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衆洲城 爽/7th Azure

【 性別 】:女
【 学年 】:1年
【 所持武器 】:漆黒の鎖大鎌
【 攻撃/防御/体力/精神/FS(合計30以内) 】:
■攻撃:1
■防御:15
■体力:10
■精神:3
■FS:1

【 FS名 】:罪悪感

特殊能力 『七番目の検死官』100%

■特殊能力内容
【効果】精神攻撃による即死
【タイプ】瞬間型
【スタイル】アクティブ
【付属効果】超々凄惨な死
【付属効果】精神減少範囲、周囲2マスへ拡大
【範囲】同マス
【対象】任意1体
【消費制約】自分永続戦線離脱
【制限制約】精神攻撃
【その他制約】対象を永続行動不能にしない

◆能力説明
同マスの対象1体を即死させる(要、精神判定)。
その結果、対象の周囲2マスに渡って、4倍の精神減少が発生する。
ただし、対象の体力は0にはならない。また、その行動力も奪わない。

具体的には、この能力によって、それ以降、対象は以下のような状態となる。
  • 死亡時に精神減少が発生しない
  • 死亡時にDPが発生しない
  • 生存ユニットとしてカウントされない
    • 範囲内味方n人死亡などを含む特殊能力の使用条件を満たせず、生贄として捧げられない
    • 自分死亡制約を含む特殊能力の使用条件を満たせない

※GK注
GKの理解

効果:同マスの任意1体に対してステータス異常「死亡(行動可能)」付与
効果付属:対象からDP取得

制限制約:精神攻撃判定
消費制約:自分永続戦線離脱

追加効果:周囲2マス(効果1の対象と同陣営)全員に精神4減少

【 この能力は禅僧を対象にすることが 】:できる
【 能力タイプ 】:アクティブ

◆能力原理
魂(こころ)を繋ぎ止める力のない魔人から、強制かつ効率的に、肉体からその魂だけを弾き出して奪い取る。
奪い取った魂は中二力に変換され、彼女の体内に移植された「暗黒器官(イビルワーム)」から生じる、超小型ワームホールによって、その大半は中二バンクへと転送される。転送されなかった分は、「暗黒器官」自体のエネルギーとなる。
その能力は、魂を繋ぎ止める力のない魔人にとっては絶対的であり、逃れる術はない。絶叫とともに、その苦痛に身をよがり、全身から血を噴出しながら、ミイラのように干からびた状態で絶命する。
だが、この能力で魂を奪われた所で、「本当の死」は、すぐに訪れはしない。もちろん、その一瞬の「死の苦痛」と、すぐに訪れるであろう「確実な死」は免れないが。

肉体と魂とを分離するために、「暗黒器官」は、肉体から魂を弾き出す媒介を必要とする。
媒介として、作り出す魂魄は、周囲に漂っている「中二痕」から精製される。
中二痕より作られた「擬似魂魄」の働きにより、対象の魂は、肉体から弾き出される。そして、「暗黒器官」によって、その魂は純粋なエネルギー体へと変換される。そのため、弾きだされた魂はその構造が破壊され、肉体とのリンクは切断される。
一方で、「暗黒器官」によって、肉体へと押し込まれた「擬似魂魄」は、対象の中で、本来の魂以上の機能を発揮する。
だが、周囲に漂う中二痕から作られたその魂魄は、非常に不安定であり、何らかのきっかけで簡単に崩壊してしまう。
所詮、擬似魂魄は、擬似的なものでしかなく、擬似魂魄が反映するその対象の心は、海馬に残された記憶を再構成したまがい物に過ぎない。
つまりそれは、その人がその人であって、その人でなくなるということ。

手に持っている漆黒の大鎌は、対象に打ち込む擬似魂魄そのもの。
直接対象に当てる必要は無く、大鎌の出現は、その擬似魂魄が、対象を完全に捉えたことを表すにすぎない。
次に大鎌が振られた瞬間、対象の肉体から、魂は弾き出され、大鎌の先端に向かって弧を描くように引っ張られる。
その際、魂と肉体をつなぐリンク(精神体)が、周囲に霧散する。
この霧散したリンクを受け取ったものは、一時的に、このリンクと融合することになる。
融合すると、肉体と魂の間に、リンクが介入し混線が起こる。
それにより、この能力を直接受けていないものにまで、その「死の苦しみ」が、まるで実体験であるかのように伝播する。

