律「……最近よ。あたしらだれてないか?」

唯「そうかな?」

紬「まぁ、夏だし」

DIO「まったく練習もしていないしな」

律「唯、アイス置け!DIO、服を着ろ!話合いするぞ!!」

――

律「夏だ!」

紬「ですね」

唯「うん、だね」

DIO「何を当たり前のことを……湧いたか?頭が」

律「違う!せっかくの夏、もっと大々的に練習しなけりゃならんでしょ!」

唯「というと?」

律「たとえば、ほら、合宿とかさ!」

紬「あら、面白そう!」

律「だろ、だろ?なんかいい練習場所ねーかな?」

DIO「カイロに別荘が」

律「却下!そんなもん早く売っ払っちまえ!!」

DIO「イギリスに全焼した」

律「住めない!却下!!」

唯「私の家ー!」

律「んー、目新しさがない。却下!」

紬「じゃあ、私の家族の別荘なんてどうかしら?」

律「……もしかして、外国じゃねーだろうな」

紬「えっと、遠場の海の見える別荘だとか」

律「よし、それ採用!決定!!ムギ、場所の方は頼んでも」

紬「大丈夫。まかせて!」

律「よっしゃ!じゃあ決まりな。今月中に海に行くぞ海!!」

DIO「……」

律「じゃああたしとムギで打ち合わせしとくから」

紬「お先に失礼しますー」

唯「うん、ばいばーい!!」

DIO「……」

唯「あれ、DIOちゃんどうかしたの?」

DIO「フン」

唯「DIOちゃん?」

DIO「帰れ」

唯「えっ?」

DIO「聞こえなかったか?帰れと言ったんだ」

唯「えっと、じゃあ一緒に」

DIO「帰れと言っているんだッ!!」



とぼとぼ

唯「DIOちゃん、何怒ってたのかな……」


……

DIO「合宿だと?……浮かれやがって」

DIO「……フン」


――

唯「うーーーむ」

憂「何考えてるの?」

唯「あ、うい~。えっとさ、DIOちゃん、何かあったのかなって」

憂「DIOさん?」

唯「うん。DIOちゃん。……いつもはすっごく優しいのに、時々すごく怒るんだ……」

憂「……そういえば、DIOさんが初めてウチに来た時も怒ってたよね」

唯「あー、そう言えばそうだったねぇー。あの時は確か……あ!」

憂「へ?」

唯「怒るはずだよ!!なんで気がつかなかったのかな……もう!」

憂「お姉ちゃん?」

唯「えっと、まずは……」

ピッポッパ

       とおおおおおおおおおおおおおおるるるるるるん

紬{はい、もしもし?}

唯「あ、ムギちゃん?わたしわたし~」

紬{唯ちゃん?どうかしたの?}

唯「えっとね、合宿の事なんだけどちょっとお願いがあって……」

紬{なに?}

―――――

唯「どうかな?」

紬{……出来るけど、どうして?}

唯「お願い!!ね?今度アイス奢ってあげるからお願い!!」

紬{……唯ちゃんがそこまで必死になるって事は、何かあるのよね。わかりました。手配しておきます}

唯「ほんと!?ありがとムギちゃん!!」

紬{いえいえ、それほどでも}


唯「えっと次は」

パッポッピ

        とおおおおおおおおおおおおるるるるるるんるん

律{はいもしもしー?}

唯「りっちゃん?わたしわたし~」

律{こ、これが噂の私私詐欺かッ!}

唯「ふっふっふ、家族の命が大事なら身代金としてアイス3っつをよこせ!」

律{な、なんて暴利なヤローだ!!……っと、で、何?}

―――

唯「どう?」

律{んー、別に教えてもいいけど……でもどうして?}

唯「お願い!この通りだからさ!!」

律{いやいや、電話の前で頭下げられても見えないから。
  ……ま、分かった所で悪用したりはしないよな?じゃあ言うぞー}

唯「わわ!待って待って!めもめも」

―――

律「で、当日なのに」

律「なんで唯もDIOも来てないんだよ!!」

紬「唯ちゃんは『現地集合する』って事前に連絡があって、DIOちゃんは『気が乗らん』の一言」

律「なんだそりゃ」

紬「ま、いいわ。先に二人で行って用意しときましょ」

律「……なんだ、ムギ。嬉しそうだな」

紬「うん。ようやく、唯ちゃんの言ってた事の意味が分かったの」

―――

唯「えっほ、えっほ!」

唯「……んー、この辺りかな?」

唯「えっほ、えっほ!」

唯「ここ、だよね……」

唯「大きな家~~。私の家が5個は入るかな?」

唯「……あれ、チャイムが無い?」

唯「ドアの方についてるのかな?」

てくてく

唯「……無い」

唯「あれ、この輪っか動く……えい!!」

 コンコン!

