律「DIOは昔から変な奴でさー。初めてあったのは小学生の時か?あの時から……」

―――

律「ふぁあ……」

DIO「何を見ている」

律「でっけー!先生よりでっけー!!何食べたらそんなに大きくなれるの!?」

DIO「貴様には無理だ」

律「それそれー」

DIO「やめろ!!身体を上ってくるんじゃない!!」

―――

律「とか」

唯「DIOちゃんって、昔から背が高かったの?」

律「ああ、昔から今くらいあったんだよ」

DIO「……この百年身長は変わってない」

紬「……」 うとうと

律「いやー、DIOにランドセルは今思い出しても全然似合ってなかったわ」

唯「それはそれで見てみたいかも……りっちゃん写真とか持ってないの?」

律「写真もあるんだけどな……こいつカメラに嫌われててさ」

DIO「少し静かに出来ないのか」

律「個人写真写すとき絶対と言ってもいいほど顔に影がかかってるんだよ」

唯「ふぇー」

DIO「このDIOは『静かにしろ』と言っているのだ」

律「……いいじゃねーか!せっかくの合宿なんだし!!」

DIO「ツムギが寝ている。邪魔をしてやるな」

紬「……」 すやすや

律「……そういう事は先に言えよな」

DIO「言われずとも察してやれ。貴様と違ってぬくぬくと温室で育ってきたツムギにとって、これ程の外出は相当の負担になるものだ」

律「……ちぇー」

唯「じゃあさ、ちっちゃな声でDIOちゃんの昔話してよ!」

律「おうさ!」

DIO「……」

律「……」 すやすや

唯「……」 すやすや

紬「……」 すやすや

DIO「一向に起きる気配がない、か。
   フン。そんなに疲れているのならこのDIOを待たなければよかっただろう。
   まったく、愚か者ばかりだな。哀れなモンキーは百年前から何も変わっていない」

DIO「……一度だけだ。一度だけ感謝してやる。光栄に思うんだな。貴様は捕食者たるこのDIOに感謝される初めての糧なのだから。
   ヒラサワユイよ。合宿の件、それとプッチの件、本当に感謝している」