魂を奪うと、爽は、暗黒器官の能力で、ワームホールを開き、その場から戦線離脱する。

「さよなら、知らない人」
「君の人生もらったから」


キャラクター説明

本名は「衆洲城 爽(すずしろ-さやか)」
人造魔人の少女。十七歳。駅前の洋菓子店でアルバイト中。
今は、その店のキャンペーンで、黄色のピエロ帽子にサンタクロースのようなドレスを着ている。
サンタ服の赤い部分は、ピエロ帽子の色に合わせて黄色が基調。

華奢で、髪型はミディアムヘアー。能力が活性化すると、髪色は明るく鮮やかな青色となり、瞳は血のようなワイン色となる。

「苺のロールケーキなら、作ってあげてもいいよ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇(以下、秘密事項)◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

中二バンクと呼ばれる、国際機関に所属している。

※1 中二バンク
正式名称、国際魔人保護管理局。
保護という名目で、魔人を監禁・拘束し、研究を行っているという黒い噂のある組織でもある。
爽は、他のエージェントからは、「アズール」のコードネームで呼ばれている。
上層部などは彼女を「七番目」と呼ぶ。

現在の彼女は、この国際魔人保護管理局に飼われた存在となっている。
その目的は、魔人たちが持っている、中二力(魂)の回収である。


元々は没落した魔人系の旧家の娘だった。
「衆洲城(すずしろ)」は、金属を自在に操る能力を持った魔人の一族。
しかし、跡継ぎに恵まれず、本家は途絶えてしまう。
分家筋においては、能力を得たものは、ほとんど現れなかった。
現れたとしても、十歳になる前にみな、病気や事故で亡くなるなど非常に短命に終わっていた。

そんな中、魔人として覚醒した、爽の兄「宗介」は、今までの覚醒者とは違った。健康にも恵まれ、大きな事故も無く、無事に十回目の誕生日を迎えた。
それにより、兄は一族復興の希望として、期待されることになる。
兄の能力は強大であった。兄は自分の周囲にある数多の金属を、触れることなく、その形状・状態を自在にコントロールすることができた。
その能力範囲も、広大であり、一族は、兄が能力を使いこなせるまで、山の奥で暮らすことを決めた。
なぜなら、もしこの能力が市街地で戦闘に使われることがあれば、間違いなく、都市一つを壊滅させると思われたからであった。
だが、その選択は、兄の能力に危機感を抱いた魔人たちに、隙を与えることになった。
山奥に引っ越して、しばらくの後、何者かにより一族は襲撃を受ける。
一族は、兄を守るために敵の前に立ちふさがり、結果、皆殺しに合う。爽はそのときに人質となり、兄は爽を助けるために投降、爽の目の前で、敵の手にかかり殺される。
そのすぐ後に、爽も致命傷を負わされるが、奇跡的に助かる。

生き残った彼女は、その奇跡の生命力に目をつけられ、研究機関(α)に売られる。
このとき、爽は魔人として目覚めていなかった。しかし、魔人に非常に近い存在とみなされていた。
彼女を引き取った研究機関は、”魔人が魔人として目覚める過程”を研究していた。
彼らは、彼女が魔人として覚醒するのを期待していた。
だが、彼らの期待に反し、彼女は魔人として目覚める気配はなかった。
そのため、彼女よりも有望な”別の研究対象”を得た彼らは、彼女を別の研究機関(β)に引き渡す。

引き渡された研究機関(β)では、”人間を魔人として覚醒させる”研究がされていた。
魔人の血統であり、兄は魔人として覚醒していたこと、さらに生死の境から帰ってきた事から、彼女は非常に魔人化しやすい存在と、ここでも思われていた。
しかし、いくら実験を繰り返しても、普通の人間から得られる以上のデータを、爽からは得られなかった。
そこで、βでは、彼女に対して、非人道的な実験が繰り返されたが、結局、彼女が魔人として目覚めることはなかった。
研究価値の失われた彼女は、廃棄処分として、安値で売り飛ばされる。
売り飛ばされた研究機関(η)は、地位も非常に低く、他の研究機関からも蔑まれていた。
その研究機関は、魔人の魂と肉体を切り離し、魂をエネルギーとして保存する研究を行っていた。そして、その研究のために魔人の臓器を用いていたため、一種のオカルト集団として、他の研究機関からは扱われていた。
彼女は、彼らの被験体第7号として、魂と肉体を無理やり分離させられ、その心に、「死の苦痛」を刻み込まれることになる。

