梓「オタクだけに狙いを絞ると、やはり視野がせまくなりますよね」

澪「うーん。まぁ一般人もファン層に取り込めたら一番いいんだろうけど」

律「そうだ、それがいい!オタクからも一般人からも支持されるバンド!売り上げも人気もアップだ」

梓「相変わらず単純ですね」フゥ

紬「生きてて恥ずかしくない?」

律「何だと?」

唯「それは無理だよ、きっと。一般人からもオタクからも支持されるなんて無理がある」

紬「オタク向けにしたら一般人が離れるだろうし、一般向けにしたらオタクが合わなくて離れるだろうしね」

律「でも一般層に人気なのは魅力的だな、やっぱり。SMAPとか嵐とか、国民的グループは一般層に人気なのが絶対条件じゃん」

唯「そもそも私たちは無理だよ。最初から国民的グループになれる条件から外れている」

唯「国民的グループになるためには、男性のグループじゃないと難しいんだよ」

梓「確かに国民的なアイドルグループって…ジャニーズとか、無駄にかっこいい野郎ばっかですよね」

唯「そう。逆に女の子のグループで絶対的な支持を受けてるグループってある?」

澪「うーん…」

律「えーっと」

梓「あ、別に田井中さんは考えなくていいです。話がややこしくなるんで」

紬「モー娘は一時期すごく流行ったけど、数年たったらブームも去ったし……AKB48もオタク向けだから国民的には程遠いわね」

唯「うん。他にも女の子のアイドルグループは多いけど、男の子のアイドルグループのほうが断然、人気があると思う」

澪「どうして男の人ばっかり人気が出るんだろうな……」

唯「さぁ。これがピンでの活動なら話は別なんだけどね。
ピンなら女の人だって、男の人に負けないくらい人気の歌手がたくさんいるし」

梓「分かりました。つまり、バンドやグループのみに当てはまる現象ってわけですね」

律「そうやってまた最後を〆て仕切った気でいるなよな」

紬「本当しゃしゃってくるわね」

律「やっぱり今から一般人を取り込むのは難しいかー」

澪「方向転換は難しいだろうな」

唯「あーー、ダル……」

梓「だからさっきから何なんですか、それ?いい加減にして下さい」

紬「やっぱりアイスがないから不機嫌なのかしら?」ププッ

唯「今日アレの日なんだよ。初日だからダルいわ重いわで……最悪」

律「あーだから不機嫌だったのか」ププッ

唯「なに?嬉しそうにして?人が痛がってんのがそんなに面白い?これだから嫌なんだよお前は」

澪「初日はホント痛いよな……私も痛いのは苦手だから、あの日は嫌だ」

紬「あーはいはい分かったから」

唯「なんで毎月こんなめんどい事しなきゃなんないんだか……マジで女ってダルイわ」パリパリ

梓「ちょ、足を組み直すたびに音がバリバリ聞こえますよ」

唯「いいんだよ別に。女しかいないんだし」パリパリ

梓「完全に女子校のノリですね。あ、私も女子校だったの忘れてました」

紬「ていうか初日なのに、さっきの収録の時あんなテンション高かったの?ピャーー、猫被りは怖いわね」

唯「あんたには言われたくないね。あと仕事人魂って言ってくれる?」

律「おーおー、元気なこった」

唯「……ちょっとトイレ」ガタッ

唯「……あ」ガサガサ

唯「ちょっと誰かアレ貸してくんない?もう無かった」

律「私はまだ先だから持ってないなー……おーい、誰か持ってるか?」

澪「えーっと…」ガサガサ

紬「私も持ってないわ。ごめんねざまぁみろ」ガサガサ

梓「私も無いみたいです…。まぁ持ってても貸さないんですけどね」カサカサ

澪「あっ、あったあった。はい、唯」スッ

唯「…ん」

紬「礼くらい言えば?」

唯「うるさい。部外者は黙ってたらどうなの」

律「ちょっとそれ貸せよ、澪!」パッ

澪「お、おいこら!」

律「ほーれ唯!投げるから受け取れよー」ヒラヒラ

澪「おい、遠くからナプキンを投げ渡すアイドルがどこにいるんだよ!」

律「ここにいるだろ」

梓「ファンが見たら男泣きしますね」

律「そーーらっ」ポイッ

唯「あっ…ちょ、バカ!飛ばしすぎだっつの!このヘタクソ!」



唯「……はぁ」バタン

律「遅かったな」

唯「ったく……もう投げて渡すとかしないでよね」

律「平沢がちゃんと取ればいい話だろ。こんな時にまでドジッ子のキャラ付け守ってんの?」

唯「お前のコントロールが下手糞なんだよ」イラッ

紬「あら、イライラして鉄分不足?初日なだけに血が足りないのかしら?」

唯「黙っててくれる?ただでさえダルイのにあんたの相手してたら吐き気してくるから」

梓「平沢さんはもう少し優しさのほうも出血大量サービスしたらどうですか?」

唯「何その顔?気持ち悪い。いかにも上手いこと言ったつもりの顔なのが嫌」

澪「初日ってホントしんどいよな。何よりお腹が重たいのが一番嫌だ」

コンコンッ

唯「………ん?」

唯「誰か出てきてよ」

律「無理。めんどい」

梓「私もです」

紬「言い出しっぺが行けば?」

唯「初日だっつってんでしょ。頭弱いの?」

コンコンッ

唯「…ウザイな。もういい、役立たず。私が行くから」

紬「いや冗談よ、さすがにしんどい人に行かせられないわ」ガタッ

澪「ムギに任せたら怖いから私に行かせてくれ」ガタッ

律「待てよ。リーダーである私が行くべきだろ普通」ガタッ

梓「リーダー面しないで下さい。一番後輩である私が行くものですよ、普通」ガタッ

唯「いやだから、私が行くって」

澪律梓紬「どうぞどうぞどうぞどうぞ!!」

唯「ちょ」

唯「おい……」

紬「いってらっしゃーい」ヒラヒラ

律「がんばれよー応援してないけど」

梓「リーダーとしての責任はどうしたんですか?」

律「知らん」

唯「…………チッ」ガタッ

コンコンッ

唯「はーーい!はぁはぁ、今すぐ行きまーす」スタスタスタ

澪(口ではぁはぁ言ってるぞ)

律(恐らく…頑張って走ってますアピールがしたいんだろうな)

梓(さすが平沢汚い)

唯「はぁはぁ……ふう、今開けますね」スタスタスタ

律(さっきと声が違う……まるで電話に出た時の母親だ)

ガチャン

エリ「こんにちはーっ!いや業界ではおはようございます、かな?」

唯「あっ!えー…………ストロベリーガールズの皆さん!」

律(しばらく思い出すのに時間かかってたな)

