唯は紬の埋葬を手伝っていた

唯「これ、日本の煙草」

敵兵「ニホンノタバコ?アリガト。ニホンスキ」

唯「日本語上手だね」


澪「唯、穴堀はもういい。出発するぞ」

唯「でも…」

唯「!?」

梓は敵兵に向けて銃を構えた

敵兵「~!」

唯「むぎちゃんを撃ったことは謝るから許してって言ってる…」

梓「この期に及んでぇ!」

梓は今にも銃の引き金を引きそうなほど目が血走っていた

唯「あずにゃん待って!澪ちゃん止めて!捕虜を殺すのは条約で禁じられているはずだよ!」

澪「…」

澪「来い!」

澪は乱暴な手つきで敵兵を引っ張った

唯「澪ちゃん、お願いだよ…かわいそうだよぉ…」

澪「捕虜は連れていけない。この先で会った日本軍に降伏しろと伝えろ」

唯「澪ちゃん!ありがと!」

唯「~」

敵兵「~」

梓「嘘でしょ…信じられない!」

憂「澪さん!あいつを逃がすんですか!こんなの許せませんよ!」

澪「出発の準備をしろ。いよいよ最前線だぞ」

梓「こんなことって…!」

澪「出発だ。上等兵」

梓「…。素晴らしいご決断ですよ、大尉。正しい行いってやつですか」

梓「笑っちゃいますよね、私達二人の命より田井中二等兵一人の命の方が重いっていうんですから!」

さわ子「梓ちゃん、出発よ」

梓「大尉殿は二等兵を日本に帰したところで死んだ二人に顔向けできるんですか?」

さわ子「いい加減にしなさい!」

一同「…」

梓「私は降りますよ。こんな馬鹿馬鹿しい任務…二等兵を見つけたところで私が銃殺しそうだ」

さわ子「梓ちゃん戻りなさい」

梓「嫌です」

さわ子「戻りなさい」

梓「イヤ」

さわ子「上官命令よ!」

さわ子は梓に銃を向けた

梓「敵は逃して私は殺すんですか。どうぞ撃って下さいよ。撃てるものならね」

さわ子「その減らず口、黙らせてあげるわ」イライラ

梓「だったら早く撃てばいいじゃないですか。丸腰ですよ?私」

さわ子「黙りなさい。イライラするわね」

梓「あんまり苛立ってるとお肌に悪いですよ?」

さわ子「本当に口の減らないガキね」イライラ



憂「澪さん止めてください!これじゃあ本当にどっちか死んじゃいます!」

澪「…」

澪「軍曹、今懸賞金はいくらだ?」

さわ子「は?」

澪「懸賞金だよ。私がコソコソ何を書いてるのか、賭けをしてるんだろ?」

さわ子「…」

憂「じゅ、10円です!」

澪「はは、随分大金なんだな」

さわ子「それで、何を書いてるの?」

澪「歌詞を書いてるんだ」

さわ子「歌詞?」

澪「うん。この任務が終わったらバンドを組んで、私が作った歌をみんなに聞いてもらいたいんだ」

澪「私は国籍なんて関係なく、みんなに楽しんでもらえるような歌詞をかきたいんだ」

澪「梓、降りたかったら降りてかまわない。私は止めないよ」

梓「…」

澪「むしろここまで一緒に戦ってくれただけでありがたい。お前がいなきゃここまで来れなかったよ」

澪「他にも降りたい者は降りてくれ。咎めたり、上にチクったりしないから」

澪「私は10分後に出発する。一緒に来てくれる者は準備をしてくれ」

澪の言葉を聞いて、引き返そうとする者はいなかった



1942年、5月

部隊はビルマ最前線の街に到着しようとしていた

澪「あの街が最前線だ。あそこにいなければ…」

さわ子「戦死…しているってことね」

梓「骨折り損のくたびれ儲けにならないことを祈りますよ」

唯「うい~…お腹減ったぁ…」

憂「もうちょっとで街だよ!そこまで頑張って!」

唯「ご~は~ん~」

憂「腹ペコのお姉ちゃんも可愛いなぁ///」

「止まれ!」

澪「!?」

「武器を捨てて両手を…って日本軍?」

澪「あ、ああ。味方か…びっくりした…」

梓「みなさん気を抜きすぎです!敵だったら死んでましたよ!」

さわ子「そういうあなたも気付かなかったでしょ…」

梓「な、なんのことやら」

「ハッハッハ、気付かないのも仕方ない!我々はここで敵を待ち伏せしていたのでね!」

澪「そうだったんですか。私は秋山大尉。今は特別任務で人を探しているんです」

佐藤「佐藤少尉です。私は街に掛かる橋の死守を任されています。こちら私の部下です」

律「ども!田井中二等兵であります!」

鈴木「鈴木一等兵です」

澪「よろしく」

澪「ん?」

澪「た、田井中二等兵…?」

澪「京都出身の?」

律「ええ、よくご存知で。私ってそんなに有名人?」

澪「い、いた…良かった…」

さわ子「今までよく頑張ったわ澪ちゃん」

梓「まさか本当に見付かるとは…」

唯「やったね憂!」

憂「うん!お姉ちゃんが頑張ったからだよ!」

律「え?何々?話が見えないぞ」




佐藤「いやあ、増援とは有難い。こちらも大分やられてね。ギリギリのところで持ちこたえてるという感じなんですよ」

澪「少尉、悪いが私達は増援じゃないんだ。特別任務でキミの部下、田井中二等兵を探しにきた」

律「私を探しに?なんでまた?」

澪「キミを本国に送還するためだ」

律「送還?意味がわかりません。どういうことです?」

澪「実はキミの弟がな…」

律「そっか…弟が…それで私を本国に送還すると?」

澪「うん。母親にお前の元気な姿を見せてやれ」

律「…」

律「できません」

律「なぜ私だけが特別扱いなんです?戦ってる仲間を置いて私だけ帰国なんてできない」

澪「命令だ二等兵」

律「嫌です。聞けません」

梓「ふざけるな!」

梓「お前のために仲間が二人も死んでるんだ!そんな勝手が許されるか!」

律「…!」

律「本当ですか?」

澪「…」コクッ

律「…。それでも私にはできない…」

澪「ならばキミの母親に姉も戦死したと伝えるか?母親の気持ちも考えてやれ」

律「母にはこう伝えて下さい。あなたの娘には戦場で一緒に戦う兄弟がいると。その兄弟達と運命を共にしますと」

そう言うと律は仲間の元へ走っていった



さわ子「どうするの?あっちの部隊に加わる?それとも引き返す?」

唯「引き返すに一票!早くこんな任務終わらせて宿舎でゴロゴロしたいもん」

梓「でもこの街はどうするんです?たった30人程度じゃ3日も持ちませんよ」

憂「私達の任務は律さんを連れ帰ることだし…わざわざ危ないことしなくても…」

澪「…」

澪「ここは日本にとって重要地点だ。ここが落ちれば日本軍は後退せざるを得ない」

さわ子「それじゃあ」

澪「彼らに協力する」

さわ子「そうこなくっちゃね!」

澪「私達も一緒に戦わせてくれ」

佐藤「有難い!こちらも人手不足だったのでね」

佐藤「それで上官殿、どういった作戦を?」

澪「えっ!?私が作戦を立てるの!?」

佐藤「?あなたの階級が一番上なんだから当然でしょう?」

澪(30人以上の部隊の指揮なんて無理だ!今すぐ日本にかえ)

さわ子「できるわね?澪ちゃん」

梓「澪大尉のすごいところをみんなに見せ付けてやりましょう!」

澪「…」

澪「わかった」


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