??「少し待ってくれ」

唯「へ?これでよかったのかな?」

唯「……は!もしかしてこれが……噂のどあのっかー!?」

 ガチャ

??「……おや、誰かな?」

唯「え、えっと。DIOちゃんの友達の平沢唯っていいます!」

??「DIOの……友達?」

??「少し失礼するよ」

唯「へ?」

??「『ホワイトスネイク』!!」

シュパッ!!

唯「あ……れ……?」

バタン

??「スタンドは持っていないみたいだな。一般人……食料か?
   にしても、DIOの友達……本当に?」

??「まぁ、この記憶ディスクをみれば分かる事か」

―――

唯「……はっ!アイスが走ってく!!」

唯「あれ?ここ……」

??「起きたかい?……玄関先で倒れてしまったからね、迷惑かも知れないと思ったが中で休んでもらっていた」

唯「あ、ありがとうございます!……あなたは?」

??「エンリコ・プッチ。君と同じく、DIOの友人だ」

神父「暑い中ここまで来てもらって申し訳ないが、今ちょっと冷たい飲み物がなくてね。
   紅茶でいいかな?」

唯「えっと、お構いなく!」

神父「ほら、召し上がれ。茶菓子にクッキーもある、安物だけど結構おいしいよ」

唯「ありがとうございます!」

――

神父「DIOの友達と言っていたね」

唯「も、もふ!」

神父「口の中を片付けてからでいいよ」

唯「ん、んぐ!はい!DIOちゃんとは同じ部活に入ってます!」

神父「DIO『ちゃん』か。それで、今日は何の用なんだい?」

唯「えっと。DIOちゃんを合宿に誘いに来ました」

神父「合宿に?DIOをかい?」

唯「はい!!」

神父「……彼はきっと、断るだろうな」

唯「へ?」

神父「彼から聞いていないかい?彼の体質の事を」

唯「えっと、太陽の光アレルギーなんですよね」

神父「そう。それも尋常じゃないほどにね。命にかかわるほどだ。
    もし君が無理矢理連れて行こうとするなら……『友』として、私は全力で引き留める」

ホワイトスネイク『……』

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……

唯「知っています。黒焦げのフィルムみたいになるって事も」

唯「でも私だって引き下がれない」

唯「大切な『友達』だからこそ、一緒に行きたいんです!」

神父「そうか、じゃあ」

ホワイトスネイク『ウショォォオオアアアアアァァァァ!!!』

唯「それに、ちゃんとDIOちゃんのために色々考えてきたんです!」

  ピタッ

ホワイトスネイク『……?』

神父「……なに?」

唯「DIOちゃんは日光が嫌いだけど、人工光は平気なんですよね?」

神父「……ああ、紫外線さえ出ていなければ」

唯「えっと、ここから目的地までおよそ2時間で、終電に乗れば深夜のうちに向こうに行くこともこっちに帰ってくることもできるんですよ」

神父「ほう」

唯「それに、日中は窓の無い地下室でバンド練習をしますし、夜は夜で自由に過ごす。
  もちろん!寝室の窓は日光を遮断するカーテンが付いています!」

神父「なるほど……確かにそれならDIOは日光に当たる事は無い」

唯「はい!」

神父「これならきっと彼も考えるだろう。しかし、もう一つ気になる点がある」

唯「はい?」

神父「彼は体質のせいもあって昼夜が逆転していてね。昼に練習はできない。
   だから夜、といいたいが練習だけをして帰ってくると言うのは味気ない。これはどうする?」

