次の日

梓「むぎ先輩」

紬「梓ちゃん、どうしたの?」

梓「先日のこと…すみませんでした」

紬「ああ…あのこと」

梓「あんなのただの八つ当たりですよね。何か部隊の緩い雰囲気にイライラしてて…むぎ先輩は何も悪くないのに」

紬「私の方こそごめんなさい。デリカシーのないこと聞いて…」

梓「いえ…そんなことは…」

紬「…」

紬「梓ちゃん!お菓子食べない?おいしい豆大福があるの♪」

梓「た、食べます!豆大福大好物なんです!」

紬「ふふ♪ちょっと待っててね♪」



澪「うんうん」

さわ子「中々やるじゃない?」

澪「な、何がだ」

さわ子「照れない照れない」

澪「うるさい///早く出発の準備をしろ!」



澪一行は、何ヶ月かかけて徐々に目的地に近付いていた
最前線に近付くにつれ戦闘も激しくなっていたが、なんとか誰も死なずに進軍していた

唯「うい~あいす~」

憂「アイスなんてないよお姉ちゃん。今は戦争中なんだからワガママ言わないの」

唯「あ~い~す~」

憂「もう!じゃあ、代わりに私の指をチュパチュパしていいよ///」

唯「わーい!チュパチュパ」

憂「あん…///お姉ちゃん激しい///」

梓「ずっと疑問に思ってたんですけど、あの二人は一体なんなんです?」

さわ子「あまり見ない方がいいわよ」

紬「梓ちゃん、百合はいいものよ。ただTPOはわきまえてほしいわね」

澪「何をやってるんだよまったく…」



澪「みんな止まれ!」

さわ子「どうしたの?」

澪「丘の上に機関銃が設置してある。梓、見えるか?」

梓「はい、あれは…日本式じゃないですね」

さわ子「…迂回しましょうか」

澪「…」

梓「そうですね。機関銃破壊は後続に任せましょう」



澪「いや、ここで叩こう」

梓「なんですって?」

澪「ここで叩かなかったら後続に被害が出るかもしれない」ガクガクブルブル

梓「だからってこんな戦力で?無謀ですよ!」

澪「誰かがやらなくちゃいけないんだ」ガクガクブルブル

憂「だからってそれが私達じゃなくても…任務もあるし…」

澪「戦争に勝つことが任務だ。すぐに準備しろ」ガクガクブルブル

澪「」ガクガク

梓紬憂「…」

澪「笑えるだろ?機関銃を見ただけで震えが止まらないんだ」ガクガク

唯「澪ちゃん…」

唯「みんな!やろうよ!澪ちゃんがこんなに頑張ってるんだからさ!」

憂「お姉ちゃん…」

唯「私は何もできないから偉そうなこと言えないけど…後方支援頑張るから!」

さわ子「そうね、後続のために人肌脱いでやりましょ!」

さわ子(あの怖がりな澪ちゃんが。ふふ)

さわ子は澪の成長を嬉しく感じた

澪「機関銃は二ヶ所だ。私と憂ちゃんが右側面から、軍曹とむぎは左側面から頼む」

澪「梓は中央から援護射撃だ。唯は後方待機」

梓「了解」

澪「すまないな、むぎ。衛生兵を突撃させて」

紬「仕方ないわ、人手不足だもの。終わったらまたみんなでお茶しましょ♪」

澪「ああ、楽しみにしてる。みんな配置についてくれ」



唯は後方から戦闘の様子を眺めていた

澪や憂は機関銃の雨を掻い潜り、大きな岩に隠れて応戦していた
憂が投げる手榴弾の音が唯の鼓膜を揺さぶる
唯はその音を聞きながら、こんなに遠くでもすごい音なんだから近くにいたら鼓膜が破れちゃうよ~などと考えていた

さわ子と紬の方は煙が上がっていたためどうなっているのか確認することはできなかった

唯(さわちゃんがいれば大丈夫でしょ)

