~放課後ティータイム~
紬「唯ちゃん、お湯入れてきてくれる?」
唯「うん!」
いつもと同じ音楽室
いつもと同じメンバー
今日も紬が家から持ってきた高価なお茶とお菓子を振る舞う
だが、事件はその時起こった
唯「はい、むぎちゃん」
紬「ありがとう」
唯が紬にティーポットを手渡そうとしたその時である
唯「うわっ」
足を滑らせその場に勢い良く転げる唯
ティーポットは宙を舞い、蓋が外れ、皆の頭上に降り注いだ
律「うわっちー!」
澪「ああっつぅぅぅぅ」
紬「もう唯ちゃんったら、ウフフ」
唯「あっつーいー!!!!」
律「何やってんだよ唯!」
唯「えへへ…ごめん~」
澪「おぉあつ…まったく…」
紬「皆、大丈夫?」
紬のみあっけらかんとしていたが、他の3人はその熱さに悲鳴をあげた
と、同時に何か違和感に気付く
律「ん…」ゴシゴシ
目を擦り紬を見つめる律
唯「あれ?」
目をパチクリさせ律を見つめる唯
澪「お、おい」
目を見開き唯を見つめる澪
紬「あら?」
いつもと変わらぬ眼差しで澪を見つめる紬
皆「誰?あなた達…?」
皆「…えぇぇぇぇぇ!?」
何と4人は男の姿へと変貌していた
唯「みんながお湯をかぶって男の子になっちゃった!」
澪「な、なんだ何がどうなって…」
律「あれ?私髪型変わってないな…」
紬「一体これは…」
その時、音楽室の扉が開く音がした
入ってきたのは1年生部員の中野梓だ
梓「すいません、遅く…」
梓「…え?」
梓の顔に不安な表情が宿る
梓「あの…どちら様ですか‥?」
唯「あっ!あずにゃーん!見てよこれ~」ガバッ
いつもの調子で梓に抱きつく唯
しかし梓は激しい剣幕でこれを振りほどいた
梓「う、うわぁぁ!ちょっと誰ですか!?や、やめてください!」
唯「あ、あずにゃーん…」
ここは女子校、男子生徒などいるわけもない
どこからどう見ても不審な男子高校生4人組を梓は警戒した
梓「あ、あなた達何なんですか…!今先生に…」
そう言い残すと梓は音楽室を後にする
律「ふぅ…やれやれ」
澪「どうなっちゃうんだろ…」
紬「でも何だか面白そうね」ウフフ
紬だけが呑気に微笑んだ
やがて梓が息を切らせながらさわ子を連れてきた
さわ子はワケがわからぬまま音楽室に入る
唯「あ、さわちゃんせんせ~」
さわ子「さ、さわちゃん!?」
梓「勝手に私達の部室でくつろがないでください!」
律「あのな…梓‥」
梓「な、何で私の名前を!」
まったく話にならない
豪を煮やした澪がさわ子に状況を説明した
澪「ってわけで…私達は紛れもなく軽音部の4人なんですよ‥」
さわ子「ふむ…確かにどこか面影があるわね‥」
唯「うーん美味しい~」
最初は慌てて混乱していた唯も既にお菓子に夢中であった
梓「そ、そんなの信じられません!」
紬「梓ちゃん…」
唯「あずにゃ~ん!ほら、アーン」
普段の調子で梓にケーキをアーンする唯
その光景はいつもの軽音部そのものであった
梓「……あっ‥唯先輩‥」
姿は違えど梓の目には唯の面影が映った
唯「あずにゃーん!やっと信じてくれた~」
再び梓に抱きつく唯
梓「ちょ、ちょっと!やめてください!」
とはいえ男に抱きつかれている事に変わりはない
梓は再び抱きつく唯を振りほどいた
さわ子「とりあえず、信じるって事でいいかしら?梓ちゃんも」
梓「は、はい…」
律「ふーよかったぁ」
澪「…全然よくないけどな」
さわ子「何かいつもと変わった事は無かったの?」
唯「えーっと、いつもみたいに普通にお菓子食べて~お茶してて~」
紬「唯ちゃんがティーポットを引っ繰り返しちゃったくらいね」
梓「わ、私先輩達がずっとこのままなんて嫌ですよ!」
さわ子「そうねぇとりあえず」