唯「それは……これでどうですか?
  四日間向こうに滞在するので一日おきに練習、遊ぶ、練習、遊ぶ!!」

神父「フフフ……なるほど、合理的だ。……という事だが、どうするね、DIO?」

唯「DIOちゃん?」

DIO「気付いているのなら黙っていてくれればいいのに……君は本当に意地が悪いな、プッチ」

唯「DIOちゃんひさしぶり~」

DIO「……今日は合宿じゃあなかったのか?」

唯「DIOちゃん、日光嫌いって言ってたの思い出して。ムギちゃんに頼んで出発時間ずらしてもらったんだ!」

DIO「……」

唯「この前は気付けなかったけど、今回はちゃんと気付けたよ!」

DIO「……フン」

唯「ね、一緒に行こうよ!合宿!!」

神父「DIO」

DIO「……なんだい?プッチ」

神父「彼女の発言は善意によるものだ。1%の悪意もない。純粋に、君との合宿を願っている。
    どうかな。行って見るのも悪くは無いと思うが……」

DIO「……プッチ、昼食にしよう。用意してもらえるかな?」

神父「……わかった」

DIO「それから、ユイ。何を持って行けばいいかを教えろ。四日分ともなると荷物を考えなきゃあならんからな」

唯「じゃあ!!」

DIO「行くと言っているのだよ。このDIOも」

唯「えっと、これと!これと!これと!!」

DIO「おいユイ!どうして地球儀を持って行こうとしている?いらないだろう、それは」

唯「そうかな?」

DIO「少し考えれば分かる事だ」

唯「えへへ、ごめんごめん。DIOちゃんと合宿に行けると思うと、つい、嬉しくって!」

DIO「ククク、愉快な奴だな、お前も」

プッチ「DIO、唯、サンドイッチを作ったんだ。そちらが一段落したら昼食にしよう」

唯「さ、さんどいっち……!」

ぐぅ~~~

唯「え、えへへへ」

DIO「……腹が減っているのか?」

唯「朝ご飯、たくさん食べてきたんだけどなぁ……」

DIO「……飯にしよう。このDIOも腹が減っては頭も回らん」

唯「うん!」

――

神父「忘れ物は無いかい?」

DIO「子供扱いしないでくれよ。なりはアレだが、私は君よりも長生きしてるんだよ?」

神父「ふふ、どうも合宿と聞くと昔の事を思い出してね」

唯「プッチさんも部活か何かを?」

神父「いや、妹がいてね。よく妹が旅行に行く前に忘れ物が無いかと私に確認していたんだ。
   本当に、懐かしいな……」

唯「妹さん、ですか~~。きっと素敵な人なんだろうなー」

神父「……どうして、そう思うんだい?」

唯「いや、妹さんの事を話すプッチさんの顔。とても優しい顔してましたし。
  プッチさんもしっかりしてるから、妹さんもきっとしっかりしてて、優しい、素敵な人なんだろうなぁ~って思って。」

神父「……そうか」

DIO「……そろそろ、私たちは出発するよ」

神父「ああ、暗いから気をつけるんだよ?」

唯「は~~い!!いってきまーす!」

――

DIO「この列車に乗るのか」

唯「えっと、一つ次だね」

DIO「そうか、じゃあ」

律「のんびり待てると思ったかァ~?DIOこのやろう!!」

DIO「何ィ!?」

唯「りっちゃん!どうしてここに?」

紬「私たちも電車をずらしたのよ」

唯「ムギちゃん!」

律「ったく、水臭いなぁ、唯も。DIOを引っ張ってくるんなら誘えよぅ!」

DIO「……リツが迎えに来ていれば、プッチは追い出していただろうな。五月蠅い女とカタツムリが嫌いだから」

唯「そうなんですか?」

DIO「俺が話したと言う事は秘密だぞ?」

唯「らじゃー!」

律「こらーそこー!何話してんだよ!!」

DIO「それは秘密だ」

唯「でも、りっちゃんたち何でここに?」

律「そりゃ、あれだ。ほら、遠足って移動するときのバスからもう遠足だろ?
  て事は、合宿も行きの電車の中から合宿なんだよ!今回の合宿は四人で行くんだから待つのは当然だろ」

紬「っていっても、唯ちゃんが時間をずらすって言った時にりっちゃんにもその事を伝えてね。
  この時間が集合時間だったのと一緒なの。それにほら、皆で行った方が楽しいじゃない?」

唯「りっちゃん……ムギちゃん……」

律「唯……」

紬「唯ちゃん……」

DIO「公共の場で抱き合うな。見てるこちらが恥ずかしい」

律「なんだ、DIOも抱き合いたいのか?ほら、ぎゅ~~~」

DIO「離れろ、うっおとしい!」

唯「じゃあ私も……とぅお!!ぎゅぅ~~~」

紬「では私も、ぎゅ~~~~~」

DIO[ええい暑苦しい!!離れろと言ってるんだ!!」


出発!
                        to be continued→



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