DIO「……そろそろ目的地か」

―――

律「……」

DIO「おい、起きろ」

律「ん……なんだぁ?そろそろ駅か?」

DIO「何を寝ぼけた事を言っている。もう合宿の宿泊所に着いているぞ」

律「……はぁ!?んなわけ……」

DIO「貴様が鍵を持っているのだろう。さっさと出せ」

紬「あ、りっちゃんおはよう」

律「おお、おはよー!」

DIO「挨拶は後にしろ。日の出までもう一時間を切っている。さっさと館内に入らなければ死ぬぞ」

律「へいへーい」

―――

紬「DIOちゃん、寝ちゃったわね」

律「んー……なあムギ、一つ気になる事があるんだけど」

紬「なぁに?」

律「駅からここまで、片道30分って言ってたよな……どうやってあたしたちここまで来たんだっけ?」

紬「さぁ?DIOちゃんが運んでくれたらしいっていうのは聞いてるんだけど、タクシーか何かじゃないかしら?」

律「……アイツの事だし、四人を担いでここまで歩いて来てたりしてな!」

紬「んー、DIOちゃんでも流石にそれは……」

律「結構簡単に想像つくだろ、あたしたちを肩に担いで平然と歩くDIOの姿」

律「『まったく、勝手に寝おって!このモンキーどもが!!』……とか言いながらさ」

紬「ふふ、本当にそうだったりしてね」

唯「……それ私のアイス!!」

律「お?唯起きたか」

唯「あ、あれ?ねえりっちゃん、私のアイスしらない?」

律「寝ぼけてんのか?」

紬「唯ちゃん、もう朝よー」

唯「あさ……?はっ!そうだった!!おはようございまーす!!」

律「起きぬけからえらくハイテンションだな、お前」

唯「だってだって!私部活の合宿とか初めてでさ!うわぁ~すごいすごい!!海だよムギちゃん!」

紬「この辺はうちのプライベートビーチだから泳いで来ても誰も文句言わないわよ?」

唯「ホントに!?よぉ~しりっちゃん!泳ぎますかぁ~~!!」

律「よっしゃ、太平洋狭しと泳ぎ回るぞ!!」

唯「じゃあ着替えて……っと、忘れてた忘れてた」

律「ん?何やってんだぁ?」

唯「日が沈む時間の確認だよ!一日目はDIOちゃんも思いっきり遊びたいだろうし、早めに起こしに行くんだぁ~」

律「おお、そっか。じゃあ先に着替えてくるぞー」

唯「うみー!!」

紬「うみですねー!」

律「UUUUMMMYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!」

唯「わぁ~、それそっくりだよりっちゃん!」

律「当たり前だろ。もう十年来の仲なんだぞ」

紬「う、うみー?」

律「違う違う!UUUUUUMMMMMMMMMMMMMMYYYYYYYY!!!!]

唯「うううみいいいいーーー!!」

律「皆まだまだだなー。と言う事であたし海一番乗りィーーー!!」

唯「わわ、ずるいりっちゃん!!私も一番がいいよぉ~~!!」

紬「あらあら、二人とも走って行っちゃって。ふふふ、海は逃げないわよー!
  あーあ、唯ちゃんこけちゃった。……本当に、皆で来ることができて良かった」

律「おぉ~いムギィ!!さっさと来ないとあたしだけで太平洋支配しちまうぞぉ~~!!」

紬「分かった~~、今行く~~~!!」

紬「えっと、ここをこうやって……あら?」

律「お、何してるんだ?」

紬「えっと、これ。買ってもらったんだけど説明書忘れてきちゃって……」

律「おお。これはアレか!デジタルキャメラってやつか!」

紬「どうやって使うのかしら?」

律「貸してみなー。ここをこうしてこうやって……」

唯「わ~~か~~め~~~」

律「ほりゃ!」    パシャ

唯「ふぇ?」

律「こうすると、わかめを髪に貼り付けて遊んでいる唯がばっちり撮れるわけだ」

唯「わわわ、りっちゃん今のなし!今のなし!!」

律「ざんねーん、保存しましたー。ほい、ムギ」

唯「ムギちゃん消してー!お願いだからー!!」

DIO「そういう事なら、DIOちゃんに見せましょうか」

唯「やめてぇぇぇ~~~……」


……

DIO「……そろそろ、日没か」

DIO「これは、フルーツバスケットか?
   ……朝来た時には気がつかなかったが、誰かは知らんが気のきく奴もいたもんだ」

どんどん

唯「秋山さーん!郵便でーす!!」

律「中華田井中亭でーす!!!!ギョーザ340人分お持ちしましたー!!」

紬「コトブキ財団でーす!ご注文のボストンテリアお持ちしましたー!」

どんどん

DIO「まったく、起きぬけから五月蠅い奴らだ」

――

律「ほうら、DIO!海だぞー!!」

DIO「ほう、海か」

唯「……わくわく」

DIO「なんだその目は」

律「UUUUMMMMMMMYYYYYYYYYY!!!!」
唯「UUUUUUUUUMMMMMMYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!」