エリ「久しぶりだねぇ」

純「お久しぶりです~」

松本「久しぶりだね」

紬「え……誰だっけ?」

松本「そんな!?」ガーン

律「ほら、あのゴリラの隣にいた」

紬「あ、あぁ……あの時の」

姫子「久しぶり。今日は私たちも収録があるんだ。まさか一緒のスタジオと思わなかったよ」

唯「みんな久しぶりだね~!元気そうで何よりだよ!」

エリ「唯ちゃんたちも元気そうで良かったよ!最近忙しいみたいだから心配だったんだよね、体調壊してないか」

唯「エリちゃん……ありがとう!」

エリ「毎日テレビでも引っ張りだこでしょ?あんまり無理しちゃ駄目だよ」ニシシ

松本「健康が一番だもんね」ニコニコ

姫子「純やエリなら心配いらないだろうけどね。年中こんなだし」

純「むっ!姫子さん、それどういう意味ですかー!」

律「はは、心配ありがとな!……あれ?そっちのリーダーは?」



??「………ここよ」スッ

澪「あっ」

いちご「久しぶりね。HTT」

唯「いちごちゃ~ん!リーダー自ら来てくれて嬉しいよ!今日も可愛いねっ」

律「にしても珍しいな?他のメンバーはともかく、いちごから会いに来るのって超珍しくないか?」

いちご「…気まぐれよ」

いちご「最近は売れてるみたいだけど……あまり油断はしない事ね」

松本「い、いちごちゃん。仲良くいこうよ~」

いちご「人気がいつまでも持つと思って安心するのは命取りよ。
頑張らないと、人気なんて一瞬で崩れるわ」

いちご「……せいぜい油断しない事ね。HTT」スタスタ

純「あっ!……いちごさん、待って下さいよっ!
…じゃあ私はこれで!ではっ!」タッタッタ

松本「ごめんね。悪気はないはずだから……それじゃ、収録いってくるねっ」タッタッタ

姫子「いちごもきっと、喧嘩を売りに来たわけじゃないと思う。あんなんでも…一応、私達のリーダーだしね」クスッ

唯「うん、大丈夫。分かってるよ!」

姫子「良かった。じゃあ収録いってくるから」スタスタ

エリ「あはは…何かごめんね~、バタバタしてて。本当はもっと話したいんだけど、スケジュール詰め詰めで…また今度、ゆっくり話そ!」

唯「うんっ」

姫子「エリー、早くしなよー」

エリ「あ、今行くー! それじゃあ、またね!みんな」タッタッタ



唯「収録頑張ってーっ、またねーーっ!みんなぁーーー!」

バタンッ

唯「あーだる」

律「やっと終わったか」

梓「意外と長く居座ってましたね」

紬「軽い挨拶だけだと思ったのに…」

唯「マジ無理。生理初日のテンションで接客しろとか無理」

律「いやぁーいつも通りの演技だったぞ」

唯「当たり前でしょ?私を誰だと思ってんの? あと演技じゃなくてキャラ付けだから」

紬「どっちも同じじゃない」

唯「は?違うじゃん全然。私たちはキャラ付けも仕事のうちなんだから」

唯「あーーそれより初日のノリでキャラ作んのはしんどいわ……」パリパリ

梓「平沢さん、だから足を組むとバリバリ音がします」

唯「そんなこと構ってられるか。アホたちが押しかけたせいで疲れてんだよ」



唯「そういやさー」

紬「何?早く言いなさいよ」

律「もったいぶんな」

唯「待つことも出来ないのかよ猿。アウストラロピテクス以下だね」

梓「いますよね、そうやって覚えたての単語を使いたがる中高生」

澪「参勤交代、需要と供給、等価交換とか?」

律「パードゥン?wとかな」

唯「いやだから、話ズレてるし」イラッ

