─中野邸?─

梓「ようやく家に帰れた」

 「ただいまー」 

ガチャ

シーン

梓「あれ?誰もいないのかな?」

 「あっ、おいしそうなゴチソウが置いてある」 

 「お腹空いてたし食べようっと」 

パクパクゴクン

梓「おいしいおいしい!」

 「あれ? でもなにか変だなぁ」 

 「心なしか家具の位置が変ってる気がするし 

  部屋もすごく広くなってるし……」 

梓「あっ!!!」

 「ここ、他人ん家だった!!」 



─本当の中野邸─

梓「あぶないあぶない、また やっちゃった」

 「いつまでも小学生じゃないのにね」 

 「ただいまー」 

ガチャ

シーン

梓「あれ、誰もいないのかな?」

 「あっ、ゴハンが何もない」 

 「やっぱり自分の家はダメだなぁ」 

梓「それにしてもお父さんとお母さん

  夜遅いのに どこに行ったんだろう」 

 「きっと男たちと つながっているんだ」 

ピンポーン ピンポーン

梓「あっ、帰ってきたのかな」

梓「でもお父さんたちならチャイムなんて鳴らさないよね…」

ピンポーン

梓「こ、こんな時間に誰がきたんだろう…

  あっ、ユリ・ゲラーが私に超能力を授けにきてくれたのかも!!」」 

ピンポーン 

梓「はぁい」おそるおそる

ガチャ…

紬「こんばんわ~」

梓「百合ゲラーの方だった」



梓「それで何しに来たんですか?」

紬「ちょっと今晩 泊めてくれないかしら」

梓「えっ、体だけが目当てですか?」

紬「なに言ってるのかしらコイツ」

梓「ムギセンパイの事だから可愛い後輩の肉体を

  つまみぐいに来たのでは……と」 

紬「違うの。実は家に帰れなくって……」

梓「え?」

紬「駅に行ったら誰もいなくて電車は来ないし

  迎えにくるよう家に電話しても相変わらず誰もいないし」 

梓「駅に誰もいない?」

 「それって変じゃないですか?」 

紬「そうかしら」

梓「ムギセンパイ、これって…」

梓「よほど日頃の行いが悪いんですね」

ゲシッ

梓「いたっ!!無言で蹴るな!!この大根足!!」

紬「屋上へ行きましょう、久々にキレちまったわ」

 「あっ、でもこのブタ小屋には屋上なんて無かった」 

梓「人ん家をブタ小屋呼ばわりするな!!」

紬「いいから泊めてくれないかしら、このクソ小屋に」

梓「もはやなんの小屋なんですか」

梓「そんなに泊まりたいならホテルにでも行けばいいじゃないですか」

 「お金いっぱい持っているんでしょうに」 

紬「確かにホテルはキレイだし広いし

  気の利いたサービスもあるけれど」 

 「……梓ちゃんがいないじゃない」 

梓「え」

ゲシッ

梓「いたっ!!無言で蹴らないでくださいって言ってるでしょ!!」



紬「じゃあ もう行くから!!」

 「梓ちゃんのおこづかい100年分の超高級ホテルに泊まってくるから!!」 

梓「スネないでください」

 「わかりました、今日は特別に泊めてあげますよ」 

紬「本当!?」

梓「そのかわり おこづかい100年分ください」

紬「はい、1000円」

梓「私のこづかい 1年10円!?」

紬「♪」



─翌朝 平沢邸─

チュンチュン チチチ…

唯「ふぁ~あ、よく寝ちゃったよ~」

トタトタ ブリッ

唯「うい~、うんこ~、ういんこ~」

シーン

唯「あれ、まだ憂 帰ってきてないのかな」

 「一晩中 帰ってこないなんて 

  さすがに心配になってきちゃったよ」 

唯「ちょっと探しに行ってみようかなぁ」 

唯「あ!!でも憂がいないとオシリが拭けない…トイレから出られない!!」

 「どうしよう…」 



─田井中邸─

チュンチュン チチチ…

澪「ふぁ~あ、よく寝た…」

律「スースー」

澪「…」

澪「傍らには裸の律が規則正しい寝息を立てている」

 「そのやわらかな曲線に そっと触れてみるが起きる様子はない」 

律「いや、起きたけど」

 「というか普通にパジャマも着てるけど」 

澪「分かってるよ そんなことは」

 「お前には夢も希望もないのか」 

律「あれ?まだ父さんたち帰ってきてないのか…」

澪「お、おい律!!冷蔵庫の中に聡が・・・!!」

律「えっ!?」

澪「入ってたら おもしろいのにな」

律「おもしろくないよ。というか何、勝手に人ん家の冷蔵庫開けてんだよ」

澪「朝はちゃんと食べた方が いいらしいからな」ムシャムシャ

律「それが人ん家の冷蔵庫 開ける理由になるとでも思ってるのか」



澪「おかしいな、ママからメールの一件もあると思ったのに」

律「なにが?」

澪「いや、昨日 ノリでお前の家に泊まったから

  ママが心配してるかもと思ったけど… 

  ひょっとしてまだ帰ってきてないのかなぁ」 

律「そういえば昨日、部室に閉じ込められてから

