─────府内 某ホテルの一室

ナワヤ「あーくそ!わかんねぇ!!」

ナワヤ「おいキバヤシ!本当にこの辺に2012年終末予言解明のヒントがあるのか!?」

タナカ「ナワヤさん、ぼやいても仕方ないですよ!」

タナカ「それにりっちゃんが何か重要な事を知っているのは確かなんですし」

キバヤシ「………平沢唯と言う子がいただろう」

ナワヤ「唯ちゃん…、あの天然ちゃんか」

キバヤシ「彼女も重要なカギを握る人物かもしれないんだ」

タナカ「なんですって!?」

キバヤシ「お前たちには話してはいなかったが」

キバヤシ「この間メキシコで調査をした時に────」

老人『世界は今、物質への欲望のためにバランスを失っておる……』

老人『日の国の人よ、常に正しい道を選びなされ…救いの道はそこにあるぞ………』

タナカ「────そんな事があったんですか」

ナワヤ「でもそれと唯ちゃんと一体どんな関係があるんだよ」

キバヤシ「今朝、お前たちも唯ちゃんたちを見ただろう」

キバヤシ「その時に唯ちゃんたちがそれと全く同じ事を言っていたのを聞いたんだ」

ナワヤ「なるほど…それで声をかけたのか…」

タナカ「それにしても常に正しい道か…一体どういうことなんでしょうか」

トマル「……あの、それって有名なホピ族の予言の一つですよね?」

ナワヤ「なんだよそのホピ族ってのは?」

トマル「ホピ族と言うのはアメリカのインディアンの部族の一つです」

トマル「現在は主にアリゾナ州に住んでいて、マヤ文明の末裔と言われています」

ナワヤ「マヤの末裔だと!」

キバヤシ「やはり……か」

ナワヤ「それじゃあ唯ちゃんもマヤの末裔って事か!」

タナカ「トマル、ホピの予言とは一体どういうものなんだ?」



 空から「灰の詰まったひょうたん」が落ちてきて
 海が煮えたぎり、陸が燃え、数え切れない人々が死んだなら
 これまで秘密にしていたホピの教え・予言・伝承を公表しなくてはならない────



タナカ「灰の詰まったひょうたん…海が煮えたぎって陸が燃える……そして沢山の犠牲者………」

キバヤシ「!!」

ナワヤ「おい!それってまさか!!」

トマル「そうです…原爆です!」

トマル「もう一つ有名な予言に、東に黒い太陽の昇るときホピは雲母の家に向かい世界は滅びに向かう、と言うものがあります」

トマル「第二次世界大戦後にホピの長老が地球の危機を訴えるために国連に向かったのですが」

トマル「その時に工業地帯のスモッグの向こう側に黒い太陽が昇るのを見たそうです」

トマル「そして、ニューヨークの国連のビルを見た時にそれを雲母の家だと悟ったそうです」

トマル「世界の滅亡に向かっている事を確信し、行ったのがあのホピの全世界への呼びかけですね」

ナワヤ「………なんだよそれ、滅亡に向かっている状況はまるで予言の通りじゃないか!」

キバヤシ「それを防ぐ為に俺たちが活動しているんだ、弱音を吐くな」

ナワヤ「そりゃそうだけどよ…」

トマル「……ホピ族は神からの言葉を予言として、代々伝承して来たそうです」

キバヤシ「神……その一人がケイ・オンブと言うわけか」

キバヤシ「ケイ・オンブの予言………」

キバヤシ「正しい道を進めば破局を回避できる…」

タナカ「お手柄だぞトマル!」

タナカ「ここに来て色々重要なヒントが見えてきた!」

タナカ「明日、もう一度唯ちゃんに詳しい話を聞いてみよう!」

タナカ「ケイ・オンブの事、そしてホピの予言の事を!」

ナワヤ「唯ちゃんなら正しい道、滅亡を回避するヒントを知っているかもしれないな!」

タナカ「このまま一気に解決すればいいんですけどね、キバヤシさん!」

キバヤシ「あ…ああ、そうだな…」



キバヤシ(解決……果たしてそうだろうか)

キバヤシ(俺たちは何か重要な事を見落としている気がする)

キバヤシ(もっと根本的な何かを────)



─────次の日 通学路

キバヤシ(昨日はこの道を通っていたようだが……)

唯「………ムギちゃんの眉毛がたくあんでね」

憂「…和尚?」

タナカ「きました!」

憂(うそ!?今日もいる!)

キバヤシ「唯ちゃん」

唯「はい?あー!MMR!!昨日はどーもでした!」

憂「遅れちゃうよ!行こうよ!」

憂(もー、なんで絡んでくるの!)

唯「ごめん憂、ちょっとだけ!」

キバヤシ「通学中にごめん、ケイ・オンブについて色々聞きたいんだ」

キバヤシ「それと昨日の朝の正しい道についてもなんだが」

唯「いいですよ!」

憂「お姉ちゃんってば!」

ナワヤ「おいキバヤシ、学校遅れちまうみたいだぞ」

キバヤシ「そうだな…すまない」

憂「では失礼します」

唯「ごめんなさい!」

唯「あ!でも学校終わってからなら時間ありますからだいじょうぶですよ!」

憂「お姉ちゃん!?」

唯「それじゃ!」

キバヤシ「わかった、ありがとう!」

憂(やだ!お姉ちゃんが変な人たちに連れてかれちゃう!)

憂(私が何とかしないと!)



─────放課後 音楽室

唯「あ!そうだ!」

唯「ねぇねぇ、私今日早めに帰って良い?」

律「ん?なんかあるのか?」

唯「MMRの人たちが聞きたい事があるって言ってて…」

律「おーそうか、あの人たちも仕事でやってるだろうし待たせるのも悪いよな」

律「行ってきなよ」

唯「えへへw私もMMRで全国デビューだね!」

───ガチャ…

憂「お姉ちゃんいますか?」

唯「お?憂!どうしたの?」

憂「あ!あのね!さっきMMRの人と会ったんだけど」

憂「今日は他に調べたいことがあるからお話できないって」

憂「それを伝えに来たの!」

憂(お姉ちゃんに嘘つくのは辛いけど…)

憂(これ以上あんな変な人たちと付き合わせるわけには行かないよ…)

唯「そっかぁ、それは残念だなぁ」

律「全国デビューできなかったなw」

唯「ぶー」

憂「じゃあ、そう言うわけだから!」

憂「また後でね!お姉ちゃん!」



憂「────……………………」

憂「髪を解いて…ピンをつけて……」

憂(お姉ちゃんったらかわいいなぁ…)

憂(じゃなかった!これ私だ!////)

憂(あの人たちにこれ以上関らない様に伝えないと!)


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