紬「あらあら~♪」
律「急に何口走ってんだー唯ー」
唯「だって律っちゃん!見てよホラ!天使の輪っか!!」
律「ほぉー、言われてみれば……」
澪「ムギの髪、ふわふわで綺麗だもんな」
紬「み、澪ちゃんの髪だって、綺麗な天使の輪っかになってるわ」
唯「澪ちゃんも綺麗だけどー、ムギちゃん髪の色も金だし!ふわふわだし!だからマジ天使ぃ!」ダキッ
紬「なんだか……恥ずかしいわぁ」
梓(確かに……、澪先輩のさらさらストレートも素敵だけど……)
梓(ムギ先輩のゆるふわヘアーも、可愛くていいなぁ……)
律「どしたー、梓?さっきからぼんやりしちゃって?」
梓「ふぇえ!?」
律「ははーん……、さてはムギの天使っぷりに見惚れてたなぁ?」ニヤリ
梓「ち、ちが……」
律「ムギ先輩ステキっ!でも私には、澪先輩という心に決めた人が……!!」
紬「あらあらまあまあ!」
唯「そうなのあずにゃん!?」
梓「何でですかっ!!」
律「ああっ、私には選べない……。神様、梓は悪い子で――
澪「いい加減にしろ!」ペシン
律「いちゃいぃ……」キュウ
澪「まったくもう」
紬「くすくす……。あ、お茶のお代わり淹れるわね?」
唯・律「わぁーい!」
帰り道
律「――で、カーテンの隙間から血走った眼が……ギロリと!!」
澪「ひいぃぃぃ!」ガクガク
唯「怖い、怖いよ律っちゃん!!」ブルブル
梓「文化祭のライブの話してたはずなのに……」ガタガタ
律「あははっ、みんな怖がりすぎだろー。なあムギ?」
紬「うふふ……♪あ、ごめんなさい、私今日、こっちに用事あるから」
律「ん、そっか。買い物?」
紬「うん、そんなとこ。それじゃあみんな、また明日ね」
梓「はい、また明日」
唯「じゃーねームギちゃーん!」
澪「また明日な!」
律「転ばないように気をつけろよぉ?」
紬「大丈夫~♪」スタタ
唯「いやぁ……後ろ姿まで天使だねぇ……」
澪「うん……、本当に天使さんだな……」
梓「天使"さん"?」
澪「あぁいや!!これはっっ!!」
律「くぷぷ、澪ちゃん可ぁ愛いぃ~」
澪「うるっさい」ゴチン
律「あひゃうぅ……」
梓「あの……、ムギ先輩って、もしかしてハーフなんですか?」
唯「え~?どうだろぉ?どうしてあずにゃん」
梓「いや、すごく綺麗な金髪ですし……、瞳もうっすら青みがかってません?」
律「んー、確かに」
唯「でも、ムギちゃんからそんな話聞いたことないよぉ?」
梓「そうなんですか?」
澪「そういえば、ムギは自分のこととか、あんまり話さないよな……」
律「そうだっけ?じゃさ、今度ムギに聞いてみようぜー」
唯「賛成ー!私もムギちゃんの中学時代のこととか、聞いてみたい!」
澪「本人が嫌がらなかったら、な」
梓(それにしても――)
梓「不思議な人だな……」
紬「…………」
紬(天使……かぁ)
紬「…………」
紬「きゃん!」ステーン!!
翌日 音楽室
紬「みんなお待たせ~」
澪「や、ムギ」
梓「こんにちはです」
紬「こんにちは♪……律っちゃんと唯ちゃんは?」
澪「律は部長会議に参加してるから、遅れるって。唯は……なんか、憂ちゃんに話があるとか……」
梓「……『柿ピーを埋めて柿の木を育てよう』って、憂に熱弁してましたけど……」
澪「なにをやってるんだあいつは……」
紬「柿ピーから柿が育つのっ!?」
澪「ち、違うぞムギ!」
梓「育ちませんからね!!」
紬「そうなんだぁ……」シュン
梓(可愛いなこの人)
梓「そういえばムギ先輩」
紬「どうしたの?」
梓「ムギ先輩の髪って、地毛なんですか?」
紬「え、えぇ?えっと……どうしたの急に?」
梓「いえ、結構明るい色なんで、染めてるのかなー、って気になって」
紬「あ、うん……いえ、じ、地毛なの、地毛。染めてないわよ?」
澪「ああ、じゃあやっぱり、ハーフとかクォーターとか」
紬「えっ……!?」ビクッ
澪「いや、地毛が金だから、外国の血筋がはいってるのかなぁ、って……ムギ?」
紬「ああ、な、なるほどねぇ!えっと……ど、どうだったかしらぁ?」アタフタ
澪「あー……、言いたくなかったら……ゴメンな、ムギ」
紬「ち、違うのよ澪ちゃん、なんていうか――」
ガチャ
律「おぃーっす!おまたー!!」
唯「あっっずにゃあーん!!!!」ダキッ
梓「ちょ、ちょっと唯先輩いぃ~~……」
唯「聞いて聞いて!柿の種からは柿の木は育たないんだって~。がっかりだよねぇ~」
梓「そりゃそうですよ……」
唯「だからね、代わりに柿ピーのピーを埋めるの!」
梓「」
唯「来年にはピーナッツ食べ放題だよ!!」フンス
律「いや、唯……」
紬「すごいわね唯ちゃん!」
梓「違いますよ!?」
律「ピーナッツも育たないからな!!?」
唯「えぇー……」ショボン
紬「そうなんだぁ……」ショボン
律(可愛いなこいつら)
紬「今お茶淹れるわね~♪」
律・唯「わぁーい!!」
澪「…………」
さらに翌日 放課後の職員室。唯と律がさわ子に叱られている。
さわ子「――もう、あなたたちも3年生なんだから、授業中に手紙回しなんてしないの!いいわね!?」
律・唯「ごめんなしゃい」
唯「律っちゃんがあんな面白いこと書くから……」