※2 被験体第7号
最初の被験体を「Lesser Azure」と呼ぶ。
以降、「2nd Lesser」、「3rd Lesser」と呼び、”lesser”が、”Azure”に置き換わる形で、「4th Azure」、「5th Azure」と続いていく。

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇(失われた記憶)◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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彼女自身は、この後のことをはっきりとは覚えていない。
気がつけば、彼女は「暗黒器官(イビルワーム)」を移植され、彼女は人工的に魔人として覚醒していた。

※3 暗黒器官(イビルワーム)
死神と呼ばれた魔人の五臓六腑。
その色は暗黒に染まっている。五臓六腑全てを指す場合と、その一部を指す場合とがある。
世界各地に、暗黒器官は散らばっているため、多くは、その一部を指すのみ。
生き物の肉体と魂を分離する能力を宿す。
また、対象が魔人の場合、その魂を喰らい、「心臓(コア)」の元へと転送する。
「心臓」も同じ能力を宿しているが、「心臓」の場合は、転送はせず、自らのエネルギーとして全て利用する。
しかし、他の器官から送られてくる魂のエネルギー量が、消費エネルギーをはるかに上回る場合、周囲に高エネルギーフィールドを発生させる。
高エネルギーフィールド内は、暗黒器官の能力の影響下にあるため、生物は生存不可。
だが、放出されるエネルギーは、魔人を強化・覚醒させ、または能力を発動するための源となる。

移植する宿主が存在しなくても、それ単独で能力を発動させる。
また、体内にこの「暗黒器官」が移植された場合、「暗黒器官」は、移植された肉体を支配し、強制的に同化する。
そして、移植された者の中で増殖し、その者の臓器全てを「暗黒器官」へと作り変える。



また、本来ならすぐに崩壊してしまう「擬似魂魄」を、暗黒器官の能力で、維持する術までも彼女は獲得していた。

このブランクに起こったことについては、トップシークレットとなっている。
研究者らにどんな思惑があったかは、公には分かっていない。彼女が次に目覚めたとき、その研究機関は消滅していた。それらに所属していた大半の研究員も、何処へと姿を消し、行方不明扱いとなっている。


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■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■死神の慟哭■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



二十世紀末期、とある死神が亡くなった。
アズールとも呼ばれた死神は、自身も魔人でありながら、他の魔人の魂を糧に生きていた。
血の様に赤い瞳と、鮮やかな明るい青い髪を持つ、死神の異名を冠する男。
そして、彼は幼馴染であった、とある人間の女性を愛していた。彼女は彼の全てを受け入れようとし、彼も彼女の優しさを信じていた。

幼少の頃に、彼は生き物の、肉体と魂とを分離する能力を得た。その能力に目覚めたとき、最初に喰らった魂は、自分の実の父親のものであった。
それは、今まで自身が食べていたものが全て石ころでできていたのではないかと思わせるほど、危険で魅力的な味であった。
そして、彼は、それ以降、普通の食事をすることができなくなった。
彼は、決してその能力を食事以外のために、用いなかった。次に喰らったのは、自分をいじめていた近所の子どもであった。
彼は、それを喰らった翌日から、あまりの気だるさと吐き気で三日間寝込んだ。次に、自分に対して、敵意を向けていた近所のおばさんを喰らってみたが、同じように寝込んだ。
そんなとき、彼は自分の看病をしてくれていた妹を、空腹のあまり喰らう。
その味は、父のときと同じように彼を興奮させた。

そのとき、彼はようやく、自分が何を欲しているのか気づいた。
彼の一家は、皆が魔人であった。

それに気づいたとき、彼はもう止まれなかった。彼にとっては、それは衝動であり、本能であった。
彼は、自らの兄妹たちの魂を次々と喰らい、終には母の魂までも喰らった。
それでも、彼の家族は生きていた。家族は、自分たちに起きた異変の原因が、彼にあったことに気づいた。
そして、、彼は忌み嫌われた。

噂を聞いた他の魔人たちも、幼少の彼を、「死神」と呼んで恐れた。
そして、多くの魔人が、彼を亡き者にしようとしたが、彼にとっては、彼らは魅力的な食事に過ぎなかった。
そのような暮らしを続ける中で、彼の家族が、一人、また一人と死んでいった。

彼は、いずれそうなってしまうことを知っていたが、他の者は、そのことに衝撃を受けた。
魔人たちは、彼に近づかないようになった。そのため、彼は、自分で魔人を探さなければならなくなった。

