澪「唯、ムギ、それに律、取り乱してごめん」

律「や、私も悪かった」

紬「でもこれでみんなの意志が一つになったわね」

律「しかし、今日の唯はどこか一味違うな」

澪「言う事がみんな的確だし」

紬「苦境の中で真価を発揮するタイプなのかしら」



唯「」プシューッ

律「あ、オーバーヒートしてる」




…夏休み

唯「あははははは!」ミョーン

律「…さっきからアレばっかだな」

紬「変に気負って根詰めるよりいいんじゃない?」

律「や、もう少し根詰めた方がいい、絶対」

唯「あははははは!」ミョイーン



澪「…できた」

律「お、先生、詩が書けましたか」

澪「やっぱりまだできてない」

律「逃げるなよぅ」


律「ほら、恥ずかしがらずに貸してみろよ」サッ

澪「あ!」


ふわふわ時間(タイム)

君を見てるといつもハートDOKI☆DOKI

揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ



律「…」

律「だれを想像して書いたんだ? ん?」
澪「ナンノコトヤラ」

律「ムギはこの詩どう思う?」

紬「とっても素敵だわぁ」パァァ

律「!?」

律(…いや、夢見がちなムギなら有り得た話だ。しかし)


律「唯、この詩どう?」

唯「どれ…」

律(いくら何でも男の唯には受け入れられまい)


唯「うん、いいんじゃないかな」

律「ほら澪、やっぱりいいって…ええ!?」



律「唯、正気か?」

唯「うん」

律「だってふわふわタイムだぜ?」

唯「いいんじゃない?」

律「…私も納得できるような感想を言ってくれ」

唯「納得するかどうかはわからないけど…」


唯「詩を書く段階で必要なのって、やっぱり気持ちじゃないかな」


唯「ただカッコイイ言葉並べたり、語呂だけ良くした歌詞よりは、歌ってる内に書き手に共感したり、歌の中にある物語の主人公になれる方が俺は好きだな」

唯「ちょっと矛盾するけど、ラップみたいに韻を大切にするのも好きだし、超カッコつけの曲にも好きなのあるんだけどね」

律「…」

唯「…やっぱり駄目かな」

律「ふーっ、全く、唯にはかなわないなぁ」ポリポリ

唯「じゃあ!」

律「これに合った曲、作らないとな」



紬「もう少しベースが目立ってもいいと思うの」

澪「や、私はこのまま控え目な方が…」

律「私もベースはもう少し主張する感じでいいと思うぞ」

澪「そ、そうかな」

律「そうだよ。そっちの方が澪の声が映えると思うし」

紬「逆にサビは…」


唯「あははははははは!」ミョーン

律「…」

澪「まだやってるよ…」


律「続きはまた明日だな」

澪「今日話し合ったイメージに似た曲探してみるよ」

紬「私もー」

律「よし、じゃあ唯から一言」

唯「一日中チョーキングにハマっててすいませんでした」

律「よし、解散」



憂「さっぱりしたー」

チャカチャカヂャカヂャカ

憂「あ、やってるやってる」


ガチャ

憂「お兄ちゃん、お風呂空いたよ」

ヂャッ

唯「ああ、ありがとう」ジャカッ

憂「今は何の曲を練習してるの?」

唯「へへー、オリジナル」

憂「オリジナル? すごいね!」

唯「よせやい」ジャランッ


憂「ねえ、どんな曲なの?」

唯「すまんけど、まだ作り始めなんだ」

憂「でも、今弾いてたよね?」

唯「ああ、今のはみんなの意見を基に勝手に考えた俺のイメージ」

憂「ねぇ、ちょっとでいいから聞かせてよ」

唯「…本当に考え中だからな」

チャカチャカジャッジャッチャカチャッジャカジャッ

唯「君を見てると いつもハートDOKI☆DOKI」

憂「えっ」

唯「しまった」



澪「これとかピッタリじゃないか?」

律「ちょっとテンポ遅くないか?」

紬「じゃあこんな感じならいいかな」

ターラタータタータラタータタータタターターラタター

律「そう、そんな感じ」

澪「あ、確かにいい感じだ」

ガチャッ

唯「おはよー」

律「おーす」

唯「作曲中?」

紬「うん、今サビを考え中」

唯「ベースラインは大分決まってきてるんだ」

律「さっき録音したサンプル聞くか?」

唯「お、聞きたい」

紬「ポチっとな」


デゲデゲデッデデゲデッデゲデ

唯(あ、昨日考えてたイメージにピッタリだ)

デーッデッデゲデデーッデッデゲデデーッデーッデーッデーッ

唯(…見てーてもー気ーづーかーなーいーよねー)

