唯「……」

男「おらっ、起きろ!」

男が唯の髪の毛を鷲掴みにする、唯はたまらず悲鳴をあげた。
泣き疲れた唯は律の亡骸に寄り添う形で死んだように寝ていた。
すでに悪臭を放つゴカイが唯の体を滑っている。

唯「うう……」

男「大好きな拷問の時間だぞ、おら起きろ」

男は唯の腹を何度も蹴り、立つよう促した。
しかしコウノトリにやられた足の筋肉は震えて、唯の指示通り動かなかった。

男「おらはやく起きろ!おらッ」

男の蹴る威力は段々と増していき、無防備な腹を何度も捕らえた。

唯「お゛うッ、おえ゛ッ、えッ、ひッ!」

男「おらッ、こっちむけ……はぁっ、はぁっ」

蹴っていくうちに男は性欲を抑えきれなくなり、唯を仰向けに寝かせた。
もはや抵抗する気力がない唯は大人しく言われるがまま動かされる。

男は唯の腹に突きの構えをすると、瓦を割る要領で拳を放った。

唯「う゛ォぁッ……!!!」

止まることなく交互に腹部を突き、水月めがけて何度も殴る。
唯は口からどす黒い血液混じりの流動物を溢れさせ、体に染み渡るような苦痛に身を捩らせた。
勢い余って鼻から汚物が出てくる様は、男が本気だという事を如実に伝える十分な素材であった。