喰らった魔人が多くなるにつれ、彼は、喰らった魔人たちから報復を受けることが多くなった。
一方で、魔人を喰らう彼の噂を聞いた、多くの宗教組織は、魔人という悪魔を狩るために、彼を利用した。
彼はそこでも、死神と冠され、数々の魔人を喰らい、彼に食われた魔人は死んでいった。

彼の幼馴染は、人間だった。彼がしていることを知らないにしても、彼が魔人だとは知っていた。
なぜなら、亡くなった彼の家族は皆が、有名な魔人だったから。
二十になったとき、彼は、組織を抜けた。そして、彼は死神でありながら、死神であることをやめた。
魂を喰らうことを止めた彼の力は、どんどん衰えていった。しかし、それでも、彼女と平穏なときを過ごせるなら構わない、と彼は思った。
しかし、彼の手によって死期を縮められた、心の弱き魔人たちは、彼が平穏無事に生きることを許しはしなかった。
彼のその恋人は、彼に復讐を誓う魔人の集団の手にかかって、惨殺される。そして、彼自身も、彼女を人質にされたため(そのとき、すでに殺されていたが、そのことを彼は知らなかった)、なす術もなく捕らえられた。
彼は生きながらに、五臓六腑をバラバラにされた。彼はそれでも生きていた。魔人の魂を、幼少の頃から喰らい続けてきた彼の肉体は、生物を超えていた。そして、肉体を再生し、生き続けることなど、彼は容易にできた。
だが、見るも無残な姿となった恋人を目の前に曝され、彼は魔人への深い憎しみとともに、自分自身を呪い、生きることを止めた。
彼の臓器は、彼の死とともに暗黒色に染まり、以降彼の臓器は「暗黒器官」と呼ばれるようなった。
そして、それは数々の宗教組織または研究機関に弄ばれた。
なぜなら、彼の臓器は、彼の死後も生き続け、魔人の魂を喰らい続けたからである。




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そして彼ら――つまり、「暗黒器官」の能力を用いて、衆洲城爽の魂と肉体を分離したその研究機関(η)は、魂を失ったその骸に、暗黒器官を移植する実験を行う。
その後、意識を取り戻した彼女は、魔人として覚醒した。
だが、その能力は、彼女の血統が本来目覚めるべき能力ではなかった。
移植された暗黒器官を源とする異質な力であった。

皮肉にも、その能力によって、彼女は他者の魂を奪い続けるという宿命を負う事と引き換えに、生きながらえることができていた。
暗黒器官は、魔人の魂を奪う。そして、奪ったそれを中二力に変換し、さらには心臓へと転送する。
本来の持ち主はすでに、朽ちており、灰となっているが、暗黒器官は、従順に、ある意味機械的に、中二力をその心臓の元へと転送する。
彼女は、その能力の一部を借り受けて、それに縋るに過ぎない。暗黒器官は、「それ」そのものが意思をもつように働く。彼女が拒んでも、暗黒器官は彼女の意識を乗っ取り、魔人の魂を喰らおうとする。

奪い取った魂は、暗黒器官のエネルギーまたは、心臓がある「国際魔人保護管理局」へと転送される。


しかし、これらの説明と結果は、彼女に暗黒器官が移植された経緯からは遠い。
彼女自身は、本来は人間だった。それを魔人として扱い、魔人として殺した。彼女を殺したその研究機関(η)は、それを知らなかった。
魂と肉体を分離したとき、その魂は、何の力も宿していなかった。
それを訝しんだのは、ある若く有望な研究員(J)だった。実験後、彼女の経過を見ていた彼は、最も彼女に近い場所にいた。
体調が回復し、容姿が元に戻っていくにつれて、Jは眠れる彼女に心惹かれるようになった。
もちろん、彼も、彼女がいずれ死ぬ運命にあることをよく理解していた。
そして、距離を置くようにもしていた。
だが、分離した彼女の魂のデータを見た彼は、彼女の正体について問い合わせずにはいられなかった。彼は、彼女を捨てた研究機関(β)に問い合わせた。
そこで、彼は彼女がただの人間であったことを知る。

なぜ、このような勘違いが起こったのか。それは、単に、この研究機関に、全ての面倒事が押し付けられただけに過ぎない。
魔人として目覚めることを前提に、彼女を引き取った研究機関は、彼女を好き勝手に弄繰り回してきた。しかし、彼女が魔人として目覚めなかったということは、そこには何の大義名分も無くなる。そうなると、処分も難しく、もてあますことになる。
事実を知っても彼は、仲間たちにそれを報告しなかった。なぜなら、仲間たちも、独自に調べ、その事実をすでに知っていた。
多くの研究員は、何事もなかったかのように、こっそりと事実を隠蔽しようとした。だが、彼は、彼女を救いたいと思った。それは、偽善でしかないことを彼は自覚していた。
しかし、彼は彼女がこのまま本当に死んでしまうことに、我慢ならなかった。