律「おお、上手くなったな唯!!」

DIO「何をやってるんだ貴様等は」

唯「あれ、DIOちゃん泳がないの?」

DIO「古い文献には我が系統の者は『日光』『流水』が苦手と書かれていてな。
   試した事は無いが……試しにで死んでは本末転倒だろう」

唯「ふえ~」

――

紬「あら、DIOちゃん。どうかした?」

DIO「ほう、砂の城か」

紬「うん。でも、上手くできなくて」

DIO「変われ」

――

紬「……」

律「なんだこの人一人住めそうな砂の城は」

唯「いやー遊んだ遊んだー!」

律「明日筋肉痛で動けないかもな……」

紬「じゃあ、お風呂なんてどうかしら?」

唯「お風呂!!」

律「風呂まであるのかこの別荘!!!」

唯「DIOちゃんも一緒にはいろー!」

DIO「風呂か、どうもあれには馴染めなくてな。俺はシャワーで十分だ」

律「なんだお前、いっちょ前に恥ずかしがってんのか?ほら、入るぞー」

DIO「放せ、シャワーで十分だと言っているだろうが」

紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」

DIO「ええい、お前まで何をしているのだツムギ!!オイ、ユイ!この二人を何とかしろ!!」

唯「私DIOちゃんの着替え取ってくるね!」

DIO「クソッ!KUUUUAAAAAAAAAA、放せと言っているだろうが!!」

律「観念しろ~」

紬「諦めましょ~」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……

DIO「……」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……

律「な、なんだこの威圧感は……」

紬「なにか、溢れ出るものが、見える気がする……」

唯「……」

律「あ、おい唯!」

唯「DIOちゃん筋肉すごいねー」

DIO「ベタベタ触るな」

唯「どうやったらこんなにムキムキになるの?」

DIO「俺に聞くな」

唯「……」

DIO「何処を触っている、ユイ」

唯「ムギちゃん!DIOちゃんの腹筋割れてる!!」

ムギ「そう?じゃあ私も触ろうかな」

唯「腹筋がっちがち~」

紬「これは……」

DIO「貴様等は俺を馬鹿にしているのか?」

紬「いえいえ、そういうわけじゃ」

唯「尊敬してるくらいだよー」

DIO「離れろ。まったく、風呂くらい落ち着いて……ええい、触るな!この、誰だ俺の胸を触っているのは!!」

律「私さ!!」

唯「それそれー!」

紬「それー」

DIO「KUUUUAAA!!!!離れろと言っているのだカスどもがァ―――!!」

律「わ、DIOが怒ったぞ!!撤退撤退!!!!」

唯「DIOちゃん落ち着いて!落ち着いてーー!!」

紬「じゃあ私先にあがってますね~」

律「わ、ずりぃムギ!あたしももうあがる!!」

DIO「逃げるなァ――!!どいつもこいつも『有罪』だッ!!クソックソッ!!!!」

――

律「はー、いやいや。結構充実した合宿だったな」

紬「なんだかんだで皆、真面目に練習したしね」

DIO「貴様等が真面目にやっていなかっただけだろうが」

唯「DIOちゃんだってよく本読んでるじゃん」

DIO「フン、このDIOは例外だ。これ以上上手くなりようがないんだからな」

律「ったく、お前のその自信はどっからくんだよ」

DIO「真実だ」

紬「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」



律「それじゃ、またなー」

紬「さようならー」

唯「ばいばーい!!あれ、DIOちゃん帰らないの?」

DIO「プッチが迎えに来ると言ってきかないから、ここで待っていなければならないのだ」

唯「そっかー、じゃあプッチさんによろしくねー!ばいばーい!!」



プッチ「待たせてしまったかな?」

DIO「いや、今帰ってきたところだよ」

プッチ「君の『今』ほど信じられないものは無いからな。とりあえず謝らせてもらうよ」

DIO「気にしないでくれ、私と君の仲だろう」

プッチ「フフフ……機嫌がいいみたいでよかったよ。どうやら『合宿』は成功したようだね」

DIO「君にはなにも話さなくても私の全てが分かってしまう。まるで心でも見透かされているようだ。
   ああそうさ、プッチ。身体を失ってから今まで、ここまで充実した日々は久しく無かった気がするよ」

プッチ「そうか、嬉しそうで何よりだ」

DIO「……永遠に朝が来なければいいのに、と思いたくなるほどにね」

プッチ「……そうか。さ、早く帰ろう。今日の日の出は4時32分。念には念を入れて帰っておいた方がいい」

DIO「そうだな、じゃあ帰ろうか。そろそろ小腹も空いたしね」

プッチ「荷物を持とうか?」

DIO「心配無用だ、心遣いだけいただいておくよ。行こう」


合宿終了!
                         to be continued→



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