  誰にも会ってないぞ」 

澪「学校からの帰り道、車が一台も走ってなかったし」

律「う~む」

律「唯に電話でもしてみるか」

澪「あぁ、憂ちゃんも電話に出ないとか言ってたっけ」

 「ちゃんと会えたのか確認しよう」 

プルルルルルル プルルルルルル

プルルルルルル プルルルルルル

プルルルルルル プルルルルルル

律「ダメだ、出ないぞ」

澪「…ちょっと様子を見に行ってみるか」

律「うん、そうだな」



─中野邸─

チュンチュン ドギュゥゥン チュ…チュン…

紬「ふぁ~あ、よく寝た…」

梓「…」

紬「私の傍らには かつて梓ちゃんだった肉塊がある」

 「壁には赤黒い皮のついた髪の毛がヘバりつき 

  文字通りこぼれ落ちた眼球が虚空をみつめていた」 

梓「朝っぱらからグロいナレーションは自重してください」

紬「ちなみに午前4時から6時にかけて

  梓ちゃんオッパイを揉みしだき続けたけど気がついた?」 

梓「あっ、そういえば胸が少し大きくなっているような…!!くそぅ!!」



梓「まだ お母さんたち 帰ってきてないや」

 「あ、コーヒーどうぞ」 

紬「ありがとう」ズズ

梓「はぁ、ひょっとしてまたディズニーランドにでも行ったのかなぁ」

紬「ディズニーランド?」

梓「ウチの両親、いまだにバカップルで

  若者のノリで遊びに行って よく外泊とかしちゃうんです」 

紬「そうなんだ」

 「梓ちゃんは一緒に連れていってもらえないの?」 

梓「まぁ慣れっこです」

紬「ペニス」

梓「いきなり なんで そんな事いったんですか!?」

紬「いや、さみしい女の子が欲しがるかと思って……」

梓「バカじゃないですか本当に」



紬「今日は学校お休みかぁ」

 「これからどうしようかしら」 

梓「とりあえず帰った方がいいんじゃないですか?」

紬「うーん。せっかくだから どこか遊びに行かない?」

梓「遊びですか。やはりムギセンパイクラスとなると

  金に目がくらんで高層ビルの屋上と屋上に 

  架けられた鉄骨を渡ろうとして落ちる 

  ダメ人間を眺めたりする遊びですか」 

紬「梓ちゃんが見たいなら手配するけど」

梓「いや、なんか もっと健全な遊びにしましょう」

 「おにごっことか」



─平沢邸に向かう律と澪─

澪「なぁ、最近 クラスで律澪とか澪律とか

  言ってるのを耳にするが どっちがいいと思う?」 

律「なんの話だ?」

澪「だから、私が攻めか律が攻めかの話だよ」

律「よく分からんが、守りはアタシの性分じゃねー」

澪「ふふっ、律が望むなら それでいいよ♪」

律「気持ち悪いヤツだなぁ」

律「それにしても日曜日にこうして唯の家に向かっているワケだが…

  見事に通行人と会わないな。」 

 「まるで この辺り一帯の人間が消えたように」 

澪「唯の家って隣が神社だろ?」

 「ひょっとして良くないものを呼び寄せているんじゃないか?」 

律「神社なら良いものを呼び寄せなきゃダメだろ」

澪「まぁそうだけど」

梓「ぉぎゃあああああああ助けてえええええ」ドタバタ

紬「ウォオオ梓ちゃんの臓物を生きたまま抉り出して

  サンドバッグにするのが夢だったのおぉオォォオオオ!!!」グォオオオオオ 

梓「お、おにー!!」ウワァァァン

澪「見ろ、よくないものだ」

律「そうだな」



澪「なにしてるんだ お前ら」

梓「あっ、地獄に ほとけ!!」

紬「梓ちゃんが鬼ごっこしたいっていうから本気出してみたの」

律「おぉ、おもしろそうじゃん」

澪「盲腸って いらない臓器らしいし取り出してみるか」

梓「殺人鬼が増えただけだった」

澪「ところで ここに来るまで人と会った?」

梓「大鎌を持って追いかけてくるムギセンパイを

  警察が取り押さえてくれることを本気で期待したんですが 

  誰も いないんですよ」 

紬「梓ちゃんに至っては全裸だしね」

澪「ムギの大鎌は分かる(?)として

  梓はなぜ全裸なんだ」 

梓「私、地獄の餓鬼って設定なんですよー」

律「そこまで本気の鬼ごっことは ますます頼もしいヤツらよ」

澪「でもコレは本格的に変だぞ」

紬「そうね」

梓「この辺り一帯で何か不思議なことが起きているのかも」

律「全裸と八つ墓村スタイルのお前らが まず不思議な存在だがな」

澪「とにかく唯と合流しよう」

梓「その前に私、服が着たいです」

律「こんなときに何言ってんだ」

梓「いや、そんなに分からん話じゃないでしょうよ」

紬「そんな事いって裸で外を走り回る行為に不思議な背徳感を感じているんでしょ?」

梓「うっ、そんなことは」

紬「全裸は気持ちいい、気持ちいいのは当たり前、そうでしょ?」

梓「うぅっ、そうかも」グルグル

澪「催眠オナニーか」


4