一階・団欒室

三日目、午前1時。

律「うっ……」

澪「あず……さ……」

唯「ううっ……うわあああん……」

紬「どう……して……」

憂「……」

ガチャッ。

美雪「あ、ど、どうだったはじめちゃん」

金田一「これは……殺人だ」

「!」

律「さ、殺人……?」

紬「梓ちゃんが誰かに……」

澪「殺され……た」

金田一「……ああ」

憂「……して」

唯「う、うい?」

憂「どうして……梓ちゃんが」

憂「さっきまでメールして、確かに生きていたのに」

憂「ねえ、どうしてなの……」

金田一「……」

金田一「憂ちゃん。辛いかもしれないけれど、そのメールの時の様子を教えてくれないかな」

憂「……」

唯「憂……」

憂「わかりました、お話します」

憂「メールが来たのは、私が眠ろうと思っていた頃です」

金田一「……そうか」

憂「はい、これがそのメールです」

金田一「……この、最後のメール。22時30分の後は?」

憂「えっと、私着替えてから地下に向かったんですよ。で、ちょっと準備に手間取っちゃって……15分くらいかな」

金田一「準備を終えて地下室に向かったら……」

憂「はい。梓ちゃんが倒れていて……私、みんなを呼びにいって……ううっ……」

金田一「他に、何か変わった事は?」

憂「そんな余裕なかったですよ……」

金田一「例えば、奥に誰かの雰囲気を感じたとか、純ちゃんの様子が変わっていたりとか……」

憂「……奥まで行く勇気は無かったですけど気配とかは感じなかったと思います」

憂「純ちゃんは……毛布がかかっていたくらいです。それ以外は何も……ううっ」

佐木「……先輩、今日はもう休んでもらった方が」ジー

金田一「そう……だな」

澪「……」ガタガタ

律「澪。私の部屋に来いよ……一人じゃ眠れないだろ?」

澪「……」コク コク

紬「じゃあ……休みましょうか」

唯「……みんな、戸締まりだけはちゃんとしようね」

「!」

その言葉に、全員が凍りついた。

金田一(そう……)

金田一(中野梓を殺した犯人は、この中にいるんだ……)

金田一(仮面を被って、この状況を見つめている)

明日からまた調査をするという事を考えると、眠気はすぐにやって来た。

部屋に戻ってから目が覚めて……三日目の朝が始まった。



団欒室。

三日目、午前10時。

金田一「全員揃ったみたいだな」

唯「あの、これから何をするのかな?」

金田一「みんなに聞きたいんだ。一日目と二日目に、どんな行動をしてきたのか」

金田一「それを元に、アリバイを探して行くんだ」

律「ち、ちょっと待った~。アリバイなんて言ったら……」

澪「……まるで、私たちが容疑者みたいじゃないか」

律「大体さ~、たかが高校二年生の分際でしゃしゃっちゃって……推理ごっこかぁ?」

佐木「ごっこも何も、この人は本場ですよ」ジー

紬「……え」

佐木「かの有名な金田一耕助の孫……IQ180の天才高校生探偵、金田一一」ジー

澪「高校生探偵……」

憂「IQ180……」

唯「それって、どれくらいすごいの?」

紬「テストで常に100点満点なくらいかしらね~」

佐木「まあ……学校の成績は赤点レベルですけどね」

金田一「おほん。で、話がまとまった所で、だ」

金田一「改めてみんなのアリバイを聞いていきたい」

金田一「まずは一日目から……お願いできるかな。なるべく時間は覚えている限り、正確に頼む」

澪「合宿初日だな」

紬「えっと、朝から移動して……この別荘についたのはお昼、13時くらいだったと思うわ」

美雪「この辺りは、まだ関係なさそうね」

紬「それから荷物を片付けたりして……お茶で一息いれていたら雨が降りだしたの」

美雪「私たちが合流して……演奏を聞いて、そこからお夕飯をご馳走になったわね」

金田一「問題は……夜だ」

澪「た、確か初日は……0時近くまで騒いでたかな」

律「騒ぎ疲れて、部屋にもどったらすぐ寝ちゃったけどな~」

金田一「そこに鈴木さんは?」

唯「集まったのは、私と澪ちゃんとりっちゃんの三人だよ。みんな誘ったけど……寝ちゃう人が殆どだったから」

律「まあ、初日だったしな~。四泊五日もあるんだから、体力温存てカンジ?」

金田一「つまり、3人は0時過ぎまで一緒にいた?」

澪「大体、そんな感じかな。少なくとも1時にはもう寝ていたよ」

金田一「じゃあ、他の人は?」

紬「私は部屋で寝ちゃってたから……」

憂「私も。特に梓ちゃんや純ちゃんと話してもいなかったし……」

金田一「じゃあ、純ちゃんを最後に見た時間は?」

憂「えっと……部屋に入っておやすみなさいする時かな。23時くらい」

律「その辺かな~」

金田一「それ以降は?」

「……」

金田一「つまり、犯行が行われたのは……少なくとも午後23時以降になるわけだ」

律「あ、あれだ。死亡推定じこくーとかわからないもんなのかな?」

澪「冷蔵室で亡くなったなら、わからないんじゃないか?」

律「あっ、そっか」

紬「でも、どうして冷蔵室に……」

憂「探検じゃないかな。純ちゃんて元気な子……だったから」ジー

唯「ええ~。でもあんな格好で冷蔵庫開けたくないよ~……」

律「でも、あの地下室にめちゃくちゃ美味いアイスが保管されてたら、どうする?」

唯「あ! 行きたい行きたい!」

紬「でも、地下の冷蔵庫内には冷凍されたお肉とかしか……お菓子類は何もないはずよ~」

唯「……がっくし」

美雪「あれ、紬ちゃんはここの地下に何があるか知ってるの?」

紬「あ、所有している別荘全てに似たようなお部屋があるの。中身も大体同じだって聞いたから……多分そうかなって」

美雪「そ、そう……(そんなに別荘持ってるんだ)」



金田一「……じゃあ、二日目だ。主に夜……最後に梓ちゃんを見た時間は? 誰か覚えていないか?」

澪「私は、就寝前……午後21時くらいかな」

律「私も」

紬「それくらいかしらね」

唯「私もだよ~」

憂「……直接梓ちゃんを見たのは、私も同じくらいです」

佐木「となると……」ジー

金田一「犯行時間は、夜の21時以降の可能性か」

憂「で、でも……こうやってちゃんとメールを!」

律「携帯だけパクって、憂にメールしたとか?」

金田一「いや、携帯は梓ちゃんのポケットの中に入っていた。その可能性は低いと思うぜ」

律「んん~……携帯を梓から盗んで、憂ちゃんにメール。地下室に呼び出した後、梓の携帯をポケットに……」

澪「律、もうわけわかんないぞ。素直に負けを認めろ」

律「ううっ……」


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