律「パードゥン?www」

唯「頭大丈夫?お薬飲んだ?」

梓「早くお薬ゴクゴクしましょうね、リーダー」

紬「今すぐ右ストレート食らわしたい顔、No.1だったわ」

梓「それで?何の話ですか?」

唯「ああ、うん。みんなコレ芸名なの?」

澪「そういえば……私たちって芸名か本名かも教えてなかったな」

律「もう結成して三年くらいになるのにな」

梓「まだまだお互い知らないことのほうが多いかもしれませんね」

紬「まぁ特に知りたくなかったってのが本音なんだけど」

唯「ははは、それはこっちのセリフだよ。親の七光りが」

梓「デコの七光りが」

律「中野。何で私を巻き込んだんだよ?あ?」

梓「気分です」

唯「気分で貶すなんて、さすがうざにゃんだね」

唯「にゃあーん(笑)にwゃwんwにwゃwんw」

梓「あのホント黙ってもらえませんか、話が進まないので」

澪「もう勝手に進めていいかな?」

紬「で、誰から暴露する?」

澪「はい!わ、私…」ガタッ

律「なんでだよ。珍しい」

澪「こういうのは待ってる時間が緊張するんだ。早く言ったほうが楽だろ」

紬「秋山じゃ一番手は無理よ。荷が重すぎるわ。私が先に言いたい」ガタッ

唯「こんな色の悪い沢庵に先を越されるくらいなら先にやりたい。腐った沢庵は引っ込んでな」ガタッ

律「いい加減にしろ。リーダーである私を差し置いていいと思ってんのか?私に譲るべきだ」ガタッ

唯「ふざけてんの?ろくにリーダーらしい事しないくせに権利だけ主張しないでよウザイ」

梓「ここは間を取って後輩である私が先にやります」ガタッ

唯「あずにゃん、きみに決めた!!」

澪「頑張れ、梓!」

律「仕方ないから譲ってやるよ!」

紬「さぁどうぞ!!」

澪「頑張れ!頑張れ!」

梓「ちょ」

唯「頑張れ!頑張れ!!」

梓「あの、だから…」

律「頑張れ!頑張れ!!」

梓「………言いたくないです」

唯「は?」

梓「嫌だっつってんですよ、うんたん平沢」

唯「あ?お前いま何つった?」

梓「うんたん平沢(笑)うんたん(笑)うんたん(笑)」

唯「能書きはいいから早く言えよ」

梓「嫌です」

唯「早く」

梓「嫌です」

澪「いいから早く」

梓「はい」

梓「私の名前は……………」

唯「うざ。もったいぶる必要あるの?ないよね?そんな溜めはいらないから」

律「早く言えよな。みのもんたを思い出してイライラしてきた」

澪「そういやミリオネアってどうなってるんだ今」

紬「まぁ落ち着いて。中野も緊張してるみたいだし」

梓「私の本名……」

唯「で?」

梓「私は…」

梓「羅飛栖(らぴす)です」



唯「………は?」

律「………えっ?」

澪「今……なんて言った?」

梓「だ、だから……らぴ…」

唯「えーーー?耳栓してるから聞こえないなぁ」

梓「ら、らぴっ………らぴ…す…」

唯「えーーーーっっ??聞こえなぁぁーーーーーーーーーーーい^^;」

梓「羅飛栖っ……羅飛栖ううううう!!!」

唯「あっはっはっは!!!恥ずかしい奴!!!!」

澪「へ、へぇ……本当に羅飛栖って言うんだ…」

澪「なんていうか……個性的、な名前だね…」

律「ま、まぁ…そんな悪くはないんじゃないか?……うん…」

紬「い、いいんじゃないかな…」



澪律紬(思いっきりDQNネームかよ……)



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