澪「とりあえず…?」
さわ子は4人の姿に目をやる
さわ子「その姿、不気味だから着替えてくれる?」
そう、4人はずっと男になってからも今までの制服を着ていたのだ
確かにその姿は不気味としか言いようがない
律「いや…でもそんな事言っても着替えなんかないし」
澪「今日は体育無いからジャージも持ってきてないし…」
さわ子「ふっふっふ…」
(暗黒微笑)を浮かべるさわ子
取り出したのは1つのトランクであった
唯「何ですかそれ?」
律「なんかヤな予感…」
紬「ワクワク」
さわ子「こんな事もあろうかと作っておいたのよ~!」
さわ子「桜高制服男子Ver!」
取り出したのはブレザーの男子制服である
ネクタイの色などは唯達の学年の色だ
律「どんな事だよ…」
さわ子「ほら!着てみなさい!」
澪「で、でも…」
紬「私、着てみたいで~す!」
唯「あはっ私も私も~!」
澪「えぇ!?」
律「お前らなぁ…」
直ぐ様そこで着替えだす唯、スカートを脱ぎブラウスを脱ぎ捨てる
梓「ちょ!ちょっと唯先輩!!」
顔を真っ赤にしながら怒鳴る梓
普段は女子校であるがため皆恥じらいなくその場で着替えるが、今は状況が違う
唯「あ!そっかそっか」
紬「唯ちゃん、奥で着替えましょ」
紬が優しく微笑む
唯「ほ~い!」
梓「し、信じられません!無神経です!不潔です!」
梓の怒りは尚も納まらず唯にむけられていた
さわ子「ほら、あなた達も着替えないの?」
澪「そ、そんな事より元に戻る方法を…」
律「あー澪…」
澪「律!お前からも…」
律「…とりあえず私らも着替えようぜ?確かに不気味だこりゃ」
澪の姿と鏡に映った自分を見て律は呟いた
唯「じゃーん!」
紬「ど、どうですか?」
着替えを終えた唯と紬が出てくる
さわ子「よく似合ってるじゃなーい!いい男よ~」
さわ子の目にどこか怪しい輝が灯る
梓「はぁ…何でそんな呑気なんですか皆さんは…」
律「おーい、どうだ?」
澪「……」
着替えを終えた律と澪も奥から出てくる
嫌がっていたわりに、澪はネクタイまできちんと締め
律は律でカッターは着ずにブレザーの下にパーカーを着込んでいた
唯「あはっ似合う似合う~!」
紬「2人共よく似合ってるわ」
梓「……」
さわ子「ん~やはり私の目に狂いは無いわね!」
尚もどこか怪しい目で2人を見つめるさわ子
一方梓は着替えた澪を見てから急におとなしくなっていた
唯「ねぇりっちゃん」
律「あん?」
唯「なんか股の辺りが落ち着かない…」
梓「!!」
律「あー…まぁそりゃ初めてついたもんだしなぁ」
澪「……」
紬「そうねぇ、落ち着かないものねぇ‥この…」梓「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
すかさず台詞をかき消す梓
しかし無理もない、唯達が着替えたのは制服だけで下着はそのままだった
律「なぁさわちゃん、下着ないの?」
さわ子「しまった…!うかつだったわ」
唯「なんか股に張りついてきもちわるぅいこれー」
梓「……」
澪「これから…どうしよう‥」
紬「大丈夫よ、きっとそのうち戻れるわよ」
澪「むぎ‥」
律「てか明日から学校どうすりゃいんだ?治るまで休むか?」
澪「バカ!そんなわけにいくか!」
梓「で、でもうちは女子校ですよ…大丈夫なんでしょうか‥」
唯「あ!女装していくとかは!?」
律「声でばれちまうよ…」
澪「う~ん…」
紬が皆に微笑む
紬「学校の方は任せて、今日中になんとかしておくわ」
澪「え?」
律「どうするんだ?」
紬「うふっ任せて」
唯「じゃあ明日はこの格好で登校だね!楽しみ~!」
澪「呑気だな唯は‥」
最終更新:2011年04月30日 18:33