8月22日

ピンポーン

梓「はい……」

配達員「こんにちはー」

梓「どうも」

配達員「……? どうかしたんですか?」

梓「あの……配達してもらうのは今日で最後になると思います」

配達員「あらら」

梓「今までありがとうございました。また何かあった時はお願いしますね」

配達員「そう……残念。かわいいお客さんだったのにな」

梓「ふえっ!?」

配達員「ふふ、元気出してね! もしかしたら会えるかもだよっ」

梓(私が注文しなきゃ会えないと思う)

配達員「それじゃあまたー」

梓「……そうだ、へこんでる場合じゃない」

梓「お父さんが帰ってくる前に戦利品を飾って出かけなきゃ!」

梓「行く当てはないけれど……」

梓「とにかくマッハで開封しなくちゃ!」

梓「まずはキングゴジュラスとデンドロ」

梓「……ぐああああこの急いでる時にどうしてガンプラ買ってるの私は!」

梓「くそおおおお」カチャカチャ

梓「そだ! もっと時間を有効活用しよう!」

梓「ガンプラを作りながら……ロデオボーイに乗る!」

梓「……」カチャカチャ

ウィンウィン

梓「……」カチャカチャ

ウィンウィン

梓「結構揺れが激しい……あっパーツ落とした! もー!」

ウィンウィン

梓「んっ……全然集中できな、い」

ウィンウィン

梓「それにあんまり人に見られたくない感じ」

梓「……読書くらいならできるかも」

梓「ええと、蒼天航路と聖書と軽音部の百合事情……」

梓「蒼天航路で」

梓「……」

梓「三国志の呂布ってけいおんでいうところの憂だよね」

ウィンウィン

梓「聖書か……」

梓「……」

梓「私はどこへ向かっているのだろう」

梓「次はゲーテ全集でも読破しようかな。ハハッ」

ウィンウィン

梓「……あ、結構腰にくるなあ」

梓「まだあと一冊残ってるのに」

梓「最後は……表紙でいきなり澪先輩と律先輩が絡んでいる……」

梓「澪先輩はわかるけど律先輩のおっPとか誰が得するんだろ」

梓「おっPちいさいし。いっつもからかってくるし……はぁ」

梓「表紙が律先輩とか買う気が失せるって……はぁはぁ」

梓「律先輩なんか……律なんか……はぁ……はぁ……あっ澪先輩とそんな」

梓「あっ、ああ……律先輩……律センパイィ……!」

梓「やっぱり唯先輩かな」

梓「バーチャルボーイ」

梓「……結構面白い」

梓「しかし……赤いな」

梓「左右対称のコントローラーがまた何とも」

梓「続いてビーダマン」

梓「友達と遊ぶ時と言ったらボンバーマンだったなあ」

梓「そんなさなかに発売したビーダマンに私の心はときめいた」

梓「現在でもビーダマンは受け継がれている。すごいなぁ」

梓「さてと、のれんはどこに飾ろうか」

梓「のれん……買ったはいいけどどうすれば……」

梓「あ、ゆいあずの衣装懐かしい」

梓「あの時の唯先輩頑張ってたなぁ……ふふ」

梓「おっといけない」

梓「とりあえず……ああ……物があふれて邪魔くさい」

梓「トンちゃんの周りにも……ゴメンネ」




梓「のれん悩むなぁ。……あれ、のれんの他にもj何かたのんでいたような?」

ピンポーン

梓「来た来た」

梓「……待てよ」

梓「……」

梓「ん、んっ」

梓「あ、あ~~~~」

梓「Godan daginn」

梓「よし」


梓「Godan daginn」

配達員「……」

梓「あ、すいません今のなしで」

梓「あの、私の荷物他にもありましたか?」

配達員「あったわ」

配達員「それと、さっきのあいさつは肯定と受け取ってもいいのよね」

梓「へ?」

「Godan daginn」

梓「あ! いつものアイスランド人!」

梓「え……配達のお姉さんとアイスランドの方って知り合いなんですか?」

配達員「ええ、そうよー」

配達員「梓ちゃん。まだあなたが注文したものでここにないものがあるわ」

梓「そうみたいですけど……どこにあるんですか?」

「Islandi!」

配達員「梓ちゃん、行く当てないんでしょ?」

