―――


「家にガが湧いちゃって…」

梓「米びつは見てみた?そこじゃなかったら…もしかして、鳥とか飼ってないかな、そこを―」

「ムカデが出てくるんだけど、叩きたくないし…」

梓「それなら熱湯がいいよ。ムカデに限らず、害虫は全部それで死ぬから」

「ありがとー!でも、ホント虫って迷惑だよねー。どこにでも湧くし」

梓「自分でそんな環境作っておいて何言ってるの?虫からしたらあなたの方が迷惑だよ」

「え、あの、ゴメン…」ソソクサ

梓「愚かな人間どもめ…」ボソッ



純「おーおー、昆虫女子頑張ってるねー。誰も寄せ付けない」

梓「虫を無条件で嫌うような人とは仲良くなれないよ」

憂「私の宣伝、効いてきてるね?」

梓「おかげで私は害虫駆除業者みたいな扱いになってるけどね」

純「ところで梓、猫預かってくれない?また用事と風邪で」

梓「だから猫は嫌だってば…純って他に友達いないの?」

憂「!…梓ちゃんっ!!」

純「あんたに言われたくない。…憂もまるで禁句みたいに。つーか、なんでそんなに猫嫌がるわけ?」

梓「別に何でもいいでしょ。嫌いなものは嫌いなんだから」

純「梓も無条件に猫嫌ってるじゃん」

梓「猫はいいの」

純「暴論だっ!?」



かえりみち!



猫「にゃーん」

律「お、猫じゃん。チチチチチ…」チョイチョイ

澪「…カワイイな」ダキッ

律「澪ずっこいぞー!」

梓「……」ソワソワ

澪「ん?どうした梓、抱きたいのか?ほら」

梓「わあっ!」ビクッ

澪「あれ、もしかして梓は猫が怖いのか?」

梓「ちょ、ちょっとびっくりしただけで別にそんなわけじゃ…」

澪(……)ニタァ

澪「ほらほら梓、猫だぞー♪」フーリフーリ

猫「なー」

梓「や、やだあ!!」ヘタリ

律「おい澪、やめてやれよ…(私も猫と遊びたいなあ)」

澪「うわあ、猫が梓の背中に乗っちゃったー!」ノセッ

梓「やだぁ…」

澪「たーいへーんだー♪」グイグイ

猫「ぐろろろ」

梓「……ぅうー……」ジワッ

澪「!!」

律「あ、泣ーかしたー!」

梓「ぅぅぅー…、グスッ、グスッ、ふぅぅぅうぅー…」ポロポロ

澪「えっと、えっと」オロオロ

律「せんせー!秋山さんが梓ちゃんを泣かしましたー!」

澪「わわわ私悪くないし!あ、梓が猫怖いくせに嘘つくから!私だってやられたし!!」

律「やられたら嫌なことはするなって先生がいってましたー」

澪「と、とにかく知らないから!私帰るから!」タタタタ

律「あ、逃げた。…ったく、しょーがねーなあ」ヒョイ

猫「あー」

梓「グスッ、うっく、うぅぅぅぅ…」ブルブル

律「ほら、猫どけたから泣きやみな、梓」

梓「グスッ、……うっんっ、ヒック」グシグシ



律(しっかしこの猫、なすがままだなあ)

猫「あーぉ」

律「……」ウズウズ サワッ

モフモフモフモフモフモフモフモフ



―――



律「ミーちゃんどこから来たのかにゃあ?教えてほしいにゃあ♪」ナデナデ

猫「ごろごろ」

梓「…」ジー

律「お友達にゃ(チラ)あ……」サーッ

梓「どうぞ、お構いなく」

律「あ、梓ーーっ!!落ち着いたかあーー!?」

梓「(うるさっ)ハイ。ご迷惑をおかけしました」

梓「それにしても律先輩が猫好きだなんて…女の子みたいですね」クスッ

律「あたし女の子ですけどっ!?梓だって、猫が苦手なんて珍しいな」

梓「動物は、嫌いです。特に、私を裏切って、私を傷つけた猫は…」

梓「…じゃあ私はこれで。ありがとうございました」ペコリ タタタタ



律「梓、猫に辛い思い出があるのかな。…あ、猫ともう少し遊んでいこ」

律「って、いないし。まだパシャってなかったのになー…」



つぎのひ!