律「だからって、あんな爆笑したらバレるに決まってる――」
さわ子「あ・な・た・た・ち・~!?」
律・唯「ごみぇんなちゃい」
さわ子「まったくもう……」
律(そういえば……)
律「ねぇねぇさわちゃん」
さわ子「せめて職員室では先生って呼んでよね……」
律「ムギってさぁ、ハーフだったりすんの?」
さわ子「えぇ?どうしてまた」
律「ん~、見た目でなんとなく……。あ、これってプライバシーシンガイ?」
さわ子「うーん……、でも私も聞いたことないから、分からないわぁ」
唯「じゃあじゃあ!さわちゃんがムギちゃんのおうち行ったとき、ムギちゃんのおうちの人とか見なかった!?」
さわ子「えぇ?いつの話よ、それ」
唯「ほら、とんちゃんの水槽をムギちゃんの家に取りに行ったとき……」
さわ子「あぁ、そんなこともあったわねー。でも、おうちの人は見なかったような……」
律「んじゃさ!家の中ってどんな感じだった!?」
さわ子「どうって……、すごかったけど……」
律「具体的にさぁー。ほら、庭が東京ドーム10個分だったー!とか、いかにも高そうな絵が沢山ー!とか」
さわ子「うぅん……、よく覚えてないし……。あら?」
さわ子「やだわ……ホントに思い出せない……、すごいって印象は強かったんだけど……」
律「……」
唯「さわちゃんそれって老化現しょ」
さわ子「あぁん!?」ギロリ
唯「な、なんでもありまひぇん……」
さわ子「っていうか!そんなに気になるなら本人に聞いたらいいじゃないの!」
唯「あぁ、それもそだね」
さわ子「分かったら、ほら。部活行ってらっしゃい」
唯「はーい!じゃあねさわちゃんー」
さわ子「やれやれ……。どうしたの、田井中さん?」
律「……へ?ああいや、別に何でも……」
唯「律っちゃーん!早く行こうよー!!」
律「待てよぉー!じゃ、じゃあねさわちゃん!」
さわ子「……?」
音楽室
唯「んふぅぅぅ、おいひいよぉ~♪」モグモグ
紬「よかったわぁ」ニコニコ
律「そういえばムギー」
紬「なぁに?律っちゃん?」
律「ムギの家ってさ、どんな感じなの?」
紬「え……えっと」
唯「あぁ、そうそう!さっきさわちゃんに聞いたんだけどね、全然覚えてないって言うんだよ~。おかしいよね~さわちゃん~」
梓「でも、ムギ先輩のお宅っていったら、絶対豪邸ですよね……」
唯「東京23区の10倍!」
澪「いや、でかすぎだろ……」
唯「庭にキリンが放し飼い!」
律「サファリか」
紬「え……えっと、そんな別に……普通の家よ?」
律「いや、ムギの普通はあてにならないぞぉ?庭にプールがついてるとか」
梓「お姫様ベッドとか」
唯「オオアリクイが放し飼い!」
律「だから何故サファリ」
澪「ムギ……あんまり家のこととか、話したくない?」
紬「そうじゃないんだけど……、ごめんなさい、うまく説明できないわ」
澪「そっか……。ごめんな、昨日といい」
紬「違うの澪ちゃん……、私の方こそ……。――あ、お茶のお代わり淹れてくるわね?」
ぎこちない動きで、紬が席を立つ。
律「……澪、昨日って?」ヒソヒソ
澪「あぁ、律が来る前に、ちょっと……。ほら、帰り道で話してた、ハーフとか、ってやつ」ヒソヒソ
律「聞いてみたんだ。それで?」
澪「今みたいに濁された……」
律「……」
唯「ねえねぇ、何の話してるのー?」
律「ムギは謎多き美少女、って話だよ」
唯「おぉ!確かに!!」
梓「先輩たちも、ムギ先輩のこと良く知らないんですか?」
律「恥ずかしながら……」
紬「みんな~、お茶のお代わりいる~?」カチャカチャ
唯「ムギちゃん!」
紬「ひゃ!は……はいっ!」
唯「今からムギちゃんの独占インタビューをはじめます!」
紬「はい……え、え?」
律「スクープ!謎の美少女の真実に迫るぅ!!」
澪「おいおい……。ムギ、嫌だったら言ったほうがいいぞ?」
紬「えっとぉ……」
唯「第一問!ムギちゃんは中学生のとき、どんな子でしたか!?」
紬「えぇ……ふ、普通の子?」
律「ムギの中学校時代の同級生とか、この学校にいる?」
紬「ど、どうだろ……。いないかも……」
唯「ピアノをはじめたきっかけは!?」
紬「な、なんとなく……。よく覚えてない、かも……」
律「ムギの進路は!?」
紬「某女子大……だけど」
唯「……って、どこ?」
紬「……」
唯「……」
梓「……ムギ先輩は、どうして軽音部に入ったんですか?」
紬「それは……」
律「そ、それはほら!私と澪がさぁ!」
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紬「あのぉ、見学したいんですけど……」
律「おおぉ、軽音部の!?」
紬「いえ、合唱部の……」
律「澪!あのときの言葉は!嘘だったのかよ!!」
澪「その回想が嘘だ」
律「あり、そおだっけ?」
紬「ふふっ……くすくす……」
紬「なんだか楽しそうですねー」
紬「私でよければ、入部させてください」
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最終更新:2011年05月02日 17:56