梓「ど、どうしてそれを!? ていうか私の名前まで!」

配達員「一緒にアイスランドにいこっ? そしたら注文した品が手に入るから!」

梓「……だめです」

梓「だってアイスランドにAzunyan.co.jpはないでしょう?」

配達員「確かにAzunyan.co.jpはないわね」

配達員「でもAzunyan.co.isならあるわ」

梓「え……」

梓「じゃ、じゃあ行こうかな……」



梓「……」

梓「いってきます」

梓「いやあ、アイスランドかぁ」

梓「普段注文できなさそうなものも注文できるかも!」

梓「早速明日の分を注文しておこう!」ポチポチポチポチ


梓「ん? .co.is?」

梓「なんだろう……何か違和感が……まあいいか」

配達員「つきましたーアイスランドでーす」

梓「ここがアイスランド……」

梓「あっ馬! 馬がいる!」

梓「そういえば馬をたのんだんだっけ」

梓「乗ってもいいですか?」

配達員「どうぞー」

梓「よっこいしょ」

梓「よっこいしょ……乗れない」

梓「乗るのは今度でいいや」


「Godan daginn」

梓「Godan daginn」

梓「何ですかこの四角い機械?」

「Supercomputer」

梓「え、ああ、そういえば勢いで注文しちゃったような……」

梓「……」

ギュオオオオオオ

梓「あ、あれは?」

梓「え、あれがアーウィンですか」

梓(この国は何をしようとしているんだろう)

梓(怖い)

梓(そもそもここって本当にアイスランドなんだろうか)

配達員「おーい梓ちゃーん」

梓「あの、少し一人にしてくれませんか?」

配達員「そっかー、じゃホテル手配してあるからそこで休んでね」

梓「はい」



梓「……」

梓ここかあ。高級そうなホテルだなぁ」

梓「……え、こんなに大きい部屋を一人で使っていいの?」

梓「落ち着かない」

梓「あ」

梓「テレキャスが置いてある」

梓「そういえば注文したんだっけ。ちょっと轢こうかな」

チャリラ~ン

梓「……あれ、へたくそになってる。練習してなかったからかな」

梓「そういえば最近唯先輩達に会ってないなあ……」

梓「アイスランドに来る前に挨拶しておけばよかった」

梓「そもそも私はいつまでここにいるんだろう」

梓「うう……わかんない……怖いよう……」

梓「……」

梓「……」ポチポチポチポチ


梓「……あれ」

梓「注文できない」

梓「……そ、そんな」

梓「う……けほっ……けほっ」

梓「く、くるじぃ……」

梓「ちゅ、注文を……はぁはぁ」


ぷるるるる

梓「はぁはぁ……で、電話?」

梓「も、もしもし……」

『あずにゃん!! 今どこ!?』

梓「あ、ゆ、ゆいせんぱい……けほけほ」

『どしたのっ? 具合悪そうだよ?』

梓「いえ、ちょっと……ふぅ」

『大丈夫?』

梓「ええ、唯先輩と話していたら楽になってきました」

『そっか、よかったぁ。ところであずにゃんは今どこにいるの?』

梓「ええと、訳あってアイスランドに」

唯「アイスランド!?」

梓「アイスの国じゃありませんよ?」

『わかってますう! ……それでアイスランドってどの辺り?』

梓「……ええと、ヨーロッパより北西あたりだったかな」

『そんなところまで……あずにゃんのお母さんとお父さんが心配してたよ?』

梓「う……」

『いつまでそっちいるの?』

梓「……始業式までには戻ると思います」

『どうしてアイスランドに行ったの?』

梓「それは……」

梓「通販がしたいからです」

梓「それに私の家にはもう物を置く場所がありませんからねっ♪」

『……』

梓「それでは。唯先輩の声が聞けて良かったです」

『えっ!? あずにゃんちょっとま――』プツ

梓「……ふぅ」

梓「唯先輩と話したら不思議と楽になった」

梓「それに頭も冴えてきた」

梓「……携帯が使えないのなら」

梓「パソコンを使えばいいんだ!」

梓「よーし、アイスランドにいる間に出来るだけ注文するぞー!」




第一部 END