梓は相変わらず、少しでも体を出した敵兵を的確に撃ち抜いている
唯のような素人からみても、梓の狙撃の腕は並ではなかった

唯「銃声がやんだ…終わったの?」

澪「ゆいー!」

唯「澪ちゃんの声だ!左側から聞こえたな」

唯「は~い!今いきま~す!」

唯は硝煙を潜り、澪の声がした方へ向かった
そこには倒れた紬を取り囲む4人の姿があった

紬「いたぁぁあいあ…傷は…?私どこ撃たの…?あああああ」

さわ子「早く服を脱がせて!」

憂「はい!」

バリバリ

澪「!?」

梓「この位置…確か肝臓…」

さわ子「見てないで早く傷を押さえて!」

澪梓「は、はい!」

さわ子「むぎちゃん!弾は貫通してるわ!大丈夫助かるわよ!」

紬「うっぐ…」

紬「モル…ヒネを…」ビクンビクン

澪「でもモルヒネは…」

さわ子「打ってあげなさい」

唯「だけど」

さわ子「いいから早く!」

紬「かか肝臓をやられたぁ…」ブルブル

澪「大丈夫、大丈夫だから…」

梓「血が止まらない!」

唯「むぎちゃん!手当ての仕方を教えて!」

澪「どうしたらいい?教えてくれ」

紬「もう少し…だけモルヒネをぉぉお…」ブルブル

憂「モルヒネ…」

澪「…」

澪「わかった…唯、モルヒネを打ってやれ」

紬「死にたくない…死にたくないぃぃ…」ポロポロ

澪「死ぬもんか。この後みんなでお茶するんだろ?」

紬「死にたくないぃぃ…」ポロポロ

さわ子「モルヒネをもう一本打ちなさい」

唯「そんなことしたら本当に死んじゃいます!」

さわ子「少しでも痛みを和らげてあげるのよ!」

紬に3本目のモルヒネが打たれた

紬「ハアハアハアハア」

澪「大丈夫か?痛みはないか?」

紬「ごめんなさいみんな…」ポロポロ

紬「財閥の…私達のせいでこんな戦争に巻き込んで…」

澪「…」

澪「何を言ってる。お前のせいじゃないだろ?それに日本がここまで闘えてるのは財閥のおかげなんだから」

紬「私はね、せめてもの罪滅ぼしと思って衛生兵に志願したの…」

澪「どういうことだ?」

紬「私達のせいで…財閥と大本営のせいで傷ついた人を一人でも救いたいと思ったの…」

紬「でもこんな体じゃもう誰も治療できないよ」ポロポロ

澪「そんなこと言うな。傷を治してもう一度隊に復帰すればいいじゃないか。な?」

紬「澪ちゃん、ありがとう」

紬「梓ちゃん、梓ちゃんが私に本気ぶつかってきたこと、とても嬉しかった」ポロポロ

梓「え…?」

紬「私が財閥だと知るとみんな急によそよそしくなるの。でもあなただけは本心をぶつけてくれたよね。言い争った時も謝ってくれた時も」ポロポロ

紬「あんなこと初めてだったから、すごく嬉しかった。梓ちゃんと同じ部隊になれて良かったよ。みんなと同じ部隊になれて…」

紬「うちに帰りたい…帰りたい…」ポロポロ

紬「ママァ…」ポロポロ

紬「うぁあぁ…」

澪「…」

さわ子「くっ…」

唯「むぎちゃん~…」ポロポロ

梓「」スクッ

梓は無言で立ち上がり機関銃の設置してあるところに向かった

機関銃があるところには軽傷の敵兵が一人残っていた

梓「…!」

ガスッ

敵兵「がっ!」

梓「…!」

ドガッ

梓は何度も何度も敵兵を殴った

梓は敵を処刑しようと銃を構える

敵兵「~!」

梓「何喋ってるかわかんないよシナ野郎」

澪「待て!そいつを殺す前にむぎの墓を掘るのを手伝わせろ!」

敵兵「~!」

唯「どうか撃たないでくれって……」

澪「何を言われても耳を貸すな」

唯「澪ちゃん!あの人を銃殺するの?でもそれは違ほ…」

澪「むぎの埋葬を手伝え」

それだけ告げると、澪はガレキの陰に向かった

唯「こんなのって…ひどすぎるよ!いくら敵だからって!」

唯の言葉に耳を貸す者は誰一人としていなかった
憂でさえも



澪はガレキに腰掛け、周辺の地図を広げた

澪「」ガクガク

澪「くっ…」

澪「うっ…くぅ…うぅぅ…」

澪は必死に涙を堪えた
上官が部下の前で泣くなど許されないことは澪にもよくわかっていた

さわ子「よくみんなの前では我慢したわ」

さわ子が澪の隣に腰掛ける

さわ子「大丈夫。ここなら誰からも見えないわ」

澪「うぁあああ…」ポロポロ

さわ子「あなたはもう立派な上官よ。胸を張りなさい」

澪「ああああああ!」ボロボロ

さわ子は澪が泣き止むまでずっと抱き締めていた


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