彼は、暗黒器官と人間の移植実験を、仲間の反対を押し切って断行した。
彼の思いとは裏腹に、彼らにはJが研究のためなら、人道すら平気で無視するいかれた研究者に映った。この移植実験の前例はある、だが移植されたものは皆、暗黒器官に意識を乗っ取られ、心を失い、目の前の魔人をただ狩るだけの存在へと堕ちた。
6体いた被験者全員が、何かのきっかけで意識を取り戻した際、自ら命を絶った。

仲間たちは「悪魔」と呼び、Jを罵った。そして、彼に全責任を押し付けた。
だが、彼には一つ賭けがあった。意識を取り戻した、被験者に共通していることがあった。
被験者が意識を取り戻したのは、彼らが大量の数の魂を喰らったときであった。

彼女に移植する前、彼は、実験用に監禁されていた魔人たちを、全て暗黒器官の餌として与えた。
そのことが、後に大きな問題となることもJは覚悟していた。
そして、彼の思惑通り、移植後も、彼女は自らの意識を保っていた。

彼女の、科学者に対する憎しみは深かった。だが、それでも、彼に対しては多少なりとも心を開き始めていた。
彼は彼女を愛し始めていた。
一方で、彼女は彼に、愛する兄の面影を重ねていた。
その二つは、二人の間を裂く絶対的で、大きな差ではあったが、結局、その差が強く表に出ることはなかった。
そのとき、監査に来ていた、国際魔人保護管理局の女性エージェント、コードネーム「ジュエル」は、衆洲城爽と出会った。
「ジュエル」は憤っていた。周囲の研究員も、その空気を感じ、この研究機関がどうなるかを悟った。
なにより、ジュエルは、衆洲城爽に深く同情していた。
そして、ジュエルは、爽を助けようと、強く心に誓った。

衆洲城爽は、自分を辱めた全ての存在を呪っていた。
しかし、Jに関しては「助けてあげて欲しい」と、彼女はジュエルに願った。自分に行われた移植実験の、その内容を知っても、彼女のその思いは変わらなかった。
衆洲城爽がJを許せたのは、兄が死んで以降、Jだけが彼女の心を理解しようとした、初めての存在だったからかもしれない。
しかし、事はジュエルの思っていたよりも早く、動き出していた。
ジュエルの報告を聞いた、国際魔人保護管理局は、Jを拘束した。
それを知った、他の研究員の行動は早かった。彼らは、彼をスケープゴートとして、あらゆる責任を押し付け、自身が解放されると同時に蒸発した。そして、管理局も、彼に全ての責任のありかを求めた。実際、何より問題視されたのは、Jが独断で衆洲城爽に暗黒器官を移植し、そのために管理局が保有していた多くの魔人を失わせたことにあった。
そして、彼は結局、衆洲城爽の元に帰ることはできなかった。
彼がどうなったのか、それを知らされた彼女は、錯乱し、暴れた。ジュエルは何もできなかった。
駆けつけた管理局の別のエージェントによって、彼女は拘束され、薬で眠らされた。

そして、次に目覚めたとき、彼女の中で、その一連の出来事は夢となっていた。
ジュエルのことも、彼のことも、彼女にとって都合のよい別の人物に上書きされていた。
いや、彼女は思い出すのを拒否したのだ。彼女は彼との出会いから別れを、全て夢だと思い込むことで、心が壊れるのを守った。
夢として脚色された記憶には、Jもジュエルもいなかった。
彼女は何かを思い出しそうになる度に動揺し、終には思考を停止させ、思い出すのを拒む。
管理局は彼女を結果的に保護した。そして、行く当てのない彼女に、自分たちのエージェントとして、働く道を示した。
逆に言えば、彼女が生きていくには、それしか道が無かった。強力な庇護無しでは、彼女の能力では、他者の魂を奪い続けることなどできない。
だからこそ、彼女は管理局に飼われながらも、それでも生き延びる事を選択した。
兄の代わりに生き永らえてしまった自分に、どう生きるかを選択する余地など無い。
そこに苦しみはあっても、迷いはなかった。


「他人を犠牲にしてでも、私は、生きていかなきゃいけないんだ」
「それが、兄を犠牲にして生き残った私への罰だから」