ドアガチャバタン

梓「お疲れ様です…あ、澪先輩」

澪「梓…」

梓澪「……」

澪「…その、昨日はゴメン。やりすぎた」

梓「別に怒ってないです」プクー

澪「露骨に怒ってますアピールしてるだろ」

梓「怒ってないです、威嚇です」プクー

澪「何それ可愛い…じゃなくて、仲直りしたいんだ。どうしたら機嫌直してくれる?」

梓「ぷふぅ。ホントに怒ってないですってば。私だってやってますから、おあいこです」

梓「でも澪先輩がそう言うなら、私の仲直りプレゼント、受け取ってもらえますか?」ゴソゴソ

澪「あ、ああ!もちろん!」

梓「ありがとうございます。…これです!」コトッ

澪「ひっ、虫かご…」

梓「それ!その反応です!澪先輩、いくらなんでも虫を怖がりすぎます!」

梓「そのせいで私が楽しくなったり、先輩がハチに刺されたり、崖から落ちたりするんです!」

澪「なっ、あれは梓が私を!」

梓「そこで今回は虫を知ってもらいます。今までのやり方は澪先輩には刺激的過ぎました」

澪「無視か!!」

梓「はい、虫です。見てください澪先輩、おとなしい子ですから」

澪「…うん。…なんだ?白黒の…」

梓「アゲハの幼虫です。澪先輩にはこれを育ててもらおうと思いまして」

澪「えっ、ヤダ!虫なんか育てられない!」

梓(受け取るって言ったのに…)

梓「…澪先輩。今やこの部活は虫と共にあります。想像してみてください…」

梓「お茶の時間、他の先輩方は虫の話題で盛り上がります」

梓「会話に参加できない澪先輩は早くお菓子を食べ終わって、残りの時間は何をしましょう?寝たふり?」

梓「軽音部にい辛くなった先輩は、皆が虫捕りの準備をする中、理由をつけて早く帰るようになります」

梓「でも誰もついて来ない、気づかない…だって、もう澪先輩なんていてもいなくても…」



澪「わかった!わかったからもうやめて!」

梓「わかればいいんです。クワガタ触れる先輩なら楽勝です!気楽に行きましょう!」

澪「そ、そうかな?」

梓「エサや水、基本的なことは今から教えます。わからなかったら私に聞いてくださいね」

梓「観察日記をつけるのもいいですね。経過もわかりますし」

澪「うう…でもここまでしなくても…別に私が死ぬわけじゃないし…」

梓「(この人は…)じゃあ、澪先輩がちゃんとお世話出来たら、
  先輩のために私が一つだけ言うこと聞きますよ。どうぞ無茶を言ってください」

澪「…そこまで言うなら」

梓「決まりですね♪」



―――



梓「先日、そんなことがありまして」

唯「…ねえ澪ちゃん、今から体育館裏に遊びにいこ?」ガタッ

澪「えっ」

梓「唯先輩!もう仲直りしましたから!」

唯「そっかあ。それはまた別の機会として澪ちゃん、今度幼虫さんみせてね?」ワクワク

澪「お前には絶対に見せない!」

唯「ちょっとかじるだけだってばあ///」

律「いやいや完全にアウトだから、それ」

紬「でも、部室で育ててもよかったんじゃないの?…唯ちゃんはいるけど」

梓「澪先輩へのプレゼントですから。それに」グルーリ

梓「…小さな虫かごを置くスペースすら惜しくなってきましたからね」

律「言われてみれば…掃除するしかないかー…?」

梓「みんなでやればあっという間です!ちゃっちゃとやってしまいましょう!」



ちゃっちゃ!



律「ふいーっ、だいぶ片付いたなあ」

唯「りっちゃーん、なんだか凄そうなの見つけたよー」ヨッコラセ

律「こ、これは…!なーんだ、ギターか」

紬「カビくさっ」

澪「OBの物かな?」

梓「かさばって邪魔だし、売っ払いましょうよ。ついでに他の楽器も全部」



アリガトウゴザイマシター



澪「いいのかな…?こんな額、みんなで貰っても」

紬「小銭でしょ?」

梓「まさか諭吉さんが100人近く貰えるなんて思いませんでしたね♪」

紬「だから小銭でしょ?」

律「梓、ずいぶん嬉しそうだなあ」

梓「だって、これだけあったら部室に温室と冷房設置できますよ!」

律「一人で全部使う気かこいつめー!私にも使わせろー!」ワシャワシャ

梓「こ、この金は誰にも渡しません!」バタバタ

唯「あ、私もあずにゃんと絡み合うー!」

アズニャーンコウビー イヤアアアアア ヤメロユイー ガシャーン ウフフ



澪「せめて部のために使えよ…あれ、私たちって何部だっけ」

―――

つぎのひ!



ドアガチャ

さわ子「お茶ちょうだーい!って、何か広くなったわね……あっ!楽器が無い!?」

梓「掃除しましたから。楽器は全部売っちゃいましたよ、邪魔だったので」

さわ子「」

紬「はい、お茶です先生。ケーキもありますよ♪」

さわ子「…買い戻して来いやああああああ!!!!」



梓「結局、残ったのは誰のかわからないギターの代金から楽器買い戻した分の差額だけ」

梓「…少ない」

律「短い夢だった…」フッ


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