梓「ミケ!おいでー!!」

猫「ニャーン」トトト

梓「えへへー。今日はお前に友達を紹介するよ!…ほら、ヒラタのアントニオ!」モゾモゾ

梓「大きいでしょ!とっても強いんだよ?今日もコクワ殺したからね!」

梓「オレアントニオ!ヨロシクナ!」フリフリ

猫「…」クンクン

梓「気に入ってくれた?じゃあ仲良しの証にー、しっぽイヤリングー♪」ギュッ

猫「!!フギャーッ!」バリッ

梓「きゃっ!!………痛いよお」ジワッ

猫「ウァーオ」フーッ

梓「なんで…ひどいよ…グスッ……うっく、うわああーーーん!!ぁーーん!!」

~~~



梓「私は猫に恐怖を覚えました。どれだけ仲良くしていても、奴らは平気で裏切ります」

律「えっ」

梓「悲劇は続きます。まだ幼かった私は、愚かにもそれを間違いだと信じて疑いませんでした」



~~~



梓「…グスッ(怖いけど仲直り、しなくちゃ)…ミケ、ミケ?仲直りしようよ」

猫「ウムァムォ」パキパキ

梓「…ねえミケ、何食べてるの?」

猫「ペッ」ポト

梓「………うそ……アントニオ…?」

梓「いやああああああっ!!!!」

~~~



梓「…そうして、私は猫を嫌うようにになりました」

梓「今でも猫を見るたび傷がうずきます…治ってるけど」

律「えっ……えっ?」

唯「あずにゃん…辛かったね。私にはいくらでもヒラタイヤリングしていいからね?」ムラムラ

紬「何言ってんだコイツ」

梓「……」

律(どうしよう、どう反応していいかわからない。…ていうか)

澪「今の話、梓が100パーセント悪いだろ。猫怒るに決まってるよ」

律「言っちゃったー!」

梓「はあ!?私の悲しみがわからないんですか!?どっちが悪いとかじゃなく今は泣く場面でしょ!」

梓「どんだけ空気読めないんですか澪先輩は!だからぼっちなんですよ!」

澪「あ、梓だってぼっちの癖に!!」

梓「違いますー!私はクラスにも友達がいますー!」

唯「ねえねえあずにゃん見て見てー!唯ホタル!」ボワー

澪「ひいっ!唯の顔が緑色に光ってる!?」

梓「何バカなことやってるんですか!さっさと吐き出して逃がして下さいっ!」

唯「えー?このままだとみんな食べちゃうよお。あずにゃんとってー?」ンアッ

梓「取らせるぐらいなら最初から食べないで下さいよ…ていうか何匹いるんですか」スッ

唯「かかったな!!」パクッ チュバチュバ

梓「指が抜けないっ!?」グイグイ

紬「いいぞ!そのまま犯っちまえ!!」

唯「(ガシッ)あずにゃんのみーずはあーまいぞー♪」レロォ ウゾウゾ

梓「ホタルの民族大移動!?」ググググ



律「…あはは、結局いつもの軽音部だな……はぁ」

―――



ザッザッ ポンポン

梓「ごめんね。…次は虫かご、洗わないとね。ダニついちゃってるから熱湯も使って」

カシャカシャカシャカシャ

梓「あ、澪先輩からだ」

~~~

From:澪センパイ
Sub:
本文:
今日、エカテリーナが成虫になってた。寝ている間に羽化したみたい。
本当は梓にも見せたかったんだけど、早く外に出してやりたくて、逃がしてしまったんだ、ゴメン。

でも、羽化したときは本当に嬉しかった。
梓のおかげで虫を少しは好きになれるかも知れない。ありがとう。

~~~

梓「羽化、したんだ。よかった…」

梓「…おめでとうございます。あとは、私が約束を果たす番ですね、と」カチカチ



あきやまけ!



澪「……からっぽの、虫かご」

澪「…もう少しだけ、置いておこう…かな」コツッ

ボクハキレイナムシノヨッオッニッ イキタインダサリゲナク♪

澪「梓だ。こんな時間に何だろう」ピッ

梓『澪先輩!今からそっち行っていいですかっ?見せたいものがあるんです!』

澪「いいけど…何?」

梓『羽化直前のアブラゼミ!キレイです!感動モノです!』

澪(セ、セミ…いや、梓の厚意を無下にしたくないし、今の私なら…!)

澪「…わかった、持ってきて。私も見るよ」ドアガチャ

梓「じゃあ早速カーテンにとめて鑑賞しましょう!」トタトタ

澪「早っ!あ、そこ本積んでるから足元気をつけて」

梓「えっ?」ガッ

梓「あっ――」



グチャ



澪「…虫なんて嫌いだ」



おひるやすみ!



「じゃあ梓、今日の放課後だからね!」

梓「うん、またね。…さてと」ペラッ

純「梓ー、何読んでんのー?ん、ハウツー猫の…」

梓「な、なんでもないよ!ていうか誰?」ガサゴソ

純「あの頃の二人に逆戻り!?」

憂「梓ちゃん、さっき何の話してたの?」

梓「ああ、また買い物のお誘い。部活もないからいいかなって」

憂「そっか、試験期間は部活できないもんね」

純「そういや梓の部活…えっと」

梓「昆虫部」

純「そう、昆虫部の人たちは遊んでばっかりに思えるんだけど…大丈夫なの?あんた含めて」

梓「今日勉強会みたい。その辺やっぱり受験生だよね。私は成績いいし大丈夫だけど」

憂「お姉ちゃんだって!最近勉強頑張ってるんだよ?」

憂「中間テストは全部満点だったし、この前も…」モワモワ

