二階・金田一の部屋

四日目、18時過ぎ

金田一「……」

美雪「どうしたのよはじめちゃん。浮かない顔して……あと二時間もすれば剣持警部が迎えに来てくれるんでしょ?」

佐木「……もしかして、さっきの推理の事ですか?」

金田一「……」

美雪「紬ちゃんが…」

美雪「紬ちゃんが最後の事件を自白してから……なんか様子が変よ?」

佐木「彼女自身が罪を認めたんですから、それでいいじゃないですか」

金田一「……」

佐木「てっきり、推理で犯人を追い詰めるのかと思いましたけど……彼女から罪を告白し出しましたから、ね」

金田一(そう、それで全ては終わったはずなんだ)

金田一(でも、何なんだ……この違和感は……クソッ)

美雪「……そう言えば、みんな大丈夫かしら? 一階に残してきちゃったけど」

佐木「今は、そっとしておいてあげましょうよ。その……迎えが来たらみんなは……」

美雪「……」

金田一「……」

金田一「喉が、渇いたな」

美雪「あ、お水持ってこようか?」

金田一「いやいいよ。自分で行く」

美雪「……はじめちゃん」

金田一「ん~?」

美雪「あんまり、悩みすぎないで、ね」

金田一「……」

ガチャッ。



佐木「先輩、元気無いですね」

美雪「……」

美雪「はじめちゃん……」

佐木「もう解決していない事は無いはずなのに」

美雪「……でもね、私も何かが引っ掛かっている気がするの」

佐木「え、どういう事ですか?」

美雪「うまく言えないけど……何か、変な感じ」

佐木「僕には、よくわかりませんけど」

美雪「はじめちゃん、大丈夫かな……」



一階・団欒室

唯「……」

澪「……」

紬「……」

律「なあ、ムギ。その……」

律「……ん」

「……」

紬「ねえ、みんな」

「!」

紬「どうして……私と同じテーブルに座ってくれているの?」

紬「私、その……人を……」

紬「だから、みんなとこうやって一緒にいる資格なんて……」

律「……なに言ってんだよ。そんな事関係無いっての」

紬「……」

律「あ~……いや、関係無いと言うかなんと言うか」

澪「みんな、ムギと一緒にいたいんだよ」

紬「だって……」

唯「ムギちゃん」

紬「!」

唯「私、ムギちゃんのいれたお茶が飲みたいな」

澪「唯……」

唯「一緒に、お茶を飲もうよ。ね?」

紬「……私がお茶を入れていいの?」

律「わ、私は飲むぞ」

澪「……」

律「澪は?」

紬「……」

澪「私も、いただこうかな。うん」

紬「澪ちゃん……!」

唯「久しぶりの、お茶会だね」

紬「じゃあ……あ、悪いんだけど誰か手伝ってくれないかしら? お茶とケーキを運びたいの」

律「お~し、じゃあここは珍しく部長の私がっ……!」

唯「私が手伝うよっ」

律「ぬおっ、唯~?」



紬「……じゃあ唯ちゃん。お願いできるかしら?」

律「むあっ、ムギ~……」

唯「うん、わかったよ」

澪「じゃあ、私たちは待ってるよ」

律「仕方ないな~今回は唯隊員に譲ってやるよ!」

紬「……ありがとう、澪ちゃん。りっちゃん」

紬「ありがとう、唯ちゃん……」



……。

律「……何て言うかさ、やっぱ信じらんねえよな」

澪「ん?」

律「ムギが、人を殺したなんてさ……それも……二人も」

澪「鈴木さんと、憂ちゃん……」

律「何か理由があったんだろうけどさ、事故を隠してこんな事になるなんてさ……なんでかな」

澪「……やっぱり、時間が欲しかったんだろうな。話を聞いてると」

律「私には、やっぱりわかんねーや……バレたら全部終わりじゃないかよっ……」

澪「律……」

律「……」

澪「……」

金田一「……っと、お二人さん」タタッ

澪「あ……」

金田一「あれ、唯ちゃんと……紬ちゃんは?」

律「あ、ああ。お茶とお菓子を持ってきてくれるんだってさ」

金田一「……」

律「そんな顔すんなよ……私たちが頼んだ事なんだからさ」

澪「唯も手伝ってくれてるから、大丈夫だよ」

律「……はじめちゃんは、どうして?」

金田一「あ、ああ。俺はちょっと喉が渇いて……」

澪「ああ、厨房に二人ともいるはずだよ」

律「……」



律「あのさ、はじめちゃん」

金田一「んっ?」

律「よかったらさ……ムギの事、ちょっと元気付けてやってくれないかな……」

律「その……犯人なムギに何か言ってやってくれってのもアレだと思うけど」

金田一「……」

澪「私も……正直、ムギの事聞いて最初は怖かったけど……」

澪「やっぱり、ムギは放課後ティータイムの一員だしさ。それに……やっぱり友達だから」



律「よろしくなっ、はじめちゃん」

金田一「……ああ」



一階・厨房

紬「……」

唯「こっちをお皿に盛って……と」

紬「……」

紬「唯ちゃん。ありが……」

唯「……ありがとうね、ムギちゃん」

紬「えっ? な、何の事かしら?」

唯「話を合わせて……憂を共犯者にしてくれてさ」

紬「……」

唯「びっくりしたよ。いきなり嘘っぱちな事言い出すんだもん」

紬「それは……」

唯「ねえ、どうしてそんな事してくれたの?」

唯「私を助けてくれたの?」

紬「……」

唯「私は、憂に助けてもらった。憂が部屋を変わってくれてなかったら……私はきっと殺されちゃってたんだよね」

紬「唯ちゃん……」

唯「でもね、私はムギちゃんを憎んでなんかいないよ。私に罪が及ばないように……」

唯「私を助けるように、自分から告白してくれたんだから」

紬「……私は」

紬「やっぱり唯ちゃんを、大切な友達だと思っているから……」

唯「……うん、ありがとう」

唯「私ね、正直ちょっと怖かったんだ。もしかしたら……」

唯「ムギちゃんに嫌われちゃって、何か言われるんじゃないかって」

唯「でも、ムギちゃんは私を守ってくれた」

紬「唯ちゃん……」

紬「あ、あのね唯ちゃん!」



唯「ん~?」

紬「わ、私ね! みんなとお別れしちゃう前に……ううん、唯ちゃんとお別れする前にもう一度!」

紬「もう一度だけ、言ってほしい言葉があるの……」

唯「ん~?」

唯「……」

紬「ほ、ほら。覚えてない? いつの日か、部室で私に言ってくれた……」

唯「……」



唯「なんの、話だっけ?」

紬「え、えっとね、お友達の……」

唯「……」オロオロ

紬「……」

紬「ううん……ごめんね。何でもないわ」

唯「……えっ、えっ?」

紬「変な事言って、困らせちゃって。ごめん」

唯「……いいの?」

紬「うん、大丈夫よ。ごめんね本当に」

唯「……んっ」

唯「……私、先にお菓子運んでるね」

紬「う、うん」

紬「……」

……。


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