薇』



高遠『あなたに……ピッタリの薔薇でしょう?』







これで終了。

絶対に細かいミス、大きなミスもがあるんでしょう……そこはお見逃しを。

トリック云々より、らしさと言うか……雰囲気を楽しんでもらえれば幸いです。