デレデレデゲデゲデレデレデデデゲ
ジャーガジャガッジャッジャーッジャーガジャガ


律「お!」

澪「ムギ! サビいくぞ!」

紬「合点!」



唯「ごめん、つい」

澪「驚いたよ、考えて来てたなんて」

律「むしろ昨日の聞いてたんだな」

澪「一日中笑ってたからな」

唯「面目ない」

紬「で、りっちゃんどうだったかな」

律「澪とムギはもう少し調整してけば形になるな」

紬「途中で上手く被さらなかったものね」

律「問題は唯だな」

唯「やっぱし?」

律「お前がボーカルんとこ喰ってどうすんだよー!」

唯「ああ! だからやけに気持ち良かったのか!」

澪「サビ入りたてのところは良かったのに徐々にエスカレートしてったな」

紬「でも、修正して楽譜に起こせば使えるわよね」

律「そうだな、私も今のメロディーライン好きだし、ボーカルも見直してみようか」

唯「やった!」



ピンポーン

ダッダッダッダッ

ガチャッ

律「よっす澪!」

澪「わ! びっくりした…」

律「練習しようぜ、練習」

澪「練習なら明日も出来るだろ? メリハリは重要だぞ」

律「頼むよ澪、今日も私走り気味だったろ? 夏休み中に癖直したいからさー」

澪「…しょうがないな」

律「サンキュ!」



澪「ほら、また早くなってる」

律「マジで!?」

澪「今日の唯じゃないけど、律もサビに入ると早くなるし、音も強くなるな」

律「テンション上がるとどうしてもなっちまうんだよな…」ダッダカッ

澪「逆に疲れてると丁度いいんだよな」

律「合宿ん時のか? アレ結構きつかったんだぞ」

澪「疲れた状態でいろとは言ってないよ。何かヒントがあると思うんだ」


ジャーンッジャカジャッ

澪「…どうですか?」

さわ子「へー! この短期間にしてはなかなか完成度高いじゃない」

紬「ありがとうございます」

さわ子「キャッチーな曲調だし、文化祭のライブにピッタリね」

唯「やった!」

律「さわ子ちゃんのお墨付きだ!」

さわ子「たーだーし」

唯律「はいいっ」

さわ子「技術的な部分でまだまだ伸びしろがあると思うの」

唯律「ですよねー」


澪「ど、どの辺ですか?」

さわ子「その前にー、これ」ペラッ

唯「チケット?」

さわ子「野外フェスのチケット。たまにはプロの演奏を生で感じましょう」

律「さわちゃん太っ腹!」

紬「なんだか楽しそう!」

さわ子「曲作りもいいけど、息抜きもね。感受性を育てないといい曲は作れないわよ」

律「流石元バンドマンは言うことか違うね!」

さわ子「その過去には触れちゃ駄目よ?」キラッ

律「ひゃいっ」



「はい、紬お嬢様からの指示でして…」

「すみません!無理なのは承知なのですが…」

「度々の日程変更のご無礼、お許し下さい」



「ふぅ、お嬢様も無茶言うよな」

「急遽明日明後日の予定を延期だなんてな」

「で、我らがお嬢様は…」

紬「ん…すーすー」

「疲れてデスクでお休みだ」

「余程部活動が楽しいのだろうな」

「よし、頑張り屋なお嬢様の為に、もう一働きするか!」



唯「わ! すごい人の数だ…」

律「そりゃフェスだからな! 祭りだからな!」

紬「お祭り!楽しみ!」

澪「あれ、先生は?」

律「早速B会場に走ってった」

澪「引率なのに…」


律「次! 私のホルモンの登場だ!前行くぞ前!」ズモッ

澪「ちょ! 律」

紬「あ! 待って!」



唯「あれ、みんなは?」



唯「…ふ、全く仕方ないな…みんな」



唯「…はぐれた」



『チューチューラブラブムニムニームラムラ!』

プリンプリンポロンヌルルレーロレロ!!!!!

唯「うお! あのベースの人踊ってるよ」
唯「ああいうパフォーマンスはやっぱりライブを盛り上げるよなぁ」

唯「俺達にはまだまだ無理だけど、いつかやってみたいな」

『チューチューラブラブムニムニームラムラ』

「プリンプリンポロンヌルルレーロレロ!」

唯「かなり過激な歌詞が多いのに、あんな小柄な女の子にも指示されてるんだ…」

梓「プリンプリンポロンヌルルレーロレロイェー!」


『アニキラバーサーイン』

FOOOO!!!!!

唯「今度は会場中がヘドバンだ! バンドの人達も演奏しながら首振ってる!」

唯「バンドと会場が一帯になる…これがライブ!」

梓「ちょっと、そこのあなた!」

唯「へ?」

梓「ブツクサ言ってないで、次サビ終わったらヘドバンして下さい!」グルグル

唯「何ー?聞こえなーい」


『アネキラバーサーイン!』

梓「Fooooo!!!!!!」グルグル

唯(あの子、目が回ってたみたいだけど、大丈夫かな)



『マキシマムザホルモンでしたありがとうー!!!』

ウオオオオオオオォォ…!!!


唯「く、首が痛い…イチチ」

唯「あれ、さっきの子、謎のポーズ取ったまま動かないな」



唯「もしもし、キミ」

梓「…」

唯「おーい」ポン

ドサッ

梓「」

唯「…死んでる」



梓「…んん」

唯「あ、気が付いた」

梓「あれ…私のホルモンは…」

唯「焼き肉の夢見てたの?」

梓「違います!マキシマムザホルモン!バンドの名前!」

唯「ああ!あのマイク食べちゃうバンドか」

梓「そうそう…って、あなたはホルモン素人の人」

唯「何その微妙な不名誉さの呼び名」


律「うう…首が…」

澪「私までムチウチだよ…」

紬「あ、唯君だ」



唯「あ、みんな」

律「はぐれるなよー、心配したぞ」

澪「ホルモンの演奏が終わってから気付いたんだけどな」

紬「あれ? そっちの子は?」

唯「ホルモン? が終わった後、立ったまま気絶してたから避難させた」

律「何!? お前も腹ペコか!」

澪「ムチウチなのに元気だなぁ」


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