紬「……じゃあ、お皿片付けちゃうわね」

美雪「あ、私手伝います」

紬「大丈夫よ。お片付けしたら美味しいお茶を用意するわね」

唯「わ~い、久しぶりだな~ムギちゃんのお茶」

律「……昼時に飲んだばっかだろ~」

澪「でも、ムギが出すお茶は本当に美味しいからな」

紬「ふふっ」

金田一「……へえ。お嬢様かと思ったらそんな事まで」

佐木「先輩も何度か飲んでるじゃありませんか。何をいまさら」ジー

金田一「いやあ、あんまそういうのは気にしない質で……」

美雪「……もう、はじめちゃんたら」

憂「くすっ」ジー

紬「ふふっ」



二階・梓の部屋

午後22時過ぎ

梓「……」

梓(結局あれからお茶を飲んで……でも頭はモヤモヤしてばっかで)

梓(……よし)

地下室を調べに行こう。

もしかしたら何かわかるかもしれない。

そして、証拠を見つけて……純を……。

梓(でも、一人じゃちょっと怖いかも……)

夕食の後、雑談もそこそこに。

みんなが部屋に入ったのは21時くらいだろうか。

普段の合宿では考えられないくらいだが……。

梓(起こしちゃうと迷惑かな……でも……)

悩んだあげく、私は憂を誘って地下室に向かう事にした。

梓『憂、起きてる?』

メールを憂の携帯に送ってみる。

彼女も起きていたのか、すぐに返事がくる。

憂『起きてるよ、どうかした~?』

梓『実はね……地下室を調べに行きたいんだ。でも一人じゃ怖くて……憂にちょっとだけ付いてきて欲しいな~、って』

……。

一分もしないうちに返事が来た。

憂『うん、わかった。ちょっと支度に時間かかるけど、いい?』

いきなりの提案、それでも付き合ってくれるのは本当にありがたい。

でも、私の気持ちは焦っていたんでしょう……。

梓『大丈夫だよ。じゃあ私先に行ってるから……準備ができたらまた連絡してね』

そう返信すると、一枚小さな毛布を肩に巻き、誰もいない廊下へ飛び出して行った。

目指すは、純のいる地下室。



地下室

梓「……」

薄暗い階段を、ゆっくり、ゆっくりと降りていく。

冷たすぎるくらいの空気が、私の体に絡み付いてくる。

寒い、というより……痛い。

純に近づく度に、胸が締め付けられるような感覚がする。

階段を降りきった梓は、地下室の電気を付けた。

梓「純……」

丁寧に巻かれた毛布にくるまっているその膨らみの下に、彼女がいる。

梓(少しだけ、ごめんなさい)

毛布を退けると、そこには目を瞑ったままの親友の姿があった。

首が変な方向に曲がっている。

少し「ひっ」と言った金切り声が出てしまう。

梓「純……」

その姿を見たら、また泣きそうになってしまう。

梓(でも……我慢我慢)

とりあえず、素人調査でも……本で読んだ知識だけを頭に、純の遺体を調べ出す。

梓(首が曲がって、頭に傷……。体は……打ったのかな。よくわかんないや)

梓(でも、ここの床に血があまり付いてないから……純はここで死んだんじゃないのかもしれない)

梓(そうだよね、こんな寒そうな格好でここに来ないよね)

梓(じゃあ……本当の犯行現場は?)

梓(地下室、大浴場、娯楽室、……)

梓(全部の部屋、どこで殺したとしても発見は時間の問題)

梓(じゃあどうしてわざわざ地下室に純を運んだの?)

梓(……)

梓(それに、階段で死んだってなった場合……この別荘にある階段なんて)

梓(一階と二階を繋ぐ階段のみ)

梓(……ちょっと、そっちも調べてみようかな)

梓(おやすみ、純。また来るから、ね)

毛布をかけ直し、電気を消して階段を上がろうとしたその時。

上の方から、扉の閉まる音がした。



梓(わ、真っ暗。憂かな……タイミング悪いなあ、まったく)

足音が、コツコツと上から下へ降りてくる。

私も上った階段を少し戻って、電気をもう一度付けようかとも思ったけれども……携帯の光を頼りに、階段の上の人影を照らす事にした。

梓「来てもらってごめんね。もう大丈夫だから上戻ろう?」

コツ。

コツ。

話しかけても、その足音は何も反応を返さない。

無機質な足音だけが、ただ地下室と私の耳にだけ響いている。

梓「う……憂?」

その足音が、一歩、また一歩と近付いてくる。

そしておそらく目の前にいるであろう距離までそれが近付いてきた……次の瞬間。

梓「!!!」

誰かが……私の首を絞めてきた。

梓(こ、これ……ぐっ……)

苦しい。

声にならない。

本気だ、本気でこいつは私を殺すつもりなんだ。

真っ暗闇の中で、私は……結局、誰が私を殺して。

誰が純を殺したのか。

何もわからないまま……冷たくなった純に寄り添うように、眠るのでした。



梓「」

純「」

「……」


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