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背景【黒】BGM【無】
変わらない日常。変わらない光景。
それが、一番いいことだと思う。

人は急激な環境変化に、耐えることが出来ない。
俺が、実際に体験して出した答えだ。

自分が決断してしまったせいで、周りが壊れていく。
周りが壊れてしまったせいで、自分も壊れていく。
そんなことは、もう二度としたくない。
そう、絶対に……

【場面転換】

背景【夜の公園】BGM【蜩の鳴くころに】
電灯もあまり無く、物音一つしない公園。
引きこもりの俺が、唯一外との関わりを持つ場所。
ここへ散歩に来ることが俺の日課になっていた。
変わることもなく存在し続け、
日々の喧騒とはかけ離れているところ。
…………まぁ、最近は喧騒なんて感じたこと無いけど。
とにもかくにも、俺はここが好きだった。

大輔 「よし、今日も張り切って散歩しますか」

入念に準備体操をすませ、俺は歩き始めた。

【歩くSE】

………
……

大輔 「……ちょっと、歩きすぎた」

いつもより、天気がいいので調子に乗っていたのかもしれない。
足に疲労がたまっているのがよくわかる。

大輔 「それにしても、たったこれだけで限界が来るなんてな」

自嘲気味につぶやく。
体力のなさだけはどうしようも出来ない。
まぁ、あの頃よりはついてきたはずだが……

大輔 「しょうがない。そろそろ休憩するか」

俺は一度足を休めるために、ベンチへと向かった。

【歩くSE】

【場面転換】



大輔 「あれ?」

ベンチの近くまできたところで呆然とする。
暗くて顔は見えないが、そこにはすでに先客がいた。
小さな光も見える……花火でもしているのだろうか。
いつもは誰もいないのに、なんでこんな時間に人が?
わざわざ時間を見計らって来たのに、これでは意味が無い。

大輔 「仕方ない、今日はこのまま帰るか。
    ……急がないとアレがくるかもしれないし」

俺は踵を返し、家へと向かう……つもりだったが、ピタリと足が止まった。
何故だか、どんな人が座っているのか気になってしょうがない。
いつもなら、気にせず帰ると思うんだけど……
今日は一体どうしてしまったんだろうか。

大輔 「………気づかれなきゃ、大丈夫だよな」

自分に対し、いい訳をする。
少し覗くだけなら……
俺は、忍び足でベンチに近づいていった。(セリフは無く音だけでいいかも)


大輔 「よし、見えてき…………」

一枚絵【線香花火をする少女】BGM【未設定】

俺は一瞬でその光景に飲まれてしまう。
ベンチには一人の少女が座っていた。
麦わら帽子に白いワンピース。
手には火のついた線香花火。
何よりも目をひいたのは白い肌と赤い瞳。
まるで、月の光を纏った妖精を思わせる神秘的な姿。
そして…………今にも消えてしまうのではないかと思える儚さ。
俺は、声を発することもできず、ただただこの光景に見惚れていた。

アルビノ 「ねぇ、私の顔に何かついてる?」

透き通るような綺麗な声がどこかから聞こえる。
それが、少女が発したものだと理解するまで数秒かかった。

大輔 「え…………?」

アルビノ「さっきからずっと見てるみたいだけど……何かついてる?」

大輔 「あ……あ……」

ヤバい…気づかれてしまった。
俺の全身が警告を発する。
大量の汗が全身から噴出してきた。
――――逃げなければアレがやってくる。

俺は考える間もなく一目散に走り出す。

アルビノ 「あっ、ちょっと!」

少女の呼び止める声が耳に届く。
だが、俺はわき目もふらず家を目指し走り続けた。

何も起こらない世界を望んでいたはずの俺が何故ベンチに座っている人を見ようと思ったのか。
それは単なる気まぐれだったのだろう。
あるいは、心の中で何も変わらない生活に飽きていたのかもしれない。
どちらかはわからないが……これだけは言える。

―――――この日を境に、俺の世界は狂い始めた