唯「お゛ッぇ、ごぁッ!ごふっ!」

男「はぁッ、はぁッ!」

唯をぶち壊したい衝動に男はかられ、ズボンとパンツを脱ぎ始める。
乱暴に股を広げると、目に飛び込んでくる整った膣に鼻息を荒々しくさせた。

唯「いやっ、いやっ!やめて!なにするのッ!?」

目の前の性器に、我を忘れた男はギンギンに堅くなったアソコを手で落ち着かせる。
そして狙いを定めて唯の膣口に亀頭の先を挿入した。

唯「いやだああああッ、やめてよ、やめてッ!!いやッ!」

汚される、あるはずのない第六感が唯の体に逃げるよう指示を出した。
しかし筋肉が、相変わらず麻痺していて不可能だと聞く耳を持たない。

男「おら、ッ、ッぁぁ……」

唯「んぎゃッ……!」

とうとう唯の中に男は進入した。
柔軟な肉壁がいやらしい汁を精製し、男の肉棒に纏いついた。
自己の欲求を満たす事だけを考えている男は容赦を知らない。

男「はっ、はっ、ッ、おぉ……」

唯「いやああァああァあああああ!!!やだやだやだァッ!!!」

唯の処女は、強姦という形で奪われた。

男「はあッ、はあッ、んっ、はあっ!!」

目的を忘れて、男は腰の運動に狂った。
唯はお尻を突き出す形で、ただただ泣き叫ぶだけだ。

唯「やめてぇぇぇ……ぇッ、うっぅううう……」

男「ッ、はあっ、はあっ、イクッ、はあっ、ッ」

早漏とはこの事、男はラストスパートをかけて、腰の動きを速めた。
膣から愛液と血液が滴り、性器の悲鳴が今にも聞こえてきそうである。

男「はっ、はっ、い、いぐッ、っ、いく!」

唯「いや゛ああああああいやいやいやいやいやいや!!!!」

ドクドクッ――。

男「ッ……」

唯「あ……ぁあ……あ……」

男「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

唯「ぅっ、うううッ……うぇぇぇぇん……ひっ、ッ……」

男「……」

ズルズルと唯は、前に倒れ込んだ。
精神をズタズタにやられなおかつこの仕打ちは身体的拷問に勝るかもしれない。
唯の精神面は澪の身体面と同じくらい、酷く壊れていた。

紬「汚い」

男「あっ」

唯「……」

紬「……」

いかにもお嬢様といった服装、口元に片手を添える仕草。
始めて見せる眉間のしわ、絶望の瞳。
そこに立っていたのは妙な新鮮さを纏った紬であった。
そして、

紬「汚い」

紬は込み上がる吐き気を抑え、正直な感想を言った。

紬「私の作品になにをするの?」

男「こ、これは……ち、違うんです!」

男は全身から脂汗を噴き出し、懸命に自分の無実を主張する。
紬は一応その戯れ言に耳を貸してあげた。

男「こ、こいつが狂って……お、俺を襲っていたんだ……!」

紬「……」

男「俺はただそれに付き合っただけでなにもしていません!俺は悪くない!」

しかし、

紬「私は3年間、この拷問の為にみんなを育ててきたの、たくさん気を遣ってあげたわ」

紬「でなければお菓子なんかいちいち持ってこないわよ、唯ちゃんだから値切り交渉もしたの」

紬「それだけ私はみんなの事が好きなのよ、貴方はなんなの?この子の事を知っているの?よく知っているの?」

紬「私の作品を汚さないで、貴方の体で臭くなったらどうするの?」

男「ッ……」

口を挟む余地など、ないに等しかった。

紬「不快よ、斉藤」

紬は片手で音を鳴らし、扉の向こうで待機している斉藤を呼んだ。

斉藤「はい」

素晴らしい反射神経を駆使し、斉藤は華麗に登場した。
紬は有無を言わせぬとばかりに憤慨した形相で、早急に命令を下す。

紬「やって」

斉藤「かしこまりました」

斉藤はタキシードの内側からマグナムを取り出して、男に構える。
動けずにいる男を一瞥し、斉藤は簡単な冥土の土産を持たせた。

斉藤「お気の毒に」

次の瞬間、引き金が引かれマグナムは弾丸を頭に命中させた。
男の頭部が粉末のように飛び散る。

紬「ふん」

唯「……」

気に入らない者は即殺害され、気に入られた者はじわじわとなぶり殺される。
唯は血の雨を嫌がることなく受け、絶望を身に沁みて実感したのであった。

私が一番、苦しむ事になるかもしれない―――。


唯は斉藤に抱えられ、澪のいる第2地下室の地へ優しく降ろされた。
澪の姿を見て、ようやく実感が湧き始める。

これから私は腕をちぎられたり、焼かれたり、切り刻まれたりするんだ。
腕をちぎられるってどんな痛みなんだろう、焼かれても我慢できるのかな、おっぱいとかお尻とか敏感なところを責められるのかな。
無傷だからこそ、この恐怖心は半端じゃない。未知の痛みが唯の涙腺を崩壊させる。

斉藤は唯を優しく抱え、運んでくれた。
さっき人を殺したばかりだが本当はとても優しくて思いやりがあるのかもしれない。
この仕事だって本当は嫌で、無理矢理動いているのかもしれない。
唯は微かな希望にかけて、離れようとする斉藤を捕まえた。

斉藤「はい」

唯「はぁっ、はぁっ、た、助けてください……」

斉藤「……」

唯「助けて……一生ついていきますから……好きにしていいからお願い……」

斉藤「……」

唯「助けて……お願いします……」

唯は斉藤の足にズルズルと寄り、体をぴたりとくっつけ上目遣いで助けを乞うた。
完全に泣き落としを狙って、唯は助かりたい一心で思ってもない事を口にする。
しかし、本当に助けてくれるのであればそのつもりであった。

唯「お願いします……」

斉藤「……」

斉藤は腕を後ろに組み、見下したままうんともすんとも言わず沈黙していた。
この沈黙はもしかしたら、と唯は期待を込めさらに大胆な行動にでる。

唯「お願い……助けて……」

唯は斉藤の片足にしがみついて、猫のように顔を押しつけた。
下手くそな色気も取り入れてみたりして、斉藤の決断を待ち望む。
こうなったら羞恥心を捨てて、唯は体全体を押しつけ、誘うような行動を見せた。

性的な事に走る勇気はあとちょっと足りなかったが、この程度が無難だろう。
騒がしくして朝食の支度をする紬に気づかれたら、おしまいだ。

唯はとにかく必死になって、斉藤の足にしがみついた。

斉藤「……」

唯「お願い……言う事は全部聞きます……なにされても嫌がりません、一生ついていきます……」

斉藤「……」

唯「お願い……ッ……お願い……!」

唯「……」

斉藤「平沢さん」

斉藤はようやく口を開いて、唯の姓を呼んだ。
手をどけるよう、優しく解いて座り込むと、

斉藤「貴方は紬お嬢様のコレクションに選ばれたのです、それはそれは大変素晴らしき事」

唯「……」

斉藤「なりたくてもなれない人がいるのです、貴方は死んでもなお、生き続けるのです」  

唯「……」

斉藤「この拷問が怖いのであれば、その受け止め方を『愛』だと変えてみては如何でしょう」

斉藤「貴方にもわかる時がくるでしょう、生憎お嬢様は男に興味がないようで残念です」

斉藤「本当ならば貴方に変わってコレクションになりたい、もしそれが許されるのであれば喜んで逃がします」

唯「……」

これまで体感したことのない異質な恐怖が、背筋を凍らせた。
もうしかたないと諦めてしまうほど、この男の忠誠心はなによりも堅い。

斉藤という執事は、一人の人間に尽くし過ぎて、感情が欠落していた。


紬「今日は澪ちゃんだけにご飯作ってみたの~」

紬は頬を赤らめて、こちらへ歩み寄るとサラダボールを置いて、隣にトーストを並べた。
澪は腹を焼かれる痛みに泡を吹きながら、苦しんでいる。
強心剤のおかげで中途半端な失神が澪に断続的な激痛を与え続けた。

紬「今日はパンを使ってみようと思うの、その前にうんこしようね~」

紬はダガーナイフを手にとると、澪の青ざめたお尻を広げて観察する。
乱暴に縫われた肛門はギチギチと音をたて、今にも崩壊しそうであった。
糸が分泌液と血を吸って、黒く染まっている。