~~~



さわ子「進路は…へえ、理系の超名門じゃない。てっきりワハ〇本舗目指してるのかと思ってたわ」

唯「私が虫を食べるのは芸じゃなくて愛の使命ですから」キリッ

さわ子「ま、今の唯ちゃんの成績なら十分狙えるから、とめる理由はないわね」

憂「お姉ちゃんカッコイイ!」

唯「…なんで憂がここにいるの?」



~~~



憂「なんてことがあったんだあ♪」

梓「へ、へえ…唯先輩頑張ってるんだ(やばい、先輩は本気だ)」

梓「…あ」

唯「……」サラサラ カキカキ

憂「ね?」

梓(でも、あれ…蝶?)

唯「……」ペリペリ ペロッ

純「うわっ、なんかグロいことしてる」

憂「最近は食べる前に分解してるの!観察だって」

梓(私いつか殺されるかも…)

唯「…」サラサラ



梓(でも先輩たち、頑張ってるんだよね)

梓(…私だって!)



梓「ただ、こっちの方向には頑張って欲しくなかったな…」ハァ

梓「私、唯先輩に虫の良さを教育したことは失敗だと思ってるんだ」

梓「唯先輩には人を愛するように虫を愛して欲しかっただけなのに…」

純「いや、その前提からすでにおかしいから」

梓「ほんと失敗。これからの人生における大きな失敗ワースト3には入るぐらいの」

憂「あはは、大袈裟だよー」

梓「最近「あずにゃんが昆虫じゃないなんておかしい」とかブツブツ独り言繰り返してて怖い」

憂「家でもよく言ってるよ!他にも「産卵管ペロペロしたい」とか「寄生されて操られたい」とか」

梓「頼むからあなたのお姉ちゃんを病院に連れていって」

憂「梓ちゃん可愛いから仕方ないよー♪」

梓「仕方ないで私を危険に晒さないで。ていうかもはや私の何に魅力を感じるのかわからないんだけど」

憂「お姉ちゃんって感性が独特で可愛いよね!」

梓「なんで今の流れでその結論に落ち着いたの!?」



純(会話が高度すぎてついていけない…)



憂「そういえば梓ちゃん。期末が終わったら夏休みだけど、今年もお姉ちゃんたちと合宿行くの?」

梓「まだ決まってはいないけど…きっと二日三日行くことになると思うよ」

梓「…なんだかんだで、みんな遊びたいだろうから。私含めて、ね」

憂「あはは、そうかもね」

純「あーそれで思い出した。私、旅行に行くんだけど、
  おばあちゃんがまだ風邪で預けられないんだよね…猫」

梓「あっ…」

憂「そろそろおばあちゃんの心配してあげたほうがいいかもね♪」

純「まあいい加減一人にしても大丈夫だとは思うんだけど…」

梓「……」



梓「あの、さ。純。私に――」

―――



「……」

梓「…」ソワソワ

「……」ジーッ

梓「…あのっ」



梓「中野梓、昆虫系女子です!……よ、よろしくね?」



猫「ニャン」タッ

梓「ひっ」



END



おまけ!


梓「…なんです?これ」

唯「新入部員だよー!」

紬「頑張る梓ちゃんが寂しくないように先生に頼んで買ってもらったのー♪」

梓「…人間じゃ、ないですよね」

唯「ヒント1はこの水槽!」※布を被せています

梓(レアな虫だあ…!)

唯「ヒント2!名前はトンちゃんです!!」

梓「ぽ、ポールトンノコギリ!!」ドキドキ

唯「惜しい!正解はスッポンモドキでしたー!」

梓「」ドンヨリ

澪「…あれ?」

律「唯、ヤスデを買ってやるって言ってなかった?」

唯「そのはずだったんだけど…」

紬「さわ子先生が「私も寂しくなったとき使えるように」って無理矢理…」グスッ

律「何に!?」



梓「…クスッ」

梓「もう、そんな不純な動機で飼われたら迷惑だよね?」コツコツ

梓「大丈夫、これからは私がちゃんと変態から守ってあげるからね!」



唯「おお…?」

律「予想外の反応…」

紬「てっきり怒って「生きたままウジムシに食いつぶされて死ね」とか言われるものかと…」

梓「そこまで言ったことありませんよ…そりゃ多少ガッカリはしましたけど、
  先輩がたが私のためにしてくれたことが嬉しくないわけないじゃないですか!」

澪「梓…(ガッカリはしたんだ)」

梓「それに、亀だろうが猫だろうが人だろうが、なんだって仲良くなれる気がします!今の私は無敵です!」

梓「そう、脱・昆虫系女子です!よろしくね、トンちゃん」



END