紬「暴れないでね」

紬は縫い目の始点にナイフを立てると、そのまま下へ引き裂いた。
糸の切れるブチブチとした音と肉の切れるジュクジュクした音がハーモニーを聞かせた。

澪「い゛ッ!」

目を疑わざるを得ない光景に紬は期待通りと小さく嘯いた。
洗剤と大便と血が混ざりあった究極の混合物が、洪水時の河川並に勢いよく噴き出したのだ。
まるでビームのような曲線を描きながら噴出される大便に紬はぱちぱちと手を叩いた。
裂けた括約筋のせいであちこちに噴き出す大便は、水道の水漏れを想像させる。

澪「いたあああああああッッッ!!!ああああうううう……!!!」

傷口に洗剤が滲みて、澪は大きな声でその痛みを表現した。
瞬く間に血便の水溜まりが形成され、それを洗剤の泡がブクブクと溶岩に似せていた。

紬「青リンゴの香りがするわ、ほのかに香る鉄の臭いもたまらなく良い」

澪「ううっ、えっ、えっ、うええええん……ひっ、くぅぅ……」

紬「はい、澪ちゃん朝ご飯よ」

紬はボールからグジュグジュの脳味噌をすくって、パンに広げた。
そして別の皿から泌尿器の左腎臓の上に位置する左副腎という黄色い臓器をのっけて澪に差し出した。

澪「うっ、うっぇ……おろぉぉ……」

紬「りっちゃんジャムよ、召し上がれ」

澪「ううっ!うわああああ!うわああああああああ!!」

りっちゃんジャム、一見可愛く聞こえるがその正体は人間の内容物。
律から抉り出した臓物なのだ。

紬「はやく食べて、飲み物もあるから全部飲んで」

紬は胆嚢と牛乳をミキサーにかけて差し出すと、澪の狂気を面白がった。
澪の精神は不安定域に突入し、目を大きく開いてガチガチと歯を鳴らしている。
それも無理はない、親友を喰えと強いられているのだから。

紬「全体食べさせるから、じゃないと拷問はしてあげませんっ」

澪「ひぃ!ひいい!!」

紬はパンをもって澪に近づいた。
男が澪の体を押さえつけ、動きを止める。

紬「あーんして、あーん……」

澪「んっ!んんん!」

澪は唇をグッと噛みしめ、首を一生懸命に振った。
長いロングへヤーが頭皮の脂の臭いをさせて、その中の微かに香るリンスがそれをより芳しいものにしていた。

澪「ひぃ……ひ……」

紬「はい、あ~ん……」

澪が落ち着くまで待って、紬はもう一度パンを向けた。
澪は口をぽかんと開けて、通算何十回目の放心状態を見せた。

澪「……」

紬「澪ちゃん?」

澪の様子がおかしい、紬はうなだれた澪の顔を下からのぞき込んだ。
なんと笑っている、開いた口元がニヤニヤと笑っている。

紬「こうなったらおもしろくないわね……」

紬が残念そうに呟いた、次の瞬間。 

澪「へへ、ひひ、ふふふふっ、ふふふふふふふ」

澪は静かに声を出して、笑いだした。
紬は眉を下げて、面白くないと拗ねる。

紬「仕方ないわね……じゃあ、えいっ!」

澪「ふふふふふ、ふっご……!おご、ぶふっ!」

紬は一番流し込みやすい胆嚢牛乳を澪の胃袋に直接突っ込もうと考えた。

澪「ふが、お、おげえええええええ!!!」

紬「おもしろくないから貴方たち思いっきりやっちゃって!」

紬は男にそういうと、拷問の主導権を一時的に預けた。
男はゆっくりニヤついて、澪を眺める。そして、

男「おいしょ、ほら飲みな」

男は澪に跨って、牛乳のコップを真っ逆様にした。
腐乱臭がぷーんと酸っぱい酸味を与え、男の興奮を加速させる。

澪「おげえええええ!!!へ、へへへ、あはっ、あはははははは!!!」

焦点の定まらない澪は下を出して、笑い声をあげて狂った。
手と足をジタバタさせて、甲高い笑い声をあげ続ける。

男「余裕だなっ」

男はパンの上に乗ったジャムだけを澪の口に放り込んでやった。

澪「えへへ、へへ、へ……へへ」

紬「あら……」

吐き出すと思いきや、澪はそのジャムをくちゃくちゃ言わせながら噛みしめている。
喉が動いている事からちゃんと呑み込んでいるようだ。

澪「ははは、はは……は、おっ、おげえええええ!!!」

澪「ふぅ、ふぅ、おろぉ、おげえええええ!!!」

澪「へへへ、へへ……お、おぇ……うえっ……はぁっ」

紬「あらら……」

澪はとうとう壊れてしまった、人間の最後は本当に見苦しい。
紬はこの異常な状況をわざと続かせていた。
精神安定剤で直るのかわからないが、もっと見ていたかった。
ここまで壊れる人間も珍しいのだ、紬に新たな好奇心が生まれる。


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